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超次元ゲイムネプテューヌ『女神と英雄のシンフォニー』チャプターⅠ第3話『異世界補正?ケイトの実力』

月影さん

ここから、初の戦闘が入ります。掛け声の考えるのがムズいです……

2012-05-28 22:21:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:983   閲覧ユーザー数:954

「ねーココ? コンパの調べたダンジョンって。うんうん、確かに雰囲気ある! 強いモンスター沢山居るといいねっ!!」

 

 中央市街から少し離れた工場跡地。明らかに無人でモンスターが住み着くには格好の場所に俺達は来ており、ネプテューヌが辺りを見渡す。彼女の手にはコンパの住むマンションに転がっていた木刀を持ち、緊張感は微塵も感じられない。

 

「強いモンスターはいないです。ネットで調べたのは『弱いモンスターの居そうなダンジョン』です。いきなり強いのなんて無理ですよ」

 

「まぁ、確かにそうだな。」

 

なんせ、コンパは看護学校の生徒、俺はモンスターなんて居ない世界の住人。ネプテューヌは記憶喪失の為判らないが事実上、俺達はみんなゲームで言うならレベル1の状態だ。いきなり、ラスボスクラスのダンジョンに挑むなんて無理ゲーもいいとこだ。

 

「えー! 弱いモンスターしか居ないのー? なら、私エンカウントしないとこで待ってる。ボスまで行ったら呼びに来て」

 

「そ、そんなのずるいです! それにしても私達三人はもうパーティー。いわば運命共同体です! 勝手に抜けたり、離脱したり、ノシしたりは世界のルールに反するですよ! そんなことしたら女神様の天罰が降るです!」

 

 よもやそこまで!?コンパの頭の辞書に臨時パーティーという単語はないのか……

 

「女神様っ!? モンスターだけじゃなくて、女神様も居るの!?」

 

「そういや、さっきもそんな話があったな」

 

「知らないですか!? ……そうだったです。記憶がないですね。でも女神様まで忘れるなんてそれこそ天罰が下るですよ。このゲイムギョウ界にはプラネテューヌ以外にもラステイション、リーンボックス、ルウィー。全部で四つの大陸があるです。大陸はそれぞれ、違う女神様に守られていて女神様に仕える協会ってとこの人達が大陸を治めてくれているですぅ」

 

「仕えるねぇ、会った事もない女神に忠誠を誓ってる訳か」

 

「そんな事ないですよ。女神様は時より下界に降りてきて、直接統治を行う事もあるです。大陸の行事に顔を出したり、ブログの更新とかもしてるです」

 

 偽者かどうかはともかく、それに近い誰かが大陸を治めているのは確かって訳か。てっきり俺の世界にもよくある偶像崇拝の類いかと思ったのだが違うらしい。

 

「協会? ねー協会っていうのはどんなとこ? 何処にあるの??」

 

 

 

「ねぷねぷ。そろそろお話は終わりにするです。早くしないとモンスターさんだって待ちくたびれちゃうです」

 

 記憶喪失故なのか、どんな些細な事でも知りたがるメプテューヌ。とは言え、それに一々答えていたら日が暮れる。妹、もしくは娘を諭す様なやさしい笑みを浮かべながらコンパはネプテューヌを一瞥し、前方に目を向ける

 

「待ちくたびれてるかどうかはさておいて、確かに何時までも立ち往生って訳にもいかんか……」

 

 そういって、棒術具の両端を握り首の後に回す形で担ぐ

 

「よしっ! そんじゃ、腹を括って行くとするか」

 

「おー!!」

 

「はいですっ!」

 

ネプテューヌが木刀を持った手を上に振り上げ、コンパは巨大な注射器を両手に持つ……って

 

「コンパ、その注射器は?」

 

「勿論、私の武器です。お爺ちゃん手作りの特別製ですぅ」

 

 注射器でどうやって戦えと?幾ら孫娘が看護士志望とは言え、というか何で態々武器を作って渡す必要があるんだ? どちらにせよ事実上、まともに戦えそうなのは俺とネプテューヌのみか……

 

 

 

 

 

 

 

「なんて、思ってた時期が俺にも有りました、ってか……」

 

 工場跡地の捜索を始めて暫く、俺達は今スライムに犬の耳と尻尾、鼻が付いた所謂、スライヌの集団を相手にしている。そんな中――

 

「行くですっ!」

 

 コンパが注射器を鈍器の様に振り回し、スライヌを殴り飛ばす。更に、注射器の針をスライヌに向け、ピストンを引くと注射器の中に赤い光が溜まり、針の先端に火球が生じ

 

「発射ーっ!」

 

 それをそのままスライヌに向けて撃ち、直撃。後には真っ黒焦げのスライヌが残る

 

(あれはもう、注射器じゃない……)

 

 そんなスライヌの亡骸をどこか遠い目をしながら眺める。コンパの話では、殴ってよし、刺してよし、劇薬打ち込んでよし、魔力を撃ってよしの万能注射器、らしい。というより、あそこまで来ると最早、医療器具じゃなくて立派な兵器だ。コンパの爺さん、アンタ何者だ?そして――

 

「よっと!」

 

 ネプテューヌの方も、体当たりしてきたスライヌを避ける。かと思うと、直ぐ様姿勢を整え、木刀で一撃食らわせ、後ろ回し蹴りからアッパー、その勢いを殺さず足を振り上げ、踵落としでフィニッシュという剣と体術の見事なコンボを決める。どう見ても素人の身のこなしではない。

 

(意外と、どうにかなるもんなんだな)

 

 そして、それは不思議なことに俺にも言えた

 

「……っ!!」

 

 背後からのスライヌの不意討ち。それを体を横に向ける形で避けてそのまま、身体の回転の勢いを乗せてスライヌを上に打ち上げ

 

「ハッ!」

 

 落ちて来たところを今度は棒術具を降り下ろし、スライヌを地面に叩きつける

 

(異世界効果って奴か?)

 

 仕留めたのを確認すると棒術具を見つめる。はっきり言って最初は不安だらけだったが、いざ戦ってみると、自然と身体が動いた。コンパの家で目覚ましを至近距離でキャッチしたさいも思ったが明らかに元の世界の時より、身体能力が上がっている。物語によく見る、異世界に来ることで一気にパワーアップするあれなのだろうと仮定した

 

「これでおしまい、っと!」

 

 丁度、そこでネプテューヌが最後の一匹を仕留め、周囲からからモンスターは居なくなった

 

(まぁ、この際何でもいいさ)

 

 とりあえず戦えるに越した事はない。武器を肩に担ぎ、ネプテューヌとハイタッチをしながら軽く安堵していた。自分の強さの理由がそんなテンプレなものとは別物であることにも気づかずに

 


 
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