No.222698

真・恋姫†無双魏√EDアナザー 外史の統一者3-30

sionさん

呉√もついに30か……

ぎりぎり間に合いました!間に合ったよね?
一応戦終了なんだけど今回はあっさりめに。

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2011-06-14 18:52:54 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:29772   閲覧ユーザー数:18442

恋が春蘭、季衣を相手取り魏本陣から軍師郭嘉を引きずりだした中央。祭、明命、亞莎の三人で鉄菱を使い魏の一当てを凌いだ右翼。そして右翼にも魏の本陣から右翼全体の混乱を鎮め経験豊富な祭を相手取るために軍師程昱が派遣されていた。そして左翼では。

 

「くそ、何とか近付けないか明命!」

「―――っ!すみません思春様、人影に紛れてはいるのですが」

「いや、無理はするな。しかし弓の名手とは聞いていたが……祭様に比肩すると北郷に言わせるだけはあるか」

「ほぅ、御使い殿は私を黄蓋将軍と同等と評したか、勇名轟く弓の名手に並ぶと言われれば世辞でも嬉しい物だな」

 

思春と明命が率いる左翼は現在魏の弓手夏侯淵の率いる魏軍右翼の数万に押し込まれていた。重装備の兵に盾を持たせた彼女に対し思春と明命の二人は幾度となく突破を試みたものの近づこうとする段階で夏侯淵、秋蘭からの鋭い矢の一撃を受け動きを止められてしまう。

 

「そして私ばかりに手間取っていると……流琉!出来るだけ多くを討ち取れ!」

「任せてください、秋蘭様!」

 

応えるように呼ばれた少女、典韋こと流琉は葉葉(ようよう)と呼ばれる季衣の鉄球にも打ち負けない大振りな武器を振り回すように投げつける。堪ったものではないのはこれを受ける兵だ、怪力という点では大陸十指に間違いなく数えられるだろう季衣、そんな彼女とほぼ同等の膂力から放たれるそれは将と呼ばれるものでなければそうそう止められるものではない。

 

「むぅ~……槍兵さんは一歩前に、それ以外の人は二歩後ろに!合わせますよ~――今!」

 

穏の掛け声に合わせて槍を構え前に出る兵は一斉にそれを突きだした。すると飛んできた葉葉に対し槍衾が敷かれる、無論それは容赦なく槍をへし折って兵の命をもぎ取っていくのだが、やらないよりははるかにましだ。事実としてこの一糸乱れぬ動きに対し流琉は悔しそうな顔をしている。想定しているよりも一撃で持って行ける人数が圧倒的に少ないからだった。

 

「一撃で足りないのならば何度でも振るうまでです……その消耗も馬鹿には出来ないですよね?」

「その通りですねぇ~……斉射今ですよ~」

「む、させません!」

 

穏は兵を巧みに使い流琉の動きをうまく抑制しているがそれでも少なくない兵が一撃で持っていかれる分の悪い消耗戦を強いられていた。弓矢で射貫こうとも画策はするのだがあの大きな武器と流琉の小さな体が相まってそれも中々上手くいかない。

 

 

「いきますよ~!」

「っ!軍師が前に出ると言うのですか!」

「呉の軍師を侮ってもらっては困りますねぇ」

 

やむなし、苦笑を一つ浮かべて穏は兵の前に立つ。そのことに内心では自身の未熟ぶりを嘆いてもいた。これが冥琳ならば兵の運用だけで流琉を制圧とまではいかないものの被害は格段に少なくなるのではないかと悩む。しかし現状穏にはそれを行いきるだけの実力が無かった、そのため兵の消耗を防ぐ最後の策として自身が前に出たのだった。

 

「は~い!」

「な、速い!? わわ」

 

流琉の油断は仕方のない物でもあった、彼女のよく知る軍師は桂花と稟と風の三人、この三人を軍師の基準として考えていた流琉は文武ともにを地で行く呉の軍師陸遜を侮っていたのだ。穏が振るう九節棍は武将である流琉の目から見ても付け焼刃の物ではない。彼女達呉の重鎮は一度は祭の教育を受けているのだから当然と言えば当然のことなのだが呉のことにそこまで精通しているわけではない魏の人間にそんなことが分かるはずもない。

 

「流石に防がれますねぇ~って危ない!?」

「魏の将として軍師に後れを取るわけにはいきません!」

 

穏の猛攻を防いだ流琉はすぐさま反撃に転じる、その頃には軍師がこんなに戦えるはずがないという考えを全部すてて穏を一人の将として認めていた。同時に華琳に取りなされた将の一人として軍師に負けるわけにはいかないと言う奮起にも繋がっていた。――このことで帰国後流琉と季衣の訓練相手としてとある軍師が抜擢され華琳が意地悪な笑顔で認めたために涙目になる猫耳軍師がいたとかいなかったりとかする。

 

そしてただでさえ押し込まれていた呉にとっては凶報に等しい知らせが舞い込んだ。息を切らせて走ってきた伝令は戦っている穏や思春に明命と誰に伝えればいいかと逡巡したのち二対一の体でまだ余裕のありそうな思春を選択した。

 

「報告します、魏の本陣から此方に敵の増援、旗は于!」

「……っ!よく知らせてくれた、すまないが本陣まで下がり周瑜様に伺いをたて指示を仰げ!」

「御意!」

「――させるか!」

「ふむ、残念……たやすくはない、な」

 

走り去る伝令兵に向かい放たれた秋蘭の一矢、それを思春は鈴音の切先で斬り落とした。同時に走りだした明命だったが、まるでこの戦場を見下ろしていると言わんばかりの視野の広さで捕捉され進行方向と現在位置そして回避予測方向と三射でもって迎撃されていた。これが山の中、森の中ならと明命は臍をかむ。身を遮る物が人影しかなく、視野の広い相手というのは明命にとって最も相性が悪いと言わざるを得なかった。

 

「懐にさえ飛び込めれば……!」

「弓手としてそれを許すわけにはいかないな」

 

 

そしてさらに厄介なのが近接武器にはないその間合いの広さ、矢は有限と言えばそうだが今の秋蘭には自軍からの補給がある、事実彼女が三射を射る間に空になった矢筒がいつの間にか補充されていたりするのだ、そのせいか思春と明命が膠着状態を作れば容赦なく兵の命を刈り取られる。拙攻を繰り返すのはそれを防ぐためでもあった。

 

「皆突撃なのー!」

 

半ば膠着していた場所に響く声、その声を聞いて秋蘭と流琉は口の端を少し吊り上げる。逆にその声を聞いた思春や穏、明命はその声に追随してやってきた敵の増援に頭を悩ませる。撤退は戦線の乱れに繋がるため出来ない、数は圧倒的に敵の方が多くそしてここでさらに下がることになると中央が危ない。

 

「全軍後退!我が隊は盾を持ち殿を務めよ!」

「報告、周瑜様と兵一万、援軍に来られました!」

 

冥琳の鋭い声が呉の兵を蹂躙しようとしていた魏の兵を制し、その数に圧倒され混乱しかけた呉の兵たちを一瞬にして鎮めた。睨みつけるように見まわし、冥琳は怜悧な眼差しを魏の兵たちへ向け、流琉と相対してそれなりに傷を負っている穏を見つける。

 

「穏、下がり兵を纏めよ!」

「は~い」

「槍と弓、そして盾と剣か……では、行くぞ!」

 

下がる穏の表情はどこか安堵した色が見え、そして兵たちには希望の色が見えた。この求心力と信頼こそ筆頭軍師たる冥琳の器であり、彼女にはそれに見合うだけの実力もあった。兵たちは知っている、たまにサボる国王や宿将に頭を痛めながらもしっかりと国を運営し益をもたらせる彼女の存在を。そしてその筆頭軍師が大陸十指に確実に名を連ねる知謀の持ち主であることを。

 

「一番、四番前へ、三番下れ、二番用意……全軍合わせ!……よし、退くぞ!」

 

彼女の指示は明瞭ではなく、しかし訓練を積んだ呉の兵たちはその言葉の意味を理解している。槍と盾を前に出し、弓を下げて剣を持つ歩兵には投石の準備をさせる、ただそれだけの指示だったが穏が行う指示よりも幾分か早い。

 

「桔梗殿!」

「任せよ!」

 

そしてその場でそれだけの準備をして一当てのみで下がらせる、そこに待っていたのは中央に座し右翼から左翼まで全てを睨んでいた桔梗の率いる弓兵たち。統制された動きで一気に後退した呉軍は魏軍と少しだけとはいえ距離を開くことが出来ていた、その距離を利用して桔梗の率いる弓隊が矢の雨を降らせる。

 

 

「秋蘭、一度退きなさい!」

 

そんな中、声を発したのは猫耳フードの意地悪軍師、彼女が連れてきたのは袁紹軍を打ち破るのにも使われた真桜の発明、投石機、距離が開いたのならと彼女が運用してきたのだ。当然移動に時間がかかるそれをこの短時間で準備したということは沙和と同時に派遣されていたのだろう。

 

「すまない桂花!流琉、沙和一度退くぞ!全軍後退!」

「わかったの!」 

「了解しました!」

「夏侯淵隊、全員退くぞ!」

「いいわね、秋蘭達が退いたら敵の中央目指して投石を始めるわよ?それとそっちは火炎壺を用意しておきなさい!」

 

攻城兵器にもなりえるそれを従えた桂花の登場で秋蘭達は一気に呉との距離を離しにかかる、当然それを追い投石を防ぐのも手段ではあるが冥琳はそれを良しとしない。

 

「さらに下がるぞ!桔梗殿、貴女の武器でアレをどうにかできますか?」

「……アレをか、少し厳しいだろうな」

「そうですか、ならば……全軍、火矢の用意だ!」

「燃やすか?」

「それしかないでしょう、アレを残しては城壁も危うい」

「ならば、厳顔隊よ!我らも火矢の準備をせんかぁ!!!」

 

怒声に驚くように桔梗の隊も火矢の用意を始める、そして準備が早かったのは投石機よりもやはり人間である呉軍の火矢だった。放たれた矢は幾らかは距離が足りず地に落ちるだけではあったがそれでも数十、数百の矢は投石機まで届き人に刺さる。

 

「火矢が刺さったらなるべく早く抜きなさい!水でぬらした布で覆っているとはいえあれだけの火矢を撃たれたら危ないわ!火炎壺は一度後ろに下げなさい……投石準備急ぎなさい!」

 

飛び交う火矢、そこに撃ちこまれる投石と秋蘭が放つ矢、左翼は遠距離戦へとなっていく。そしてこの硬直こそが冥琳が欲していた物だった。右翼は霞と凪が祭、亞莎、シャオの率いる部隊に幾度となく突撃を仕掛けそこに風の知謀が加わり今は混戦の体を見せている。中央は疲労がたまり始めている騎馬を尻目に恋が一人で春蘭、季衣、稟、真桜の四人を相手取り、最前線の少し後方にいたねねと蓮華も騎馬を守るために指示を下し奮闘している。

 

 

そんな中、その全ての戦場を避けて駆ける一団がいた。目指す場所は魏の本陣、そこへ駆ける一団を率いるのは長い桃色の髪と褐色の肌を持つ美女。本来呉の本陣にいなければならなければならないはずの人物がそこにいた。

 

「報告!此方へ接近してくる一団がいます」

 

華琳に届いたその報告に一瞬思考の停滞が生まれた。ただでさえ軍師を全て戦場へと送りこまざるを得ない状況にされたのだ、これも常の士気の高さがあれば必要無かった措置とはいえ今の士気の低さでは統率者が近くにいなければ安心できない、ただでさえ裏切りにあったのだから華琳のその思いは一入だった。

 

「規模は!?」

「数にしてわずか五百の少数……!? 率いている者が分かりました、あの集団を率いているのは、孫策!呉の王です!」

「―――!」

 

息を呑む、失望された相手。暗殺の手を伸ばしたと思われた相手、兵もまともに御せないと思われた相手、そして自分に匹敵すると確信し数少ない敵と明確に意識した相手。

 

「……通しなさい」

「は?」

「通せと言ったの、ここまで」

「しかし……」

「通せ!」

「っ!……御意!」

 

今、華琳が最も相対したくない相手であり、そして最も相見えたい相手だった。三軍師の誰かがいれば確実に止めただろう、しかし今はいない、だからこそこの無理も通せる。そして邪魔もなくここまでたどり着けた雪蓮は、静かに馬を下りて華琳と相対した。

 

「まさか素通し何てね……詫びのつもりか曹操」

「いいえ、ただ純粋に……貴女に会いたかっただけよ、孫策」

 

二人は静かに見つめ合う、二人の兵は武器を抜かずに互いを威嚇し合う。何時でも武器を構えられる状態を維持した兵はそれでも己が王の言葉に、敵の王の言葉に耳を傾ける。

 

「会ってどうするつもりだったのかしら?頭を下げる?この首を落とす?それとも貴女の首でももらえるのかしら」

「……そうね、謝ると言うのはまた違う。けど」

「けど?」

 

不意に、華琳は笑みを見せた、花が咲くようなその晴れやかな笑みは雪蓮の背筋に寒気を植え付ける程度の凄みを持っている。

 

「宣誓させてもらうわ……私はもう二度とこの道を間違わない、私が歩くこの覇道を正々堂々歩みこの乱世の覇者となろう……」

「……呆れた、それで?今はどうするの」

「この場は退かせてもらうわ、正式な使者も立てましょう―――正直、生き急ぎ過ぎたかも知れないわね、だから孫策、貴女に私の真名華琳を預け……この真名に誓う」

 

 

知らず喉を鳴らしたのは雪蓮だった。圧倒的に有利なはずで、先の舌戦ではかけらもなかった華琳の覇気、王気とでもいえばいいのか、雪蓮には自分よりも大きな器が感じられた。

 

「一度よ、次の一度場所を指定しなさい。そして蜀と協力して戦線を整えなさい……貴女が用意した戦場で、貴女達の全力を私は真っ向から打ち破って見せる」

―――ただ一度の決戦で終わらせるのも華があると思わない?

絶と呼ばれる鎌を持ち、優しく微笑む少女。明らかに自分よりも小さなその存在が今は何よりも大きく見える。

 

「……まったく、私をだしに一皮剥けたってわけ?今挑めばあなたには勝てるけど国としては負けるだろうし……あぁもう!」

 

雪蓮は、静かに息をする。脳裏に浮かぶのは呉の重鎮達、そして断金の友と自分を守ってくれた優しい男の姿。

 

「――――ッ!」

「受けるわ、私の真名雪蓮に誓い貴女の挑戦を……私の全力で貴女を叩き、そしてこの乱世を終わらせると」

 

今度は華琳が息を呑む番だった。先ほどまであった華琳から雪蓮へと流れていた風、それが唐突に拮抗しだした。鋭い視線で射抜かれ華琳にゾクゾクと歓喜が沸き立つ、いまこそ私は王たらん。我が生涯の敵は目の前のこの王で間違いはなかった。そんなことを考えて浮かぶ笑みは不敵。二人して表情は笑の形に作られているのに周りで見ている兵からすれば『これが笑顔だって?冗談はやめてくれよボブ』とそんな感じだ。

 

「伝令、全軍に撤退の指示を」

「伝令、全軍に待機の指示を」

 

指示を出された兵は同時に馬を駆って己が目指す場所へ向かう。後ろの喧騒と戦場音楽が遠く聞こえるその場所で二人の王が見つめ合う。

 

「そうそう、一刀だけど生きてはいるわ……倒れたけど」

「……そう、此方から医者を派遣しても良いかしら?私も掛かっているのだけど良い医者がいるのよ、五斗米道の針医者。ちょっとだけ暑苦しいけど腕は確かよ」

「こっちの医者は大丈夫と言っていたけどね―――!いえ、その医者の派遣お願いするわ」

 

断る流れを作りそうになった雪蓮だったが、何故か急に前言を覆す形で華琳の申し出を受け入れる方向を示した。これには華琳の方が逆に首をかしげてしまう、呉の医者、宮廷付きの医者ならば腕は確かだろうに何故と、そんな疑問が顔に出たのか雪蓮は苦笑を浮かべて見せる。

 

 

「ちょっとね……絶対に呼ばなければいけない気がしたのよ、その針医者」

「……噂には聞いていたけれど、それが貴女の勘かしら?」

「えぇ、呉の女はみんな勘がいいのよ?なかでも私のは特にね」

 

肩を竦める雪蓮、自身の直感を信じ裏付けされた力を持ってここまで来た一国の主、それ故に華琳もその直感を馬鹿にすることはなかった。そして見つめ合うこと一刻程、後ろで響いていた喧騒が無くなり戦場音楽もその鳴りを潜めたころ、華琳の元に秋蘭、そして桂花の二人がやってきた。同時にそれに連れ立つように冥琳と思春の二人が雪蓮の傍に立つ。

 

「撤退の用意、間もなく終わります華琳様」

「全軍に待機の命令は下しておいたぞ、雪蓮……正直肝が冷えたがな」

「悪かったとは思ってるけど……正直、魏が万全なら分が悪かったのは確かでしょ?この優勢も一時の物だと言うのも分かりきってることだし」

 

呆れ果てたように感情をそのまま吐露したような声音の冥琳に対して雪蓮は囁くように自身の考えを述べる。それに対しては冥琳も不承不承といった感じではあるが首肯した。

 

「今回は私の不手際、改めて使者と詫びは送らせてもらうわ。今度は貴女の用意した舞台で会いましょう、孫策」

「えぇ、貴女が絶対に勝てない舞台を用意しておくわ……華琳」

 

呼称に対して冥琳初め秋蘭達までも一度驚く、だが真名を呼ばれた華琳が良しとしているので彼女達は何も言うことが出来なかった。そこからはもう速かった、本陣を引き払い軍を再編し去り際こそ美しくと言えばいいのか、悠然と去っていく。

 

「もう少し削れたとは思うが?」

「あれが限界よ、あれ以上押し込まれていたら退くに退けなかったでしょうし……そうなっていたら最悪此方の負けよ、いいえ負けていたでしょうね」

「悔しいが、夏侯淵と夏侯惇が率いていた兵の強さは本物だ。あれも彼らが動揺せず、士気を維持できる古参兵だったからだろう。あの数があの兵数で士気も高いとなればいよいよお手上げだぞ」

「そ、だから今回はこれでいいの。それに言質も取ったしね。決戦は一度、舞台の準備は此方……勝つ策は用意できるかしら?冥琳」

「ふ、必勝の策を授けよう」

 

王と筆頭軍師、二人が話している間に思春は念のためと華琳達が去った場所を丹念に調べ伏兵の有無を調べ安全の確保にいそしむ。完全な安全を確保したと自信を持って言えるまで調べ上げて、やがて静かに蓮華が待つ場所へと向かった。

 

「さて……一刀に会いに行くわよ、冥琳!」

「それもいいが、やることはやってもらうわよ?雪蓮」

「あら、一刀に会わなくていいのかしら?」

「……なにもそうはいってないだろう」

 

二人は華琳達が去った方へ背を向け歩き出した。魏の兵に少なくない被害を出したものの呉の被害もそれなりに出ている。特に夏侯淵の相手をしていた左翼は一度再編を余儀なくされる程度に。そして恋の部隊には十分な休息が必要だろう、だが今はそれ。強敵が去ったことに安堵して一時の平和を享受するのだった。

 

 

-オマケ-

 

本編何それ美味しいの。それでもいい人だけ見てくださいな。

 

 

 

 

 

 

何時ものように騎馬の鍛練をして、何時ものように叔母である馬騰に鍛えられつつ凹まされ、文官が少なすぎるためにちょっと猪の気がある従姉に代わり彼女、馬岱は書簡を纏めてその日の鬱憤を晴らさんと遠乗りに出かけた。見上げれば満点の星と丸い月、気分を晴らすには絶好といえた。

 

「全く、お姉様も叔母様もちょっと厳しいと思わない?」

 

問いかけるも返事はない、それはそうだなにせ馬岱、真名を蒲公英というが、蒲公英は一人だけで出てきているのだから。応えてくれるのは馬のヒンという小さな声。頭のいい馬だと長く連れ添っている相棒のたてがみを蒲公英は優しく撫でる。

 

「うわ、流れ星?」

 

見上げた空に尾を引く一条の光。凶兆とも取られる流れ星だが蒲公英は何故かそれを気味悪い物だと思えず、むしろ惹かれる物すらあるように感じていた。

 

「嘘!消えない!?」

 

その流れ星の違ったところは、そう、消えることなくどんどん蒲公英に近づいてきたのだ。

 

「わわ!? 逃げるよ!」

 

急いで馬を駆る、そのことが功を奏したのか今まで蒲公英がいた辺りに向かって流れ星は降ってきて、世界を白が染め上げた。

 

「わ!?」

 

驚いた蒲公英は急いで馬を止める、馬の方もかなり荒れそうにはなったが背に乗っているのは彼が最も信頼している人間だったため、蒲公英が鎮めようとすれば自然と落ち着きを見せた。

 

「なんだろう……行ってみよう!」

 

好奇心旺盛、ニシシと笑いながら蒲公英は今まで経験したことのなかったこの事態に導かれるまま流れ星が落ちた場所へと近づく、そこには―――

 

「わぁ……格好いい人、服も綺麗だし……ん~触ったことのない感触」

―――白い衣服をまとった男が一人、眠る様に気を失っていた。

「取り合えず……連れて帰っちゃおう!」

 

男を背負い蒲公英は何か大きな変化がもたらせることを期待して笑みを作る。そう、きっと彼は蒲公英たちの未来を大きく変えるだろう。また一つ新しい外史の幕が上がったのだった。

 

 

-オマケのオマケ-

 

 

「あらん?ご主人様ったら西涼に落ちちゃったわん……まぁいいかしらごめんね劉備ちゃん、あそこには翠ちゃんがいるし、きっと将来的には貴女のところに行くだろうから……さて、ちょっと~ずるいわよ卑弥呼!自分ばっかりぃ」

 

「ふふん、ワシとダーリンの旅路に着いてこれるだけ幸運に思え!いくぞ!」

「えぇ!華陀ちゃんも良い男だから私も満足よ!」

 

主犯はブルァ、異論は認める。

 

 

-あとがき-

 

こんな感じでVS魏終了……まぁあれです、実際戦うとね、呉が潰れちゃうんだ……長期戦になると魏兵が死にもの狂いになって士気上昇、数の優勢と相まってそうなると呉の勝ち目がガクンと下がる。そして攻城となると投石機がバンバン岩や火炎壺落として詰み……

 

まぁそれを回避するとこうなっちゃうんだ、もっと複雑にもできるけど……そこまでするのは最終戦だけでお腹いっぱいです、本当にありがとうございます。

 

次!オマケについて

以前ちょろっと上げた涼州に流れ星のプロローグ部分ですこれから本編のオマケとしてちょこちょこ書くとか書かないとか、どうしようか悩み中。

 

次!応援メッセージ諸々について

とある人からの質問であったのですが『貴様の貰った応援メッセージの合計はいくつだ!全然返してないじゃないか!どうせ百や二百なら時間を見て返せよ!』といったものです。うん、時間を見て返したいんだけどね……応援メッセージ総数2289(2188人)これが現状の私が頂いた応援の数でして……恐らく返してないのは千件以上……ちょっと空いた時間ではもはや返すのが不可能な量に。いや、申し訳ない。全部に目は通しているのですが、嬉しい悲鳴とはまさにこの事。

 

次!アンケートについて!

前話で書いたように雪蓮と冥琳の二人を確定とさせていただきます。投票は一人4票まで!前回のアンケートと同じくその四票を纏めて一人にいれることを可能とします。3:1や2:1:1などの分配は不可とさせていただきます。

(蓮華に1票、思春に1票、亞莎に1票、穏に1票)○

(蓮華に4票)○

(蓮華に3票、思春に1票)×

(蓮華に2票、思春に1票、亞莎に1票)×

 

それではアンケートの番号を

A:蓮華 B:思春 C:亞莎 D:明命 E:穏 F:祭 G:小蓮 H:役満三姉妹

I:美羽 J:七乃 K:桔梗 L:恋 M:音々音 N:???

 

締め切りは次回投稿まで、次回投稿は今週の土曜~来週月曜までを予定しています。それでは、また次の更新で!(遅れたら例の如く罰ゲームで)

 

追記:

ギリギリ間に合った!日曜に8割完成→寝落ち。月曜に9割→仕事落ちと本当にぎりぎりですた。フラグは折る物だってバッチャが言ってたから当然ですよ!

 


 
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