No.472173

魔法少女リリカルなのはmemories 第五章 ベルカ時代の記憶(メモリー) 第五十四話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2012-08-18 23:57:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3588   閲覧ユーザー数:3526

 ――聖王オリヴィエ・ゼーゲブレヒトは子孫を残していない。

 

 これは、今現在でもそう伝えられており、管理局も聖王教会もそのように思っている。ゼーゲブレヒト家はオリヴィエが最後で子孫などは存在しないと。

 だがそれは事実無根であり、オリヴィエは密かにだが自分の子供を残していた。

 それを知っていたのは元シルヴェルン家の名前を持っていたシルフィア家であり、また世代が変わっていきながらも、密かに暮らしていたオリヴィエの子孫を見守っていた。

 どうして密かに暮らしていたのかというのはオリヴィエの命令だったからである。

 ゼーゲブレヒトという名だけで世界の視線が変わってくるだろうし、行動する時に無暗に動けることが出来ないかもしれないという考えであった。

 それらの準備が終えたオリヴィエは子孫を無関係な世界に逃がせ、それが今でいう第97管理外世界、地球の事であった。

 だがそうだとしても、その世界で戦争などに巻き込まれたりしたら子孫は潰えてしまうという可能性もあり、その事も考えてオリヴィエはその子供に戦いに巻き込まれないように魔法を掛けていた。

 そしてその子供が成長して子孫を残していき、その一部が日本へと移民し、名を不破という名字に変え、その途中で小太刀二刀御神流へと変わっていった。

 ゼーゲブレヒト家は子孫が潰えずに第97管理外世界にて子孫を増やしていったが、子孫が増えていくにつれてゼーゲブレヒトの血が弱まっていき、リンカーコアの魔力総量がかなり低い人だって増えていった。

 そう考えていくと、なのはのかなり膨大な魔力総量は偶然の事でもあり、砲撃型であったがそれでもなのはの魔力の中にはゼーゲブレヒトの魔力も僅かながらあったのである。

 その僅かながらの魔力をシルフィア家は代々続いてオリヴィエの子孫を見ており、何事もないことをずっと監視しており、さらには覚醒させるときにその意志がありそうなのかという事を見ていたのであった。もちろんなのはも例外ではなく、前に言った通りアリスがなのはの様子を見ていたのである。

 そしてそれらはすべてオリヴィエが命令したことであり、自分のように自ら世界を変えなければ世界は変わらない出来事がこの先もあるだろうと思っていたのである。そしてその時に力がなければ対抗できないと思って、オリヴィエの子孫が世界を変えるべきだと思った時の為に用意したのが騎士甲冑、ティルヴィング、そしてグレイプニルに封印されてた魔力であり、本当に使うときが来るまでシルヴェルン家に預けていたのであった。やはり戦力がなければどうしようもないとオリヴィエは思っていたのである。

 これらを短く纏めると、

 

 ――聖王オリヴィエ・ゼーゲブレヒトはシルヴェルン家以外には子孫が居るという事を隠し、オリヴィエの子供は第97管理外世界へと隠し、その子孫が不破家であり、なのはの先祖になるという事である。またその間もシルヴェルン家、後にシルフィア家となるが彼女らの子孫がオリヴィエの子孫がどうしているのかというのを監視してたのである。

 

 そしてこれらの事は事実であり、その事は管理局も聖王教会、そして親しかったクラウス・G・S・イングヴァルトですらも知らない歴史であるのであった――

 

 

----

 

 

「……いつの間にか、寝ていたのね」

 

 高町なのはこと、ナノハ・セーゲブレヒトはフィルノから休息の時間をくれて部屋に戻った後、いつの間にか寝ていてしまったことに気づいた。

 ここ最近ナノハ自身が関わることが多く、いろいろとあったために一気に疲れがやってきたのであった。

 その疲れは眠らないと取れないぐらいの疲れで部屋に戻って数分もせずに寝てしまったのであった。

 ナノハは目を覚ますと、すぐにベッドから起き上がり、自分の記憶の中にもあるオリヴィエの記憶について考えるのだった。

 

「今の私は、オリヴィエ様の記憶をすべて持っている。ベルカ時代に何が起こったのかとか、どうして私たち子孫が生きている理由を」

 

 そしてまた、オリヴィエの記憶はまるでナノハが経験したかのように感じられており、ベルカ時代の出来事はすべて自分が経験したかのように思えていたのであった。

 その時代にオリヴィエがどういう理由で戦っていたのかという事も、今のナノハには理解できており、どうして戦わなければいけなかったのかという事も理解できた。それが、世界が大変なことになろうとも――

 

「私は、オリヴィエ様の意志を全て継ぎたい。そのために誰を敵にしても構わないし、そうでもしなければこの世界は絶対に変わらない。オリヴィエ様が決断したように、私も決断しなければならないことだから」

 

 そのために今まで仲間だったフェイトやはやて達を裏切り、敵対することにしたナノハの考えであった。とっくにその意志は決めていた事であったが、オリヴィエの記憶が流れ込んで、より一層に意志を固めることが出来たのであった。

 今の統制を変えるには、誰かが動かないといけない。オリヴィエも死ぬ覚悟の上で戦いを挑み、たとえ悪党となろうとも構わなかったのだろうとナノハは思った。そしてそれは、ナノハ自身もそう思うようになっていたのであった。

 今の管理局は表面上は平和に思わせるような感じではあるが、裏では違法実験を繰り返している。それを知ったからナノハは離反したわけで、今も知らなかったこのようなところには居なかっただろうと思っていた。

 知らない方が良い時もある。その言葉をかなり思い知らされた。正直なところ、今でもナノハはフェイトやはやてがこのような事を知らずに平和だと思っている方が羨ましいと思っており、自分一人だけが知るだけでよかったと思っていたのだ。もちろん知ったことにはナノハは後悔していないと前にも言ったが、それでもそう思ってしまう事はあるのであった。

 そしてここまで来てしまったからには何としてでも今の管理局の統制を変えなければならない。それはオリヴィエの意志でもあり、ナノハの意志でもあるのだから――

 

「さて、のんびりしているのも暇だから、フィルノにも頼んで研究所の破壊でもさせてもらおうかな」

 

 得にすることもなかったナノハはそう思って、フィルノが居る部屋へと向かうために部屋から出て行くのだった――


 
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