No.452619

相良良晴の帰還8話

D5ローさん

織田信奈の野望の二次創作です。素人サラリーマンが書いた拙作ですがよろしければお読み下さい。注意;この作品は原作主人公ハーレムものです。又、ご都合主義、ちょっぴりエッチな表現を含みます。
そのような作品を好まれない読者様にはおすすめ出来ません。
追記:仕事の合間の執筆のため遅筆はお許し下さい。

2012-07-14 11:21:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:17050   閲覧ユーザー数:15310

とりあえず目をこすって、もう一度見て見るものの、当然の如くそこにいる猫。その現実におどろきながら、とりあえず、話しかける。

 

「君は…天守閣で会った……?」

 

黒猫なのかい? という続きを伝える前にあちらから返事が来た。

 

「違うな。『それ』は僕じゃない。」

 

 黒猫は続ける。

 

「まあ、座れ。」

 

 ん? あれ? 速攻で口調を変えた猫に、首をひねるが、特に問題もなかったため、スルーする。別に敬語使って欲しい訳ではないし。

 

「わかった。俺も気にしないようにするよ」

 

「で、君は何物だい?」

 

「僕は君たちが○理と呼ぶも…」

 

「いや、違うだろ。」

 

 思わず突っ込んだ。

 

 なんだ……こいつ…身体中の細胞が警鐘を鳴らす。こいつからは、俺と同じ匂いがする。

 

 すなわち、トラブルメーカーの匂い。人生で最も嗅ぎ慣れた匂いにダラダラと冷や汗を垂らしながら、とりあえず、再度問い直す。

 

「気を取り直して、何もんだお前。」

 

「人の名前を聞くときにはまず自分からと習わなかったかい?」

 

 正直いらっとしたが、ここで喧嘩しても仕方がない。

 

「俺の名前は相良良晴。良晴で良い。」

 

「俺の名はクロ、ダークゲイルとでも呼んでくれ。」

 

「呼び名の方が長いって可笑しくね?」

 

 だめだこいつ…早く何とかしないと…。

 

 余りのシリアスブレイカーっぷりに滝のような汗が出る。

 

 うん、今までの話からして、こいつは俺を過去に戻してくれた奴と同じ種族で、別個体なんだな。もうこれ以上聞くの止めよう。

 

「わかった。とりあえずよろしく、えーとダークゲイル」

 

「なんだその中2臭い呼び名。」

 

 無言のまま良晴は黒猫の頭を叩いた。

 

                          ※※※

 

 とりあえずその後もたびたび脱線しそうになる話をそのつど制止ながら、事情を聞くと、過去に送ってくれた猫に頼まれてやってきた事は確認がとれた。というかそれ以外分からんかった。彼?の言うことを信じるなら、過去に送ってくれた方に俺を見守るよう頼まれたかららしいんだが……。

 

「じゃあお前も未来から来たのか?」

 

「あー、分かりにくいと思うが……」

 

 彼が言うには、力の大小はあれど、『神』と呼ばれるものたちは皆、アカシックレコードというものを使って、好き勝手に情報を見れるらしい。便利だなそれ。

 

「それって俺も見せて貰う訳にはいかないかね。」

 

「代金が『存在全て』ぐらいになるが。」

 

「高っ」

 

「安いぐらいさ。そもそも、君が過去に来たのでさえ、本当は凄いサービスなんだよ。」

 

 そういうとクロは良晴の胸を前足で差した。

 

 確かに。それに、彼の願いは、彼自身にとっては重要事でも、彼らにとってみればそれほど重要ではないのだ。必要以上のサービスを求めるのは筋違いだろう。

 

「で、だ・・・ぶっちゃけこれからどうする? 自分の知る歴史に少しでも近づくよう正史通りにやるかい?」

 

 畳み掛けるように黒猫は言葉を重ねる。

 

 なるほど、彼の言うことには一理ある。だが、その案には決定的な穴がある。

 

「いや、ここからは全く違う道を行く」

 

「ほう、アドバンテージを一つ無くすつもりかい?」

 

「それは違う。そもそも過去の世界をなぞる事は全く利点にならない。」

 

 そもそも、未来とは数式のように一定ではない。良晴が自分が知るかつての時代の流れを自分だけ(・・・・)なぞっても、他の人々の行動を制止出来ない以上、自らが望む結果に行き着く事は確約されない。

 

 加えて、身体能力や知識の大幅な強化がされている自分の現状を鑑みても、過去の自分の行動に縛られるよりは、自身の能力(・・・・・)を最大限生かす道を選んだ方が、最悪の結末を回避するという目的を果たせるだろう。

 

「・・・ふーん、それはどういう道なんだい?とりあえず織田軍の無能な侍たちを切り捨てるとか?」

 

 クロが前足で髭を伸ばしながら、笑みを浮かて口にするその言葉に、良晴は首を振る。そして右手の親指で自分を差すと高らかにこう宣言した。

 

「見せてやるよ、サルの小賢しい (・・・・)戦いっていうのをな」

 

 良晴のその宣言を聞きながら、クロはここに来る前に()(あるじ)から託されたもう一つの願いを思い返していた。

 

『クロよ…、儂は与えられた恩を返すため、相良良晴という人間の男を過去に送った。それによって、恐らくこの世界とは全く異なる結末を迎える世界が出来るじゃろう。それは構わぬ。しかし、その結果、不必要に多くの命が奪われることになることは防がねばならぬ。』

 

『本来ならば儂自らが行くのが筋じゃが、この通り、儂は神として祀られているため、この世界に縛られてしもうた。じゃから、お主に儂の力の一部を与え、儂の代わりに相良良晴の監視の任を行って貰うことにする。彼が狂王や暴帝にならぬよう、導いてやってくれい。突然の命令に困惑するとは思うが、本来死ぬはずだったお主を救った恩に対する奉公と思い、受諾してほしい。』

 

 その後、主から良晴の過去を聞いた時は復讐に駆られた鬼を想像し、ギリギリまで行くのを渋ったのだが、どうやら要らぬ心配だったらしい。少なくとも今の話やこっそり覗いていた(・・・・・・・・・)今日一日の行動を見る限り、恨みを他人で晴らすような輩では無いだろう。

 

 そのような事を思い返してから顔を上げると、目の前には彼をじっと見つめる良晴の顔があった。どうやら返答を待っているらしい。

 

 その生真面目さに苦笑を漏らしながら、クロは了承の意を込めてゆっくりと首を縦に振った。

 

(第八話 了)

 


 
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