No.220274

楽々・恋姫無双 〇話

TAPEtさん

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祝1000人

人これを自家発電と呼ぶ(ちがう

2011-06-02 21:37:07 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:7668   閲覧ユーザー数:6004

ここ、魏の新しい首都になった許昌にて、三国同盟という形でありながら乱世を鎮静することに一番努力を果たせた第一級の将たちが集まっていた。

今日は、魏にとってすごく重用な日であったのだ。各自任された仕事があったことにも関わらず、全員が彼女たちの王、魏の王である曹操孟徳、華琳さまの部屋の前に集まっていた。

 

今日は、三国同盟から280日が過ぎる日であった。

何だ、その曖昧な言いようは?と問い返すそこの君。

君には分かるまい。

分からぬ君に今までの出来事を説明しよう。

 

今から数年前、天の御使いが魏に降りた。

魏に降りた天の御使いは誰もが思っていた凛々しい姿ではなく、子供の姿をした、中身も子供、とても自分の欲望に充実してそうな子供であった。

北郷一刀(同時9才)は曹操と出会ったその日から彼女や他の魏の将たちの中からこの世の歪んだ理屈―幸せのために人を殺す―を前にしながらも、お姉ちゃんたちのために一生懸命頑張った。

そんな純粋な一刀ちゃんの姿があってからこそ、魏の将及び、覇王であった華琳は我を保ちながら戦いを続けることができた。

 

だが、一回目の異変が起こった。

反董卓連合の際、一刀ちゃんは突然洛陽にて姿を消した。

それから誰も彼の姿を見たものはなく、魏の将たちは悲しんだ。

 

だが、一年後再び御使い、北郷一刀は帰ってくる。

そして、戻ってきた彼は覇王であった曹孟徳の心を揺らし、彼女の覇道を砕いた。全ては一刀ちゃんにこの世の人たちへの幸せを、そして大好きな華琳お姉ちゃんの幸せを求む心があってこそだった。

だが、一刀ちゃんの心とは裏腹に、元あるべき歴史を変えてしまった一刀ちゃんは病を得て死ぬことを逆らえないようになった。そして最後の戦い。五胡と、同盟を成した三国の大戦争に勝利した後、その姿を消した。

 

一刀ちゃんの姿を最後に見届けた華琳に誰もが聞いた。

一体一刀ちゃんはどこに行ってしまったのかと。

一刀ちゃんは本当に死んでしまったのか。天に戻ってしまったのかと、誰もが彼女に答えを求めた。

 

そして、彼女の口から出てきたその答えに、誰もが最初は否定し、後は驚き、そして喜んだ。

 

「おええーー!!うええ!!えええーー!!」

「「「「!!!」」」」

「生まれたのか!」

「姉者、まだだ。入っては行かんぞ!中の風が良しとするまで中に入ってはいけない」

「しかし!」

「馬鹿!見たいのは私たちも同じよ。でももう少し待ちなさい。後で嫌と言っても見ることになるわ」

「うぅぅ……またどれだけ待てば良いというのだ」

 

ガラッ

 

「……」

「風!」

「どうだったんだ!華琳さまは……大丈夫なのか!」

「まぁ、まぁ、春蘭ちゃん落ち着いてくださいよ。お母さんの方は大丈夫ですけど………」

「…!!」

「まさか……」

「……残念ながら」

「冗談でしょ?まさか一刀が……!」

「風!」

「………すごくかわいいです」

 

ガクン!!

 

「「「「「風!!!」」」」」

 

 

 

 

一刀ちゃんは、曹孟徳の実の息子として蘇った。

 

時は三国同盟が果たされて初めて迎える春。呉にて開催される予定の第一回三国同盟祭りの百日前であった。

 

 

 

 

 

「華琳さまー!」

「………ふぅん……」

 

「「「「………」」」」

 

風の許可を得て一番最初に部屋の中に入った春蘭も、その後を追って入ってくる他の将たちも入ってきた途端の自分たちの主の顔を見て一度驚いた。

 

「…………」

「華琳さま……」

 

華琳さまは布に包まれた自分の息子を抱いて、疲れてる顔で、それでもすごく嬉しそうな顔でその中の生まれたての子供の姿を見つめていた。

その姿を見るに、まさに母の姿。

あの遠くない過去に、大陸に覇道を轟かせた覇道曹孟徳の姿はあらず、そこにあるのは、一人の子供の母の姿があるだけだった。

 

「……一刀…やっと…また会ったわね」

「………うぅ…」

 

生まれた直後の泣き声を上げていた子供も、今は静かに、母の胸に抱かれて安らかに眠っていた。

 

「………ん?あら、皆、居たの」

「は、はい……」

「子供が見たくて来たのでしょうけれど、もう少し後にしてもらえるかしら。少し…この子と二人で居たいから……」

「ぎょ、御意」

「わかりました。はい、あなたたちも早く出ていきなさい」

「えー、沙和も赤ちゃんみた…」

「沙和、空気よめ。ほら、真桜も」

「わあっとる。沙和、いくで」

 

一瞬新しい自分たちの主の姿に見とれていた魏の武将たちだったが、それもあっという間で、自分たちの欲は一応抑えて外に出て門を閉じる。

 

 

「………一刀」

「……ぇぅ……ぅ……」

「…変わったわね、あなたも……」

 

生まれたばかりの一刀ちゃんは母の声が聞こえるのかその目を閉じて小さな息をだしていた。

一刀の姿は以前とは違っていた。

黒かった髪は、まだほぼないものの華琳のような金髪で、瞳も母の蒼い瞳を受け継いだ。

生まれたばかりの子供の姿は、人としてみるにあまり美形とは言えないし、動きもほとんどない。

それでも、華琳はこの子をあれほど恋しがっていた。

この子にまた会うことを、どれだけ待っていたものか。

 

「あなたが眠っている間、いろんなことがあったわ……三国同盟はちゃんと成ったけど、まだ何もかも決まっていなかった。道の整備や、軍部の縮小した金を商業や治水とかの民生に回して国を復興させて……忙しい一年だった。それなのにまだ行く道は遠いわ」

 

一年はそれほど長い時間ではない。

三国同盟というものも、まだまだ何もかもが始まったばかりのものだ。

そう、まるで今生まれ変えてきた一刀ちゃんのように……。

 

「あなたが望んでいた、大陸皆の幸せはまだ遠いわ。だけど、あなたが居ること自体が、魏の皆にとっては幸せになる条件の一つよ。私も含めてね」

 

魏に生きている人たちなら誰でも望んでいたものだろう。外見的に、天の御使いは天に戻ったということになっていた。

が、曹孟徳が子を孕んだことが民たちに知らされた時、その子供が北郷一刀だということを疑う者がいなかった。

華琳と一刀ちゃんの日頃の様態をいつも見てきた陳留の民たちは特に、再びあの子の笑顔を見ることが出来ると喜んだ。

その噂を聞いて、多くの人たちが許昌に引越ししてきて、一時的に陳留が経済的に大変なことになる状況までもあった。

それほど一刀ちゃんの影響力は昂く、魏にとって一刀ちゃんの存在はもう彼らの体の一部とも言えるものだったのだ。

 

「初めてあなたがあの神殿の中で私だけ残して消えた時は、またあなたを失ったようで胸が裂けそうになったわ。だけど、あなたがこんな形で残ることを選んだのは、きっと私のことをあなたが信じたからね。私のことが、それほど好きだったってことね。だから嬉しかったわ。あなたの母親になってあげることができて、本当に、嬉しかった」

「…………うぅぅ…」

 

子供はまだ言葉を発することが出来ない。

まだ笑う方法も知らずに、その眠そうな顔で、母の姿を見ていた。

 

生まれたばかりの子供の視野はせいぜい45cmあたりだと言う。つまり、抱かれている母親の顔か、それとも授乳する時の乳房ぐらいしか目に入るものがないのだ。

母に抱かれた子供には、まるでこの世界には母親しか居ないように感じられるだろう。

自分が唯一頼れる人の側に居ること、生まれたばかりの一刀ちゃんにとって一番幸せ。

それは、前世の一刀ちゃんが、一生賭けてあれほど望んでいた光景でもあったのだ。

 

 

「……あ、霞が居なくなったわ。ローマに行くと言って……まだお腹の中のあなたに声をかけて行ったけれど、聞こえていたかしら。……きっと分かってたわね。あれから暫く気持ちが悪くて大変だったんだからね」

 

華琳はまだ赤ちゃんの一刀ちゃんに話続けた。

目を閉じた一刀ちゃんが、完全に寝てしまっても、華琳は一刀ちゃんに声をかけることをやめない。

 

 

「もう直ぐ三国同盟を祝う祭りが呉であるわ。私は行けないけれど、天下一品武道会や、将や軍師たちが参加する大会もあるから、皆張り切っているわ。特に春蘭はね」

 

愛おしい子供。

 

「他のところからあなたが生まれると絶対来ると伝令を入れておいたわ。皆あなたが待ち遠しかったのよ」

 

自分の一刀。

 

「以前のあなたの部屋にあった鞄の中で、あなたが描いた私のための服がたくさんあったわ。沙和に見せてあげたら、その後直ぐに待ちの服屋に見せて全部作ってきちゃって……あなたのせいで寸法があわなくて着れなかったけど……もう直着れるかしら。あ、でも駄目かしらね。胸、結構大きくなったしね」

 

あなたの幸せを、必ず守ってあげると……華琳は話を続けながらそう思った。

 

「桂花が料理の腕を上げたわ。一年忙しかったのに、その間でも少しずつ勉強したそうよ。あなたが普通の料理を食べられるほどに大きくなると、あなたに自分の手料理を食べさせてあげようって今から準備してるのよ。三枚おろしがなんなのかも知らなかったのにね」

「秋蘭は毎日のように毎朝私のところに来てたわ。私を見に来たんじゃなくて、あなたを見に来てたのよ。秋蘭も特にあなたのこと好きだったからね。私のお腹の上に声をかけているのを、私が起きるとすごく残念そうな顔で立って『おはようございます、華琳さま』っていうの。あの姿を見ていると、私がすごく悪いことをしたようで困っちゃったわ。だからっていつまでも寝たフリをするわけにもいかないし…」

 

・・・

 

・・

 

 

 

「それと……何話せばいいのかしら」

「…………」

「……ふぅ」

 

暫くそうやって一人で赤ちゃんに声をかけていた華琳だったが、正直華琳も疲れていた。

 

「ありがとう、一刀。私の側に居てくれて……これからも…ずっと私の側にいなさい。どこにも行かないで……ずっと……一緖に…幸せになりましょう」

 

疲れを我慢できず、赤ちゃんを抱いたまま華琳はゆっくりと瞼を閉じて、一刀ちゃんと一緖に眠りに落ちた。

 

 

 

 

というわけで、やってきました

 

黙々、虚々に続いたTAPEtの一刀ちゃんの外史、第三期

 

楽々・恋姫無双です。(まさか本当にやるとは思わなんだ)

 

前回の最後に出ていた一刀ちゃんは五才の子でしたが、今回は生まれたばかりの一刀ちゃんです。

と言っても、華琳が何かちょっと喋っただけの話でしたけどね。

まだちゃんと何か決めたことはないのです、実は。

 

いろんなところに飛びながら、魏の将たちの話をしようと思っています。

当分は一刀ちゃんはまだ赤ちゃんなので会話に加わることはちょっと難しくないかなぁと思っています。

 

それに、

 

実はあの、ちょっとその前のことも書きたいわけですね。

その前といいますと…

 

胎教とか。

そういう……あれとか…

書きたいと思ってます。

華琳さまがツワリで苦しむとことか、霞がローマに行く前に話したこととか、後……いろいろとあります。

 

後のこともそれもそれで書くことは多いですね。

歩き始めた一刀ちゃんが居なくなってそれを探して城を捜し回る魏の将たちの姿とか。

蜀の璃々ちゃんや呉のシャオと一緖に遊ぶ一刀ちゃんとか、

後両国の君主たちと一刀ちゃん(赤)とのご対面とか。<ーここ重要。

 

 

 

どれの方がいいでしょうかね。

今一刀ちゃんが生まれたばかりであります。

これよりもっと過去に行くか、それともこのまま先に行くか。

どうぞ、選んでください。

 

 

 

 

1.一刀ちゃんが生まれる前

2.一刀ちゃんが生まれた後

 

どの外史の扉から行きましょうか。

 

 


 
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