No.514773

ソードアート・オンライン ロスト・オブ・ライトニング 第八話 激突ルグルー回廊

やぎすけさん

デュオのチート技が炸裂。

2012-12-03 20:52:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2001   閲覧ユーザー数:1934

デュオ視点

俺たちは、ルグルー回廊を奥へと進んでいた。

 

リーファ「そう言えば、2人は魔法スキル上げてるの?」

 

キリト「あ~、まあ、種族の初期設定のやつだけなら・・・使ったことはあんまりないけど・・・」

 

デュオ「右に同じ。でもなんでだ?」

 

リーファ「洞窟とかはスプリガンの得意分野だから、灯りの術も風魔法よりはいいのがあるはずなのよ。だから聞いてみたの。」

 

キリト「え~と、ユイ分かるか?」

 

ユイ「もう!パパ、マニュアルくらい見ておいたほうがいいですよ。灯りの魔法はですね・・・」

 

ユイが一音ずつ発音したスペルワードをキリトは繰り返す。

すると、視界が明るくなった。

俺はインプだから、もともと暗視に長けた種族ということで、洞窟に入っても別段問題なく行動できたが、キリトとリーファにはかなり役立っているようだ。

 

リーファ「わあ、これは便利。スプリガンも捨てたもんじゃないわね。」

 

キリト「あ、その言われかたなんか傷つく。」

 

リーファ「ふふ。いやでも実際、使える魔法くらい暗記しておいたほうがいいわよ。いくらスプリガンのしょぼい魔法でも、それが生死を分ける状況だって、ひょっとするとないとも限らないしね。」

 

キリト「うわ、さらに傷つく・・・」

 

そんなことを言い合いながら、俺たちは洞窟内をさらに奥へと進んで行く。

ユイがモンスターの接近を感知し、それを俺とキリトで木っ端微塵切りにしていくため戦闘は無いに等しい。

 

リーファ「あ、メッセージ入った。ごめん、ちょっと待って。」

 

急にリーファはそう言うと、メニューを操作し始める。

 

リーファ「なんだこりゃ」

 

開いたウインドウ画面に目を走らせると、リーファは疑問の声を上げた。

 

デュオ「どうした?」

 

俺が聞いた瞬間、ユイが真剣な声を上げる。

 

ユイ「パパ!接近する反応があります!」

 

キリト「モンスターか?」

 

キリトは背中の剣に手をかけるが、ユイは左右に首を振って言った。

 

ユイ「いえ・・・プレイヤーです。多いです・・・十二人。」

 

リーファ「じゅうに・・・!?」

 

ユイの言葉に、リーファは目を丸くして驚く。

 

リーファ「ちょっとヤな予感がするの。隠れてやり過ごそう。」

 

キリト「でも・・・どこに?」

 

デュオ「隠れる場所なんて無いぞ。」

 

周りを見渡しても、あるのは小さな窪み程度だ。

 

リーファ「ま、そこはオマカセよ。」

 

そう言うと、リーファは俺とキリトの腕を掴んで手近な窪みに引っ張りこんで、スペルを詠唱する。

すると、窪みの周りに薄い緑色の膜が出来上がった。

 

リーファ「喋るときは最低のボリュームでね。あんまり大きい声を出すと魔法が解けちゃうから。」

 

キリト「了解。」

 

デュオ「わかったよ。」

 

ユイ「あと二分ほどで視界に入ります」

 

ユイの言葉で、俺たちの間に真剣な空気が流れる。

俺たちは来た道に視線を集中させていると、視界に妙なものが映りこんだ。

見たところプレイヤーではない、赤いコウモリのようなものだ。

 

キリト「あれは・・・何だ?」

 

リーファ「何?まだ見えないでしょ?」

 

キリト「プレイヤーは見えないけど・・・モンスターかな?」

 

デュオ「あの、赤いちっちゃいコウモリのことか?」

 

リーファ「・・・っ!?くそっ・・・!!」

 

リーファは、俺たちが見ていたものを発見すると、飛び出してスペル詠唱を開始。

俺とキリトも、戸惑い顔で外に出る。

 

キリト「お、おい、どうしたんだよ」

 

キリトが問いかけると同時にリーファの詠唱が終わり、掲げた手から無数の針が発射された。

放たれた風の針は、赤いコウモリに直撃し、コウモリは赤い炎に包まれて消えた。

 

リーファ「走るよ、2人とも!!」

 

キリト「えっ・・・?また隠れるのはダメなのか?」

 

リーファは、振り返ることなく走り出した。

俺たちは、リーファにおいていかれないように走って後を追う。

 

リーファ「さっき潰したのは高位魔法のトレーシング・サーチャーよ。トレーサーを潰したのは敵にももうばれてる。この辺に来たら山ほどサーチャーを出すだろうから、とても隠れきれないよ。それに・・・さっきのは火属性の使い魔なの。ってことは、今接近しているパーティーは・・・」

 

キリト「サラマンダーか!」

 

デュオ「それは厄介。」

 

俺たちは、それだけ言うと後は無言で走った。

しばらく行くと、道は開け地底湖が目の前に広がった。

 

キリト「うおっ!湖だ。」

 

デュオ「言ってる場合か?」

 

そんなやりとりをしながらも、走り続ける。

そして、俺たちは地底湖に架かる橋を渡り始めた。

 

キリト「どうやら逃げ切れそうだな。」

 

リーファ「油断して落っこちないでよ。水中に大型モンスターがいるから。」

 

デュオ「プレイヤーに追われて、モンスターにやられたんじゃ、自殺か他殺かわからないな。」

 

その時、背後から二つの光が頭上を通過した。

それは目の前の地面に着弾すると、巨大な岩壁となって道を塞いだ。

 

リーファ「やばっ・・・!」

 

キリト「な・・・」

 

デュオ「勘弁してくれよ・・・」

 

俺がそう言った直後、キリトは勢い上げると壁に剣を突き入れる

しかし、攻撃も虚しくあっさり弾かれてしまった。

 

リーファ「・・・ムダよ」

 

キリト「もっと早く言ってくれ・・・」

 

リーファ「君がせっかち過ぎるんだよ。これは土魔法の障壁だから物理攻撃じゃ破れないわ。攻撃魔法をいっぱい撃ち込めば破壊できるけど・・・」

 

デュオ「そうはさせてくれそうにないな・・・」

 

ガシャ、ガシャという鎧の金属音は、かなり近いところまで迫っている。

 

キリト「湖に飛び込むのはアリ?」

 

リーファ「ナシ。さっきも言ったけど、ここには超高レベルの水竜型モンスターが棲んでるらしいわ。ウンディーネの援護なしに水中戦するのは自殺行為よ。」

 

キリト「じゃあ戦うしかないわけか」

 

デュオ「・・・だろうな。」

 

俺たちは、各々の剣を引き抜いて構える

 

リーファ「それしかないんだけど、ちょっとヤバいかもよ・・・サラマンダーがこんな高位の土魔法を使えるってことは、よっぽど手練のメイジが混ざってるんだわ。」

 

そう言うと、リーファも腰から長刀を引き抜く。

 

デュオ「リーファ。悪いんだけど、今回は俺とキリトで戦うから、リーファは回復役に徹してもらえないか?」

 

リーファ「えっ?どうして?」

 

デュオ「ここは道幅が狭い。キリトは前からタッグ組んでやってたから大丈夫だけど、リーファとはまだ連携が出来てない。俺たちが全力で戦うなら、俺とキリトの2人の方がいい。」

 

リーファは俺の大剣に目をやると頷いた。

そして腰の鞘に長刀を収めると、リーファは壁に背中が触れるぐらいまで下がった。

サラマンダーの部隊は、すでに目視できるところまで来ている。

 

キリト「準備はいいか?」

 

デュオ「いつでもどうぞ。」

 

俺たちは、お互いの顔を見合わせると、正面に向き直った瞬間に橋の床を蹴った。

 

キリト「はあああぁぁぁぁぁ・・・!!」

 

デュオ「うおおおぉぉぉぉぉ・・・!!」

 

俺たちは全速力で接近すると、まずキリトが前衛の3人に向かって攻撃する。

体を捻ると、剣を横に一薙ぎした。

 

キリト「セイッ!!」

 

すると、サラマンダーの前衛三人は持っていた盾を前方に押し出し、その陰に身を隠した。

物理耐性の高そうな盾を抜くのは、いくらキリトや俺でも難しいだろう

それでも、前衛プレイヤーのHPは半分以上無くなっている。

だが次の瞬間、盾の後ろからスペル詠唱音が響き、光が前衛三人を包むとHPバーが全快した。

 

キリト「何っ!?」

 

デュオ「マジかよ!?」

 

俺たちが揃って驚きの声を上げると同時に、多数の火球が前衛の上から曲線を描いて飛んでくる。

しかし、俺たちも簡単に当たってやるほど甘くは無い。

 

デュオ「キリト、背中借りるぞ!!」

 

俺は、キリトの背中を足場にして飛び上がると、フレア・シフトを発動させる。

そして、赤く燃え上がった刃で魔法の中心を切り裂いた。

リーファの話によると、魔法は同じかそれ以上の威力を持つ魔法であれば相殺できるらしい。

ならば、魔法と同じ扱いに指定させているフレア・シフトであれば、魔法を相殺できるのではないかと考えたのだ。

結果は、俺の予想を裏切らずに成功。

サラマンダーの火魔法は、2つに分断され消失した。

 

サラマンダーA「バカなっ・・・!?」

 

サラマンダーB「そんなのありかよ・・・!?」

 

サラマンダーたちは、驚きのあまり硬直する。

俺はその間に、前衛の上を飛び越え、盾を構えているそいつらを後ろから横一線に切り裂いた。

前衛のサラマンダーは、一撃で消滅しリメインライトを残して消え去った。

前衛となっていたタンクの後ろには、防御力の低いメイジ、ヒーラーがいる。

タンクが消えたことで、後ろからキリトが走ってきた。

 

キリト「デュオ、ナイス!」

 

デュオ「無茶無謀は任せておけ!さてと・・・」

 

キリトに言葉を返してから、俺は怯える様にして固まっている残りのメンバーに向き直る。

 

サラマンダー部隊長「退却!!退却!!」

 

隊長の声で硬直が解けた部隊の残りは、橋の向こう側へ一斉に走り出した。

 

キリト「待て!!」

 

デュオ「逃がすか!!」

 

俺たちは、逃げた連中を追って橋を逆走した。

結局、逃げていった全員を1人残してバラバラにしてしまった。

生かしておいた1人を、手持ちのロープで縛り上げてからリーファの前に突き出すと、リーファは長刀を抜きサラマンダーに突きつけた。

 

リーファ「さあ、誰の命令とかあれこれ吐いてもらうわよ!!」

 

サラマンダー「こ、殺すなら殺しやがれ!」

 

リーファ「この・・・」

 

一人残したこの男から情報を引き出そうとしてリーファは男を問い詰めるが男はしゃべろうとしない。

 

デュオ「仕方ない。じゃあ俺と取引するとしよう。」

 

サラマンダー「はっ・・・?」

 

リーファ「ちょっとデュオ君?」

 

デュオ「まあまあ、これはさっき俺が倒した奴らのアイテムとユルドなんだけど、質問に答えてくれたら全部あげるよ。」

 

俺がそう言うと、生き残りのサラマンダーは周りをきょろきょろと見回してから訊いてくる。

 

サラマンダー「マジ・・・?」

 

デュオ「マジだ。ついでにあっちの黒いのが持ってるのもやるよ。キリト~いいか?」

 

キリト「ご自由に・・・」

 

キリトはウインドウを操作すると、先ほど入手したと思われるアイテムを全て俺に送信した。

 

デュオ「これだけあれば充分だろ?」

 

俺がアイテムを転送し、ロープを切るとサラマンダーは素直に質問に答えてくれた。

(しばらく痛い視線が2つほど、後ろから突き刺さっていたが・・・)

 

どうやら彼は下っ端兵で、俺達を討伐するために呼び出されただけらしい。

こちらが、たった三人だったにも関わらず十二人と言う過剰な戦力が投入されたのは、俺たちが昨夜のサラマンダーに対し、凄まじい攻撃力を見せつけた事によって、どうしても排除したい理由があったとのことだ。

俺たちはその話を聞いたあと、ルグルーに入った。


 
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