No.353300

学園✝無双 九話

DOWANNGOさん

九話目投稿です。

2011-12-26 20:33:03 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2579   閲覧ユーザー数:2282

「ふぁぁぁぁぁっ……」

 

授業中、大きい欠伸をつきながら口を手で覆い隠す。

先生が少し睨んできた様な気がしたから少し頭を下げて謝っておく。

昨日の陳さんの誘拐騒ぎから何も変わっていない。

皆変わらない様に接している。

これが友情と言う奴なんだろう。

そう言えば陳さんを誘拐した奴等は依頼されたらしい。

今警察がその依頼人を探しているらしいが一向に手掛かりが見つからないらしい。

まぁ、俺には関係ない話だ。

だが……

 

「彼女達に手を出したら許さないけどな……」

 

俺はそう呟きながら皆を見る。

皆は一生懸命板書をノートに写している。

もし、今回の一件の黒幕が彼女達に手を出したら許さない。

例え誰であっても……殺す。

そんなことを思っていると

 

キーンコーンカーンコーン♪

 

授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

 

「これで授業は終わりじゃ。宿題は無いが予習、復習はきちんとしておくように」

 

「起立!気を付け!礼!」

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

この学校は全ての授業が終われば終わりのホームルーム無しに帰れる。

早く帰ったり、早く部活に行けるようにとの配慮らしい。

その代り貴重品は預けられないので自己責任だ。

 

「そう言えば今日は部活無いんだよなぁ……」

 

何でも学園長と理事長が世界中の良い男探しに出かけたらしい。

まぁ……狙われた人はどんまい、としか言えない。

 

ぶるるるっ、ぶるるるっ

 

マナーモードにしていた携帯が鳴った。(授業中に鳴らさなければ校内で使用しても良い)

ディスプレイには前の学校の悪友の『及川』の文字。

 

「どうしたんだ?」

 

携帯を開いてメールを開く。

メールはこんな文章だった。

 

『かずぴ~!さっき変な筋肉だるま二人が来て友逹が襲われかけたで!

かずぴ~も気をつけろや!かずぴ~はイケメンやからな!』

 

……………………

 

「さて、今日はどうやって暇を潰すかな~

ゲーセンにでも行こうかな~」

 

ゲーセンに男一人で行くのもな~……

 

「良し、ゲームでも買ってそれやろう」

 

寮にはテレビもあるからテレビゲームもできる。

幸いと言って良いのかジジイは金をたくさん送ってきている。

俺が持っているゲーム機も送って来ているからゲームソフトを買うだけで良い。

俺はそんなことを思いながら着替える為に寮に戻る為に立ち上がる。

すると、桃香が俺に近づいてきた。

 

「北郷君、今日暇?」

 

「ああ、暇だけど?どうかしたのか?」

 

「うん、今日はグループで出かける日なの」

 

何もしてないと思ったらちゃんとやることやってるんだな。

 

「グループの皆が集まるのか?」

 

「ううん、都合が良い人だけ。

今日は私、愛紗ちゃん、朱里ちゃん、雛里ちゃん、鈴々ちゃんの五人だよ」

 

「分かった、集合場所は?」

 

「準備が出来次第校門だよ」

 

「分かった、後でね」

 

「うん」

 

俺はその返事を聞いて準備をする為に寮に向かった。

校門

 

準備が終わり俺は校門で待っていたのだが……

 

「寒い……」

 

駄文作者の所為で皆に伝わらなかっただろうけど今は五月。

春だけどまだ少し寒い。

 

「うう……拷問だ」

 

女の準備が長いと言うのはどこでも同じらしい。

そう言えば俺の母親と妹は二時間はかかる為に出かける日は起きた瞬間から準備をさせなくちゃいけなかったなぁ……

そんな思い出を思い出していると遠くから桃香達が歩いてくるのが見えた。

俺は手を振って俺が居ることを知らせる。

すると五人は走って来た。

 

「はぁ……はぁ、待たせちゃってごめんね~」

 

「別に走らなくても良かったのに」

 

俺が苦笑しながらそう言うと桃香は驚愕の表情を浮かべながら文句を言って来た。

 

「え~!そう言うことは先に言ってよ~!」

 

いや、言おうとしたけど手を振った瞬間に走って来たのはそっちじゃん。

と言っても良かったが色々面倒なことになりそうだったからやめた。

 

「それより今日は行く所決まってるのか?」

 

「うん、朱里ちゃんと雛里ちゃんが行く所を事前に決めてくれてたよ」

 

他人任せかよと思ったが二人はあの伏龍鳳雛の末裔。

二人に任せて間違いは無いだろう。

 

「じゃぁ、皆!出発しようか!」

 

「「「おーーー(なのだ)!」」」

某スーパーの服コーナー

 

「こうなると思ってたよ……」

 

女の買い物はまず服からだなんて言うのは分かってた。

しょうがないことだって分かってたんだ。

ただ……

 

「長い……」

 

もう五十分は待っている。

まるで忠犬ハチ公だ。

主人(桃香達)が帰って(買い物を終える)までずっと待って……

 

「俺にそんなことは出来ないな……」

 

主人が帰ってくるまで思い出の場所でずっと待っているなど俺には絶対に出来ない。

だから……

 

「早くしてくれ……」

 

もう耐えられないよ……

 

「北郷君!次も服屋で良い~?」

 

「マジか……」

 

俺は女に強く駄目だなんて言える様な男じゃない。

だから……

 

「良いよ~!」

 

こう答えてしまうんだ……

ホント、弱いなぁ……

ゲーム売り場

 

「ここでもかよ……」

 

女は買い物は長いのは分かってるけどさ……

ゲームを買うのも時間かかるのかよ……

 

「あ!これ新作のゲームだ!愛紗ちゃん!一緒に買おうよ!」

 

「ああ、そうだな」

 

そう言って二人が買ったゲームは人気恋愛ゲームの新作。

やっぱり二人共女の子だからそう言うのに興味あるんだな。

 

「あ!新作の格闘ゲームなのだ!」

 

やっぱり張飛の末裔だな。

武人なだけあって格闘ゲームとかそう言うのは見離せないのか。

 

「諸葛ちゃんと鳳ちゃんは何のゲームを買うのかな?」

 

そう呟きながらあの二人の姿を探す。

 

「お、居た居た……あそこは何のコーナーだったかな?」

 

そう言いながら看板を見てみる。

そこにはこう書いてあった。

 

『女性向けゲームコーナー』

 

「……………」

 

ふ、二人も女の子だしな!

しょうがないよな!

 

「朱里ちゃん!お金足りないよ!どうしよう!」

 

「私もだよ~!二人合わせてもお金足りないし……うう……」

 

うう……放っておけない……

そうだ!あの先には『男性向けゲームコーナー』がある!

そこに向かう途中でお金が足りないと言う会話が聞こえたからと言うことでお金をあげよう!

……怪しく思われないよな?

 

「ええい!そんなことを思う前に実行だ!」

 

俺は自分の頭の中にある不安全てを消し去りゆっくりと歩き始める。

そして、女性コーナーを通りがかった時こんな会話が聞こえた。

 

「この機会を逃がすとしばらく買えない……うう……」

 

「インターネットで出てくるのを待つしかないね……」

 

自然を装え!自然を!

 

「あれ?二人共、どうかしたの?お金が足りないって聞こえたけど……お金足りないの?」

 

「「ひゃい!?ほ、北郷しゃん!?」」

 

驚かれると結構傷つくもんだな……

 

「これは、その、決して卑しい意味では無く!」

 

「そうでしゅ!知的好奇心と言いましゅか!」

 

「そんなに慌てなくても大丈夫だから……

二人共こっちおいで」

 

俺がそう言うと二人は素直に俺に近づいてきた。

 

「目を瞑って左手を出して」

 

二人は素直に指示に従い目を瞑り左手を出した。

俺は財布から一万円札を二枚取り出し二人の手の上に乗せた。

 

「これは二人がいつも真面目に勉強してるお小遣いだよ。

足りなかったら俺はそこら辺を回ってるから言ってね」

 

俺はそう言って少し離れ

 

「もう目を開けて良いよ!」

 

そう言って男性向けゲームコーナーに向かって走った。

途中二人の少女の歓喜の声が聞こえた。

フードコート

 

「疲れた……」

 

俺はホント馬鹿だ……

あの後俺は皆に『持つよ』と言って全ての荷物を持ったのだ。

何でそんなことを言ったのか……

自分のことながら理解不能だ。

 

「まぁ、昔からそう言う性分だからなぁ……」

 

これを治せと言うのは無理な話だろう。

 

「北郷君、お待たせ!後は私が待ってるから行っても良いよ」

 

「ああ、それじゃ、行ってくる」

 

ここのフードコートは色々な和洋中の料理を扱っている。

ある意味何でも日本中のショッピングモール一のフードコートらしい。

選択肢が多いのは良いことだが悩む……

 

「ラーメンにしようかな……」

 

さっき見たら俺のお気に入りのラーメン屋が店を出していた。

あのラーメン屋のラーメンは相当美味い。

そんなことを思いながらラーメン屋の方に向かう。

すると

 

『おい、あの子すげぇな……』

『あの子のどこにあんな量が入るんでしょうね……』

『どっかのフードファイターじゃねぇか?』

 

そんな騒ぎが聞こえて聞こえた方を向くとそこには特大のラーメンの丼を持った張ちゃんが居た。

 

「ちょ、張ちゃん!?そんな量食べられるの!?」

 

「あ、お兄ちゃんなのだ!」

 

スルーされた!?

何かすげぇショック!

 

「お兄ちゃん?どうかしたのか?」

 

「いや……張ちゃんそんなに食べられるの?」

 

「鈴々にとってはこれが普通なのだ!」

 

皆さん聞きました?

俺の肩からへその辺りまである丼を食べるのがこの子にとっては普通らしいです。

 

「そ、そう、落とさない様に気を付けてね?」

 

「分かってるのだ!」

 

張飛ちゃんはそう返事をして俺達の席に歩いて行った。

 

「流石張飛の末裔だな……」

 

俺はそう呟きながらゆっくりとラーメン屋に向かった。

「「「いただきま~す!」」」

 

各々の料理が揃って全員一斉に食べ始める。

因みに皆の料理はこうだ。

 

張ちゃんは大盛りラーメン

鳳ちゃんと諸葛ちゃんはオムライス

劉と関は炒飯

俺はラーメン普通盛り。

 

「そう言えば鳳ちゃん、諸葛ちゃん、さっきお金足りた?」

 

「あ、はい、ありがとうございましゅた!」

 

「おかげでたしゅかりましゅた!」

 

二人はそう言って頭を下げてくる。

 

「別に良いさ。役に立てたんならね」

 

「北郷君二人にお金貸したの?」

 

「ああ、まぁね。ああ、そうだ二人共返さなくても大丈夫だから安心して」

 

「「え?良いんですか?」」

 

二人は俺の言葉を聞いた瞬間二人はそう尋ねてきた。

俺は頷きながらこう答えた。

 

「別に良いよ。さっきも言ったけど役に立てたんならね」

 

俺はそう言いながら立ち上がる。

そして食べ終わった食器を持ってゆっくりと店の方に向かって歩いて行った。

 

食事が終わった後俺達は学校に戻り各々自分の部屋に戻った。

俺は自分の部屋のテレビでテレビゲームをしていた。

 

「よ、ほら……っせ!っしゃぁぁぁっ!」

 

ゲームのラスボスを倒し喜んでいると

 

コンコン

 

「は~い、少しお待ちくださ~い」

 

扉をノックした音が部屋の中に響き俺は玄関に向かう。

そして扉を開くとそこには眼鏡をかけた二十位の男が立っていた。

普通の人から見ればただの優男だが分かる奴が見れば分かる。

こいつは……本職だ。

 

「お前、何者だ?明らかに本職筋だよな?」

 

「流石、『極道界の鬼神』と謳われた北郷一刀殿。

私は山口道音と申す者です」

 

「山口……『熊殺しの山口』が率いる山口組の?」

 

それは五年前の話。

山口組の三代目組長『山口 剛三郎』が川で組員と釣りをしている時熊が襲ってきた。

その時剛三郎は組員を逃がしたった一人で熊と戦い勝ったと言う。

普通ならば自分は逃げて熊の始末は組員に任せれば良いものを自分は組員の為に戦ったことで俺は剛三郎に対し尊敬している。

 

「良くご存じですね」

 

「一度会いたいと思っているからな。

それで?その山口がどんな用件だ?」

 

「はい、ですがその前に入らせていただきませんか?」

 

どうやら他に聞かれてはまずい話らしい。

 

「少し待ってろ」

 

俺は一度扉を閉めて部屋に戻り木刀を持って警戒しながらドアチェーンを外し扉を開けた。

 

「入れ」

 

俺がそう言うと山口は一度お辞儀をして部屋の中に入って来た。

山口の手にはアタッシュケースがあった。

俺は部屋にあるソファに腰掛けて向かいに山口を座らせた。

 

「それで何の用なんだ?そんな物まで持ってきて」

 

「山口組は最近路線変更をしたのは知ってますか?」

 

「ああ、山口剛三郎が海外の敵対マフィアと通じていたんだろう?

そして、剛三郎の息子『山口 道音』……つまりあんたがその後を継いだ。

それからは、それまでのイケイケからはうって変わり商売路線に変更した」

 

「それだけ知っていれば結構です。

我等はある依頼を仲介したんです」

 

成程、話の腰を折られたく無かったのか。

まぁ、話の腰を折られるのはあまり気持ちの良いものじゃないからな。

 

「あなたに依頼するのは殺しの依頼です。

この写真の少女を殺してもらいます」

 

道音はそう言って裏向きに写真を置いた。

俺がその写真を取ろうとすると

 

「待ってください。依頼人は私がこの部屋から出るまで写真を見せるなと言って来たので」

 

「依頼人にそんなの分かるのか?まぁ、良いだろう。

その依頼を受けてやる」

 

「ありがとうございます。では、失礼します」

 

道音はそう言ってお辞儀をして立ち上がりドアに向かった。

俺は少ししてその写真を取って写真を見る。

 

「な……!」

 

俺はその写真に映っている少女を見て驚いた。

何故なら映っている少女が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

劉桃香だったから。


 
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