No.451698

真・恋姫†無双 異伝 「伏龍は再び天高く舞う」外史編ノ二十

 お待たせしました。

 今回は反董卓連合結成の裏側で暗躍する

 一刀達のお話です。

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2012-07-12 20:37:17 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:9635   閲覧ユーザー数:7226

 

 袁紹による董卓討伐の檄が発せられる少し前、朱里は霞と一緒に

 

 洛陽を訪れていた。

 

「はわわ~、さすが洛陽ですね。すごい賑わいです」

 

「そうか?ウチは南郷郡の方が賑わってる思うけどな」

 

 二人はとりとめもない話をしながら、城門の前へ向かう。

 

「何者だ!ここより先は相国閣下の許しの無い者の立ち入りは禁止である!」

 

 そう言った門番の兵士に対し、

 

「私は荊州南郷郡太守代理の北郷様の遣いで参りました諸葛亮と申します。

 

 相国閣下へ取次ぎをお願いします」

 

 朱里は毅然とした態度で答える。

 

「これは失礼いたしました!少々お待ち下さいませ!」

 

 ・・・・・・・・

 

 しばらくして城門に一人の女性が現れた。

 

「おおっ、賈駆っちやないか。久しぶりやん」

 

「霞も相変わらずそうね」

 

 賈駆は霞と挨拶をかわしてから、朱里の方を向く。

 

「こうして直接話をするのは初めてだったわね。ボクが賈駆よ」

 

「初めまして、諸葛亮です。改めてよろしくお願いします、賈駆さん」

 

「ええ、こちらこそ。でも、いつも手紙のやり取りをしてるから初めまして

 

 なんて言うと変な感じね」

 

「ふふっ、そうですね」

 

 そう言った朱里の心の中では前の外史での詠の姿と重なっていた。

 

 賈駆の言葉では無いが、初めてな感じのしない朱里であった

 

「それじゃ、月…董卓様の所へ案内するからついてきて」

 

「案内するだけならわざわざ賈駆っちが来んでも誰かに頼めば良かったんや

 

 ないの?」

 

「使者が霞だけだったらそうしてたかもしれないけどね。諸葛亮が来るって

 

 聞いたし、先にボクが会っておきたかったのよ」

 

 それから董卓の執務室へ行くまでの間、朱里と賈駆は政や兵法の話に華を

 

 咲かせていた。

 

 

 

「さあ、着いたわ。月~、入るわよ~」

 

「どうぞ」

 

 賈駆が扉を開けた先にいたのは…。

 

「初めまして、諸葛亮さん。私が董卓です」

 

 朱里が知っているのと全く同じ姿をした月であった。

 

「あの…どうしました、諸葛亮さん?私の顔に何か…?」

 

「あ、いえ、失礼しました。南郷郡太守代理の北郷一刀の遣いで参りました

 

 諸葛亮です。よろしくお願いします」

 

「…? 北郷さんは皇帝陛下より正式に南郷郡の太守に任じられてるはず

 

 ですが、何故『代理』なのですか?」

 

「ご主人様…北郷様の意向です。自分はあくまでも前の太守から印綬を預かった

 

 に過ぎないからと」

 

「正式に任じられたんやから、代理いうんは逆に失礼ちゃうんかって何度も言う

 

 たんやけどな。それだけは絶対に譲らへんのよ」

 

 霞がそう言うと、董卓は微笑を浮かべた。

 

「わかりました。北郷さんがそう仰っておられるのなら、それを尊重させていただ

 

 きます。でも、北郷さん以外の人を南郷郡の太守に任命する事は全くありません

 

 のでそうお伝えください」

 

「ありがとうございます」

 

「ところで、今回諸葛亮さんは北郷さんより私宛にお知らせしなければならない事

 

 を伝える為に来られたと聞きましたが、一体どのような事ですか?」

 

 朱里は居住まいを正して内容を告げる。

 

「はい、それはある方…おそらく袁紹さんを中心にして相国閣下を討伐せんとする

 

 動きがあるという事です」

 

 

 

 朱里がそれを告げると董卓と賈駆は考えこむような顔になった。

 

「やっぱり…袁紹の奴、月が洛陽の混乱を収拾したのが悔しくてたまらないらしい

 

 とは聞いてたけど」

 

「…詠ちゃん、本当に戦わなくちゃならないのかな?もし、袁紹さんが相国になり

 

 たいっていうなら私は…」

 

「それはダメよ!!」

 

「それでは結局、洛陽の民が暴政にあえぐだけです。袁紹さんは自分がお山の大将に

 

 なりたいだけでこの国を良くしようという展望は感じられません」

 

 董卓の言葉に賈駆と朱里は即座に反対を唱える。

 

「へぅ…」

 

 朱里は言葉を続ける。

 

「相国閣下が漢王朝を立て直したいと真にお思いであるならば、今ここで袁家に権力

 

 を明け渡すべきではありません。閣下を中心に皇帝陛下を盛り立ててこそ、漢が再び

 

 大陸に安寧をもたらす存在になれると私は思っています」

 

「ボクも諸葛亮と一緒よ。折角、この国を腐らせてきた連中がまとめて消えてくれたん

 

 だから、今こそ国を立て直す好機だと思うわ。そしてそれが出来るのは月だけよ」

 

「そんな…私よりもふさわしい人なんて他にもたくさん…」

 

「例えば?」

 

「曹操さんとか…孫策さんとか…」

 

「確かに曹操さんは国を動かせる力を持っておられます。でも、今の状態ではあの人は

 

 乱世の奸雄でしかありません。あの人に治世の能臣になってもらうには、まず誰かが

 

 国を立て直す必要があります」

 

「孫策も現時点では論外ね。確かに英雄かもしれないけど、袁術の客将でしかないし」

 

「へぅ…」

 

 董卓が自分よりふさわしい人間を挙げてみたが、朱里と賈駆から反対意見が出されると

 

 それ以上何も言えなくなる。

 

「我が主北郷は董卓様こそが漢王朝をまとめるのにふさわしい御方だと仰られ、こうして

 

 私を洛陽に派遣しました。我らも共に戦います故、董卓様もご決断を」

 

 そう言って朱里は董卓に決断を迫った。

 

「月、ボクも諸葛亮に賛成よ」

 

「詠ちゃん…でも、私達と北郷さんの所だけじゃ…」

 

「そ、それは…でも元々ボク達だけで戦うつもりだったんだから、北郷の所が増えただけ

 

 でも…」

 

「それに関してはご心配なく。既に馬騰さんと孫策さんの所とは話がついてますので」

 

「「…えっ!?」」

 

 朱里の言葉に董卓と賈駆は驚きの声をあげた。

 

 

 

 

 ~南郷郡にて~

 

「という事で、孫策殿にそう伝えておいてくれるかな?周泰さん」

 

「了解しました!」

 

 俺は孫策さんの遣いで来た周泰さんに決定した事を伝える。

 

「でも、未だに信じられないです…まさか、我々だけでなく馬騰様の所までなんて…」

 

「俺には優秀な軍師が揃ってるからね。それにその位でないとこの動きを潰す事は

 

 出来ないだろう?」

 

 などと周泰さんに偉そうに言ってみたものの、ほとんど朱里が描いた筋書きだったり

 

 するのだが。

 

 朱里は黄巾の乱が終結した直後よりこの計画を始動させていた。その為に馬騰さんと

 

 孫策さんの所へ頻繁にやり取りをして、ここまでこぎつけて来たのだ。

 

「全てがうまくいけば孫策殿の独立も認められる運びになる予定なので、よろしくお願い

 

 しますと伝えてください」

 

「はい、了解しました!…でも、あの…」

 

 周泰さんは急に口ごもる。…ああっ、そういう事か。

 

「それでも多少の時間はあるだろうし、猫喫茶に行く位、孫策さんや周瑜さんも許して

 

 くれるんじゃないかな?」

 

「いいんですか!…それでは失礼します!必ず孫策様には伝えます!お猫様~~~!!」

 

 周泰さんはそう言うと疾風のように去っていった。

 

「あわわ、周泰さんはすっかり猫喫茶の虜ですね」

 

 俺の脇にいた雛里が呟く。

 

 ちなみに猫喫茶は街に溢れていた野良猫対策の一つとして作ったものだ。当然、そこに

 

 飼われている猫は全て検疫済みですのでご心配なく。最初はゴミを荒らす猫を集めて

 

 飼っていただけなのだが、餌代もバカにならないので多少は餌代の足しになるかと始めて

 

 みたのだが、今ではすっかり猫好きの溜まり場になっている。そして周泰さんは孫策さん

 

 の遣いで何回かここへ来ているうちに虜になってしまい、今ではすっかり常連さんだ。

 

 未確認ではあるが遣いのない時も現れているという噂がある位だ。

 

 

 

「まあ、周泰さんは隠密としては超一流だし、きっちりやってくれるだろう。ところで雛里、

 

 朱里と輝里からは新たな連絡あったかな?」

 

「いえ、まだありませんが定時連絡の時は順調に経過中との事でした」

 

 今、朱里が洛陽、輝里が涼州へと行っている。計画遂行の最後の詰めの為だ。

 

 何故この二人なのかと言えば、朱里は董卓さんの軍師である賈駆さんと、輝里は涼州・武威

 

 の太守にして涼州連盟の盟主である馬騰さんと繋がりがあるからだ。どうやら輝里は大陸中

 

 を廻っていた時にしばらく馬騰さんの世話になっていた事があるらしい。

 

「ともかくこれでこちらも袁家の動きに対応出来る態勢が整うわけだし、後は決行の時を待つ

 

 のみだな」

 

「でも大丈夫なんですか?全軍で事にあたるとなると留守を衝かれる危険性がありますが…」

 

「雛里の懸念も最もだけどね。まあ、その為にわざわざ輝里に涼州まで行ってもらったわけ

 

 だし、そこは馬騰さんを信じないとね」

 

 俺達はこれから発せられるであろう反董卓連合結成の檄に対抗する道を選んだ。それがこの

 

 外史を救う道に繋がるのかはわからないが、自分の信じた道を行くのみだ。

 

 

 

 こうして反董卓連合に対抗するように一刀を中心とした親董卓連合が結成されるわけだが、

 

 この時はまだこれが果てしなき戦乱への幕開けになろうとはまだ誰も思っていなかったので

 

 あった。

 

 

 

 

 

 ~南陽にて~

 

「それではこれは劉表さんの所でこちらが劉璋さんの所でお願いしますね」

 

 袁術の腹心である張勲は部下へ指示を出していた。

 

「さて、これで留守の間の背後の安全は確保でしょうか。…諸葛亮さん、もしあなたがお嬢様の

 

 敵になるのでしたらこの間の言葉通り、私は本気で貴女と戦わせていただきますよ~。それに

 

 しても、私がこうやってお嬢様以外の事に情熱をかたむける日が来るなんて思いもよりません

 

 でしたけどね…ふふふ、楽しみです」

 

 そう言った張勲は怪しく笑っていた。

 

 

 

 

 

 

                               続く(予定であると思います) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 

 mokiti1976-2010です。

 

 今回は反董卓連合を潰そうとする一刀達の暗躍を描いてみました。

 

 次回より反董卓連合軍との戦いになります。果たして一刀はどのように

 

 この戦いに介入していくのかは続きをお楽しみにという事で。

 

 

 それでは次回、外史編ノ二十一にてお会いいたしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

     ・・・・・今回、追伸はありません・・・・・

 


 
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