No.237159

いぬさくさ Station

雲山さん

rockmaxdash翻譯,雲山撰寫編輯。いぬさくやとパチェ博士の、SF(すごし不思議)なLIFE STORY。

2011-07-27 12:09:04 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:477   閲覧ユーザー数:463

 

 

 

 

【ドクターパチュリーと愉快(なように見える)犬咲夜(たち)】

 

  ここは幻想郷。妖怪たちが平穏に暮らしていける天国である。人間はここで大人しく少数種族と妖怪の食料として生き、妖怪たちに害をなすことはまずない。

 

  ここは紅魔館、湖のかたわらに聳え立つ真っ赤な洋風建築。私はこの屋敷をよく知っているーにしても大きい屋敷だ、時計塔や図書館、館内全ての妖精メイドたちが暮らしてもまだ余るほどの広い空間、宴会に必要な料理なら何でも作れる高機能ハイテックキッチン(株式会社お化けカッパが提供する)や三階もある大広間など、監禁ができる地下室まである。こんなに完備でデザイン良好な建物なのに、なんと例外なく、徹底的に、中から外まで、建物ことが赤色に染まっていた。

 

  赤は血の色とは言え、紅魔館の名前と其の館主の身分とも相応しいだが、こういう頭からつま先まで赤色にするやり方はどうも大人っぽくない。審念熟慮の妖怪にも見えない。

 

  紅魔館の主、レミリア・スカーレッドは五百歳の吸血鬼である。妖怪としてはかなりの地位の持ち主で、年齢から見ても十分貫禄があるから、こんなわがままで、まるで子供のようなぶさけた真似をするはずがないのだが。

 

  レミリア・スカーレッドは五百歳の吸血鬼だが、その体は小学三年生の女の子と大差はない。てっ言うか小学三年生だ。人間に換算すれば九才か十才の小娘だ。信じられないのだが、このちびっ子こそが紅魔館の頂点に立つ存在なのだ。その小さい体に不相応な圧倒的威力、長年血と肉の海と骸骨の中から磨きだしたカリスマを通して、彼女は間違いなく千人の妖精メイドと頼もしいメイド長に君臨した。たとえ実際管理するのは彼女じゃない、逆にいつも自らの意志で館の仕事を手伝いする妖精たちに迷惑をかけるとも、そうは違いない。

 

  紅魔館で事実上の管理者は、レミリアの愛将で、同時に館内で一番重要なメイド長、十六夜咲夜である。

 

  咲夜は人間だが、捕まって毛髪と筋肉と組織と器官に分解して、細胞とジーンに粉砕して、隅々研究するべきほど極稀有な能力を持っているー時間に対する干渉。

 

  知っている範囲の世界では、時間と空間の概念は分離できない。この世界より高等な次元ならできるかもしれないが、少なくともここでは無理だ。その故、時間を干渉できるなら即ち空間をも干渉できる。同時に両者を干渉できる咲夜は、もう神に一番近い領域までたどり着いたと言っても過言ではない。咲夜のレミリアにも劣らないカリスマとまるで十六歳の少女のような繊細なボディラインを持ってすれば、ただ丘に登って呼ぶだけで、全幻想郷の人類はシャンヌ‧ダルクを見たかのように、妖怪に革命するだろう。

 

  しかし、このような珍奇な能力を持つ咲夜は幻想郷に革命の火などを起こしてはいない。代わりに目立たずにレミリアの側にいって、いつでもなんなりとこのわがままで子供なお嬢様の願いを叶う。

 

  例えば今日は、

 

  「さくやーー」

  「はい、お嬢様。」

 

  時間干渉能力が持っているため、この一秒がそばにいなくても、お嬢様のお呼びがあれば、次の一秒で咲夜が現れる。最も忠誠な召喚獣、守護者と言ってもいい。つまり、忠犬。バカほどな忠犬だ。レミリアがルーベンスの絵の前で凍死になりかけるなら自分から血肉と皮革を献上するようなバカだ。或いは失明になったジャングル大帝が雪山で危うく雪ダルマになったヒゲおやじを助けたのように、失明したからこそ自分と何も関わりのない人間を救ったーでも、だからこと、咲夜は人間だ。生物性と本能を逆らい、自分の意思で未来を決める、人間。

 

  「旅行にいきたい。」

  「旅行ですか?私にお任せくださいませ。」

 

  吸血鬼という妖怪はいろいろと不便だ。妖怪も恐れるほどの力持ったとしても、色んな制限がある。その中にも迷信や誤解が欠かさずいる。

 

  例えば、吸血鬼は十字架が怖い、これは本当に誤解だ、絶対に。想像してみよう、仮に、ここに一人の時代外れの服を着ている怪しいおじさんがいて、怖い顔をしながらなんか変な呪文を唱いながら、十字架を持ってあなたに近ついてくる。近ついながら水か何の汚いものが知らない透明液体を撒き散らす。引くだろ?怖いだろ?嫌だろ?いくらわがままで小さいレミリアでもセンスティブな少女だ。生物性に基つくかロジックに基つくかモラールに基つくか、こういう変なおっさんを嫌いになるのも至極当然なことだ。この変なおっさんたちが持つ十字架は当然、トラウマのシンボルとなった。だから

こういう誤解が出たのだ。

 

  が、「暴力は何の解決にもならねぇがてめぇを仕留めることくらいできる」という真理を悟ったあと、レミリアはこの障害を乗り越えた。

 

  まだ、吸血鬼はニンニクが嫌い、というのも誤解だ。犬の嗅覚が人間より一万倍よい、猫の聴覚が人間より五倍よいのように、毎日やることのないチーターが簡単に人類の短距離競走の記録を更新できるのように、吸血鬼の感官、いや、全ての妖怪の感官が人間よりずっと良い。にんにくのような刺激的なものは、吸血鬼にとってはまるでシュールストレミングの缶詰めのように匂う。シュールストレミングの臭さを耐える人間は、人類全体の中でどのぐらいいるだろう。こう考えば、なぜ吸血鬼はにんにくが嫌いなのかわからなくもない。

 

  でも、「吸血鬼は流れる水を渡れない」、「招待されてないなら門に入れない」などは唯の迷信だ。これは人間の迷信だけじゃなく、吸血鬼の迷信でもある。例えば、招待されてないのに勝手に人の家に入ると悪運に付かれるとか、流れる水を渡ると七年間腹空かせられるとか、可笑しいな民間信仰だ。レミリアは運命が恐れてないから、いつも招待なしにあっちこっち行ってるが、空腹はいやだから、彼女は流れる水を渡れない。これも咲夜が旅行のコースを計画する時の一大問題となった。

 

  だが、これは彼女にとっては別に難しくはなkった。だって咲夜は館内で一番頼りになるメイド長、お嬢様が詳しく言わなくても、彼女は彼女自身の解釋で決める最強の人間だから。

 

  その故、レミリアの気まぐれの一言から、一ヶ月もあう旅行となった、それに咲夜が準備する間はあまりにも目が立ったので、館内で噂となった。一人からもう一人へ、あっという間に「二人だけのハニームーン」から「紅魔館全体社員の慰安兼ねてストレス発散旅行」となった。

 

  

  「ほんと、傑作だわ....」

  レミリアの親友、年齢は百歳までしか計算しないパジャマ魔女パチュリー・ノーレッジ、通称パチュリーは自分と無縁な旅行ガイトを見て、すぐとなりの厚い本に挟まれた。パチュリーは魔法研究に熱心で、いつも紅魔館に引きこもって本を読み漁っている。妖怪で知識派で一目十行のパチュリーでも、紅魔館の蔵書量は百年掛かっても読みつくせないほどある。これは彼女がレミリアの食客になる主因だ。もうひとつは、パチュリーは喘息がある、普通の図書館であっちこっち歩きまわることができない。ならばいっそどこかでどんな本もあるところで定居し、ついてに頼りになる小悪魔ひとりを下僕にするのも、悪くない。

  「あのばかレミィは怒らなかったのか。」

  「お嬢様はもちろん怒りましたよ。」

  「怒ったのに邪魔者たちを追い出さないの?」

  「特別に大隊と別行動のプランを用意しました。」

  「バレたらスキャンダルだけでは済ませないわよ」

  「情報規制はしときます。」

  本日最後の紅茶を持ってきたあと、咲夜は図書館を後にした。外から騒がしい歓声が聞える。紅魔館旅行団は間もなく夜中で、つまり今、出発する。

 

  「しばらく静かになりそうね。」

  パチュリーは図書館の正門を開き、顔を半分出して誰もいなくなった紅魔館を見る。静かな廊下は自分の心臓だけが命の音を響いてる。

  「まだ私がいますよ、パチュリー様。」

  「あなたはカウントに入ってないのよ。」

  「え!?」

  スルーされた小悪魔はちょっと落ち込んだが、すぐパチュリーのおやつを盗み食いして立ち直りした。

  「十六番の本棚にある本を全部持って来て。今夜はやっと集中できるわ。」

 

  「もし黒い大ねずみが出てきたら……」

  「それがあなたの責任だわ」

 

  非情な言葉を投げ出したあと、パチュリーは再び魔法の研究に身を投じた。さすがは幻想郷一の知識派魔女、ドクターパチュリー。

 

  【そして次日の朝】

 

  朝。

  眩しい日差しがパチュリーの目を刺激する。日差しは本によくないし、彼女の運動不足な体にも悪いから、パチュリーはいつも図書館の窓を閉めている。カーテンを閉め切って、まったく日差しを入らないようにしている。咲夜もこれをよくわかっているため、妖精メイドたちに勝手に窓を開けるなと言いつけてある。

  しかし、なぜ今自分の目の前に、自分の顔に、自分の本にこんなにも強い日差しが射しているのだろう。

  昨日本を読んで寝ってしまったら、黒い大ねずみが図書館で大穴でも打ったのか。

  パチュリーは周りを見ると、ねずみ穴が見当たらなかった。

  じゃあ、小悪魔のばかが、ドジって窓を開けてはいけないのを忘れたのか。

  パチュリーは周りを見ると、小悪魔の姿が見当たらなかった。

  それとも、誰か旅行団をついていてなかったほどバカな妖精メイドが、ドジって窓を開けてはいけないという基礎訓練も忘れてしまったのか。

  パチュリーは周りを見ると、依然、妖精メイドの姿が見当たらなかった。紅魔館は静かだった。妙なファー製品が足の周りでバタバタとリズムある音しかしない。

  

  そして、パチュリーは足元を見た、彼女の人生を変えようとするその物を。

 

  それは犬だった。

  それは人だった。

  それは犬に似たメイド長だった。

  それは人に似た犬メイド長だった。

  その生き物は咲夜と同じ顔立ちがしていたが、二頭身だ。

  その生き物はもふもふしたしっぼと触り心地よさそうな尖った耳を持っている。未成年の子犬のようだ。

  その生き物は紅魔館のメイド長の制服を着ている。まるでメイド長だ、でもメイド長ではない。三割は咲夜で三割は犬、残りの四割はパチュイーが解析できないミステリアスな物質と雰囲気。

  この生き物を見ると、全ての過ちを許していけそうのような。

  この生き物を見ると、全ての問題を心配必要がなくなったような。

  かくして、パチュリーが認識した世界が崩壊し始めた。あの少女と少女が血と涙と汗の中でお互い弾幕と肉体で交流する世界が、この生き物が現れると同時に壊れ始め、まるで気が狂ったロシア人が偉大なるツァーリ水素爆弾を投下したかのよう、ドカーンとまるごと消えてゆく。

 

  「貴女は……犬?」

  パチュリーは試しに聞いてみたが、その生き物は答えなかった。ただその大きいな目でパチュリーを見つめ、しっぼを振った。

  「それとも……咲夜?」

  パチュリーは再び訊く。その生き物はやはり答えなかった。そのまるで赤道無風帯の海のような静かな目でパチュリーを見つめ続け、もう一度しっぼを振った。

  「私に用があるの?」

  その生き物の目に急に強烈な光が光る。尻の上のもふもふしっぼが激しく振る。

  一粒の液体がしっぼからパチュリーの顔に振られ、パチュリーは味見をした。それは紅茶だ。しかも砂糖がいっぱい入った紅茶だ。体に悪いが子供は大喜びするアレ。

  紅茶はパチュリーの足元の水たまりから来たもの。見ればわかるが、紅茶の水だ。こぼした銀の皿は本の山の上に被ってる、ばらばらになった瓷器とティーカップがちょうと小悪魔の後ろ頭に打った。ただ少し寝ただけなのに、パチュリーの机と本の山はもはや紅茶と蟻の軍隊の危機に迫られた。

  「貴女がやったの……?」

  その生物は急にしっぼを振るのをやめて、些細な躊躇をして、やはりしっぼを振り続けると決めた。

  

  これが幻想郷の知識派魔女、ドクターパチュリーと犬咲夜の初対面である。

  ドクターパチュリーが慌てて図書館に出って、モップと雑巾とバケツを持って図書館を整理しようとする時、館内があっちこっちがこの生物のを気付く過程は、まだ別の物語である。

 

  【続‧ドクターパチュリーと犬咲夜(一万匹)観察記録】

 

 

 

 
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