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魔法少女リリカルなのはmemories 第五章 ベルカ時代の記憶(メモリー) 第六十七話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2012-09-20 20:41:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1565   閲覧ユーザー数:1528

「……そか。とりあえず私も聖王教会にてカリムと会話がし終わったら、フェイトちゃんのお見舞いに行くな」

『はい。一応意識は回復したから何があったのか少し聞いたのだけど、やっぱりヴィヴィオとアインハルトを誘拐したのはなのはちゃんだって』

 

 はやてはこれから聖王教会へと向かっていたのだが、その途中でフェイトがなのはに襲われたという事をシャマルから連絡が突然やってきたのである。

 その後はやてがフェイトがどんな感じなのかというのと聞いて、意識は回復していたという事までシャマルから聞いた感じであった。

 

「そうやろうな。ここ最近研究所を破壊することには表で現れなくなってたけど、やっぱりなのはちゃんも密かに動いておったか」

『あ、その事なんだけど、後でフェイトちゃんがはやてが来たときに大事な話をするって』

「一体なんやろうか? まぁ、私が居なくてもシャマルだけ先に聞いていてもかまへんからな」

『分かりました。はやてちゃんも気を付けてくださいね』

 

 それからシャマルとの通話を切り、いつの間にか聖王教会の入り口にたどり着いていた。

 中に入って少し進むと、すぐに見覚えのある人物がこちらを見ている事に気づいた。

 その人物はすぐにはやての方へ近づいて来て、その様子は慌てているようにも思えた

 

「あれ、セインやないか。どうしたんそんなに慌てて――」

「はやて、今すぐここから帰った方がいいと思います。今聖王教会はかなり慌てていまして」

「……一体、なにがあったん?」

 

 来て早々にそんな事を言われ、今聖王教会では何が起こっているのかとはやてはセインに聞いていた。

 いつもとの言葉よりも重く感じられたので、何か起こっているという事ははやてもすぐに察したのであった。

 するとセインは少し悩んでいたが、はやてに近づいて小声で話す。

 

「……あの聖王に模した格好をしている人物があと少ししたらやって来るらしいのです。そんな予定はありませんでしたから突然の事態で慌てている感じで」

 

 この事をはやてに言っていいのかセインは一度悩んだが、すぐに知られてしまうかもしれないと思ったので話すことにした。

 そしてはやてはどうして聖王教会が慌てているのかという理由を察した。まだ彼女については聖王教会ですらどういうことなのか理解できてないが、研究所の破壊方法から見てたり、聖王を模した人物が持っていたティルヴィングを使用しているところから見て何か関係があるのだろうとは聖王教会も思っていたのだろう。

 そんな人物が突然この聖王教会に来ると言われたら慌てるだろう。聖王のクローンであるヴィヴィオの時とは違い、もしその人物が聖王の子孫であったら大変な事になり、子孫が居ないとされていた聖王の子孫が存在していたという事になる。聖王を崇めている彼らにとってはとんでもない事であったのだ。

 またその人物は管理局と敵対しているとなると、今はやてを聖王教会に来させるべきではなく、また今度来てもらうようにセインは促そうとしたのである。

 だが――

 

「……今すぐ帰ってもらい理由はなんとなく分かった。せやけど、こちらもあまり暇がないんや。だからカリムの所へ連れてってくれるか?」

「ですけどそれは!!」

「大丈夫や。私がそいつに会わなければええだけの話やし、カリムなら私に会ってくれるやろう?」

「……分かりました。そこまでいうのなら連れて行ってあげます」

 

 セインは多分このまま帰るように言ったところで意味がないと感じ、仕方なくカリムに会わせてあげることにする。

 はやてはセインの後を付いて行き、カリムが居る部屋へと二人は歩いて行った。

 

「騎士カリム、騎士はやてが来ましたが……」

「そう、中に通してくれる」

 

 カリムが居る部屋に着くと、セインはドアを開けてはやてを中に行かせる。はやてが中に入るとセインは自分は入らずに、ドアを閉めてはやてとカリムの二人っきりにするのであった。

 それからカリムははやてに椅子に座るように言い、その言葉通りはやてはカリムが座っている椅子と反対側になるように座るのであった。

 

「よく来たね。今は私もかなり急いでいるから率直に聞くけど、一体何の用だったのかしら?」

「……外で騒いでいた件についてや」

 

 カリムが急いでいる理由が聖王に模した格好をしている人物の事で忙しいからであろう。だからはやても戯言一つ言わずに用件をカリムに言うのであった。

 今回に限ってははやてもここに長居することは出来ない。もし聖王に模した格好をしている人物、ナノハと遭遇してしまったらめんどくさい事になるのははやてにもなんとなく分かっていたので、無駄話はしなかったのである。

 

「あれの事? それがどうしたの?」

「聖王教会は聖王を崇めているんやろう? だったら今聖王の格好みたいなことをしている人物についてどう思っているんや?」

「それはまだ分かりませんが、もし彼女が聖王の末裔ならば多分中立の立場を取りますけど、そうでなければ彼女とは敵対する予定です」

「成程な。後者は聖王教会にとって見れば聖王を侮辱したことになるなるからな。せやけど彼女が聖王の末裔であるのならば聖王の意志もあるかもしれないし、しかし管理局との関係もあるから中立を取るしかないのか」

「そういう事だと先ほど司祭が決めまして、管理局とは協力が出来ない状況になりますかと」

 

 それを聞いたはやては聖王教会の対応が大体理解できた。どっちに転がろうと管理局に敵対するという考えは今の所無いようで、それだけ聞けただけでもはやてはホッとしていた。もしかしたら友人であるカリムと敵対する可能性だってあり得たし、なのはだけでも敵対するのに辛かったのに、カリムも敵対したら余計に辛くなっていただろう。はやてはそれだけわかっただけで嬉しかったのであった。

 

「さて、この後も用事があるからそろそろいいかしら?」

「仕方あらへんな。一番聞きたいことも聞けたし、聖王教会に来たときからそんな感じやったからな」

 

 それからはやては座っていた椅子から立ちあがり、部屋を後にすることにするが、一度カリムの方へと振り返って次のように言うのであった。

 

「次に会うときはこんな大きな事件がない時にのんびりと来ることになりそうやから、その時になったら友達としてまたゆっくりお話ししような」

「えぇ、私も早くその時がきてほしいわね。私もこんなのは早く終わって欲しいと思っているから」

「お互いに、頑張ろうな」

 

 そして今度こそはやては部屋から出て行き、この部屋にはカリム一人だけとなっていた。

 ……いや、正確には一人ではない。はやてが来る以前からこの部屋にはもう一人人物がいたのであった。

 カリムはそちらの方向を向き、話しかける。

 

「さて、これでよかったのかしら? フィルノ(・・・・)オルデルタ(・・・・・)

「まぁ、上出来だな。まさか八神はやてが突然来ると思っていなかったから驚いたが、俺の認識を消す魔法を持っていて良かった」

「本当にはやてには気づかれていなかったからね」

 

 そう、フィルノは自分の得意とする精神系の魔法によって、あたかもそこには誰もいないようにはやてに認識させていたのである。

 カリムはこの部屋にフィルノが居ることがばれるのではないかと内心怖くて心配したのだが、フィルノの魔法は本当に気づかれないように出来るという事が本当だったのですごくホッとして一息つくぐらいであったのである。突然フィルノがはやてが来たことに俺の認識をさせないようにすると言われて、そのすぐにはやてが入ってきたものだからあの時はかなり心拍数が高かったのである。

 

「それで、いつになったらあなたが言っていた聖王オリヴィエ様の末裔は来るのかしら?」

「先ほど俺の仲間から一度戻ってきて、すぐにこちらに向かわせたと言っていたからすぐに来るだろう。現に今は外の騒がしさは先ほどよりは消えただろう?」

「言われてみればそうね……ってもう聖王教会に来てるというの!?」

 

 確かに先ほどより窓から見ても慌てている人を見るのは居なくなっていたし、さらに言えば窓を見ても外に人の姿が見えなくなっていた。

 どうして人が見えなくなったのかという事を考えれば、フィルノが言った通り聖王教会に聖王の末裔であるナノハがやってきたという事かもしれないと思えてきた。それ以外も一応考えはあるが、それが一番あり得る考えであるとカリムは思った。

 そしてフィルノは自分も確証がないがそうではないかとカリムに言うのであった。

 

「多分な。もしかしたら、八神はやてと彼女が会ってしまうかもしれないが……まぁ、今の彼女なら大丈夫だろう」

「……なんかあなたの言い草だと、聖王オリヴィエ様の末裔とはやてを会わせてはいけない理由でもなにかあるのかしら?」

 

 フィルノの言い回しに気になり、カリムはフィルノに問う。

 

「まぁ、別に構わないとは思うが騎士カリムも会えばどういう理由か分かる。お前の知り合いでもあるからな」

「え、そうれはどういう事?」

「後でのお楽しみだ。それよりもなるべく八神はやてが彼女に会っていないように念のため祈りたいが……」

 

 フィルノはナノハとはやてが会う事をなるべく避けたいとは思っていたが、その頃外ではフィルノの思っていたことが的中しているのであった――


 
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