No.533784

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 ~Blue Wind~(~lost existence~)

こたさん

やべ……トイレ行きたい

2013-01-19 21:11:12 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1132   閲覧ユーザー数:1118

 

 

ガキィッ!!キィンッ!ガッ!

 

幾度もけたたましい金属音を立ててM.P.B.Lとレッドバーニングがぶつかる。激しい接近戦が繰り広げられる中レーラはつまらなそうにふぅ、と息を吐いた。

 

「この程度なの?だとしたらとんだ期待はずれね。」

 

ガキィッ!!

 

「キャァッ!」

 

レーラが腕に力を入れるといとも簡単にパープルシスターの体が吹っ飛ぶ。

 

「……ッ!」

 

パープルシスターは吹っ飛ばされつつぐるりと一回転すると岩を蹴り再びレーラに向かっていく。

 

「やぁぁッ!!」

 

パープルシスターが渾身の力を込めてM.P.B.Lを振り下ろす。

 

「無駄よ、どんなに頑張ったって。」

 

ガッ!

 

「あッ!」

 

レーラはM.P.B.Lを軽く受け流し、パープルシスターを地に叩き落とす。

 

ヒュウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ―――

 

凄まじい速度でパープルシスターの身体が落ちていく。

 

ギャルンッ!

 

トッ!

 

なんとか体勢を整え着地する。そして、上空のレーラに視線を戻す。

 

「………ッ!!」

 

叩き落とされた際の背中の傷が疼き、パープルシスターは頬に一筋の冷や汗を流し軽く歯を食いしばる。

 

――――強い。

 

同じ女神候補生とは思えなかった。ラステイションではユニ、ルウィーではロム、ラムと言った女神候補生に出会ってきたが段違いの強さであった。

 

「………負けられませんッ!」

 

M.P.B.Lの銃口をレーラに向ける。

 

ダンッ!ダンッ!

 

そして引き金を引きレーラへと弾丸を放った。

 

「甘いわッ!」

 

レーラが虚空に剣を振る。

 

ズバァッ!

 

すると剣先から鎌鼬が生じ弾丸を簡単に切り裂くとパープルシスターめがけて落下してくる。

 

「ッ!」

 

――避けられないッ!

咄嗟にそう悟ったパープルシスターは両手を頭の上にクロスし防御態勢に入った。

 

ズバババッ!

 

間一髪、鎌鼬の餌食にはならなかった。パープルシスターの足元にはくっきりと鎌鼬の傷跡が残っている。だが、パープルシスターの踝辺りにかすったのか、擦り傷が出来ていた。

 

シャッ!

 

「!?」

 

パープルシスターの眼前にレーラの姿が現れる。瞬間移動でもしたのか、と言いたくなるスピードであった。

 

「今度はこっちの番ね。」

 

ドンッ!

 

レーラがまるで突き飛ばすかのように腕を突き出すとパープルシスターの身体が吹き飛ばされる。

 

「キャッ……!」

 

体の自由が効かない。完全に相手の手玉になっている。

 

シャッ!

 

レーラが飛来してくるのが見えた。このままではやられてしまう。

 

「…………くぅッ!」

 

キキッ!

 

力を振り絞り、何とか体勢を整える。だが、レーラの剣はすでに振り下ろされている。

 

――お願い、間に合って!

 

M.P.B.Lを振り上げた。

 

ガッ!

 

間一髪、ガードが間に合った。

 

「ハァッ!」

 

だが、ガードを簡単に崩されレーラがさらに追い討ちをかけてくる。

 

ギィンッ!ガキッ!

 

相手の攻撃をガードする、ガードが崩されるがループしている。このままでは埒が明かない。それどころか手に直接響いてくる振動が痛くM.P.B.Lを手放すのも時間の問題だった。

 

バッ!

 

パープルシスターは一度レーラと大きく距離をとる。だが、レーラがそんなパープルシスターを見逃すはずがなかった。すぐさま地を強く蹴りパープルシスターへと飛来する。

 

ギュウウゥゥゥゥゥゥゥッ!

 

パープルシスターは銃口を再びレーラに向ける。すると銃口に光が集束していきボウリングの玉程の体積となる。

 

「行っけぇぇーーーッ!!」

 

ドォンッ!

 

パープルシスターが引き金を引き銃口から放射させた。まるで彗星の如くピンク色の光が真っ直ぐにレーラへと向かっていく。

 

「………………」

 

だがレーラはスピードを落とすことなく飛来しつつもオーラを纏った剣を持ち直す。その構えはまるで武士の抜刀――通称『居合』を彷彿させるような構え方だった。

 

 

 

バギャアアァァァァァァァッ!!!!!

 

 

 

ビームとぶつかる寸前にレーラが剣を振り火花が激しく飛び散る。

 

「…………………」

 

現在レーラの腕にはとてつもない負担がかかっているはずなのに彼女はピクリとも表情を変えなかった。

 

 

―――その表情は怒っているようにも見えたが、どこか悲しげにも見えた…………

 

 

「―――ぁぁぁあああああッ!!」

 

レーラが声を上げると腕にグググ……!力をいれ始める。

 

「く………ぅぅぅ…………ッ!!」

 

パープルシスターも人差し指を真っ赤にしつつも引き金を引き続けた。

 

 

バギィィーーーンッ!!

 

レーラが強引に剣を振りビームを弾き飛ばす。ビームはそのまま先程レーラの剣が突き刺さっていた岩にぶつかり爆発する。

 

「キャッ……!」

 

爆発の衝撃で岩の欠片が飛び散りパープルシスターは顔を腕で覆った。それが落ち着くと20m程離れた場所で対峙しているレーラに視線を戻す。

 

「…………………………」

 

張り詰めた緊迫感がその場を支配する。

完全なる静寂。心臓の音と呼吸が大きく聞こえた。

パープルシスターはそっと自分の掌を見つめる。赤く腫れた掌は指の間まで汗がびっしょりだった。

 

「――女神候補生にしてはなかなかやるじゃない。」

 

レーラは余裕そうに告げるとトン、と剣を肩に乗せる。

だが、一方でネプギアは乱れた呼吸を少しずつ整えキッとレーラに向き直る。

 

ダンッ!

 

そして、再び地を強く蹴り跳躍するとレーラにへと向かっていった。

 

 

一方、パープルシスターに全てを託した仲間達は大きな岩陰に身を隠し、二人の戦いを見守っていた。

 

「―――どうして…………」

 

アイエフが静かに口を開く。

 

 

「―――どうして、女神と女神が戦わなければならないのよ……!」

 

 

ダンッ!とアイエフがイラついたように手を付いていた岩を殴る。

 

「あいちゃん……」

 

そんなアイエフの肩にコンパが心配そうに手を置く。

 

「―――……ッ……!」

 

だがアイエフはその手を鬱陶しげに振り払うと岩に手を付いたまま俯く。

コンパが振り向き、他の仲間達の顔に一瞥を投げた。

 

『………………………………』

 

ただ、静かに仲間達はあの二人の様子を見守っているだけだ。

私達に何か出来ることはないか?と提案する者すらいない。

だが、それも無理もなかった。

 

―――あの二人の戦いは、既にここにいるメンバーのレベルを遥に超えていたからだ。

 

「…………………………………………」

 

屈辱だが、ここにいるメンバーの誰かが応援に入った所で戦力にならないという事はメンバー全員が悟っていた。

無理して応援に入った所で足手まといになるだけである。それでパープルシスターが負けてしまったらそれでこそ意味はない。

 

―――文字通り、仲間達は指をくわえて見ているしかなかったのだ。

 

「…………………………………!」

 

日本一が力なくアイエフ同様岩を叩く。

 

「―――正義のヒーローが……仲間のピンチを救えないなんて……」

 

今のメンバーの中で最も自分を責めているであろう日本一が悔しそうに歯を食いしばる。

 

「―――あの……」

 

コンパが小さく声を発する。

 

「……やっぱり、私達も応援に入った方がいいです!」

『………………………』

 

アイエフを初め、メンバー全員がコンパに視線を向ける。

 

「…………ですけど、がすと達には成す術がないですの。足手まといになるだけですの。」

「そうかもしれないですけど……ギアちゃんを見捨てるわけにはいかないですッ!」

「……コンパ。」

 

アイエフが制止するためにその名を呼んだが、コンパは構わずに話を進めていく。

 

「確かにギアちゃんは『私に任せて』って言ったです。ですけど……三年前、ねぷねぷも『私に任せて』って言って戦いに行ったきり帰ってこなかったです。だから、もう私はこれ以上誰も失いたくないですッ!」

 

スッと顔を上げた日本一がコンパに歩み寄る。

 

「…………私も同意見だよ!」

「日本一さん……」

 

日本一に握手を求められコンパはそっと手を差し出しぎゅっ、と日本一の手を握る。

 

「―――確かに、あの二人は無茶ばっかりして……私達の知らない所でつまづくんだから……」

 

アイエフも顔を上げる。

 

「…………仕方ないですの。出来る限りのことをしますの。」

 

そして――がすとも立ち上がった。

 

「そうと決まれば、新兵器レーザー砲『D・S・N』で―――」

「やめろ」

 

アイエフにギロリと睨まれ、がすとは静かに例のブツをしまう。

 

「――みんな、準備は良いわね?」

 

アイエフは周りの仲間に一瞥を投げる。

コンパに日本一、がすとはそれぞれの武器を構え戦闘体型になっている。

 

「――勝ち負けじゃないわ。自分達に出来ること……それが何かを『自分』に教えてやるわよ!」

 

アイエフが言い、一同が駆け出そうとした時だった。

 

「みんなッ!」

 

背後から聞こえた声に一同は動きを止め振り返る。

アイエフは目を見開いた。

 

「―――5pb……?」

 

アイエフの瞳に写っているのは膝に手を置きぜぇぜぇと呼吸を整えている5pbだった。

 

「よ……よかった……間に合った……のかな……?」

 

ぜぇぜぇと荒息混じりで途切れ途切れだったがなんとか5pbが声を発する。

 

「あ、あなた審査はどうしたのよ!?」

「ボクの出場する時間までまだ少しだけ時間があるからケイブとグランドに無理言って……」

 

少しずつ呼吸が整い、5pbは額の汗をぐっと拭った。

 

「ですけど、何をしに来たですの?」

「実は、みんなに一つ相談があって――」

 

5pbが口を開くと爆音が轟き一同の肩がビクッと震え上がる。

 

「い、今の音は何ッ!?」

「……岩の向こうを覗いてみなさい。そしたら分かるわ。」

 

アイエフが言うと5pbが岩陰から少しだけ顔を出し状況を確認する。

 

「……………………ッ!?」

 

目に入ったのは先程まで一緒にいたネプギアともう一人、知らない女の子が対峙している光景。

 

ブァッ!!

 

ドォンッ!

 

両者が肉薄し一閃し再び距離を置いては一閃――その度に地が揺れる。

 

「プラネテューヌとリーンボックスの女神候補生が戦闘の真っ最中よ。」

 

実況するかのようにアイエフの声が加わる。。

 

「リーンボックスの女神候補生……?」

「あなた、リーンボックスに結構長い間滞在してたんでしょ?チカから何も聞いてないの?」

 

リーンボックスに訪れてから大分経ったが、そのような存在を耳にしたことはなかった。

チカから女神については色々と教わったが、女神候補生については触れられてもいない。

 

「うん……そもそも女神候補生って単語を耳にしたことすらないし……」

「…………………………?」

 

アイエフは腕を組み首を傾げた。

 

―――…………色々と疑問点が………?

 

そう言えば、5pbから色々と話を聞いた時にチカから頼まれたって所で――

 

――『女神のいないリーンボックスを救って欲しい』――

 

5pbはチカに確かこう言われてアイドルになったって言ってた気がする。

確かに、リーンボックスの女神のベールは現在犯罪組織に捕まっているためにリーンボックスにいないことは事実である。当然信仰すべき女神のいない国はシェアはどんどん下がっていく一方である。

だが、チカは何故女神候補生であるはずのレーラでなく、路上ライブを繰り返していた5pbにこのようなことを頼んだのか?

いや、それ以前に『女神のいない』とチカが女神候補生の存在自体を抹消している。

 

一体何故……?

 

ドォンッ!

 

「ッ!!」

 

耳に入った爆音にアイエフは顔を上げ岩陰から顔を出し状況を確認する。

 

「ネプギアッ!」

 

目に入ったのは地に叩きつけられているパープルシスターの姿。

今はこんなこと考えている場合ではない。一刻も早くネプギアの援護に入る必要がある。

 

「5pb、話は後よ。今はこの戦いを止めることが先決よ!」

 

シャッとカタールを取り出しアイエフは応援のスタンバイに入る。

 

「で、でも待って!そもそもどうしてプラネテューヌとリーンボックスの女神候補生が戦ってるの?」

「簡単に言えば、リーンボックスの女神候補生が犯罪組織に寝返った……てとこね。」

「え……!?」

「で、リーンボックスのゲイムキャラのディスクの奪い合い中……と言えば大体分かるかしら?」

 

岩陰から顔を出しつつアイエフはギュッ……とカタールを握り突撃のタイミングを見図っていた。

 

「ま、待って!ボクに考えがあるんだ!」

 

一同の視線が5pbに集中する。

 

「考え……ですか?」

「うん……リーンボックスの女神候補生にボクの歌を聴かせるんだ!」

 

一同の頭上に複数の『?』が出没する。

 

「……こんなところでライブやってる場合じゃないのよ?」

「そうじゃないんだ!ボクの歌は聴者の心を洗浄して純粋な優しい心に戻す力を持ってるんだ!」

「え……?」

「もし……もしリーンボックスの女神候補生が過去に優しい心を持っていたならこの戦いを止められるかも……!」

「……………………」

 

アイエフは再び考え込む。

これは一つの賭けでもあった。確かに元女神候補生であったとしても、女神を目指していたというなら多少なりの愛国心がある時代があったはずである。

だが、逆に……本当に元からリーンボックス―――いや、ゲイムギョウ界や女神を否定していたというなら本当にどうしようもならない。かえって相手を憤慨させてあっという間にやられてしまうというのも考えられなくはなかった。

 

「………………」

 

慎重に判断しなければならない――そして、急遽に判断を下さなければならないという重圧のプレッシャーがアイエフに襲いかかる。

一歩判断を間違えればアウト――まるで制限時間残り僅かの時限爆弾を解除する際、赤青黄色の導火線のどれを切るかの状況である。

 

「あいちゃん…………」

 

コンパが不安そうにその名を呼ぶ。

 

「――このままだと何も変わらないわ。その作戦でいきましょう。」

 

顔を上げたアイエフが告げた。

 

「ですけど、どうやって近づくですの?この状況であの中に飛び込んだら巻き添えくらってアウトですの。」

「それなら俺に任せな!」

 

5pbの背後にソニックがどこからかスタッと舞い降りてきた。

 

「ソニック!?」

「へへッ、あいつらがどんなに強くてもスピードで俺に適いっこないさ。俺が5pbをレーラの近くに運んで歌を聴かせる。それで問題ないだろ?」

「けど――」

「それに、俺も走りたくてうずうずしてたしな。」

 

日本一の言葉を遮り、ソニックは5pbを軽々と抱き上げる。

宙に浮いた5pbは「キャッ……」と小さく声を発した。

 

「後は俺に任せな。お前達が必死に作り出したその橋……崩れる前に俺が走り抜いてやるぜ!」

 

バッ!

 

ソニックがそう言い残すと瞬時にその姿を消した。

 

 

「……………ッ………!!」

 

パープルシスターは息を切らしつつ片腕を押さえる。

 

「ふふふ……段々と弱ってきたみたいだね。」

 

レーラがまるで女王のような足取りでこちらにゆっくりと歩いてくる。

初めは実力を隠していたのか、こちら側にも少しだけ余裕があったが後半戦レーラが比べ物にならない程の力を発揮しこちら側が防戦一方だった。

そして、レーラの言うとおりスタミナも段々と限界に近づいている。

 

「最後にチャンスをあげるわ。ディスクを渡しなさい。そうすればあなた達全員を見逃してあげるわ。」

 

レーラが不気味な笑いを零す。

そんなの、答えはとっくに決まっていた。

 

「――――ダメだよ。」

 

レーラの笑い声がピタリと止まる。

 

「…………じゃあ、死んで?」

 

レーラが剣を握り直し再び肉薄してくる。

残された僅かのスタミナを振り絞り、M.P.B.Lを構える。

 

―――パープルシスターは心のどこかで『敗北』を覚悟していた…………

 

 

――――~~♪~~~~♪~~~~♪

 

『…………ッ!?』

 

レーラ、パープルシスターは共に動きを止める。

二人の耳に入ったのはまるで透き通る水の様に鼓膜を優しく震わせる美しい音色。

リーンボックスの街中で聴いたあの歌声だった。

 

「これって……!」

 

声の聞こえる方へとパープルシスターは目を向ける。

 

「~~♪~~♪~~♪」

 

離れた場所にある高さおよそ20mの岩の上――ソニックの隣で5pbが歌唱していた。

 

「…………………………………」

 

まるで、雲を切りながら自由に空を飛んでいるような心地良い気分になる。

嫌なことを全て忘れられるような…………――――

 

 

「―――なにこれ、何のつもりなの?」

 

レーラの声にパープルシスターは視線を彼女の方へと戻す。

半目になっているレーラが鬱陶しげに5pbを見つめていた。

 

「―――ライブなら他所でやりなさいッ!」

 

グォッ!とレーラが5pb目がけて剣を振り下ろすと鎌鼬が生じまっすぐに彼女に向かって飛翔していった。

 

「させるかッ!」

 

ジャキンッ!

 

すかさずソニックがブルーウィンドソウルを抜くと鎌鼬を叩き切り真っ二つにする。

真っ二つとなった鎌鼬はその場で空気中に溶けるように消滅した。

レーラが舌打ちすると虚空に幾度も剣を振りおろし複数の鎌鼬を5pbに向けて放ち始める。

 

「ハッ!」

 

バッ!バシュンッ!ザンッ!

 

ソニックはブルーウィンドを片手にその姿を消すと空中を超音速で移動し鎌鼬をどんどん消滅させていく。

 

「へへッ!」

 

鎌鼬を全て消滅させるとソニックは再び5pbの隣に戻り、得意げに鼻を擦っていた。

 

「こんの……ッ!!」

 

レーラが苛立ったかのようにダン、と地を踏む。

 

「………………?」

 

だが、そんなレーラに何処か違和感を感じパープルシスターは視線を彼女へと向ける。

 

 

「――――はぁ……はぁ…………!」

 

レーラの息が切れ始めていた。

先程までの余裕はまるで消え、今度は苦しそうに胸を押さえ始めたのだ。

 

「レーラ……ちゃん…………?」

 

パープルシスターが不安気にその名を呼ぶ。

とうとう立つことのできなくなったレーラはガシャンと剣を落とすとそのまま膝をつき、頭を抱えて苦しそうに呻き声を発し始めた。その服装は、ほぼ全裸に近い程の露出度の高い白い戦闘服――初めて、パープルシスターの元に現れた時の格好に戻っていた。

 

 

「ぁぁぁぁぁ――――ああああああああああああああああああッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――オネガイ、タスケテ……!!

 

 

 

―――タスケテヨォォッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レーラが悲鳴に近い叫び声をあげる。

すると、アンダーインヴァース内が大きな揺れに襲われ始める。

 

「わッ!?」

 

岩陰に立っていた仲間達がバランスを崩し次々と転び始める。

 

「ぁッ……!」

 

パープルシスターもバランスを崩し膝をついた。

 

「おわッ!?」

「わ、わわ……!?」

 

バランスを崩してよろめくソニックの隣で歌い続けていた5pbもとうとう歌をやめソニックに倒れこんだ。

 

「チッ……!」

 

ソニックは5pbを抱きかかえると跳躍し岩の上から離れる。

歌声が止まると同時に揺れも止まった。

 

「はぁ………はぁ………」

 

レーラが頭を抱えながら乱れた呼吸を整える。

 

「レーラちゃん……」

 

パープルシスターが立ち上がりレーラに駆け寄ろうとした時だった。

 

「―――来ないでッ!!」

 

ブンッ!

 

突如レーラが剣を握り立ち上がるとパープルシスターめがけてブンッ!と振る。

 

「ッ!?」

 

鎌鼬は飛んでこなかったが、パープルシスターは危険を察し大きくバックステップすると距離をとった。

ぜぇぜぇと荒呼吸を立てながらレーラはパープルシスターを睨んでいたが――

 

「―――今回は見逃してあげるわ。次会った時が最期よ……!」

 

レーラはそう言い残すと大きく跳躍し何処かへと飛び去っていった。

 

「レーラちゃんッ!」

 

パープルシスターは咄嗟に腕を伸ばしたが――

 

「よせ!」

「ッ!?」

 

背後に舞い降りてきたソニックに制止される。

 

「――今、俺達が奴を追った所でどうにもならない。今は放っておくんだ。」

「――――」

 

パープルシスターは強ばってた肩の力を抜き、その場に膝をつく。

そんな事分かっていた。例え今の私が追った所で何の解決にもならない。

けど――――そんな問題じゃなかった。

 

「…………………」

 

そんなパープルシスターの姿を5pbはソニックの背後で心配そうに見つめていた。

 

「――――…………………」

 

近寄って来たアイエフ達も何も言わずにただ静かにパープルシスターを見下ろしていた。

 

スッ――

 

徐にパープルシスターが立ち上がると女神化を解いた。

 

「―――……一度チカさんの所へと戻りましょう。」

「……そうね。色々聞きたいこともあるわ。」

 

一同の姿はカオス・コントロールの力によりアンダーインヴァースから消えた。

 


 
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