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魔法少女と竜と漆黒の狂戦士と A’s編

第十一話 苦しみ、決別 後編

2012-07-31 00:34:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6706   閲覧ユーザー数:5955

 

「マスター、目標ポイントまで距離5000mです。」

 

 

 俺たちは急いでシャマル達の元に向かっていた。

 

 

「・・・シグナム、止まれ。」

 

 

「ん?どうしたというのだ?早く助けに行かなければ・・・。」

 

 

 俺はシグナムの言葉を無視して竜眼を発動させると、数人が戦闘しているのが見えた。

 敵はユーノとアルフと見知らぬ二人の女性がいた。顔立ちが似ていることから推測すると、恐らく双子だろう。ヴィータは双子と、ザフィーラはアルフで、シャマルはユーノと戦っている。数はこちらが3に対して、向こうは4だ。

 

 

「・・・劣勢だな。シグナム、俺はここから狙撃する。お前はヴィータを援護しろ。俺は何発か撃った後に召喚を行い、追いかける。」

 

 

「そういうことか・・・。分かった。」

 

 

 シグナムは飛び立ち、高速でヴィータたちの援護に行った。

 

 

「・・・ルナ。」

 

 

[了解です。ライフルモード!]

 

 

 俺はバレットを伏射の姿勢をとる。左足は伸ばして右足を曲げて伏せる、イギリス式の姿勢だ。

 

 

「目標はユーノ及び双子。」

 

 

 照準を合わせたとき、シャマルがユーノに拘束された。

 

 

[ロックオン!]

 

 

「喰らえ・・・グングニール!」

 

 

 ガウゥン!・・・ガウゥン!・・・ガウゥン!

 

 

 三発の放たれた魔力弾は漆黒の槍となってそれぞれに向かう。グングニールは威力を抑える代わりに、魔力を感知させない隠密性と命中率及び速度を高めたものだ。万が一躱せたとしてもルナが起動している限り何度も追ってくる。

 

 

[着弾まで4秒・・・2・・・1・・・命中。第二射準備完了。マスター、発砲許可を。]

 

 

 ユーノたち三人は吹き飛び、シャマルも解放された。そしてルナが第二射の許可を求めている。

 

 

「許可する。」

 

 

[ファイア!]

 

 

 今度は六発のグングニールを放つ。その後に俺は詠唱を始める。

 

 

「我が意に集いし友たちよ、漆黒と白銀の猛々しき角で我が前に立ちはだかる敵を貫け!来い!黒角竜ディアブロス!!白き一角竜モノブロス!!」

 

 

 俺の左右に黒いディアブロスのクロガネと白いモノブロスのシラユキが現れる。

 

 

『へぇ・・・。久々に召喚したと思ったら随分と懐かしい風景じゃないか、旦那?』

 

 

『もしかして期待してもいいのかしら、若?』

 

 

 性格は、クロガネは気が強い姉さん系でシラユキはヤーさんの奥方みたいな感じだ。それと・・・かなり好戦的だ。まぁバトルマニアではないが。

 

 

「ああ。あの二人の猫耳娘と金髪男は任せる。ただし、殺すなよ?」

 

 

 一応釘を刺しておく。

 

 

『分かってるって!』

 

 

『もちろんですわ、若。』

 

 

 そう言って二匹は砂中に潜っていった。

 ・・・大丈夫かな?

 

 

 

 Side シャマル

 

 

「チェーンバインド!」

 

 

「くっ!?」

 

 

 私たちは今管理局の人間と交戦している。思ったより早く、そして数が多いために苦戦を余儀なくされている。迫り来る鎖を私は避け続ける。戦闘に向いていない私では、このままじゃ持たない。

 

 

「あっ!?」

 

 

 そしてついに私は拘束されてしまった。もがいてみても鎖はビクともしなかった。

 

 

「無駄だ。このチェーンバインドは並の力では外せない。大人しく降参しっうああああ!!」

 

 

 突然何か黒いモノがユーノっていう子に直撃して、彼が飛ばされてしまった。そして私を拘束していた鎖が解けた。

 

 ・・・とにかく助かったわ。それにしても一体何処から・・・?

 

 

 私が思考を回転させていると、また黒い槍が彼を襲った。

 

 

「うわぁ・・・・当たったら痛そうだなぁ。」

 

 

 そんな見当違いなことを言っていると

 

 

「く・・・うぅ。今のは一体・・・何処から?」

 

 

 あの男の子が立ち上がっていた。私はすぐに距離を取ろうとすると、

 

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴッ

 

 

 突然地面が揺れ始めた。

 

 

「え?な、何なの!?」

 

 

「こ、今度は何だ!?」

 

 

 そして周りを見渡すと、土煙のようなものがこっちに向かって来て、そして・・・

 

 

 ドガアアアアアアン!!

 

 

『ガアアアアアア!!!』

 

 

 頭に大きな角を二本生やした、全身を鎧のような漆黒の甲殻で覆われた竜が砂中から現れた。

 

 

 

 

 Side ロッテ

 

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

「アリア!?一体何処から・・・きゃああ!?」

 

 

 私たちはあの小さい赤毛の子と戦っていました。と言っても、お父様の計画の為にここで捕まってもらう訳にはいかないので、手加減してアリアと一緒に戦っていたのですが・・・。突如飛来してきた漆黒の槍にアリアは吹き飛ばされます。そしてすぐ後に私も同じように漆黒の槍を受けてしまいました。

 

 

「っぐぅぅ!アリア、大丈夫?」

 

 

「あ、ああ・・・なんとか。しかし、さっきのは一体何なんだ!?攻撃を察知出来なかったぞ!?」

 

 

「恐らく、かなり隠密性に長けた魔法による狙撃なのでしょう・・・!?アリア!」

 

 

 バチィィン!!

 

 

「きゃあ!?」

 

 

「ロッテ!?」

 

 

 私が偶然、漆黒の槍がこちらに向かっているのが見えたのでアリアの前に立ち、ラウンドシールドを展開せました。しかし、四発の攻撃に耐えきれずに吹き飛ばされました。

 

 

「だ、大丈夫よ。それほど威力は高くはなかったから・・・。」

 

 

 恐らく命中率と隠密性を高めるために威力を犠牲にしたのでしょう。私は起き上がり狙撃している奴を探そうとしたその時、

 

 

 ゴゴゴゴゴゴゴッ

 

 

「な、何だ!?」

 

 

 突然地面が揺れ始めました。そして前方を見ると、土煙がこちらに向かっていたのです。

 

「な、何か来る!?」

 

 それが私たちの10m手前で止まると、

 

 ドゴオオオオオン!!

 

「なっ!?ドラゴン!?」

 

「・・・・・綺麗。」

 

 私たちの前に雪のように白い体をして、白銀の角を生やした美しいドラゴンが現れました。その姿に私はつい思ったことが口に出てしまいました。そして私たちの獣の本能が告げます。逃げろ、と・・・アレには勝てない、と。

 そして白銀のドラゴンは私たちを見下ろして、

 

 

『あらあら、思ったより弱そうね。・・・楽しめるかしら?』

 

 

 喋りました。

 

 ・・・喋った!?いや、喋ったというよりも念話で伝えたいう方が正しいでしょうか。

 

 

「お・・・お前は一体・・・。」

 

 

 アリアが震える声で言いいました。

 

 

『私?私は若・・・黒澤零冶に仕えているモノブロスのシラユキよ。まぁ、若は私たちを家族の様に思っているから、‘仕える’などの表現の仕方はあまり好きではないみたいですけど。』

 

 

「・・・・。」

 

 

 アリアは彼女?の迫力に口を開けたまま戦慄していました。かく言う私も震えを抑えるので精一杯でした。しかしドラゴンといっても、ここまではっきりと対話できるモノは上位種でもそうはいません。それほど知能が高く、強いという証拠でもあります。

 

 

「黒澤・・・零冶?」

 

 

 今、彼女は彼に仕えていると言いましたか!?彼は・・・これほどの強大な存在を従わせる程の実力を持っているというのですか!?

 

 

『ええ、そうよ。鳥竜種、甲殻種、牙獣種、獣竜種、魚竜種、海竜種、古龍種、古生種全てを屈服させた唯一の人間。彼こそ私たちの主に相応しいわ。』

 

 

 ちょうりゅう?それは一体何の事なのでしょう?

 

 

「できれば私の分も分けて貰いたいのだがな。」

 

 

 突然、烈火の将が彼女の横に降り立った。

 

 

「っ!?な、何故お前がここにいる!?」

 

 

「あなたは黒澤零冶と一緒にフェイトとなのはと戦っているはずよ!?」

 

 

 まさか、すでに彼女たちは・・・

 

 

「・・・私がここにいる時点で分かっているはずだ。」

 

 

 やはり・・・。これはちょっとマズイことになったわ・・・。

 

 

 Side out

 

 

 

 

 Side シグナム

 

 

 私はヴィータを後方に引かせた後、恐らく零冶が召喚したであろう竜の隣に降り立った。

 

 

『あなたは・・・確かシグナム、でしたわね。』

 

 

「何故私の名を・・・?」

 

 

 私は彼女と会ったことは無いのだが?

 

 

『ふふ、私たちはみんな、若の目を通して“見ていた”のですから。』

 

 

 ・・・見ていた?どういうことだ?零冶は別の次元世界から彼女らを召喚してるのではないのか?なら見ることなど出来ないはずだ。

 

 

「・・・よく分からんが、まぁいい。私は烈火の将シグナムだ。よろしく頼む。」

 

 

『ええ、こちらこそ。私の名はシラユキよ。・・・さて、そろそろお喋りは止めましょうか。』

 

 

「「っ!?」」

 

 

 私たちは二人を見据えて構える。

 

 

「『若(零冶)の敵は私達(我々)の敵。』」

 

 

 主はやてと零冶の為に・・・

 

 

「『参ります(いくぞっ)!!』」

 

 

 邪魔者は全て排除する!!  

 

 

 Side out 

 

 

 

 あの双子とユーノはシグナムとクロガネとシラユキに任せた。ヴィータとシャマルは後方へ退避させ、残った俺はザフィーラの援護に行った。しかし、ザフィーラとアルフの戦いを見るに、手助けは必要ない気がする。

 念のために行くか・・・。

 

 

「ザフィーラ、手助けは・・・・要らないみたいだな。」

 

 

「要らん。俺一人で十分だ。」

 

 

 当然のようにザフィーラは答えた。

 

 

「れ、レイジ!?アンタ、早くそいつから離れな!!そいつは危険なロストロギアの防衛プログラムなんだよ!!」

 

 

「・・・知っているよ、アルフ。」

 

 

「!?なら、早くそいつから離れな、レイジ!」 

 

 

 ・・・ごめんな、アルフ。

 俺はインファイトモードに切り替え、軽くストレートを放つ。

 

 

「っ!?・・・・それは何の真似だい、レイジ?」

 

 

 アルフはそれを避け、俺を睨み付ける。

 

 

「それに、その格好・・・レイジと似た格好した奴がフェイトとなのはが戦っていたはずだけど・・・・・まさか!!」

 

 

「フェイトとなのはなら、俺が・・・・倒した。」

 

 

「なっ!!?」

 

 

 アルフは驚愕する。まさか俺が裏切ってフェイトたちを傷つけるとは思わなかっただろな。それは俺も同じだが・・・。

 

 

「なんで・・・・・何でレイジがソイツ等といるんだよ!?」

 

 

 拳を握りしめて叫ぶアルフに俺は無表情でいた。

 

 

 ・・・フェイトとなのはを傷つけたんだ。今更どうこう言われても何も感じない。

 

 

「お前たちに何を言っても無駄だ。」

 

 

 後悔はない。後悔すると俺が傷つけたフェイトやなのはを侮辱するに等しい。

 

 

「だから、俺たちの邪魔をするなら・・・・・・全て排除する!!」

 

 

「はああああ!!」

 

 

 俺の恫喝と共に、ザフィーラが仕掛ける。

 

 

「うあっ!!れ、レイジ!どうしてフェイトを!?」

 

 

 アルフはザフィーラの攻撃を捌きながら問う。

 

 

「・・・言っただろう?話しても意味は無いと!!」

 

 

 俺はアルフの後方に回り込み、蹴り上げた後すぐに縮地でアルフの上空に先回りして、蹴り落とす。

 

 

「ぐああああ!!!」

 

 

 アルフは地上に高速で落下し、衝突する。その後動きが無い。

 ・・・気絶したか。

 

 

「ザフィーラ、すぐに撤退するぞ。」

 

 

「零冶・・・・お前が行く道は修羅の道だぞ?それでも本当に行くのか?」

 

 

 ザフィーラが真っ直ぐ俺を見つめて言う。

 

 

「・・・もう、後戻りは出来ない。それに・・・後悔はない。」

 

 

「そうか・・・・なら俺は何も言わん。俺はシャマルの所に一旦退く。」

 

 

「ああ。」

 

 

 

 Side クロガネ 

 

 

『さて、ちょいと相手をしてもらうよ、おチビちゃん?』

 

 

 久々に旦那が召喚してくれて少し気分が高揚しているのが自分でも分かる。

 

 

「な・・・・ど、ドラゴン!?」

 

 

 ドラゴン?ああ、アタシのことかね?

 

 

『あたしをドラゴンなんて化け物と一緒にすんじゃないよ。アタシは飛竜、ワイバーンさね。』

 

 

「わ、ワイバーン・・・?」

 

 

 ありゃ?知らないみたいだねぇ。ま、説明するのも面倒だから言わなくてもいいや。

 

 

「何故僕たちの邪魔をする!?あいつらは危険な存在なんだぞ!?」

 

 

 危ない奴らなんて腐るほど見てきたよ。まったく、本当に危ない奴らばっかりだったよ・・・。

 

 

『そんなことは知らないね。アタシの都合じゃないしね。それに、旦那がおチビちゃんたちを相手してくれって言うから、アタシはそれに従うだけだよ。』

 

 

「その旦那って奴は一体何者なんだ!」

 

 

 う~ん、教えてもいいのかねぇ?ま、あの小娘達にはバレてるから別に教えてもいいんじゃないかね?

 

 

『本来なら教えないんだけど、今日は機嫌が良いから特別に教えてやるよ。アタシらの旦那の名前は黒澤零冶。アタシらをその身一つで屈服させた、最強の人間さね。』

 

 

「・・・黒澤・・・零冶!?そ、そんなバカな!?彼は僕たちを助けてくれたんだぞ!?彼が犯罪を犯すような愚かな事はしない!!」

 

 

 それが己の私利私欲だったらの話さね。

 

 

『信じるも信じないもそっちの勝ってさね。さて、もうお喋りは・・・・終わりだよ!!』

 

 

 アタシは自慢の脚で砂地を蹴り、突進する。

 

 

「っく!ならここでお前を止める!!チェーンバインド!」

 

 

 おチビはアタシの突進を避けると、なにやら鎖のようなモノが伸びてきてアタシを縛り付ける。

 

 

『へぇ、これが魔法ってやつかい?随分と面白いじゃないか。』

 

 

 アタシは余裕の表情で話す。

 

 

「ふんっ、これはそう簡単には解けないぞ!これはボクが編み出した自慢の拘束魔法だ。」

 

 

『ふ~ん。それで?』

 

 

 ビキビキ・・・パキィィィン!!

 

 

『自慢の魔法が、何だって?』

 

 

「な!?そんな・・・ボクのチェーンバインドが・・・。」

 

 

 随分と落ち込んでいるようだけど、この程度でアタシを止められる訳ないさね。

 

 

『そらっ!』

 

 

「うああああ!!」

 

 

 アタシは再び突進した。そして直前で止まり、突き上げた。そして落ちてきた所に、尻尾で横に叩きつける。

 

 

「ら、ラウンドシールド!ぐあっ!」

 

 

 おチビはなにやら防御してたみたいけど、アタシの一撃で吹き飛んだ。そして立ち上がることは無かった。

 

 

『・・・もう終わりかい?つまらないねぇ。もうちょっと頑張っても良かっただろうに。』

 

 

 まぁ気絶しただけみたいだし、別にいっか?

 あたしは旦那の所に戻り還送した。

 

 

 

 

 


 
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