残念ですね・・な、これまでのあらすじ。
久々の星との再開に自然な笑みが出た北郷であったが。
数時間後、その表情は冷や汗塗れの「ごじひを~ごじひを~」スマイルに変わる。
だが、その思い届かず。
閻魔大王宜しく、「臓器売買契約」如き悪魔の契約書を差し出しサインする様、華琳は脅迫を始める。
「北郷覚悟して、夫の欄に名前を書け!!!」
「春ぅ~~ちょっとまってーええ!!!俺まだ高校生だよ~結婚するのはまだまだはやいって~」
前回から数分後。
逃亡しようとした俺は、華琳の一族で部下でもある。
春、秋姉妹に押さえつけられ無理やり婚姻届を書かされようよしていた。
「秋も春も離してよ!!これ犯罪だよほとんどー!!」
「出来ん!!これは華琳様の命令だ!!華琳様の命は法より重い!!」
うわ~ん!!相変わらずの狂気の忠誠ぷりだよこの人。
常識はずれな事だとしても、主人の言うことに全然逆らわないもの。
狂った命令だした主を注意するもの忠義だよ相馬家事件みたいに~。
あれ?よく考えれば相馬事件ってただの陰惨な御家騒動だったっけ?
と、ともかく。
春も星みたいに、もうちょっと冷静さと常識さを持ち合わせて・・。
「んっ?あるじよ、いかがしました?」
「お茶、飲んでくつろいでる!!」
主が大変なのにーなにしとるんだこの部下は!!
あそこまでの冷静さはいらん!!
「そ、そうだ。あ、秋~秋は常識あるから離してくれるよね」
「ふむ、これが無茶苦茶なのは理解してる」
「さ、さすがは秋!!」
「がっ・・諦めろカズト」
常識あるって言おうとしたら・・諦めろって言われた。
「あ、秋~さ~ん!!」
「私にも生活があるんだ。華琳様に逆らえば村八部だからな・・」
生活のためだ・・みたいな達観した顔しないで。
そんなのただの逃げだよ、暑苦しい正義主人公からすれば。
「の、残りの2部・・そ、葬式と火事の消化はしてもらえるから!!」
「そんな二つのみ生きてられるか・・とにかく諦めろ」
そ、そんな~なんだよこの人たち!
誰も常識と良心なんてもんを持ち合わせてない。
「カズト・・聞きないさい。そもそもあなたが悪いのよ」
「いやぁーなんかききたくない」
しかも、常識外れの王様(華琳)が、腕を組み俺を見下ろし死刑を宣告しだした。
もちろん、宣告がよく聞こえるように両手は春、秋姉妹に押さえつけられてる。
「あの事件が起きたのは・・二年前、私たちの中学卒業が近づいていたときだったわよね」
「・・じ、事件ってほどじゃなかったような」
「北の私の家と、中央の北郷家・・この村の名家同士の両家は前からの約定通り正式に許嫁関係になる事を決めた」
「い、いやっ・・前からの約定っていっても、お互い両親早死にしてて・・華琳が急に持ち出した一枚の書面しか証拠が」
「私も貴方となんかと許嫁になりたくなかったけど、死んだ両親の最期の願いを叶え様と苦渋の決断をしたわ」
「・・えーと、その書類一枚でウチにわざわざ乗り込んできた華琳の台詞とは思えないんですが」
そんなにいやなら、そもそもその場で焼けばいいのに。
「それからは大変だったわ・・こんな縁が無駄に重視される田舎。願ってない許婚という関係の為に、この村の有力者達に貴方を連れ頭を下げ続ける「お知らせ」の日々」
「なんか・・外堀埋めて本丸落とす的な感じだったんだけど」
てか、有力者以外にも中学の同級生や、転校してきたばかりの小山君にも「お知らせ」してたし。
小山君は『えっ・・あ、ああ・・おめでとう。あ、あのさ、でも君達そもそも誰かな?』って、なんともいえない顔しながら言って困ってたじゃないか。
「その私の苦労のおかげ、村のすべての人は私と貴方の関係を認めてくれた・・だけど、その誰もから祝福された状況こそ悲劇の始まりだった!」
「・・祝福っていうか、「あーそうなんですか」って反応がほとんどだった気が。さすがに田舎でも今に時代「許婚になりました」って言われてもポカーンとするしかないし」
「そう!!・・貴方が私との許婚発表を公民館で正式する直前、貴方は東京の高校に逃げた!!」
「・・そんなんで公民館貸し出すなんて田舎ってやっぱどうにかしてる気がする」
祭りの準備とか、そーいう公的な要素でつかいなよ。
「その後よ、その後が問題なのよ!!わ、私は「行かず後家」とか!!新郎を式場で連れ去られた新婦とか!!そんな事をこの年齢で言われてるのよ!!」
「そ、その件はわるかったよー」
無理に婚姻進めようとした華琳にもだいぶ問題あるけど。
「行かず後家」とか「新郎を連れ去られた」とか・・それは可哀想ださすがに。
「簡単に謝らないで!!!!!!わたしの完璧な人生に傷を付けたこの罪を!!」
「で、でも・・だって、俺も都会に本気でいきたかったんだもんーー!!」
しかも、華琳そんなに完璧な人生進んで無いじゃん。
小学校の時、何人の男子を泣かせたものか(暴力で)。
「いきたかったんだもん~じゃないわよ!!!この罰として殺してでも婚姻して貰うわ!!!」
「こ、殺してでも!?は、発想がぶっ飛んでるよ華琳!!・・しかも、なんでまた婚姻するの」
まったく、めんどくさいなー!!
「カズトとの結婚なんて本来はどーでもいいわ・・でもね!わたしの不名誉なあだ名を払拭するにはもう貴方と結婚するしかないの!!」
「そ、そんなプライドの問題だけで結婚しようなんておかしいよー!!」
「ここは田舎なのよ、家同士の為に政略結婚なんてざらよ・・だから私たちは幼い頃から許婚だったんだし」
「そ、そーいうのも嫌だから、都会に逃げたんだよ」
もう・・ほんとにめんどくさいよー!!この人。
とはいえ、しつこいから適当な事言わないと永遠にこのままだし・・。
「そ、そうだ!お、俺、今判子持ってないから~婚姻届作るの無理だよ!」
「大丈夫よ・・コレがあるわ」
家にあるしね~的な事を言おうとしたら止められた。
なんか自身満々というかニヒルな笑顔で。
「コレって?・・げっ!お、俺の判子、ど、どこから!!」
「あなたの家から拝借したわ」
なに続けて、自身満々+ニヒル顔しとるんだこの人!!
「ふ、不法侵入だ!!犯罪だ!!」
「大丈夫よ、この書類が成立した時点で私は妻・・不法侵入にはならないわ」
「ど、どんな発想で、罪にならないって行き着くんだ!!」
法の不遡及が驚愕の、後でどうにかすればOK発想だよ!!
「大丈夫、指紋は残してないわ・・ねえ、春に秋」
「春、秋!?き、君ら犯罪に手を」
染めたの・・後、指紋って実は「罪」にはなっても「罰」を受けないよう万全の注意してるし=犯罪行為って自覚あるし。
「華琳様の為だ」
「生きていくためだ」
なに淡々と答えてくれちゃってるんだこの姉妹。
と、とにかく・・酷い・・。
「華琳!!春は華琳狂ってるから運よければその手の病院兼収監所送りですむけど。秋なんてまともな娘を刑務所に送るつもりか!!しかも、自分では手を汚さずに!!」
特に秋はあんたら3人の中で唯一まともだから、色々と俺は世話になってるんだ。
そんな娘を犯罪者にするとは・・。
「なにいってるの。私はあの娘達だけに犯罪になりかけな事させないわよ」
「えっ?・・どういうこと?」
あと・・犯罪に「なりかけ」じゃなく「なってる」ぞ。
「カズトの部屋、私も一緒に入ったのよ」
「なっ・・!?」
なにを・・。
「なんか汚い部屋だったわ・・いやらしい本、ゲームとティシュだらけの」
「な、なっ・・!?」
ほ、ほんと・・なにを・・!
「あと・・今のうちに聞いとくけど?」
「なっ、なななな・・・!?」
なっ・・なっ・・・なっ!!
「いやらしい物・・二次元ばかりだったけど?大丈夫かしら虚構と現実」
「な・・・なにしとんじゃああああああああああああーーーー!!」
結局、
「ゲーム、漫画=虚構と現実の区別が出来ない子」
という、差別のような・・犯罪は絶対しないけど若干当たってるような気がする。
論を、俺はそうじゃない誤解(AKBよりアニメキャラが大差で好きではあるが)と説明しつつ、華琳以下の三人に婚姻書類作成「強制執行」をぎりぎりいなしながら。
俺が華琳の屋敷から開放されたのは、鈴虫なく時間帯であった。
「いつつつ・・・・春に抑えられた右手が齋藤君(制作当時痛めてたんだよ~)状態だ」
秋と違い全力で押さえてたからなー春めが。
「大丈夫ですか、あるじよ」
「大丈夫ですかって心配してる顔じゃないよ・・星」
メッチャくちゃ笑ってるし・・。
「というか・・俺あんな目あってたんだから助けてよ」
「申し訳ないが、今日は華琳殿と約定があって手をだせなかったのですよ・・あるじよ」
「約定?」
「まあ、到着したばかりのあるじをすぐさま華琳殿の屋敷に連れていく、今日1日華琳殿のやることには口も手も挟まない・・そんな感じで」
「な、なんでそんな約束を・・・」
「まあ、色々とあるのですよ」
「いやっ・・その色々と聞きたいんだけど」
その色々のせいで、俺こんな目にあってるんだし。
「・・そーいえばあるじよ、虚構の世界に生きてはいけませんぞ」
「わかりやすく、話題を変えたね・・あと虚構の世界にはいってません」
「そうですな確かに話題を変えました・・なら、あるじよ分りますな」
「その話題はこれ以上聞いても答えないって事だよね」
「さすがは・・あるじ」
「星とも長いからねー自分に都合の悪い事は一切喋らない事は経験から知ってる」
昔からそーなんだよな、星は都合の悪いことは一切喋らない。
「むっ・・そーいわれると不愉快ですな。わたしはあるじのことを思って黙っているのですが」
「そーいいながら、何度俺の大切なおもちゃが隠され隠遁されてきたことか」
「壊してしまった、もう直らないというより。元々存在しなかった、消えた、天に帰ったという方が心にやさしいではないですかあるじよ」
「そりゃあ・・持ち主本人が壊した場合はね。でも、壊した本人の星に言われても」
「あれは私が壊したのではなく、私の腕が勝手に」
「・・もういい。思い出したけど・・星を口撃して勝った記憶が無い」
星は口がとてつもなく達者だ、加えて最終手段に「人のせいにする、そのような曲がった根性叩きなおさねばいけませんな・・あるじよ」って暴力で俺の口を塞ぐって言う手段も持ってるし・・勝ち目は0だ。
「それが、最良ですな・・でっ、あるじよほんとに大丈夫ですか虚構?」
「だから・・大丈夫だって、一応アッチの高校じゃリアルの人に恋したりしてるし」
「ほう・・それはよかった。我あるじが妄想世界の住民になるのではないかど戦々恐々としておりましたぞ」
「妄想世界って・・。大体華琳の言ってた話が脚色大有りなんだよ、俺の部屋にはそんなにいやらしい本はないし、使用済みティッシュも無い」
「はぁ~・・あるじよ50冊もあるのは「そんなに」とは申しませんぞ」
「あ、あれは!友達に借りたのとか含めた場合で!!」
ふ、普段は10~20ぐらいで。
・・あれ?
「ねえ、なんでいやらしい本の冊数知ってるの星?」
「なんでって・・華琳殿が」
「華琳・・冊数には言及してないんだけど」
「・・・・」
「えーと、ここ二年・・俺たち会ってないよね」
「・・・・」
「ほ、星?・・なのになんで俺の部屋に入らないと分らない事実を知ってるの」
「・・・・」
「おーい、星?」
「・・・・」
「もしかして・・俺の部屋勝手に?」
「・・・・」
結局、俺の実家に付くまで星はそのまま黙秘を続けた。
だから・・なにも分らない。
でも・・。
なんか・・分らないけど。
俺が今日1日会話した人って犯罪者のみ?
明日があるのだろうか・・な、次話予告。
二日目、朝起きたら違う人の家だった。
ついに虚構世界に浸りすぎて自分の家(リアル)すら分らなくなったのか北郷・・。
次回
虚構と現実の狭間で北郷は謎の敵「竹の子狩り」姉妹こと雪、蓮姉妹に出会う。
戦いの一瞬の輝きは人の灯火だ・・。
夏恋無双 2話終
あとがき・・というかお知らせ。
次話は、9‐12時の間ぐらいに投稿予定です。
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アレな内容ですが、耐性あればよどうぞ。
現代日本の田舎を舞台に繰り広げられる有り触れた日常を描くssです。
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