No.458668

魔法幽霊ソウルフル田中 ~魔法少年? 初めから死んでます。~ 勘違いするなよカ〇ロットな18話

次回いよいよ暴走体との戦い。
作戦会議というやつです。

2012-07-24 18:51:54 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1101   閲覧ユーザー数:1066

「それでは、『海鳴防衛作戦』の配置を報告したいと思います」

 

 

学校の屋上には俺と、花子さんと、テケテケさん達の(一応)4人が集まっている。

テケテケさんは今は学校にいるので小学生の女の子形態になってるから男子高校生1人と女子小学生が二人という何とも犯罪臭がする屋上だ……。

 

 

 

 

――――昨日は、はっきり言って何が何だか分からない1日だった。

 

メリーさんの殺気が突然消えた後、テケテケさんから『なのはちゃんって子が狙われてる』なんて聞いたもんだから超速ですっ飛んでったはいいんだけど……。

 

 

 

 

『うおぉおおぉ! なのはちゃあぁぁぁぁぁん!!!』

 

『ちょっ田中!? 速すぎるよ! アタイまで置いてくな、ってあれ?』

 

 

 

『ユーノくん、今日の私はどうだった?』

 

『いや……もう凄いとしか……。なのはは飲み込みが早いから、今の時点でも僕なんかよりずっと凄い魔導師だよ』

 

『そ、そうなの? えへへ……』

 

 

 

『……なのはちゃん、無事ですね?』

 

『ああ、無事だね。それどころかメリーに会ってすら無いような……?』

 

 

『あ、もうお家に着くよ! 明日は日曜日だし今日はゆっくり休もっと。ユーノくんも一緒にお風呂入ろうよ!』

 

『うん! ……………………うん!? まままま待つんだなのは自然な流れで返事しちゃったけど何度も言ったけど僕は男で

 

『もうお家に入るから喋っちゃダメだよ?』

 

『拒否権どころか発言権がない!? 嫌だよ!? 一人で入るからね!?』

 

 

 

ガラガラガラ

 

 

『ただいま~

 

『『『『『『なのはあぁぁああぁあっ!!!』』』』』』

 

『にゃあああっ!!? なに!? みんなどうしたの!?』

 

 

『よかった……! 本当によかった……!』『怪我はしてないか!? すまなかった……! 俺が父親として頼りなかったばかりに……!』『父さんも母さんも……泣きすぎ、だよぉ……』『美由紀もな……』『あっ、あだじの代わりに、ひぐっ、なのはが、メリーさんに殺されちゃうかと……。うわあぁぁん!』『よしよしアリサちゃん。なのはちゃん本当に無事でよかった……!』

 

 

 

『なにこのハッピーエンド。花子さん、俺達何も知らないまま打ち切られるんですかね』

 

『田中、アタイは時々アンタが何を言ってるか分からない時があるよ。何があったかアタイにも分かんないけどさ』

 

 

 

 

『うんうん! 美しきかな家族愛と友情は』

 

『……、……(ヨクハシランガ、イッケンラクチャク)』

 

『『テケテケ(さん)!? なんで高町家(ココ)に!?』』

 

 

『あ、太郎ちゃんに花子ちゃん。いやこれには深い訳が……』

 

 

『え、えーと。とりあえずどちら様なんでしょうか……?』

 

『あ、なのはちゃん紹介するね。今回アリサちゃんを助けてくれた霊媒師のアユミさん』

 

 

『『霊媒師!? テケテケ(さん)が!?』』

 

『わーおリアクションまで息ピッタリ。じゃなくてこれにも深い訳が』

 

 

『そうだアユミさん! 今晩は私のお家に泊まっていきませんか! ネコちゃんがいっぱいいますけど……』

 

『ネコちゃん!? 行く行く!』

 

 

『マジですかテケテケさん!?』

 

 

もう、メリーさんがどこに行ったとかどうでもよくなってしまうぐらいにはカオスだった。

考えるのも面倒くさいから放置したともいう。

 

 

で、とりあえず色んな疑問を置き去りにしてやって来ました日曜日。

今日の午後、大樹の暴走体が出現する。

というわけなので俺は花子さんやテケテケさんにどこを守って貰いたいかの配置を伝えているのだが……。

 

 

「田中、ちょっと規模がでかすぎやしないかい?」

 

「うっ……やっぱりそう思いますよね」

 

花子さんが俺の作った血図(今度は紙に書いた)を指差して言う。

俺もそれには同意せざるを得なかった。

 

 

 

そう、何を隠そう人手が足りないのである。

 

今回現れる暴走体はひたすらに『でかい』、そして『一瞬』で広がってゆくタイプだ。

広がりきってしまえばそれ以上は動かない超速緑化活動な訳だが、速すぎる故に一度に被害が多く出てしまう。

 

対処方法としては『多くの人員を使って助ける』つまり数でどうにかするか、『暴走体より速く助ける』つまり速さでどうにかするしかないのだが……。

 

 

 

「アタイは速い怪談じゃないしねぇ……」

 

「わたしは速いけど、流石に海鳴市全部は守りきれないし。むしろ攻めたいし」

 

「…………! ……(ヤラレルマエニヤレ! ガ、シュギダシ)」

 

「暗殺、ダメゼッタイ。俺は速くても小回りが効きませんし……」

 

 

この通り、お手上げ状態である。

ぶっちゃけこちらの戦力と暴走体の相性が悪い。

 

しかし、足りないものは足りないもの。

ないものねだりをした所でなにかが変わる訳ではない。

人生は常に手の中にあるカードで勝負するしかないからな……。

お約束だが死んでるけど。

 

 

俺は全員に指示を出す。

 

 

 

 

「仕方ありません、テケテケさんとトコトコさんは南側で暴走体が現れたらすぐに分離して南東と南西に分かれて下さい。人を運ぶんじゃなくて、木とか瓦礫を切ったり蹴っ飛ばしたりがやりやすいはずです」

 

 

「オッケー! やれる限りは頑張るよ!」

 

「……(ブンリシタホウガハヤイシ)」

 

 

 

 

「花子さんは北西の高いビルから中心部へ狙撃をお願いします。相手は木なんで怯むはずですから街の侵食を止めて下さい」

 

「了解、まかせときな」

 

 

 

 

「後の北東は、俺がえっと、ありったけの人魂作って特攻しますから安心して

 

「「ちょっと待て、その作戦だけ安心できない」」

 

「……(ジバクテロナコトヲスルナ)」

 

花子さん達に全力で止められてしまった。

しかし俺にはこうするしかないんだ……!

 

 

 

「花子さん、テケテケさん、分かって下さい……! 強くない俺は、捨て身じゃないと誰も守れないんです。あと特攻する前に『さよなら……天さん……』って言ってみたいんです」

 

「前半だけならいいセリフだけど最後で本心丸分かりだから。頼むから、馬鹿馬鹿しいネタのために命をかけるな」

 

「それにそのセリフだと結局相手は無傷で助かるよね」

 

 

しまった、そういえばそうだった。

しかし、ネタでもなく本当に捨て身じゃないと都市伝説じゃない俺じゃあ食い止めきれないと思うしなぁ……。

 

 

ううむ……と改めて全員で作戦を練り直してみるが、いいのが思いつかない。

せめて、後2人ぐらい助っ人が来てくれたら……。

 

 

 

 

「ふぇっふぇっふぇっ! 話は聞かせてもらったよぉ!」

 

「「「「!?」」」」

 

後ろから声がした。

つい最近、聞いた声だ。

 

 

「あ、あ、あなたは……!」

 

振り向いて驚愕する、まさか、帰ってきていたのか。

それも、こんなに良いタイミングで。

 

 

 

 

「どうやら『速さ』が足りないみたいだねぇ……、足なら貸してあげるよぉ……!」

 

「足売りさん……!」

 

「足売りばあさんじゃないかい!?」

 

そう、たしかグレアムおじさんの所にいったはずの足売りさんだ!

しかも、その後ろにはさらに『2人』の人影が現れる。

一人はスーツをきた、ごく普通のサラリーマンみたいなおじさんでもう一人はなんと……!

 

 

 

「話は『メリーさん』から聞かせてもらいましたよ、田中さんは初めまして、自分『異次元 ダイスケ』と申します」

 

「しょうがないから助けにきてあげたわよ。あたしに感謝しなさい」

 

 

 

「メリーちゃんにダイスケちゃんじゃん!? なんで!? どうして!?」

 

そう、昨日からどこにいったのか分からなくなってしまった、メリーさんである。

 

 

 

 

「はやてちゃんの所に居候してる!!?」

 

「まあそういうことだねぇ……」

 

俺は足売りさん達の事情をきいて叫び声をあげてしまった。

いや、だって危険すぎるだろう! 足売りさんやメリーさんまではやてちゃんと同じ屋根の下にいる状況って!

 

ちなみに『異次元おじさん』は除外、通称『異次元さん』は普通にいい人だった、わざわざ名刺までもらったし。

 

 

 

「それがですね、そうでもないみたいなんですよ」

 

「え?」

 

慌てる俺に異次元さんはそんな耳打ちをして、メリーさん達を指さす。

俺がそっちに目線をむけると。

 

 

 

 

「テケテケぇ、こっちの生活は素晴らしいよぉ……! なんせ1日三食きっちり食べられる上に布団と屋根までついて家賃0なんだからねぇ。正体もばれてるから余計な気を使わないで済むしさぁ」

 

「いいなー! 正体ばれてもいいなんて超うらやましいーっ!」

 

「……!(ワタシタチモ、オトマリシタイ!)」

 

 

 

 

「しかしメリー、いったいどういう風の吹き回しだい? アンタあれだけ『人助けはしない』って言ってたのに……?」

 

「べっ、別にはやてが住んでるこの街を守りたくなった訳じゃないんだからねっ! 勘違いするんじゃないわよっ! これは、そう! 借りよ借り! 新しい服を着せて貰ったお返しよ!」

 

「そういえば服が変わってるね……。ゴスロリってやつかい?」

 

「そうそう! はやてに作ってもらったのよ! 『学校に行ってないから暇やしこういうの得意なんよ』って、似合うでしょう! 人形サイズの奴もあるのよ!」

 

 

 

 

「……ものの見事に順応してますね……。あとメリーさんツンデ霊乙です」

 

「基本的に彼女たちは構ってちゃんタイプの霊ですから。はやてさん自身人を惹きつける何かがありますし。同じくツンデ霊乙です」

 

なんかもう、足売りさんとメリーさんのカリスマが地まで堕ちていた。

というかこれだけの都市伝説を手懐けるはやてちゃんが実は最強なんじゃないか?

 

とはいえ、メリーさん達3人も加えてこちらは7人、しかも異次元さんやメリーさんは瞬間移動ができるから数の上でも、速さの上でも対策は完璧となった。

 

 

「いける……! いけますよ! この戦力なら暴走体の被害ゼロに抑えることも夢じゃない!」

 

思わず拳を握りしめガッツポーズをとる俺。これで勝る!

 

 

 

 

「ところで、わたくし達は何をすれば?」

 

「あ! わたしが教えてあげるよ! えーっと『午後になったら、そこら中にある木や瓦礫を切ったり蹴っ飛ばしたり』すればいいんだよ!」

 

「木っていうと街路樹とかかねぇ……? 本当にそんなんで街の防衛になるんだろうねぇ?」

 

「あと瓦礫って見当たらないけどビルのこと? あたしの鋏なら切り刻めるけど」

 

「……、……(タブン、ソノトオリ)」

 

 

 

 

「田中、もう一度ちゃんと説明しないと防衛どころか破壊活動が始まる気がするよ」

 

「ちょ!? テケテケさん話聞いてたんですか!?」

 

いやまあ確かにそうは言ったけれども!

俺は再び作戦内容を伝えるべく、テケテケさん達に血図をとりだし説明するのであった。

 

 

 

……本当に大丈夫なんだろうか、暴走体よりも都市伝説の被害が酷いなんてことは無いよね?

無論、返事も保証も無かった。

 


 
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