No.455842

世界を越えし男と数の子たち 第37訓 釣りをするなら大物を狙え

俺はこの日、掛け替えの無い奴らに出会った。
俺は車に跳ねられて死んだと思ったら、なんかよく分からんが別世界に行ってしまったみたいだ。
気が付けば、マッドな科学者や12人の姉妹と暮らしていたり、組織にケンカ売って犯罪者になっちまったり。平凡な日々を送っていたり
そして--俺は戦う。ナンバーズ達を、世界を守るために。

2012-07-19 20:52:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1299   閲覧ユーザー数:1278

ミッドチルダ郊外のとある場所

 

そこにある大きな池のほとりに4人の人影があった。

 

1人は、黒髪の青年

『五十嵐優斗』

1人は、水色の髪の少女『セイン』

 

1人は、赤い髪を後頭部でまとめた少女

『ウェンディ』

そして、栗色の長いストレートヘアの少女『ディード』がいた。

 

彼らの手には、一本の釣り竿

 

優斗達は、この池で釣りをしていた。

 

ーーーーーーーーーー

 

セイン「なかなか釣れないね〜」

 

ディード「そうですね…!」

 

ディードの竿が大きく振れる。

ディードは竿を思い切り引っ張り、魚を釣り上げた。

ディード「よい…しょ!! …って、またこの魚ですか…」

 

ディードは落胆する。釣り上げた魚が、カタツムリのように目が出ていて、あちこちに触手のようなモノが生えた、見た目が気持ち悪い魚だったからだ。

 

ディード「しかしこの池、何でこんな魚ばっかり何ですか? この池は生態系がおかしいですよ」

 

ユウト「何でも、この辺りは昔に戦争があって、その際に生態系がおかしくなったらしいぜ」

 

セイン「生態系が変わるって、どんだけ凄かったんだろ…?」

 

ユウト「さあな…、それよりディード、それもバケツに入れといて」

 

ディード「ええ!? これも食べるんですか!?」

 

ディードは「え!? マジで!?」と言わんばかりに驚く。しかし、優斗は「当然だ」とばかりにディードに言った

 

ユウト「あたりめーだろ。鮟鱇(あんこう)然り、納豆然り。見た目がグロいもん程な、食ったらうめーんだよ」

 

セイン「そうだよディード。見た目で判断したら駄目だぞ」

 

ユウト「どんな不細工にもイイ所の1つや2つはあるもんだ」

 

優斗の言葉にセインも同意する。

2人がディードに語っていると、ウェンディが優斗を呼んだ。

 

ウェンディ「優斗、セイン、ディード! コレ見て! 何か凄いのが釣れたっスよ!」

 

優斗達はウェンディの釣り竿の先を見る。

 

そこには

 

???「いだだだだだだだだだ!!! アレ?痛くないかも? あ゛っ!!やっぱり痛い!! いだだだだだだ!!」

 

 

全身が緑色で、背中に甲羅があり、頭には皿がついていて、牛乳ビンの底のような眼鏡を掛けた『何か』が、ウェンディの釣り竿の針に引っかかっていた。

しかも、クチバシに針が引っかかっており、凄く痛がって、暴れている。

 

優斗達(ウェンディを除く)の顔が、驚愕に染まる。

 

ウェンディが優斗達に「コレも食べれるっスか?」と聞いたが、優斗は速攻で池に蹴り飛ばした。

 

???「あぱァ!!」

 

ドボン!!

 

ウェンディ「ああー、夕食ぅぅ!!」

ウェンディは残念そうに言う。

 

ユウト「今見たことは忘れろ、いいな…」

 

ディード「…兄様、セイン姉様。今の河童じゃありませんでしたか?」

 

セイン「何言ってるんだよ、そんなもん居るわけないだろ?アレは…そう! 池に住んでる、ただのハゲたオッサンだよ」

 

ディード「池に住んでる時点でただのオッサンじゃないでしょ。それに、何か…全身が緑色でしたよ」

 

ユウト「それはアレだよ……、アルコール依存症」

 

ディード「アルコールにそんな成分あったら、酒なんて誰も飲みませんよ!! ……ん?」

 

ディードが優斗にツッコミを入れると、脚に違和感を感じた。

 

足下を見ると、優斗が先ほど蹴り飛ばした河童が、ディードの脚を掴んでいた。

 

 

河童「てんめーら。眼鏡割れちゃったじゃねーかコノヤロー。

 

親に電話しろォォォ!!弁償してもらうからなァァァ!!」

 

ディード「ぎゃああああ!!出たァァァ!!」

 

ディードは優斗達の方を見ると、優斗達は走って逃げていた。

 

ディード「ちょっ、コラァァ!!置いてくなァァァァ!!」

 

ディードが叫ぶ。

その時

 

河童「逃がさん! 住所と名前を言え!!」

 

河童が、逃げる優斗達に向けて、某恐竜のヨ●シーのように舌を伸ばした。

 

河童の舌は優斗達の脚を搦め捕り、優斗達を引っ張る。

 

ユウト「むごォォォ!!」

 

ーーーーーーーーーー

 

優斗達4人は、河童の前に正座で座っていた。河童は凄く怒っている。

 

河童「あのなァ、オッサンだってなァ、最初から謝れば怒んないよ、そんなに。だけどな、悪いことしたら謝るのが筋だろ、違うか? ん?何で逃げた?」

 

ユウト「いや、ほら…河童だったから」

 

優斗の言葉に河童は顔をしかめる。

 

河童「河童ァ?なんじゃそりゃ。訳の分からん事言って誤魔化そうとするな」

 

河童は『何いってんだ』と優斗達に言う。

 

ウェンディ「そう言うアンタが一番訳分かんねーっスよ」

 

ウェンディの一言に河童がキレる。

 

河童「オッサンの何処が訳分かんねーんだ!!この小娘ェ!! それから、アンタじゃなくて『グリン』さんと呼べェ!!」

 

キレた河童…グリンにディードが謝る。

 

ディード「すみませんでしたグリンさん。あの、私のカチューシャも割りますので、どうか勘弁してください…」

 

謝ったディードの前にグリンがしゃがみこむ。

 

グリン「よーし、よく謝ったな、嬢ちゃん。ごほうびにほら、ビスケットだ」

 

そう言って、グリンはディードにビスケットを渡すが、ビスケットは濡れていてビチャビチャだった。

 

ディード「(全然嬉しくない…)」

 

グリンは再び立ち上がり、優斗達に向き合う。

 

グリン「まあ、割れたのが眼鏡の方で良かったよ。これでお前、もし皿の方が割れてたら流石のオッサンもキレてたね。お前ら全員ボコボコだったよ」

そう言って、グリンは池に戻っていく。

 

グリン「いいか? 俺の皿だけは、この皿だけは何人たりともさわらせねー…」

 

グリンが言いかけた時、グリンに向かって『何か』が飛んできた。

 

グリンに飛んできた『何か』が、グリンの頭にぶつかり、皿が割れてしまった。

 

ガン!!

 

グリン「ぐはっ!!」

 

ユ・セ・ディ『ああああああああ!!』

 

グリンは池にプカーと浮いている。

 

ディード「皿が割れたァァァァ!!」

 

セイン「大変だァァァ!! 皿割れたよ!! 何が大変なのか分からないけど!!」

 

セインが叫び終えると、後ろから声が聞こえてきた。

 

???「あ、ゴッメ~ン、ゴルフの素振りやってたら手ェ滑っちゃった~」

 

優斗達は声の方を向く、そこには5人の男達がいた。

 

髪がセンター分けの男が話し掛けてきた。

 

男「だから早く出てけって言ったじゃ~ん。此処はアンタみたいな河童の家じゃない、俺の土地なんだよ~」

 

男はグリンに続けて言う。

 

男「この池も、そこの木も草もぜ~んぶ、俺が買い取ったんだからさァ」

 

男に、気絶から回復したグリンが言う。

 

グリン「やかましーわ。こちとらなァ、てめーらが親父の金●に入ってる頃から、此処に住んでんだ!!何で出て行かなきゃならねェ!! っていうか、あんまコッチ見んな!!」

グリンは途中から恥ずかしがっていた。

どうやら、皿が割れて少しシャイになったようだ。

 

セイン「(っていうか、意味あるのかな? あの皿……)」

 

男「俺はな、ここら一帯にどでかーいゴルフ場をつくりたいのよ。それには、この池が邪魔なんだよ!」

 

グリン「なっ!?」

 

男「アンタの住む池なら他に用意してやるから、此処から出て行ってくんない?」

 

邪魔だ、という男に、グリンが反抗する。

 

グリン「そういう問題じゃねーんだよ!!ここにはなァ、『アイツ』との…」

 

男「あー、ハイハイ。何かよく分かんないけどこれ以上、俺の邪魔をするならそれ相応の覚悟はしといてよ」

どっからゴルフボール飛んでくるか分かんないよ…

 

そう言って、男達は帰っていった。

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 


 
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