No.264675

ようこそ! きのこ駅前商店街へ! #8 夢

enarinさん

○ボーカロイド小説シリーズ第2作目の”ようこそ! きのこ駅前商店街へ!“シリーズの第8話です。  ☆今回は特別編成です。マスターの“レン”、ウェイトレスの“ルカ”が営んでいる喫茶店“LEO”を中心に、ボカロ達の日常が展開・・・していたSDF系ジュブナイルです。
○マルチエンディング形式です。

2011-08-08 12:33:39 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:340   閲覧ユーザー数:336

<ようこそ!、きのこ駅前商店街へ! 第8話 夢>

 

(支配世界・木之子神社前)

 

め~こ人形:こ、ここが、リンさま、レンさまがいる、きのこじんじゃです。

がくぽ:案内ご苦労。

ミク:や、やっぱり、案内が終わったら・・・。

カイト:僕たち、お払い箱ですか?。

め~こ人形:(((( ;゚Д゚)))

 

がくぽ:いや、地の世界から来た“君たち二人”と、天の世界で作られた“め~こ人形”には、それぞれの世界の代表として、これからの展開の“証人”になって欲しい。僕たちは君たちに一切手を出さない。代わりに、君たちは、これから一切、僕たちやリン&レンに協力しないで欲しい。君たちは“第3者”としての立場を守って欲しいと思う。いいかい?。

 

3人:はい。

 

がくぽ:協力感謝する。準備いいかい?、ルカさん?。

ルカ:はい、遂に最後なんですね。

がくぽ:ああ、「天」の世界の守護神、リンとレンだ。あ、おそらく彼らも私と同じような事を考えているだろうから、その分霊刀は鞘に納めていて良いよ。私もむやみやたらに剣を抜くつもりはない。そういう動作をするつもりもない。

ルカ:わかりました。

 

がくぽ:では、行くぞ!。

ルカ:はい!。

 

(支配世界・木之子神社・リン&レンの制御エリア)

 

リン:到着おめでとう、『地』の者達。

レン:ここが終点だ。

 

二人は“その場所”に腕組みしながら並んで立っていた。

 

ルカ:な、何ここ!。神社じゃなかったの?。機械とモニターだらけじゃないの!。

がくぽ:支配世界側の商店街のここで、商店街の全員を監視し、商店街から出ない事を含め全ての制御をしていたわけか。

 

リン:そう。ここが、私たちの大本“鏡音の霊木”の裏世界、天の世界の制御エリア。

レン:モニターは切り替え式だが、あの商店街のほぼ全員分、映し出せるようになっている。結界で見えなかった、がくぽ、お前の店内を除いてな。

 

ルカ:マ、マスター!!!。

レン:ルカさん、何故“ココのこと”に疑問を抱いてしまったんですか?。商店街は平和その物だったでしょ?。ここでの貴方達の生活はここで制御しているから、なんの問題もないようにしているんですよ?。私の喫茶店で働く貴方は、活き活きしていましたよ?。貴方だけじゃない、商店街の住人達は、何らかの行動を起こして、人間らしい生活をおくっていたんですよ?。

 

がくぽ:地の世界という、自分がいた場所から引き離され、ここに囲い込まれて制御されて生きている人間の生活の、どこが“人間らしい”というのだ!。

 

リン:それはここにいる住人の“各自”が個別判断することであり、“あなたの考え”が全てではない。・・・そうそう、“推測好き”のあなたからルカに伝えられた、“私たちの事”、の中で推測部分があったはずだから、まずそこを“上書き修正”しておかないと、ルカさんの“最後の決断“に公平性を欠くことになるわ。

レン:異論はないな、がくぽ。これは我らも持っている、当然の“権利”だ。

がくぽ:いいだろう。では、ルカさんからお前らに質問して貰う事にする。ルカさん?、私から聞いた話の中で『推論、憶測』になっていた部分をピックアップして、彼らに訊いて情報を得て欲しい。いいね?。

ルカ:はい。

 

ルカはがくぽの話を思い出しながら、“該当個所”を抜き出して、質問していくことにした。

 

***

 

ルカ:ではまず、推測部分を含めて、あなた達の“存在の真実“を聞かせて。

 

レン:僕たちは、「10年前」、ここが出来た時に、あの2本の銀杏の木から『天の世界の守護神』として人間の姿で、ここに誕生した。というかそれ以外考えられない状態で、二人とも目が覚めた。目の前に立っていたのは、10年前の時点での“商店街の建設計画書”が張ってある立て札と、作りかけのアーケードの入り口と、この神社と、駅と、駅へ通じていた道路だけ。あとは更地。

リン:それが私たちが知っている“私たちの事”。

 

がくぽ:たったそれだけなのか?。

 

リン:それだけ。あなたは私たちを半分敵視しているけど、こっちだって色々あったのよ。守護神だから歳を取らないけど、人間として生まれたのだから、当然こんな状況なら“寂しい”と思うわよね。

 

ルカ:そ、そうです!。次の質問です!。私はここへ“来てしまった”のですか?、やっぱり、“寂しい”と思っていた、あなた方に“連れてこられた”のですか?。

 

リン:がくぽは、“私たちがココを充実させるために、あなた達をここへ誘導して連れてきた“、と語ったのですね。

レン:それは違うよ。僕たちは、地の世界から人をここへ誘導する”能力“を持っていない。

 

がくぽ:なに?。じゃあここへ人を誘拐してきたのは、一体誰なんだ?。

 

リン:知らないわよ!。その手がかりになるか解らないけどエピソードはあるわ。誕生して困っていた私たちは神社へ行ったわ。そうしたら突然、今のこの“支配世界”に変化して、この制御室にいました。モニターにはなにも映らなかったんだけど、コンピューターで合成したような声で、連絡があったの。『声:これからどんどん、人がここに来るから、“開拓村を発展させる”ように頑張って欲しい』、って。

レン:僕たちは、その言葉の通りに、“自然にここに来た人”、を歓迎し制御することで、この商店街を今のようにしてきたんだ。

リン:それと商店街の発展は、私たちの制御が全てではないの。ここに来る人は皆、フロンティア精神旺盛だったの。だから商店街から出なくて良い生活の部分だけ制御する程度で、皆“自分の意志”でここをこうしていってくれたわ。決して“私たちの策略”じゃないの。

 

ルカ:じゃぁ次の質問。ここに来る途中、何人かの“刺客”と戦闘したわ。あれはどういう意図で、し向けたの?。

 

レン:あれは君たちのデータを取るためだけに使った。あなたとがくぽの“予想”戦闘力から考えて、まず勝てると思っていたからね。特にルカさん、君の成長には驚いているよ。

リン:データだけど、私たちはあなたを疑ってなかったの。だから、あなたが気づく前までは、それほど細かくデータを得ることもしなかった。がくぽの店内は結界で見えなかったから、こちらもデータが0に近かった。

レン:しかし、命に関わるであろう戦闘をさせてしまったことは、素直に謝る。

リン:ごめんね。

 

ルカ:では、最後の質問。これはこれまでの話から90%わかるけど、あなた達がこの世界を地と天にスプリットしたわけではないのね?。

 

リン&レン:違います。

リン:わかると思うけど、スプリットされたこっちで私たちは生まれたんだから、

レン:当然、僕たちは“スプリットした張本人によって生み出された”わけだよね。その張本人は私たちもがくぽも知らないわけだ。

 

がくぽ:それには同意する。私も知らない。

 

レン:よし。では、話を進める事にする。ルカさん、がくぽ、ここからは、核心に迫る内容だから、真剣に聞いて欲しい。

ルカ:はい。

がくぽ:わかった。私も初志は“話し合い”だったからな。

 

レン:これはこちら側の調査結果なのだが、ルカさん、貴方の天の世界への影響力は、ここの住人や私たち、そしてがくぽをも越えているんだよ。影響力とは、ここの事象への干渉力、人々と関わる社交性とカリスマ性、他数多くのステータス全てを意味する。

リン:そして、ルカさんがここの秘密に気づいたことで、商店街を支えている“天の律”がぐらついてしまった。つまり、ここの世界が極度に不安定になってしまったのよ。だからこそ、商店街全部を巻き込んだ、この“支配世界”をこんな簡単に作ることが出来たの。その手間は、私たちが“制御”する目的だけ、つまり“神社だけ”を支配世界にする手間とほぼ変わらない程度だったのよ。

 

リン:だから、決断して欲しいんだ。『最後の決断』。

ルカ:最後の・・・決断?。

 

***

 

レン:貴方はもう、ここまでココの世界の真実を知ってしまったんだ。もう後戻りは出来ない。つまり、このまま“知った上”で平和な商店街で暮らすことは出来ないのですよ。

 

リン:だから、私たちにだけ従う、つまり“天の律”に従う事を決意し、ここの制御エリアを使って、貴方の“真実を知った記憶”を消すことで、天の律”を安定させ、天の世界、つまり商店街で他の住人と平和に暮らす事にする。もしくは、

 

がくぽ:私にだけ従う、つまり前の世界の“地の律”に従う事を決意し、ここの住人、全てのここでの全記憶を削除し、元の地の世界に戻る事にするか、だ。貴方だけ戻ることにはならない。影響力が強いので、貴方の決断は、ここの住人全ての決断と強制的に判断され、全員戻る事になる。言ってみれば、元の場所に戻れる最後のチャンスだ。天の世界、そのものは不安定な貴方や影響を受けた住人がいなくなることで“律”が元に戻り、安定化する。

 

レン:これが、君に突きつけられた“最後に絶対に決断しなければいけない”、選択肢だ。

 

がくぽ:決めてくれ、どっちを選ぶのだ?。

 

ルカ:え・・そんなの選べるわけ・・・・な・・・・・・い・・・・・・・・・・・

 

バタッ!

 

ルカはその場に気絶して倒れてしまった。

 

がくぽ:お、おい!。

リン:ちょっと!、どうしたのよ!。

レン:起きろ!、まだ答えを聞いていない!。

 

(???)

 

???:起きなさい、ルカさん。

ルカ:う・・・・こ、ここは・・・・

???:貴方は気絶して倒れてます。ここは貴方の夢の中。でも、私たちがいるのは、天でも地でもない世界。あなたの自我の世界。

ルカ:自我の世界・・・・、って!、メイコさん!!。

メイコ:やっと目が覚めたかしら?。そう、メイコよ。私の守護霊、「慈愛のククリ姫」の能力で、貴方を気絶させて、意識だけここに呼び込みました。

ルカ:なんのために!、このまま意識と肉体を分断して殺すつもりですか!。

メイコ:違うわ。貴方は天の世界で、“最後の決断”を迫られてましたね。2つの選択肢で。

ルカ:そ、そうだけど、それがなんなの?!。

メイコ:ここは貴方の自我の世界、結構無茶な事が出来るのよ。そこのモニターを見て。

 

ルカはゆっくりとモニターに目線を向けると、そこには倒れている自分を含めて、あの場面がそのまま映し出されていた。

 

ルカ:自分で自分を見るってのは、変な感覚ね。

メイコ:こっちは、“天の律に従う”を選んだ結果を映し出すモニターなのよ。そしてこっちのモニターは、“地の律に従う”を選んだ結果の映すモニター。ちょうど、あの選択肢2つ分なの。

 

ルカ:信じられないけど、つまり、前もって結果を見ることが出来るという事なのね。

メイコ:そう。ではまず、天の律に従った結果を見て欲しいわ。

 

**********

 

<以下、“(了)”の文字まで、天の律に従った結果のモニターのやりとりです>

 

ルカ:う・・・・・あ、ご、ごめんなさい。

がくぽ:大丈夫か?、突然、気を失ってしまって。

リン:大丈夫ですか?。

レン:回答を出せる状態か?。体が落ち着くまで少し待っても良いぞ?。

 

ルカ:いえ、大丈夫です。これから回答を出させていただきます。

レン:よし。頼む。君のファイナルアンサーは?。

 

ルカ:マスターとリンさんに従う、つまり“天の律”を選ぶわ。

 

がくぽ:一応聞いておきたい。何故、それを選んだのだ?。

ルカ:がくぽさん、これまでのあなたの話には“推測”が多かったし、当人の話を聞いたら、違っていた事が少なくなかったですよね。結果的とはいえ、それって、“推測を伴ったがくぽさんの意見“、を私たちに押しつけていたのと同じだと思うんです。

がくぽ:・・・・

ルカ:あと謎に気づいてしまったとはいえ、私はこの天の世界である“あの商店街”の生活に満足していたわ。楽しかったし。ここの全住人も同じように平和に暮らしていると思うの。それを私1つの決断で全部取り上げるのは、やっぱりおかしいと思う。気づいた事を忘れるだけで、この平和な商店街が戻るのなら、私はそっちを選ぶわ。がくぽさんにはこれまで色々な面でお世話になったから、選ばないのは人として心苦しいけど、でも、一人に対しての“情に流される”事で、みんなの平和な生活を奪うわけにはいかないよ、やっぱり。

がくぽ:では、貴方が見た“地の世界のあの現状”は、これまでと同じように“ここの住人は全員行方不明者”のままになるが、それでもいいんだな。貴方の決断1つで、地の世界の行方不明者の関係者達全員の“不安”は一生解決することがなくなるのだが。

ルカ:でも、ここにいる行方不明者である“当人達”は平和に暮らせる。行方不明者の関係者達を引き合いに出して、その幸せを奪うのはおかしいのでは?。それにここでの制御により、ここの住人の関係者情報は、ちゃんと無理なく機能しているのだから、それでいいのでは?。

 

がくぽ:・・・・・・そうか。それが君の“最後の決断”なのだな。ならば、私もそれに対応して行動しなくてはいけないな。

レン:当然だ。それがルールだったはず。さっさと天の世界から“消えて”くれ。私たちはこれからルカさんの“処理”を行わなければいけない。もう時間をかけているヒマはない。すぐやりたいのだ。

 

がくぽ:・・・・そうはいかない。

ルカ:え?。

 

がくぽの周りに青白いオーラが現れた。

 

がくぽ:そうはいかないのだよ。何が何でもここの“地の世界から連れてこられた人間達”を、元に戻さなければいけないのだ。当人達の平和だの幸せだの、全部“制御”されて作られたものに過ぎないではないか!。例えそれを“幸せ”と呼ぶのなら、その幸福感より、地の世界にいるここの住人の本当の関係者を苦しめている“不安”を取り除く、“人道行為”、が優先するのだよ。

 

がくぽの姿が大きな侍の姿に変わり始めた。

 

レン:所詮、地の世界の守護神、天の世界の律に従うことは、最後まで出来なかったか。ならばお前と私たちの話し合い交渉は、“決裂”だ。戦って不安定要素の1つである“お前”を排除するしかない。ルカさんにも協力してもらってな。

リン:こういう結果になったけど、ルカさん、あなた、“彼”と戦える?。

ルカ:大丈夫です。私は決断したんです。それに刃向かうのなら、例えお世話になったがくぽさん相手でも、本気で戦えます。

レン&リン:じゃあ、最終決戦、行くよ、いい?!。

ルカ:はい!。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・

 

がくぽの変化が終わった。

 

がくぽ:我は、地の世界の守護神、『鎮護』の“カムイ”也!。人道を踏みにじる外道の輩を、ここより排除する!。

 

ルカは分霊刀を構えた!。

 

ルカ:来なさい!。

がくぽ:言わずもがな!。

 

がくぽは持っていた巨大な剣を3人に向かって振り下ろした!。3人は素早く回避し、距離を取った。大剣は地面に叩き付けられ、周囲を大きく揺らして溝を作った。

 

がくぽ:笑止!。これでも喰らうがいい!!。

 

今度は大剣を振り回してきた!。3人は後方にステップして、各自更なる距離を取り、回避した!。

 

がくぽ:おのれ!。正々堂々と剣を持って戦え!。

 

レン:さすが“守護神”だな!、“守護霊”レベルではない、というわけか。ならば私たちも“守護神”の力を出して行くしかあるまい!。リン!、いいな!。

リン:了解!。

 

リンには青白いオーラが、レンには赤いオーラが出現し、両名の手にそれぞれ巨大な青い光の球体と赤い光の球体を発生させた!。

 

リン:バインドバレット!!

 

リンは両手を思いっきり振りかぶってから、がくぽに向かって青白い球体2つを高速で投げつけてきた!。体躯の大きいがくぽは回避能力が低かったので、もろに喰らってしまった!。

 

がくぽ:うごぉ!、か、体が・・・動かん!!!!。

 

レン:ルカさん!、オーラソードを送るぞ!、その剣を上に構えて!。

ルカ:はい!。

レン:オーラソード!。

 

レンは両手を弓なりにして、ルカの分霊刀の束の上に向けて、赤い球体を発射した!。球は束で止まり、束の上に赤い光の刃が出来上がった!。

 

レン:それでがくぽを一刀両断しなさい!。

ルカ:は、はい!。うぉぉぉおおおおお、おりゃああああああ!!!!!。

 

ルカは思いっきり、オーラソードとなった分霊刀をがくぽの前で振り下ろした!。赤い光ががくぽの中心線を通った!。

 

がくぽ:な!、ぐぉ!、こ・・・こ・・・これ・・・・は・・・・。

 

がくぽは中心線に沿って、真っ二つにされた!。体が頭からどんどん消えていく!。

 

がくぽ:ル・・・・・カ・・・・・、本当に・・・・これで・・・・良かった・・・・の・・・だな・・・・。

ルカ:もう後戻りはしないの。これで良かったの。そう、これで。

がくぽ:なら・・・仕方・・・ない・・・我も・・・・あきらめよう・・・・地の世界に・・・・我だけ・・・戻る事に・・する・・・。ここで・・・彼らと・・・・仮初めの平和を・・・・満喫・・・するが・・・よい・・・、では・・・さらばだ・・・。

 

がくぽは遂に姿を消してしまった。

 

レン:ルカさん、ご苦労様。

リン:これで事件は、ジ・エンドよ。

ルカ:あ!、元の世界のマスター達に戻った!。

レン:では、ここで処理して、さっさと喫茶店に戻ろう。戻ったらサンドイッチの作り方でも教えて上げる事にするかな。“看板ウェイトレスさん”だけでなく、メニューも作れて欲しいからね。

ルカ:はい。

 

リンとレンは、タッチセンサー付きのモニターを指で操作しながら、ルカの記憶の処理を行い、その後、戻った律を再設定した。

 

レン:では、支配世界を解除する!。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

歪んだ商店街は、元の明るい商店街に戻っていった!。

 

***

 

(数日後・喫茶店“LEO”)

 

カランコロン♪

 

ミク、カイト:こんにちは~!。

ルカ:あ!、いらっしゃいませ!、熱々カップルさん!。

 

ミクとカイトは二人とも赤くなって照れた。

 

ミク:もう!、ルカさんたら!。

カイト:まぁ、確かにカップルになっちゃったんだけどね。不思議に。

ルカ:ヒューヒュー!。

ミク:もう!。

 

カランコロン♪

 

レン:あ、皆さん、いらっしゃい!。

 

リン、ミリアム、レオン、アン、プリマ、アル、ローラが入ってきた。

 

リン:遊びに来たよー!。

ミリアム:こんにちは、昼がまだなのよ、ブレンドのサンドイッチセットサラダ付きを1つね!。

レン:俺も同じの!。

アン:私はトラジャのナポリタンセット1つ!。

ローラ:お腹空いたから、私も同じのを1つね。

 

ミク:じゃぁ私はブルーマウンテンのネギ焼きセット!。

カイト:ボクも同じのを!。

 

レン:おお、今日は大入りだな!。今作るから!・・・って!、ミクさん!、ネギ焼きないよ!。

ミク:冗談よ~ ミクミク。ブルマンのホットケーキセット1つね!。

カイト:あ、ボクも同じのね。

 

レン:ふぅ~、はいよ。

 

ルカは全員におしぼりとお冷やを持っていった。

 

ミリアム:ああ、そういえば、あの2件の空き地、まだ空き物件のままなんだね、アル。

アル:ああ、そうだ。うちで扱っている物件なんだが、まだ買い手がつかなくてな。

ルカ:不思議ですよね~。こんなに勢いのある商店街に空き地なんて。

レオン:それも、元の所有者がいない、“ずっと空き地”の物件なんだよな!。

ローラ:まぁ、一級品の物件だから、近々、なんとかなるでしょうけどね。

 

レン:おーい、ルカさん!。オーダー品できたから、持っていってね。

ルカ:はい!。

 

***

 

(カウンター席)

 

レン:しかし、おかしいな、がくぽの情報は全部オミットしたのだが、なぜ同時に“メイコ”の情報まで全部消えたんだ?。

リン:それにあの戦闘で行方不明になってから、全く足取りが掴め無くなっちゃったのよね。

レン:まぁいいか。刀剣屋と酒屋が1軒ずつなくなった程度だ。あとでどうにでもなるだろうからね。

リン:そうね、もう、元に戻って安定したから。

 

ルカ:はい!、お待ちどう様でした!!。

 

***

 

(広場の商店街広告用のモニター)

 

モニター:ザザザザ・・・依然、行方不明・・・ザザ・・・捜索は引き続き・・・ザザザ・・・・・・・・・・

 

(了)

(自我の世界)

ルカ:・・・・・

メイコ:これが、天の律に従った結果、起こってしまう未来よ。どうだった?。

ルカ:こ・・・・こんなの・・・・許される選択じゃ・・・・ないわ!!!!。

メイコ:そう。がくぽが言っていた“人道”を全く無視した選択よね。じゃあ、もう1つのモニターを見てみましょうか。こっちはがくぽの地の律に従った結果の未来よ。

ルカ:がくぽさんなら、きっと・・・・

 

***

 

<以下、“(了)”の文字まで、地の律に従った結果のモニターのやりとりです>

 

ルカ:う・・・・・あ、ご、ごめんなさい。

がくぽ:大丈夫か?、突然、気を失ってしまって。

リン:大丈夫ですか?。

レン:回答を出せる状態か?。体が落ち着くまで少し待っても良いぞ?。

 

ルカ:いえ、大丈夫です。これから回答を出させていただきます。

レン:よし。頼む。君のファイナルアンサーは?。

 

ルカ:がくぽさんに従う、つまり“地の律”を選ぶわ。

 

レン:一応聞いておきたい。何故、それを選んだのだ?。

ルカ:あなた達に“誘拐”の能力があろうがなかろうが、誘拐をした張本人からであろう“メッセージ”にあなた達が従っていたのは事実。そしてこの商店街の人たちは全員“地の世界”の住人よ。あの広場のモニターが映していた“行方不明者の捜索”は、同じ時間の今、実際に元の世界で行われている事実!。今、あなた達の制御で作られてる住人の関係者じゃない、本当の関係者に降りかかっている問題!。それを無視して、ここでの自分の平和な生活を主張する権利は、私にも他の住人にも、誰にも無いわ!。

 

レン:作られた世界であろうが平和であることに間違いない、もう1つの現実世界であるココの事を、ここにいる住人達に直接訊いたわけでもないのに、自分の判断だけに従って、全員を強制的に元の所に戻す事は、いかがな物かと思うぞ。特に貴方は影響力が最も強い人物、もっと懸命な判断をするべきだと思うが?。ちなみに言うが、地の世界に全員を強制帰還させたら、ここでの記憶も人間関係も財産も全てオミットされ、場所も時間軸も同じ所にザッピングされる。10年前に行方不明になった人物すら、今の状態のまま送られる。地の世界でこんな状況が起こったら、むしろ、地の世界の律の方がぐらつくのでは?。

ルカ:でも「人道」には反していないわ。ここの人たちが家族の元に帰ることができる。

リン:もう1つの現実世界である“ココ”は、また私たち二人だけしかいなくなり、人がいなくなったココは、一気に廃墟になるわ。あり得る現実のもう片方の事を無視して、自分たちだけの“事情”を押しつけてまで、貴方は元の世界に戻りたいの?。

 

ルカ:元々いた世界でない、こっちの現実世界の事情なんて、困るのはここを作った張本人とあなた達だけ。知ったことではないわ。全員コレを聞いたら同じ事を言うわ。“元の世界に返して!。本当の親兄弟に会わせて!”って。

レン:半分以上記憶喪失の状態で、しかもここで、はぐくまれた“愛する二人の関係、良い友達関係”すらも断ち切って、それでも戻る・・・・と。

ルカ:こっちはこっち、あっちはあっちなのよ!。

 

がくぽ:いい加減、あきらめたらどうだ?。そもそもお前らが言ったんだろ?、“ルカの決断に従う”と。これまでのやりとりを見ていると、明らかに“ルカを惑わす”ようにしか聞こえないのだが?。

 

リン:そうよ!。こっちの世界には、強いカリスマと人間性を持った“ルカさん”が無くてはならないのよ!。

 

リンとレンの体が青白いオーラに包まれ、体が変身し始めた。

 

レン:だから、我々の本心は、ルカを惑わしてでも決断を変えさせる、それくらいまで思っていたのだよ。とても“はいそうですか”と引き下がるわけには行かない!!!!。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

がくぽ:ルカさん、これで話し合いの交渉は決裂した。もう彼らを人間の姿でここに留めておくわけにはいかない。戦います。いいね?。

ルカ:はい。決断しましたから、もう逃げません。

がくぽ:そうか。ならば、これからの戦いは、これまでと同じく、彼らの守護神を人間の姿から分離させて私の封印刀に封印します。元々、“体を成していた“だけのリンとレンは、守護神を奪われたら、人間の姿そのものも消えて無くなる。これでこの世界の律は一時的に消えるから、気絶している体を成している住人や魂だけでここにいる住人全部を地の世界に返す事ができる。今まで通り、頑張ろう!。

ルカ:はい!。

 

ゴゴゴゴゴーーーーン!

 

リンとレンの変化は遂に終わった。既に元の姿の面影すら残っていなかった。

 

レン:我、天の世界の守護神、“希望”の機械獣、“バロン”!。

リン:同じく、“成長”の機械獣“ランダ“!

 

がくぽ:これまでと同じく。2vs2の戦闘だ。まずは相手の出方をみてみよう。

 

レン:天に反逆する不逞な輩よ!、この世界からも、向こうの世界からも、消えて無くなれ!。ファイヤーブレス!!!!。

 

レンは強烈な火炎ブレスを吐いた!。ルカとがくぽは、素早く火炎の着地ポイントから待避した!。

 

リン:凍りつけ!。アイスブレス!!!!。

 

リンは強烈なブリザードを吐いた!。ルカとがくぽは、とにかく待避しながら、攻撃を喰らうことなく距離を置くことが出来た。

 

レン:ええい!、ちょこまかと!。

 

がくぽ:これでわかったよね、レンは火炎攻撃、リンは氷結攻撃だ。つまり常識から言うと・・・・。

ルカ:レンは氷結に弱く、リンは火炎に弱い。

がくぽ:そう。だから使う作戦は、アレしかないね。二人を誘導するぞ!。

ルカ:はい!。

 

がくぽはリンの攻撃を回避しながら、ルカはレンの攻撃を避けながら、全員が一直線に並ぶ陣形を作った。がくぽの背とルカの背がほぼくっついた状態で、リンとレンはその外側で向かい合った状態だった。

 

レン:フフフ!、これで終わりだ!。喰らえ!!!。

リン:これで終わりよ!!!。

 

その刹那、ルカとがくぽは左右にそれぞれちょっとずつ移動した。

 

レン:無駄だ!、位置修正、発射!!!。

リン:無駄よ!。

 

一瞬、がくぽとルカは先とは逆の左右方向に別々に移動した!。

 

レン:な!、こっちか!、喰らえ!!。

リン:終わりよ!。

 

もう位置修正ができない事を判断したルカとがくぽの二人は、思いっきりさっきの方向に飛び込んだ!。

 

レン:ファイヤーブレス!!。

リン:アイスブレス!!。

 

実はこれが策略だった。一度左右に方向を振って、再度逆に移動した関係で、二人のブレスは実は一直線上で、二人がいない真ん中めがけて吐かれていた!。

 

レン:うぉおぉぉおぉぉ!!!!!

リン:きゃあぁぁぁぁあぁ!!!!

 

向かい合っていたため、お互いのブレスは相手にもろに吐かれる形となった!。

 

がくぽ:ルカ!、すぐに二人の分霊を!。

ルカ:はい!。リンさん、ごめん!、えいぃ!!!!。

 

ルカは分霊刀をリンの前で横一文字に斬った!。

 

リン:きゃああああああ。

 

大きな青い霧がリンから出てきた!。

 

がくぽ:封印!!!!。

 

がくぽは封印刀でその青い霧を全部吸い取った。そしてルカは倒れているレンの前に来た。

 

ルカ:マスター・・・・ごめんね。えい!。

 

ルカは同じく分霊刀をレンの前で縦に振り下ろした。

 

レン:うぐぅ!。

 

レンから赤い霧が出てきた。

 

がくぽ:これで最後だ、封印!!!!!!。

 

がくぽの封印刀に赤い霧が吸い込まれていった。すると、機械獣の姿から、半透明の人間の姿に変わったリンとレンは、どんどん透明度が上がっていった。

 

がくぽ:さらばだ、天の守護神達。

ルカ:ごめんね・・・・ごめんね・・・・

 

そして、リンとレンの姿は消えて無くなった。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・

 

がくぽ:いかん!、支配世界の制御が解除されるようだ!。急ごう。

ルカ:ここの住人さん達の帰還は?。

がくぽ:大丈夫、もうかなりの数が地の世界に戻っている。私が加速させているから支配世界がなくなる前に、全員戻せるだろう。

 

ルカ:最後が私たちですね。・・・ミクさん、カイトさん、もう恋人同士では無くなっちゃうけど、元の世界に戻れるわよ。

ミク:それは残念だけど、でも戻れるならいいよ。

カイト:同じく。

 

め~こ人形:あの・・・・・あちしはどうなるの?。

がくぽ:この天の世界は無くなることはない。リンとレンの人間の姿が無くなった以上、ここの世界に残るのは作られた物と君だけだ。

め~こ人形:え・・・・・あちしだけ・・・・

ルカ:ごめんね。でも、それしかないのよ。でも貴方ならここの世界をなんとかしてくれる気がするの。無責任だけど頑張ってね。

め~こ人形:・・・・・・はい、がんばります。

がくぽ:それと知っての通り、地の世界では、私は像の姿に戻ってしまう。記憶はなくなるが、もし私を見つけたら、像に花でもあげてくれないか?。

ルカ:わかったわ。でも、あなたの事は忘れない気がする・・・ありがとう。

 

ルカ、ミク、カイトの姿は消えかかっていた。

 

がくぽ:それではさらばだ。

 

3人の姿は完全に消えてしまった。

 

がくぽ:これで私以外、全員戻ったか。では、我も戻るとしよう。さらばだ、め~こ人形さん。

め~こ人形:さよならは、いわないのだ・・・・・。

 

がくぽの姿も消え、支配世界から天の現実世界である元の商店街に戻った。

 

***

 

(地の世界・“旧”木之子駅前の開発予定地)

 

ルカ:う・・・・・・・。

???:ルカ!、しっかりして!!!!。

ルカ:う・・・・ん、あ、あれ、ココって?。

???:何言ってるの!、私が誰だかわかる?。頭、大丈夫?。

ルカ:えっと・・・、あ!!!、お母さん!。

ルカの母:ルカ!!!!!!。今までどこ行っていたの!!。

ルカ:それが・・・・覚えてないの。北海道のお家からここの近辺まで来た所までしか記憶が・・・。

捜索隊の一人:すみませんが娘さんを担架に乗せますので。お話は病院でお願いします。

ルカ:え?、どういうことですか?。

捜索隊の一人:今チェックが終わった所なんですが、この一連の大量行方不明事件の全員が、明け方付近にこの開発予定地で生きて発見されたのです!。ただ全員、行方不明になった期間だと思われる部分の“一部の記憶”が無くなっているのです。中には10年という長い期間の記憶が無くなっている方もおり、現在、全員を病院へ搬送しているのです。

ルカ:そうなんですか・・・私も・・・・記憶が・・・・。

ルカの母:わかりました。貴方も病院でよく診てもらった方がいいわ。捜索隊の方、お願いします。

捜索隊の一人:はい。では、ルカさんですか?、担架に乗せますよ。

 

こうして、こっちの世界で起こった“大量行方不明事件”は、“行方不明者全員が同じ区域で発見され、一部の期間の記憶が喪失”という不可解な結果を残し、解決したのだった。

 

***

 

(天の世界・きのこ駅前商店街 跡)

 

ぴゅーーーーーーーカラカラカラーーーーーー

 

そこは昔の勢いを全く表していない、完璧な巨大廃墟だった。神社も荒れ果て、2本の銀杏の大木は根本から折れ、看板はどこもかしこも落ちており、かなり不気味な様相を呈していた。

 

め~こ人形:・・・・・・とうとう、わたしだけになっちゃった・・・・・・しはいせかいにいけないから、あのめっせーじもきけないし。わたしはしねないから、これからもずっとわたしだけなのかな・・・・・・ううん、すこしずつでもいいから、“サイセイ”していこう!。

 

(了)

(自我の世界)

ルカ:な・・・・・

メイコ:これが、地の律に従った結果、起こってしまう未来よ。どう?、こっちの結果は?。

ルカ:が・・・がくぽさんの方でも・・・・こんな結果に・・・・なっちゃうの・・・?。

メイコ:酷なようだけど、そうよ。人道に反していないけど、もう片方の現実をないがしろにした結果なの。あなた達は元の世界の親兄弟に会うことが出来たから、リンレンに従うよりはマシだけど、“戻るための対価”として、天の現実世界全部を使ってしまう事になるわ。

ルカ:な・・・なら・・・私は・・・・どうすれば・・・・

 

メイコ:・・・・・もう1つ、最後の選択肢が残っていることに気づかない?。

ルカ:え?

メイコ:ここは“自我の世界”。天でも地でもないの。それがヒント。それと彼らの話の中で、1つ、ずっと不明瞭な事があったはずよ。この結果を表すモニターですら、それは明らかにされていない。

ルカ:・・・・・・・。

メイコ:もう、わかったわよね。じゃぁ、あの場所に意識を戻します。貴方なら必ず“真の選択肢”を選んでくれると思うわ。そして選んだ結果、もう一度、ここへ生身で来てくれると、信じているわ。ずっと待っている。だから必ずここへ戻ってきてね。

ルカ:・・・・・はい。

メイコ:じゃあ、戻します。

***

 

(支配世界・木之子神社・リン&レンの制御エリア)

 

ルカ:う・・・・・あ、ご、ごめんなさい。

がくぽ:大丈夫か?、突然、気を失ってしまって。

リン:大丈夫ですか?。

レン:回答を出せる状態か?。体が落ち着くまで少し待っても良いぞ?。

 

ルカ:いえ・・・・大丈夫です。これから回答を出させていただきます。

レン:よし。頼む。君のファイナルアンサーは?。

 

ルカ:私が選んだ“選択肢”は、

 

***

 

たこルカ:ごめんなさい!、この話はここまで!。

はちゅね:この先も凄く長くなるので、長くなったこの話はここで切りますね。

 

たこルカ:さぁ、メイコさんの助力と助言から得たヒント、“真の選択肢”とは一体何か!?。

はちゅね:どちらの選択肢を選んでも、どちらかの世界の破滅しか得られないのなら!?。

 

たこルカ&はちゅね:次回、お楽しみに~!。

 

***

 

CAST

 

巡音ルカ(ルカ)&たこルカ:巡音ルカ

鏡音レン(レン):鏡音レン

鏡音リン(リン):鏡音リン

初音ミク(ミク)&はちゅねみく:初音ミク

咲音メイコ(メイコ):MEIKO

工藤カイト(カイト):KAITO

神威学歩(がくぽ):神威がくぽ

 

プリマ:PRIMA

アン:SWEET・ANN

ミリアム:MIRIAM

アル:BIG・AL

ローラ:LOLA

レオン:LEON


 
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