No.389262

真・恋姫✝無双 呉~新たな外史で綴る物語~ [ 第十五話 ]

tawardsさん

 この作品は真・恋姫✝無双の二次創作となっております。

 約一か月ぶりの更新………………ホントに申し訳ありませんm(_ _)m
 プライベートでいろいろあって落ち込んでしまい、全てにおいてやる気を失ってました………
 忘れられていないこと、見捨てられていないことを只々願うばかりです。

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2012-03-09 20:12:54 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:5466   閲覧ユーザー数:4346

「「「「「「「「「………/////////」」」」」」」」」

 

「んっ?……皆、どうしたんだ?」

 

 赤くなって黙ってしまった雪蓮たちに、一刀は何も分かっていないといった様子で皆に尋ねる。

 

「「「「「「「「「………はぁ~~~………………ふふっ♪ふふふふふふっ♪(はっはっはっはっはっ♪)(あはははははっ♪)」」」」」」」」」

 

 雪蓮たちは一刀の様子に溜息をつき、お互いの顔を見て、自然と笑いだすのだった。

 

「なんだいったい皆して???」

 

 相変わらず一刀は何も分かっていないようであった。

 

「ふふふっ♪……さてっと、皆、話したいことはいろいろあるだろうけど、そろそろ行軍を再開させましょ♪……と、その前に今回の戦の部隊編成について話さなきゃね」

 

「そうね。……でも余計な時間を使うことになったのは誰のせいでしょうね」

 

「ぐっ!……もっ、もう終わったんだからいいじゃない。それにちゃんと反省してるんだから…ね♪」

 

 冥琳の厳しい言葉に雪蓮は一瞬どもるが、ぎこちなく笑顔を作って何とか取り繕おうとする。

 

(((((((((……絶対反省してない……)))))))))

 

 雪蓮の言葉に全員同じことを思い、疑いの眼差しを雪蓮に向ける。

 

「うっ……なっ、何よ皆して……私の言うことが信じられないって言うの?」

 

“コクコク”

 

 雪蓮の言葉に全員無言で頷いた。

 

「………いいもん、いいもん………どうせ私なんか………」

 

 雪蓮はその場でしゃがみ込んで、いじけだすのであった。

 

「……はぁ…仕方ないわね……一刀、雪蓮を連れてもう一つの天幕へ行ってくれ。雪蓮のことはお前に任せる。このままでは話しが進められんからな」

 

“ピクッ”

 

 冥琳の言葉に雪蓮がほんのわずかに反応するが、一瞬だったため誰も気づいていなかった。

 

「わかった………ほら、行くぞ、雪蓮」

 

 一刀が冥琳に言われて、雪蓮に声を掛けるが………

 

「………ほっといてよ………」

 

 雪蓮は相変わらずいじけて、拗ねたままであった。

 

「……はぁ~、もう……仕方ない……」

 

 一刀はこのままでは埒があかないと考え、雪蓮を無理矢理抱き上げた……いわゆるお姫様抱っこで……

 

「きゃっ!?ちょっと!なにするのよ!」

 

「仕方ないだろ。こうでもしなきゃ向うへ行けないんだから」

 

「おろしてっ!」

 

「いやだ」

 

「おろしなさいっ!一刀っ!これは命令よっ!!」

 

「無理。……命令違反だって言うなら後で罰を受けるからさっさと行くぞ」

 

 お姫様抱っこされた状態でじたばたしている雪蓮を無視して、一刀はそのまま天幕から出ていった。

 

 

 

「……やれやれ、策殿にも困ったものじゃな」

 

「そうですね」

 

 祭が冥琳の傍により、話し掛ける。

 

「しかし、あれで気付かれていないとでも思っておるのかのう」

 

「……気付いてましたか」

 

「まぁ…のう」

 

 どうやら、冥琳と祭は雪蓮の反応に気付いていたようだ。

 

「ですが、蓮華様たちは……」

 

 冥琳と祭は話しながら蓮華たちの方を見る。

 

「……羨ましい//////……じゃなくて!……でも私も一刀からあんな風に……//////」

 

「お姉ちゃんだけずる~い!!……そうだっ!今度シャオも一刀に……えへへ~♪……」

 

「あんっ♪一刀さんったら大胆なんですから~♪皆が見てる前でそんな……//////」

 

「はぅ~~//////……一刀様……もっともふもふしてください//////」

 

「かっ、一刀様……みっ、皆様に聞こえてしまいます//////……えっ!……でっ、ですが//////」

 

「………なんだ北郷……なっ!?//////……わっ、私は別にだな……//////」

 

「………見事に自分の世界に入っておるのう………本音がだだ漏れになっておるわ………」

 

「そのようですね」

 

「それにしても、冥琳。お主は相変わらず策殿には甘いのう」

 

「仰るとおりです。ですが私は雪蓮が幸せならそれで……」

 

「ふむ。……じゃが、儂はもう少し…策殿みたいにとは言わぬが素直になってはどうかと思うがの。お主も策殿のように一刀に甘えてみたいのであろう?」

 

「………………お見通しなのですね」

 

 祭の言葉に冥琳は少し間を置きながらも素直に答える。

 

「まぁそこは……あまり言いたくはないが、年の功…とでも言っておくかの」

 

「……ならあまり無理をなさらない方がよろしいのでは?」

 

「なんじゃと!」

 

「ふふっ♪冗談です。………祭殿………ありがとうございます」

 

「むぅ……まさかお主にからかわれて感謝までされるとは……この戦、大丈夫かのう……」

 

「それはどういう意味ですか?」

 

 冥琳は口元を引き攣らせながら祭に尋ねる。

 

「はっはっはっ♪冗談じゃ。これでおあいこじゃな」

 

「ふふっ♪まぁそのような話は、また今度お酒でも飲みながらで」

 

「ほう…お主から酒の席を勧めるとは珍しいのう。じゃが、二人で飲むのもいいかもしれんのう」

 

「二人とは言わず、一刀を入れて三人で…の方がよいのでは?」

 

「……策殿はよいのか?」

 

「たまにはよろしいかと」

 

「それもそうじゃな。ではその時を楽しみにしておくとするかの。……さて、あまり時間を掛けると策殿が一刀に何をしだすか分からぬ。そろそろ本題に入るかの」

 

「そうですね。………“パンッ、パンッ”」

 

 冥琳が蓮華たちを正気に戻すため、大きな音が出るよう両手を打ち鳴らした。

 

「「「「「「………ハッ!!………」」」」」」

 

 それにより蓮華たちは自分の世界から帰ってきた。

 

「私はいったい何を……」

 

「蓮華様、よろしいですか?」

 

「えっ!……ああ、部隊編成についてだったわね。教えてちょうだい」

 

「はい。部隊編成に関してですが、祭殿・思春・明命で先鋒を」

 

「「「うむ(はっ!)(はい!)」」」

 

「中央は雪蓮と蓮華様でお願いします。亞莎は補佐を」

 

「「わかった(わかりました)」」

 

「小蓮様は輜重隊の護衛を」

 

「は~い♪」

 

「右翼は穏と一刀に。左翼は私が」

 

「わかりました~♪」

 

「何か質問は?」

 

 部隊編成について話し終えた冥琳が質問がないか尋ねながら全員を見まわしていく。

 

「あの~……冥琳様」

 

「どうした明命?」

 

 明命が少し遠慮がちに冥琳に声を掛ける。

 

「冥琳様はどうして一刀様のことを名前で呼ん…「あ~~~~~~!!」…むぐっ!?んんっ、ん~~~、ん~~~!むぐぐ~!!(なっ、何するんですか~!穏様~!!)」

 

 明命が質問しようとしたところ、穏が声をあげながら明命の口を両手でふさいだ。

 

「……明命ちゃん、それ以上聞いては駄目ですよ~」

 

 穏は明命の耳元で小声で話す。

 

「二人ともどうしたのかしら?」

 

 冥琳は何があったのか分からないといった感じで丁寧に二人に尋ねる………ニコッと笑顔で(目は笑っていないのだが)………

 

“ビクッ”

 

「ひっ!!……なっ、何でもありませんよ~♪ねっ、明命ちゃん♪」

 

“コクコクコクコク”

 

 冥琳の顔を見て、穏は一瞬おびえるが、平静を保ちながら冥琳に答える。

 

 明命もビクッとなり、穏に賛同するように何度も頷くのだった。

 

「さっ、祭。……いっ、いったい何があったの」

 

 蓮華もまた、冥琳の顔を見て若干おびえながら、祭に尋ねる。

 

「……儂からは何も話せませぬ……(まったく…素直になるにはまだまだかかりそうじゃのう…)」

 

 祭は少し呆れ返りながら蓮華に答えた。

 

「そっ、そう……亞莎は何か知ってるの?」

 

「はひっ!?わっ、私も何も教えてもらってませんので………」

 

 亞莎は自分の聞いた時のことを思い出し、少しおどおどしながら答える。

 

「そう………」

 

 蓮華はそれ以上何も聞けなかった………

 

「他に何か質問は?」

 

 冥琳が何事もなかったかのように再び皆に尋ねる。

 

「はいは~い♪」

 

「なんですか?小蓮様」

 

「ん~…何で一刀が穏と一緒なのかな~…って」

 

「それについては行軍の時に分かりますので」

 

「ふ~ん……ま、別にいいんだけど~」

 

 そう言いながらも、小蓮は穏をじっと見据えていた。

 

「小蓮様~、私の顔に何かついてますか~?」

 

「べっつに~」

 

 穏の質問に小蓮は素っ気なく答えて、穏から顔を背けた。

 

「はぁ……??」

 

 穏は不思議そうに首を傾げるのだった。

 

「他には何か?」

 

 冥琳は皆と視線を合わせるように見回していく。

 

「では各自、部隊編成に。部隊編成が終わり次第行軍を再開します」

 

「「「「「「「ええ(うむ)(はい~♪)(はっ!)(はい)(はいっ!)(は~い♪)」」」」」」」

 

 そして全員、部隊編成に取り掛かるため天幕から出ていいった。

 

 

 

 冥琳たちが外に出ると、ちょうど一刀と雪蓮も天幕から出てきた。

 

「冥琳。話は終わったみたいね」

 

「ええ」

 

「それじゃあ張り切っていくわよ~♪」

 

「「「「「「は………」」」」」」

 

 明るすぎる雪蓮の様子に、冥琳と祭以外は呆気にとられていた。

 

「………ちょっと一刀!お姉様と何をしてたの!」

 

 真っ先に蓮華が一刀へと詰め寄った。

 

「おわっ!!ちょっ!……蓮華、落ち着いて」

 

「な・に・を・し・て・た・の!」

 

「いや、それはだな……(…雪蓮の演技だった…なんて口が裂けても言えねぇしなぁ………)」

 

「まさかっ!!」

 

 蓮華の視線はある一点に集中していた。

 

「蓮華は何を想像してるのかな~♪」

 

 雪蓮が蓮華に後ろから抱き付いて、からかうように話しに入ってきた。

 

「おっ、お姉様!?わっ、私は別に…//////」

 

「あははっ♪何もしてないから大丈夫よ蓮華。それよりも早く部隊編成して出発するわよ~♪」

 

「あっ!?私はまだ一刀に………」

 

 蓮華は雪蓮に手を引かれ、連れて行かれてしまうのだった

 

「ふぅ……さて、俺も部隊編成に…」

 

「一刀」

 

「んっ?……どうしたんだ冥琳?」

 

 一刀も部隊編成に行こうとしたところで、冥琳が声を掛ける。

 

「雪蓮のことをお前に押しつけて済まなかったな」

 

「別に気にしてないよ。結局俺は何もしてないしな」

 

「おおかた二人っきりになったら策殿が甘えてきたのじゃろう」

 

 祭が二人の会話に加わってきた。

 

「祭さん!何でそれを………もしかして雪蓮のこと気付いてた?」

 

「うむ。儂と冥琳以外は気付いておらぬようじゃがな」

 

「そっか………」

 

「どうしたのだ?」

 

「ん~……なんて言うか、お互い分かりあってる感じがするとでも言うのか…それが羨ましいな…って。正直俺も気付いてなかったし」

 

「私と祭殿は雪蓮との付き合いが一番長いからな」

 

「そうじゃな。まぁ、その様な話はまたにして儂らも部隊編成に取り掛かるかの」

 

「「そう(だな)(ですね)」」

 

 そして各自部隊編成に取り掛かっていき、しばらくして行軍が再開されるのだった。

 

 

 

「あはははは~~~♪」

 

「「「「………………」」」」

 

「………忘れてた………」

 

「何を忘れてたんですか~?」

 

「あっ、いや……何でもない//////」

 

「そうですか~。えへへ~♪」

 

 蓮華たちとの再会でいろいろあり、一刀はすっかり穏と同じ馬に乗るということを忘れていたのだった。

 

「む~~、なによ一刀ってば!シャオっていう可愛い妃がいるのにあんなに鼻の下伸ばして~!!あ~~~!!穏!一刀にくっつき過ぎ~!離れろ~!!」

 

「穏様は敵……穏様は敵……穏様は敵……いえ……巨乳は敵……巨乳は敵……巨乳は敵……」

 

「みっ、明命………」

 

「………ソウ…ソウイウコトダッタノネ………カズトハダレニモワタサナイハ………フフッ、フフフッ、フフフフフフフフ………」

 

「蓮華様?………蓮華様っ!!」

 

「はっ!!……私は何を……」

 

「蓮華様、大丈夫ですか?」

 

「ええ。私は大丈夫よ思春(…いったい何だったの…)」

 

「そうですか(……北郷ぉ……)」

 

 思春は睨むように一刀を見る。

 

「ははは………」

 

 思春と目があった一刀はぎこちなく笑顔を作るが………

 

「ふんっ!!………」

 

 思春にそっぽ向かれてしまうのだった。

 

「うわぁ……これはちょっと困ったわね……」

 

「どうするつもりなのじゃ?策殿」

 

「ん~……とりあえず穏には一刀と一緒に馬に乗るのは初戦までって言っておいたけど……」

 

「あら、それは初耳ね。いったいどうしてかしら?」

 

「黄巾党の本拠地には諸侯たちが集まっているのに、そんな場所へこのまま行くわけにもいかないでしょ」

 

「ちゃんとわかっているようね」

 

「む~……謀ったわね~……冥琳のいじわる!」

 

「ふふふっ♪でも、ほんとにどうするつもり?雪蓮」

 

「一刀に何とかしてもらいましょ♪……と言うより、一刀に何とかしてもらう以外思いつかないわ」

 

「「………そうね(じゃの)」」

 

 三人とも自分たちでは為す術がないといった感じで蓮華たちを見るのだった。

 

 ひとまず一刀に任せるということで、そのまま軍を進めるのだった。

 

 

 

 

 しばらく軍を進めていると………

 

「申し上げます!前方に黄巾党の分隊を発見しました!向こうもこちらに気づき、城を出て布陣を開始しております」

 

 前方に放っていた斥候が戻ってきて、状況を報告する。

 

「わかったわ。後ろへ下がって休んでなさい」

 

「はっ!失礼いたします」

 

「各自戦闘準備を。先鋒は任せたわよ。祭」

 

「承った!思春、明命、行くぞ!」

 

「「御意!(はいっ!)」」

 

 祭が思春と明命を引き連れて前線部隊と合流しにいった。

 

 そして、各自戦闘準備に取り掛かっていった。

 

 

 

「蓮華様!皆様、部隊の展開が完了したようです」

 

 亞莎が各部隊からの伝令の報告をまとめ、蓮華に伝える。

 

「ありがと、亞莎。……ではお姉様、お願いします」

 

「ええ。……勇敢なる孫家の兵たちよ!」

 

「目の前に広がるは人を人とも思わぬ賊の集まり!」

 

「これからの呉のため!平和を願う民のため!我ら孫呉の武を奴らに見せつけよっ!!」

 

「剣を抜け!槍を持て!突撃せよっ!!」

 

「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~っ!!」

 

 雪蓮の号令を合図に、前線部隊が雄叫びをあげながら黄巾党に突撃していく。

 

“ギンッ!ギ―――ンッ!!”

 

 戦場のいたる所で甲高い金属音が鳴り響く。

 

「黄巾党をなめるな~~~~!!」

 

“チリーンッ……”

 

「次……」

 

 鈴の音が聞こえた場所には悲鳴すら上げられず、頭と胴を切り離された屍が転がっていた。

 

「さすが思春様ですっ!私も負けてられませんっ!それに…」

 

「貰った~~!」

 

「甘いですっ!」

 

“ヒュッ”

 

「なっ!?」

 

 明命が油断していると見た黄巾党の兵が切りかかるが、剣は空を切るだけであった。

 

「どこにいった!」

 

「こっちです」

 

「そこかっ!」

 

“ヒュンッ”

 

「ぐあぁぁっ!!」

 

「なにぃっ!!」

 

「終わりですっ!」

 

“ザシュッ”

 

「ぎゃあぁぁ~~!」

 

 明命は敵を撹乱しながら、時には同仕打ちを誘い、敵を殲滅していく。

 

「獣となり果てた賊共よっ!儂が射殺してくれるわっ!!」

 

“ヒュンッ、ヒュンッ…ヒュンッ”

 

「ぎゃ~~~!!!」

 

「ぐぁ~~~!!」

 

 祭は次々と矢を放ち、的確に敵の心臓を射抜いていた。

 

「我等も続くぞっ!!」

 

「「「「「応っ!!」」」」」

 

「おおおぉぉぉぉぉ~~~~~~!!!」

 

 祭たちの戦いぶりに後押しされるように兵たちは士気を高め、黄巾党の群れへ次々と突撃していった。

 

 最早戦場の様子は誰の目から見ても圧倒的であった。

 

 そして……

 

「敵が崩れたっ!亞莎っ、冥琳たちに伝令を……」

 

「その必要はないわ。……ほら」

 

 敵が崩れ、蓮華が亞莎に伝令を放つように言おうしたのを雪蓮が遮り、戦場をよく見るように促した。

 

「……さすがですね。それに一刀も……」

 

 左右に展開していた一刀・冥琳・穏たちは、敵が崩れた一瞬の隙を見逃さず、既に包囲を狭めて、横撃をしかけていた。

 

「さっ、私たちも行くわよ!」

 

「「はいっ!」」

 

 崩れ去り、ただ逃げ惑うだけの黄巾党など最早相手にもならず、被害を最小限に抑えて、圧倒的勝利を持って初戦を終えるのであった。

 

 

 

 戦が終わって合流した一刀たちは、一部隊だけ物資・戦利品の確保のために、もぬけの殻となった黄巾党の陣地に向かわせ、残りの部隊を引き連れて黄巾党本隊の籠もる城に向かって軍を進めるのだった。

 

「あぁ~あ……結局私の出番なんてほとんどなかったじゃない」

 

「それが当り前です!王自ら暴れることの方がどうかしてます!」

 

 雪蓮の言葉にすかさず蓮華が釘を刺す。

 

「でもさぁ……」

 

「お姉ちゃんはまだいいよ……シャオなんて全然出番がなかったんだから!せっかく一刀にいいところ見せようと思ったのに~」

 

「シャオ!あなたまで何言ってるの!」

 

「だってぇ~……」

 

「はははっ♪蓮華も大変だなぁ」

 

「ふふっ♪そうだな。だがとても嬉しそうにしておられる」

 

「うん……」

 

 一刀たちも嬉しそうに三人のことを見つめていたのだった。

 

 そして状況確認や、他愛のない話をしながら軍を進めていくうちに、いよいよ黄巾党の本拠地の近くまでやってきた。

 

 

 

「華琳様」

 

「どうしたの?桂花」

 

 華琳と呼ばれた者は曹操、桂花と呼ばれた者は荀彧である。

 

「この地に新たな部隊が到着した様です。旗標は孫。恐らく袁術の客将になっているという、孫策かと」

 

「そう。……猿が英雄を飼うなど、不愉快千万だったけど、それももう終わりということね」

 

「どういう意味でしょうか?」

 

「言葉通りよ。……最早、黄巾党は風前の灯火。それを理解している諸侯はこの地に集まっているでしょう?」

 

「はい。……戦略眼を持った者ならば、この好機を逃すはずがありません」

 

「そう。それなのに袁術は功名の場を放棄して西方に向かった。逆に孫策は寡勢ながら賭けに出た。……そしてその賭けは成功するでしょうね」

 

「諸侯が集まれば、黄巾党の本隊がいかに多くとももはや敵ではない。……そういうことですか」

 

「ええ。我が軍然り、袁紹、公孫賛、それに義勇軍ながら数々の武功をあげる劉備。そこに孫策が加われば、もはや賭けとは言えない確実な戦いになるのは当然。そして孫策の評判は益々上がる。……そうなれば黄巾党の乱の後、大陸を覆うであろう群雄割拠の時代に有利となる」

 

「その好機を逃さず、独立を果たす。……そうなるとお考えなのですね」

 

「ええ。さすが江東の虎と謳われた孫堅の娘。……楽しみが増えたわね」

 

「御意。……今後、孫策周辺に細作を放ち、情報を手に入れておきましょう」

 

「よろしく」

 

 曹操は知らない。いや、知るはずもない……本当の袁術がどういう者なのか……そして、雪蓮たちがどのように動こうとしているのかを………

 

 

 

「予定通り…ってことでいいんだよな?」

 

 一刀たちの目の前には、巨大な敵城を囲むように配置された諸侯の軍勢が広がっていた………前の外史と同じように………

 

「ああ。前と同じ状況であること……それを願っていたのだからな」

 

 一刀の問いに冥琳が答える。

 

「そうだったな………」

 

「どうしたの?一刀」

 

 少し暗い表情になる一刀に雪蓮が声を掛ける。

 

「……俺達はこうなることを知っていた……そしてこれから先も……それが卑怯だなって少し思ってさ」

 

「確かにそうね……でも、私たちは既に前とは違う行動をしてるわ。一刀が前に言った…いれぐらあ…だったかしら。些細なことでは大きな変化は見られなかったけど、これから先、どうなるかわからない……だったら前と同じように動いてくれるなら、それに合わせて前と同じように動きましょ。それに元々はそうするつもりだったんだし」

 

「うん。……雪蓮の言うとおりだよな」

 

「そうよ♪それに袁術ちゃんたちのこともあるんだから…ね♪」

 

「お姉様、袁術がどうかしたのですか?」

 

 袁術の名が出てきたことで、蓮華が尋ねる。

 

「そのことについては少し複雑だから戦が終わってから話すわ」

 

「わかりました」

 

「……ありがとう、雪蓮。もう大丈夫だから」

 

「良かった♪」

 

 一刀と雪蓮は微笑み、見つめ合う……そんな二人を蓮華たちは複雑な思いで見つめるのだった。

 

「さてっと……最後にもう一度簡単な確認をするわ。冥琳、お願い」

 

「ええ。まずは祭殿が陽動部隊、思春と明命が潜入、工作部隊を」

 

「「「うむ(はっ!)(はいっ!)」」」

 

「城内が騒ぎだしたら雪蓮は祭殿と合流して城内へ突入」

 

「ええ」

 

「蓮華様と小蓮様は後方に待機を。ただしいつでも動けるようお願いします」

 

「「わかった(は~い♪)」」

 

「亞莎は蓮華たちの補佐を」

 

「はい」

 

「私と一刀、穏で雪蓮たちを援護するとともに最後の総仕上げを行う」

 

「「うん(はい~♪)」」

 

 簡単に確認を終えた一刀たちは陣地を構築して、夜を待つのだった。

 

 

 

「ふぅ………………作戦開始まであと少し…か」

 

 一刀は自分に与えられた天幕から出て来て月を見上げていた………

 

「そういえばあの時……」

 

 一刀は月を見上げながら前の外史のことを思い返していた………とそこへ蓮華がやってきた。

 

「……一人で何をしている」

 

「ん~……考え事かな」

 

「何を考えている……?」

 

「どうすりゃ生き残れるか。……かな?」

 

「………ふふふっ♪」

 

「はははっ♪……懐かしいな」

 

「そうね………………ありがとう…一刀。あなたのおかげでまたお姉様に会うことが出来た。それがすごく嬉しかったわ。お姉様は相変わらずだったけどね。むしろ前よりひどくなってる気がするわ」

 

「はは……確かに相変わらずだけど、雪蓮もきっとすごく嬉しかったはずさ。嬉しかったからこそやりすぎてしまったんだろうし」

 

「……そうかもしれないわね。……でも、戦の時は驚いたわ」

 

「何が?」

 

「あのお姉様が戦の時に前線に突っ込まず、おとなしくしてるんだから」

 

「ああ、そのことか……」

 

「一刀は驚かなかったの?」

 

「約束してもらってたんだ……絶対前線には突っ込まない…ってさ」

 

「そうだったの」

 

「もう一度雪蓮に出会うことが出来た……俺は二度と雪蓮を失いたくない……ずっと雪蓮と一緒にいたい……」

 

「そう………(やっぱり一刀はお姉様のことを………)」

 

 一刀の独白を聞いて、蓮華は少し寂しそうな表情になる。

 

「雪蓮だけじゃない……冥琳も……それに、雪蓮、蓮華、冥琳、祭さん、穏、シャオ、思春、明命、亞莎……皆が俺の傍にいてくれる、ずっと一緒にいる……それが俺の願ったことだからな」

 

「一刀………」

 

「さっ、もうすぐ作戦開始だ。皆の所へ行こう」

 

「そうね」

 

 そして二人はその場を後にするのだった。

 

 

 

「それでは作戦を開始する。祭殿、お願いします」

 

「応っ!黄蓋隊出るっ!儂についてこい!」

 

「はっ!」

 

 祭が陽動のために部隊を引き連れ、正門へ向かう。

 

「思春、明命、行け!」

 

「「はっ!(はいっ!)」」

 

 続いて、思春と明命が精鋭部隊を引き連れて、潜入のため闇に紛れていく。

 

「それじゃあ私は祭の後ろで待機してるわね。孫策隊、出るぞ!」

 

「応っ!」

 

 雪蓮も部隊を引き連れて正門へと向かっていった。

 

「蓮華様たちは後ろへお下がりください」

 

「わかった。……行くわよ、シャオ、亞莎」

 

「「は~い♪(はい)」」

 

「俺達は動きがあるまで待機だな」

 

「「そうだな(ですね~)」」

 

 しばらくして正門の方から、腹に響き渡るほどの鬨の声が上がった。

 

「始まったか!」

 

「まだだ!火の手が上がっておらん」

 

「くそっ!まだか……」

 

「一刀さ~ん、深呼吸でもして少し落ち着きましょうか~」

 

「そっ、そうだな……」

 

 穏に言われて、一刀は心を落ち着ける様に深呼吸を繰り返していると………

 

「周瑜様!城の内部から火の手が上がりました!」

 

「よし!一刀と穏は左翼前線へ!」

 

「了解!」

 

「陸遜隊、行きますよ~」

 

「応っ!」

 

「周瑜隊は右翼前線へ!黄巾党を殲滅する!一人も逃すなっ!」

 

「応っ!」

 

 ついに黄巾党の乱を終わらせるための最後の戦が始まった………

 

 城内では、混乱に乗じて突入した雪蓮と祭の部隊、潜入していた思春と明命の部隊が混乱する黄巾党の賊共を次々と殺していく。

 

 そしてついに………

 

「敵の大将旗が倒れました!」

 

「よし!今こそ決戦の時!皆の者、黄巾党を根絶やしにせよ!」

 

「おおおぉぉぉぉ――――――っ!!」

 

 雪蓮の檄に、各所で兵が雄叫びを上げて猛進していく。

 

「獣となり下がった賊を人と思うなっ!決して一人も逃がすでない!」

 

「うおおおぉぉぉ~~~!」

 

 祭が兵を鼓舞し、兵もそれに応えるように士気を高めていく。

 

「甘寧隊、追撃する!」

 

「応っ!」

 

「周泰隊は敵側方から横撃を掛けます!我が旗に続いてください!!」

 

「はっ!」

 

 各所で戦っていた兵士たちが、それぞれの指揮官の旗の下に集まっていき、逃げ惑う黄巾党の残党を次々と討ち取っていく。

 

 そして黄巾党は全て殺し尽くされ、戦が集結するのだった。

 

「皆の者!勝ち鬨をあげよ!」

 

「おおおおぉぉぉぉぉ――――――――っ!!!」

 

 兵士たちの雄叫びが空へ響き渡る………そして黄巾党の乱は終わりを告げるのだった。

 

 

 

 戦に勝利した一刀たちは、意気揚々と凱旋するのであった。

 

 今はその途中なのだが………

 

「ふあぁ~~………まだ夜中か………少し外の風にあたるか」

 

 皆寝静まった夜中に、一刀はふと目を覚まし、天幕から出ていった。

 

「ん~~~……」

 

 外へ出てきた一刀は、一度大きく伸びをし、地面に座り込んだ。

 

「ふぅ……」

 

 それからしばらく、一刀はぼーっと月を見上げていた………

 

「……だ~れだっ♪」

 

「おっと………雪蓮、それは抱きつくんじゃなくて目を隠すんじゃないのか」

 

「え~、一刀なら胸の感触で分かるんじゃないかな~って♪」

 

 そう言いながら雪蓮は、一刀の背中にくっついたり、離れたりと繰り返していた。

 

「ぐっ……(否定できねぇし……)//////」

 

「ふふふっ♪……ねぇ、こんな時間に何してたの?」

 

 雪蓮は離れるのをやめて、優しく一刀に抱き付いたまま話し掛ける。

 

「目が覚めたから、ただ月を見てただけだよ」

 

「そう」

 

「雪蓮は寝てたんじゃないのか?」

 

「ん……私も目が覚めちゃったの」

 

「そっか」

 

 そのまま少し静かな時が過ぎる。

 

「そういえばさ、袁術たちのことを蓮華たちに話した時はさすがに驚いてたな」

 

「ホントよね~……蓮華なんて軽く混乱してたみたいだし♪」

 

「だよな~」

 

 既に、戦が終わった後、袁術のことを蓮華たちに説明していたのだった。

 

「まぁ、それに関して、しばらくは明命からの報告待ちってところね」

 

「うん」

 

「……さてっと、そろそろ天幕に戻りましょ♪」

 

「そうだな」

 

 そして二人は寄り添いながら、一刀の天幕へと戻っていった………

 

 翌朝、二人がなかなか起きてこないことで、皆に見つかってしまい、一騒動起きるのであった………

 

 

 

 

 

 

 

<座談会>

 

作者:お久しぶりです!

一刀:久しぶり…ってどんどん更新が遅くなってるよな。

作者:ホントすいませんm(_ _)mしかも頭の中がぐちゃぐちゃで、書いてて何が何だか…

一刀:まぁいいや。それにしてもようやく黄巾党の乱が終わりか。

作者:はい。いや~ホント長かった。

一刀:ほとんど余計な部分だがな。

作者:ぐっ!…戦の部分より、他の部分の方が書いてて楽しくなってつい…

一刀:特に俺の扱いに関してじゃないのか?

作者:その通りです(笑)

一刀:くそっ!…

作者:自分から聞いといて、悔しがってどうするんですか。

一刀:・・・もう少し何とかならないのか?

作者:何とかですか~…う~ん…皆様から愛されてるんだし良いじゃないですか。

一刀:それはそうだけど…

作者:それに最後はいったい何をしていたんですかね~(笑)

一刀:いや、あれはただ一緒に寝ただけで、何もしてねえぞ!

作者:ホントですか~…それに、冥琳様に言われて、雪蓮様と二人っきりになった時もホントに何も無かったんですかね~(笑)

一刀:ぐっ!…ちきしょ~~~………

作者:あっ!!…ちょっとからかい過ぎましたね…でも、逃げ出したら、ホントは何かあったと思ってしまうのですがね~………お相手

   がいなくなってしまったのでこの辺りにて。

   更新が遅くなってしまってホントにすいませんm(_ _)m

 

 

 

 

 


 
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