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SAO~黒戦After story~ EP4 黒を冠した戦士たち・後編

本郷 刃さん

EP4です。
対面的になりますが明日奈と和人の再会です、眠る和人に明日奈は・・・。

どぞ・・・。

2013-01-25 09:28:15 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:15485   閲覧ユーザー数:14290

 

 

 

 

 

 

 

 

EP4 黒を冠した戦士たち・後編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明日奈Side

 

埼玉にある和人くんのいる病院へと向かう中、わたしは車の中でずっとそわそわしている。

未だに眠り続けている彼にどんな風に会えばいいのかが分からない…。

そんなわたしに隣に座る(ティア)さんが微笑を浮かべながら手を握ってくれた。

雫さんの隣に座る(カノン)さんも微笑みを浮かべている、「安心して」と言うように。

お陰でわたしは少し落ち着いてきた。

 

 

 

病院に辿り着くと父さん達がトランクから車椅子を取り出して、わたしと奏さんはそれに座った。

わたしの座る車椅子を橘さんが押し、奏さんの車椅子は(ルナリオ)君が押している。

雫さんは相変わらず公輝(シャイン)さんがお姫様抱っこをしており、その顔は真っ赤に染まっている。

駐車場から入り口へと向かうとそこには二人の女性がいた。

親子だと思うけど、一人は中学生くらいの女の子、もう一人は若さの残る女性。

どこか、彼に似ている気が……すると、こちらに向けて女の子が手を振ってきた。

それに刻君が手を振って応える。

まさか……一つの考えに至るも、入り口へと着いた。

 

「やっ、スグ」

 

「やっほ、刻君」

 

刻君が女の子と言葉を交わしている。

 

「「こんにちは、翠さん」」

 

「こ、こんにちは//////」

 

「こんにちは、公輝君、雫ちゃん、奏ちゃん」

 

公輝さんと奏さん、照れた雫さんが女性と挨拶を交わした。やっぱり、この二人は…。

 

「ぁ、あの……和人くんの、ご家族の方、ですよね…?」

 

わたしの言葉を聞いて、二人は笑みを浮かべた。

 

「初めまして。和人の母の、桐ヶ谷翠です」

 

「はじめまして。お兄ちゃんの妹の直葉です」

 

和人くんのお母さんと妹さんだったんだ…。

確か彼とは叔母と甥、従兄妹の関係だったことをSAOに居た頃に聞いたのを思い出した。

 

「えっと、結城明日奈です。あの、和人くんとは、SAOでその恋人で…///

 ぁ、ちが、ふうふ、で…/// えと、えと…//////」

 

「落ち着きなさい……明日奈の母の京子と申します」

 

「父の彰三です。よろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします」

 

色々と言いたいことがありすぎてパニックになるわたしを余所に、両親は翠さんと挨拶を交わしている。

そんなわたしを見て、他のみんなは笑っている…うぅ、恥ずかしい…。

 

「明日奈ちゃん、でいいかしら?」

 

「あ、はい…」

 

翠さんに呼ばれて少し遅れて反応してしまう。

 

「あの子に、会ってもらえる?」

 

「っ……はい!」

 

翠さんは満足そうに頷くとわたし達を病院の中へと案内してくれた。エレベーターを使って移動していく。

 

「ここよ…」

 

翠さんに案内されて辿り着いた部屋の前、ネームプレートには『桐ヶ谷 和人』と書かれている。

公輝さんと刻君は同じ病室だそうで、雫さんと奏さんはそこに行っている。

そして扉を開いてわたしは車椅子を動かしながら一人で中へと入った。

 

 

 

ベッドには痩せ衰えた少年が横たわって眠っていた。

中性的な顔立ちに長く伸びた黒い髪、それを覆うナーヴギア。

それでも分かる……SAOの中で細身でありながらも無駄な筋肉がなく、

中性的な顔立ちにどこか凛々しさと力強さがあり、長く伸びた黒髪を切った髪型に、

瞼が開けば吸い込まれてしまいそうな黒い瞳を持つ、彼……桐ヶ谷和人くんであると…。

 

「かずと、くん…」

 

車椅子を動かして彼の傍まで近寄った。

こんなに近くに居るのに、どこまでも遠くにいる和人くん。

彼の頬にそっと手で触れた。男の子なのに、すぐに壊れてしまいそうだ。

 

「かずとくん。キミのお陰で、わたしは戻ってこれたよ…」

 

わたしは彼の左手を両手で覆い、それを額に当てて祈りを捧げる。

 

「わたし、キミが絶対に戻ってくるって、信じてるからね…」

 

彼の手を離すとわたしは少しだけ立ち上がって彼の唇に自分の唇を軽く重ねた。

ほんの数秒の間だったけれど、眠る彼とキスを交わした。

 

「メリークリスマス、かずとくん」

 

 

 

和人くんとの時間を終えたわたしは翠さんと直葉さん、両親を呼んで中に入ってもらった。

 

「ありがとうございました」

 

「いいのよ、この子も喜んでくれたと思うわ」

 

わたしがお礼を告げると翠さんは笑顔を浮かべて和人くんを見つめた。

本当の親子でなくとも、彼のことを親として愛情を持っているのだと良く分かった。

 

「桐ヶ谷さん、私達にも彼と挨拶をさせてもらえますか?」

 

「是非お願いします」

 

父さんが翠さんに頼むと彼女は快諾してくれた。

 

「和人くんだね、明日奈の父の彰三です。娘を助けてくれて、ありがとう。キミには、感謝してもしきれないよ」

 

「母の京子です。貴方のお陰で明日奈と真っ直ぐに話すことが出来たわ、ありがとう。

 貴方が目を覚ましたら、その時にもう一度言わせてもらうわね」

 

眠る和人くんに言葉を掛ける父さんと母さん。わたしは嬉しくなって、少しだけ涙を浮かべた。

来年は絶対に目を覚ました彼とこの日を過ごそう。

 

 

 

帰る時間になり、病院の入り口に戻ってきたわたし達。

公輝さんと刻君は雫さんと奏さんを送る為に付き添うことになった。

 

「あの、明日奈さん」

 

「直葉さん?」

 

その時、直葉さんが声を掛けてきた。

 

「えっと敬語じゃなくて大丈夫ですから…」

 

「うん…それじゃあ、直葉ちゃんで」

 

「はい! 今日はあんまりお話し出来ませんでしたけど、今度は私が明日奈さんのところに行ってもいいですか?」

 

「うん、いいよ」

 

「それで、お兄ちゃんの話したくさん聞かせてください」

 

「勿論だよ。私にも和人くんのこと、たくさん聞かせてね」

 

「はい♪」

 

こうして直葉ちゃんと約束を交わした。そしてわたし達は自分の病院へと向かった。

 

 

 

病院に戻ったわたし達は病室へと戻った。

雫さんは公輝さんに抱っこされて、奏さんは刻君に車椅子を押されて病室に戻っていった。

公輝さんと刻君は橘さんに車で病院へと送られることとなり、わたしは二人に言葉を掛けた。

 

「公輝さん、刻君、今日は本当にありがとう。凄く嬉しいクリスマスプレゼントになったよ」

 

「やっぱ気付いてたか」

 

「クリスマスっすからね~」

 

今日の再会や外出は黒衣衆の皆と両親からのクリスマスプレゼントだったのことにわたしは気付いたのだ。

 

「それじゃあ、さよならっす」

 

「また、全員で集まろうな」

 

「はい、必ず…」

 

二人は橘さんに送られて和人くんのいる病院へと戻っていった。

 

 

 

和人くん、わたしはキミが目覚めるのを待っているからね…。

 

明日奈Side Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

はい、こんな感じの再会となりました。

 

自分的には中々良い感じに書くことが出来たと思っています。

 

あとキャラネームのルビ振りなんですが、全てに振ったほうがいいでしょうか?

 

それとも今回のように最初に出た名前の部分にだけ振ったほうがいいですかね?

 

全部に振ると今度は読み難くなりそうですし・・・。

 

次回は烈弥(ヴァル)の話しになります、明日奈達と別れたあとの話しですね。

 

それでは次回をお楽しみに・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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