「け、結局一度もあてられなかった……」
模擬戦が終わってから数秒後、アリサちゃんは近くにあったベンチに座って私へ触れることも攻撃を当てることも出来なかったことに悔やんでいるようでした。
まぁ、そう簡単に私に触れたり攻撃が当たるのは無理ですよ。私だって前に生きていた年数に今の年齢の知識を持っているのですし、見た目は子供ですが頭脳は大人ですからね。魔法の使い方もアリサちゃんより数倍上手です。
だけどまぁ、今回のおかげでアリサちゃんの魔法の力は大体把握できました。だけど一つだけ気になることがありましたのでそれだけ聞いておきましょうか。
「一つ聞きますが、どうしてアリサちゃんはデバイスの形態を最初からずっとそのままだったのですか? 多分ほかにもあると思うのですが?」
そう、模擬戦が始まってからずっとアリサちゃんのデバイスの形態を一度も変えた事はなかったのです。どうしてそんなことをしたのか気になり、私はアリサちゃんに聞いたのです。
アリサちゃんは私に質問に対して、私がどうしてそう思ったのかという事に気づいてすぐに答えるのでした。
「まぁ、確かにほかのモードもあるにはあるのだけど、なるべく敵に攻撃を見せないという事も考えて使わなかっただけよ。相手に必殺技を使わせずに必殺技を使って相手を仕留めるのが良いと聞くから。まぁ、非殺傷設定の時はあまり意味がないから他の魔法も隠しておこうかなと思ってね。たとえそれが模擬戦でなのはと戦ってもね」
なるほど、確かに一理ありますね。要するにそれは自分の攻撃をなるべく相手に見せないで仕留められるのならば、それ以上に良い戦い方はありませんからね。だがまぁ、それは殺傷設定を使った時だけの話ですし、非殺傷設定であったら敵は生きているので二度目は通用しませんね。
それでアリサちゃんは必殺技の他にも魔法を隠して戦うという手段を取ったのですね。確かにそれなら納得がいきますが、それって私に隠す必要もあるのでしょうか?
「それは次に模擬戦をする場合の事を考えての行動よ。現に今回模擬戦の間になのはの思考を読んでないで戦ってたし」
「え、マジですか?」
「うん。だって今回は最初だし、使わなくていいかなって思ってね」
てっきり使いながら戦っていると思いました。でも言われてみれば私からの攻撃を読んでいるようには確かに見えていませんでしたので、あの時はわざと避けなかったのかと思いましたがそもそも使っていなかったのですか。あとさにげなく私の思考読まれてるし。
っていうか、なんでアリサちゃんがこんなに策士なんでしょう?
っと思いましが、すぐに理解しました。アリサちゃんの事ですからゲームでの知識ですねはい。
確かにあのようなゲームとかは実際に戦闘するとかになったとしても、意外にも参考になってしまいますから侮れないのですよね。まぁ、それは私にとっても嬉しい利点であるのですし、逆にどんな魔法をアリサちゃんが使ってくるのか楽しみになってきますね。
「私にまで隠すという事は敵を欺くためにまず見方からという事なんでしょうか?」
「まぁ、そう言う事になるわね。敵にも味方にも自分の攻撃パターンが気づかれないようにするべきだと思ってね」
「アリサちゃんなりにいろいろと考えているのですね。現に二度攻撃が当たりそうでしたし」
そうなのです。一度目はアリサちゃんが一番最初に使用したフレイムスピアの事ですが、実はあの後もう一度攻撃が私に辺りそうになったのです。どんな攻撃かというのは後のお楽しみという事にしておきますが、あの時はフレイムスピアの時よりも危ないと思いました。ギリギリの所で避けられたぐらいでしたからね。
「まぁね。っていうか当たりそうだったと言いながらも何とか避けていたじゃない」
「そうなのですけどね」
そりゃ、アリサちゃんと違って私は経験もかなり違いますし本気出したらアリサちゃんだって瞬殺で終わらせることも出来ますからね。まぁ、数十年経った時にアリサちゃんとアリシアちゃんの魔法の使い方がかなり上達していたらやるかもしれませんが。
さて、模擬戦も終わったことですし、そろそろアリシアちゃんの方の様子を見た方が良さそうかもしれませんね。
「さて、私は一度アリシアちゃんの方を見てそろそろやめさせないといけませんので、アリサちゃんは先に家の中に入っていてください。少ししたら私とアリシアちゃんも行きますので」
「分かった。それじゃあまた後でね」
それからアリサちゃんはバリアジャケットを解除して、家の中へと向かっていくのでした。
「……あれ、なんかアリサちゃんの事で忘れているような気がするのですが……いや気のせいでしょう。とりあえず今はアリシアちゃんの所へ向かわないと」
なんか嫌な事を忘れているような気がしたのですが、私は気のせいだと思い、アリシアちゃんの所へ向かうのでした。
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で、アリシアちゃんを連れて家の中へ戻ってきたところまではよかったのですが――
「お帰りなさいませ、なのはお嬢様にアリシアお嬢様」
……なんでアリサちゃんまでメイド服を着ているのですか!!?
私とアリシアちゃんは目の前にアリサちゃんがメイド服を着ているのを見て唖然として言葉が何も出てきませんでした。
この時やっとアリサぎゃんが模擬戦を始める前ににやけていたことを思い出し、何を企んでいたのかというのがようやくわかりました。
多分、この前の出来事もあったからアリサちゃんはどうやら私と距離を取っていたことは前にも言ってた通り知ってましたが、メイドになって私に尽くさせてもらうという考えにたどり着いたのでしょうね。多分エリナとミリアのメイド姿を見て思いついたのでしょうね。
それでもにやけていたことに関しては未だに疑問です。言ったあのにやけていた理由はなんなのでしょう?
「えっと……なのはちゃん、これどう反応すればいいの?」
その一方でアリシアちゃんはアリサちゃんの突然のメイド姿を見てどうすればいいのかよく分かっていない状態になっていました。まぁ、私もどう対応すれば良いのかと思いましたから、アリシアちゃんがそう思うのは分からなくないのですけどね。
「と、とりあえずアリサちゃんのやりたいようにやらせておきましょう。どうせ当分は止めないだろうともいますし」
「なのはちゃんがそういうのならそれでいいけど」
ある意味原因は私ですし、この場合はアリサちゃんの思うがままにやらせた方が良さそうなので、私はアリサちゃんにやめさせるのはしないことにします。
「それじゃあ私は部屋に戻っていますので、何か飲み物持ってきてもらいますか?」
「分かりました」
アリサちゃんは私の頼みを聞くと私たちから離れていき、エントランスから居なくなったので姿が見えなくなりました。
それから私はアリシアちゃんと別れ、自分の部屋へと戻るのでした。
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新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。
任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。
なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!
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