No.303674

そらのおとしもの二次創作 ~エンジェロイド改造計画 桜井家編 そのさん~

tkさん

『そらのおとしもの』の二次創作になります。
 前回シナプス編3からの続きです。

エンジェロイド改造計画シリーズ
シナプス編1 http://www.tinami.com/view/225446

続きを表示

2011-09-19 21:35:53 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2229   閲覧ユーザー数:2187

 

「ヒヨリの手伝い?」

「この前、野菜をわけてもらっただろ? そのお返しにな」

 その日、家に帰って来たトモキは玄関で照れくさそうに話しだした。

「ふーん。他には誰が手伝うの?」

「さあ? もしかしたら明日は俺だけかもなぁ」

 …つまりそれは二人きり。トモキとヒヨリが二人きり。

 

 

 しばらくニンフの想像をお楽しみください。

 

 

「…ふう、今日はこれくらいにしようか」

「はい、お疲れ様です桜井くん」

「風音は今までこんなに大変な事をしていたんだな。頭が下がるよ」

「桜井くんだってすごい頑張ってますよ。私、これからも両親が残してくれたここを大事にしていきます」

「何言ってるんだよ。これからは俺達の大事な畑さ」

「ふふっ。そうですね、あなた…」

「日和、愛してる…」

 

 

 むっちゅ~~~

 

 

「………トモキ、私も行っていい?」

「はぁ? 別にかまわないけど、お前明日は昼ドラスペシャルを見るって…」

「いいの! 行くったら行くの!」

 

 

 

 

 ~エンジェロイド改造計画 桜井家編

  そのさん だいしぜんのめぐみをかんじよう!~

 

 

 

 

 というわけで、今私はヒヨリの畑で西瓜と格闘していた。

 大きい上に重い。アルファーは軽々と運ぶけど私には大きすぎる。

 それに加えて暑い。照りつける太陽は麦わら帽子など無意味と言わんばかりに私の電算頭脳を加熱してくる。

「アルファー、トモキはどこに行ったかわかる?」

「日和さんの西瓜の出来栄えは見事。来た甲斐があった」

「あっそ…」

 アルファーは西瓜に夢中だ。きっと私達がここに来た目的なんて忘れてしまっているだろう。

「あっづー… ニンフせんぱ~い、本当にあいつと日和さんが仲良くなるんですか~?」

 ぐったりと私にもたれかかるデルタ。重いし鬱陶しい。

「なるわよ。私の電算能力を知ってるでしょ?」

「うーん、そうですけどぉ…」

 わずか数秒で導き出した私の計算に狂いなんてない。

 なんとしてもトモキとヒヨリの仲が進展しないようにしないと。

「最近のニンフの計算は昼ドラ展開がベースになっている。当てにならない」

「アルファーこそ西瓜をトモキとの子供にして悦に浸ってるじゃない。お互い様よ」

「………ニンフ、ここで始める?」

「いいわよ。あとでトモキに怒られるだろうけど、その方が好都合だわ」

 アルファーは西瓜の事になると驚くほど沸点が低い。すでに戦闘態勢だ。

 ここで戦闘になればヒヨリの畑は吹き飛ぶだろう。あまり褒められた手段じゃないけど私の初志は貫徹される。

「だ、駄目ですよ! 本気であいつに怒られちゃいますよ!」

「…そうね。ニンフ、続きは帰ってから」

「それは残念だわ」

 アルファーが渋々と戦闘態勢を解く。作戦失敗。

 でも確かにデルタの言う通り、か。

 トモキは私達が自分以外に迷惑をかけるのを良しと思っていない。ヒヨリを悲しませたら本気で怒られるかもしれない。

「とにかく、トモキを捜しましょ」

「そうですね」

「私はもう少しこの子たちを愛でてから…」

「勝手にしなさい」

 すっかりヒヨリの西瓜に夢中なアルファー。今回に限ってはデルタより役立たずになりそうだ。

 

 

 

 

「それにしてもこの畑、なんかおかしいわね」

「そうですか?」

 デルタを連れて畑の中を歩く。どうもさっきから違和感を拭いきれない。

「…スキャン開始」

 私は慣れ親しんだプロセスで情報収集を始める。

 畑全体から農具、用水路の隅々まで怪しい物を捜していく。しばらくすると予想以上の収穫を見つけた。

「………やっぱり」

「何かあったんですか?」

「ええ、面白い物がね」

 私はデルタにも見える様にそれを手に取った。

「あ、これ」

「ええ、ハーピーの羽よ」

 シナプスのあいつの手足であるハーピーの痕跡。

 この畑にはシナプスが関与している。これが違和感の正体。

「でも、なんで日和さんの畑に…?」

「知らないわ。それよりも先にトモキの安全の確保が―」

 

 

 きゃあああああああ!

 

 

「日和さんの悲鳴!?」

「くっ! 一歩遅かったみたいね!」

 私達は急いでヒヨリの悲鳴が聞こえた方へ走る。

 そこには―

 

 

「うひょひょひょ… 俺のハサミは野菜を狩る物じゃねぇ…」

『そうだサクライトモキ。貴様のハサミは婦女子の衣服を狩る為にあるのだっ!』

 ヒヨリの服を切り刻むトモキと、それを促すシナプスのあいつの声。

 それは私の想像を越えた光景だった。

 

 

「………なんかアホくさいですね」

「そうね。なんでこんな悲劇が起きたのかしらね」

 もちろん皮肉だ。どちらかと言えば喜劇の部類だろう。

 

 

 

 

 同時刻、シナプス。

 

 

「さあサクライトモキよ、そのままベータとデルタの服も切り刻んでしまえ」

『うひょひょひょ… それはいいですなぁ…』

 

「フ。完璧だな私の催眠装置は」

 マスターはモニターの向こうの光景に満足しているらしい。

「あのー。これが作戦なんですか?」

「当然だ。これでサクライトモキは彼女達の信頼を失うだろう。ベータ達も私の元に戻ってくるに違いあるまい」

 そうかなぁ。いつものサクライトモキと大差ない様に見えるんだけどなぁ。

『収穫用のハサミに催眠装置を仕込んでトモくんを操る。うまい手ではあるわね』

「フゥーハハハ! 見たかダイダロス! これでサクライトモキは終わりだ!」

『でもその催眠装置、欠陥品よ?』

「なん…だと…?」

『今こっちでスキャンしたけど、なんとなくそうしたいなーって欲望を解放する程度だから』

「…つまり今のサクライトモキは」

『完全に素ね。あれくらいトモくんは日常茶飯事じゃない』

 あ、やっぱり。

 どうりでダイダロスが妙に落ち着いていると思った。

 

『俺、これが終わったらカオスやそはらの服も切り刻んでやるんだ…』

「待てサクライトモキ! それはフラグだ! というかカオスに手を出せとは言っていないぞ!」

『うるせぇ! 見てぇもんは見てぇんだ!』

「この地蟲(ダウナー)め! どこまで私に逆らうのだ!」

 

 シナプスは今日も平和です。

『さて、仕返しにくるヒヨリの対策でも考えないといけないわね…』 

 その平和は数日も持たないかもしれないけど。

 

 

 

 

『ええい! 言う事を聞けっ!』

「やなこった! てめぇこそ黙ってろ!」

 トモキとあいつは完全に仲たがいしていた。ハサミと口論をするトモキの姿はとても滑稽だ。

「どーします?」

「どーしたもんかしらね…」

 本当にどうしよう。このままほっといてもいい気がしてきた。

「うう… こんなのあんまりです…」

「ヒヨリ、今回ばかりは同情するわ…」

 とりあえずヒヨリに替えの服を渡す。

 最初はヒヨリの邪魔をしようと思っていたのに、どうしてこうなったんだろう?

「そう、こちらの警告なんて無視するんですね… それならこちらにも考えがあります…」

「何か言ったヒヨリ?」

「いいえ、なんでもありません」

 気のせいだろうか、ヒヨリから一瞬どす黒いオーラが出ていた様な?

 

「どっせーい!」

『ぐわぁぁぁ! 石に打ち付けるな馬鹿者! 耳に響くだろう!』

 あっちの争いはトモキに軍配が上がりそうだ。

 さて、そろそろパラダイス・ソングでも打ち込んでまとめて吹き飛ばそう。

 

「どうされたのですか、マスター」

「あ! イカロス先輩危ないです!」

「?」

 遅れてきたアルファーが無警戒にトモキに近づく。

 いけない! このままじゃアルファーがトモキの毒牙に!

 

 

 再びニンフの想像をお楽しみください。

 

 

「うひょーーーー!(ビリビリッ)」

「きゃああああー!」

「はっ!? お、俺はなんていう事をしてしまったんだ!」

「もうお嫁にいけません。責任とってくださいマスター」

「…本当にごめん、俺がどうかしてた。俺でよかったら責任とるよ」

「はい。私、前からマスターの事が…」

「イカロス… 実は俺も…」

 

 

 むっちゅ~~~

 

 

 …美味しいかもしれない。なんとか私が代われないだろうか?(この間1.3秒)

「何してるんですかニンフ先輩!」

「はっ!」

 しまった! つい妄想してタイムロスを!

「うっひょーーーー!」

 トモキがアルファーの襲いかかる! 駄目! このままじゃ私のシュミレーション通りに…!

「…マスター、エッチなのはいけないと日々申しあげています」

「うひょ?」

「…アルテミス、4番から17番まで装填。発射します」

 

 迷わずアルテミスを発射するアルファーによって、ヒヨリの畑に大輪の花が咲いた。

 それはトモキをこの世から送りだす手向けの花になった。

 

 

 

 結局、私達はヒヨリに平謝りして畑の片づけと再生処理に一日を費やした。

 トモキをこのまま畑の肥料にしようという私達の提案をヒヨリは苦笑しながらも断った。

 こういう心の広さがヒヨリの美徳なのかもしれない。

 

 

 

 

 数日後、シナプス。

 

 

 今日もシナプスは平和だ。

 

『訳が分からないよ』

 

「こちらこそ訳が分からんぞ…!」

 マスターが例によって地上の映像作品を見て萌え文化とやらを学んでいるくらいに平和だ。

 ただし、最近のマスターはその作品を見るたびに落ち込んでいるみたいだけど。

「ダイダロス! これは本当に魔法少女という作品なのか!? ゼータが寄こした偽造品ではないのか!?」

『残念ながらそれは正規の作品よ。その辺あの子は律儀なのね。…もっとも、それこそあの子の狙いなんでしょうけど』

 

 その後、なぜかゼータからの仕返しはなかった。

 その代わり、ゼータがサクライトモキから借りてきた魔法少女という映像作品を見るたびにマスターが打ちのめされていくという怪現象が起こっている。

 

「ええい、どいつもこいつも協調性の無い奴らめ。ヒロインも考えが足らんのだ、もう少しうまいやり方を考えろというのに」

 その台詞は鏡を見て言うべきだと思う。

「フ、フフフ。大丈夫だ、マミさんという偉大な先輩を失った挙句、親友まで失うとか洒落にならん展開にはならんさ。ならんに決まっている…!」

『………あたしって、ほんとバカ』

「やめろダイダロス! これ以上不吉な事を言うなぁ!」

 シナプスは今日も平和です。

 

『………独りぼっちは、寂しいもんな』

「ダイダロスゥゥゥゥ!」

 マスターの心を除いて、ですけど。

 

 

~了~

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
3
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択