No.211059

真・恋姫無双 ~黒天伝~ #7

cherubさん

突然姿を現した友奈
果たして彼女は本当に友奈なのか!?
第七話です。拙い文章にお付き合いください

2011-04-10 18:04:53 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1715   閲覧ユーザー数:1595

霞「どないなっとんねん!?」

 

霞は右翼の崩壊のため駆けつけたが、その光景に言葉をなくす。そこにあったのは先ほどまで戦っていたはずの一万の敵兵の死体、百ちょっとの友哉の部隊、そして・・・燃え盛る紅蓮の天旗の下の朱髪を腰まで伸ばした一人の少女だけだった

 

向かいながら霞は友哉に起こった異変の一部始終を見ていた。変身したのにも驚いたが、何よりその強さに驚いた。最近友哉は強くなってきていたが、よく言って莉空より少し強い程度。自分よりはまだ弱かった。それに恋と比べるとなおさらだった。

 

しかし、少女は敵の中を駆け抜けると、走りながら逆手に構えた朱雀で敵の急所を的確に切り裂いていく。いかんせん、小さな刀だから人間を真っ二つというわけにはいかない。首を掻き切ったり、心臓を一突きにしていく。少女が通った後は倒れていく敵兵で一筋の道ができていた。

 

霞でさえ何とかその動きを見ることができた程度だ。一般兵には何が起こったのかわからなかっただろう。その強さは恋にも匹敵するほどだった。そして三十分もたつと、立っている敵兵はいなくなっていた。

 

少女「張遼!聞きたいことは山ほどあるだろうが、俺は先に帰る。帰ったらみんなを集めろ。そこで話をしてやる。部隊はお前に任せた」

 

いつの間にか、少女がこちらにやってきていた。話し方も態度も友哉のそれとは全く違った

 

霞「わかった」

 

その返事を聞く前に少女は馬にまたがり天水のほうへと走り出していた。その姿を見つめていた霞だったが、すぐに今はまだ戦闘中だということを思い出した

 

霞「張遼隊、天城隊は本隊にもどるで!」

 

 

劉備・関羽・一刀はそんな一部始終を見ていた

 

関羽「なんなんだあの強さは!」

 

劉備「昨日とは全然感じが違ったね」

 

関羽「ご主人様!天の世界の人間はみな変身するのですか!?」

 

一刀「いやぁ、基本的にこっちの世界の人間と同じはずなんだけどな・・・俺も変身できないし」

 

劉備「でもなんか、私たちの出る幕なくなっちゃったね。敵の左翼は天城さんが一人でやっつけちゃったし、本隊も呂布さんがほとんどやっちゃてるよね」

 

関羽「まだ終わっていませんよ、桃香様!逃げ出した敵兵の追撃が残っています!どうやら董卓軍もそこまでは手が回ってないようですね」

 

??「それは鈴々にまかせるのだ!」

 

いきなり蛇矛を持った赤毛の小さな女の子が走ってきた

 

劉備「じゃあ、鈴々ちゃんよろしくね」

 

張飛「まかせるのだ!ところでお兄ちゃんもあのお兄ちゃんみたいに変身できるのだ?」

 

関羽「さっきの話を聞いてなかったのか?それにお兄ちゃんが二人じゃややこしい何とかせんか!」

 

張飛「そんな事言われたってお兄ちゃんはお兄ちゃんなのだ・・・」

 

三人は顔を見合わせて苦笑してしまう

 

 

ねね「全く、友哉はなにをやってるのですか!これではせっかく考えた策も台無しなのです!」

 

ねねもまた一部始終を見ていた、というかおそらくこの戦場の全ての武将が見ていただろう

 

霞「ねね、戻ったで!どないするんや?」

 

そこへ右翼から霞が騎馬隊を引き連れて戻ってきた

 

ねね「友哉(?)はどうしたのですか!」

 

霞「あいつなら先に帰ったで。戻ったら話すゆうとったけどな」

 

ねね「それならこれから本隊を二つに分け恋殿、霞がそれぞれ指揮をとるのです!恋殿は敵後方に回り込み、霞は莉空の援護に向かい挟撃を行うのです!」

 

霞「よっしゃあ!さっさと終わらせてさっさとかえるで!」

 

 

さすがは天下の飛将軍呂布、神速の張遼そして猛将華雄といったところだろうか。命令が下るとすぐに敵を挟み込んでしまった。敵は本隊を失っていたこともあり、見る見るうちにその数を減らしていく。最初は一万ほどいた敵もあっという間に立っているものはいなくなった

 

 

霞「これで、しまいやな!ん?どないしたんや、莉空?」

 

莉空「今回私の出番が少なかったのは気のせいか?」

 

霞「さっさと天水に帰るで!」

 

莉空「無視するなー!」

 

恋「・・・莉空、次頑張る」

 

 

月「そんなことが・・・」

 

天水に帰った霞たちは玉座の間で月と詠に報告をしていた

 

少女「どうやら説明は終わったようだな」

 

扉が開き朱髪の少女が入ってくる

 

一般兵「何をしている!」

 

少女「邪魔だ!どけ!」

 

少女はとめに入った一般兵を殴り飛ばし気絶させてしまう

 

この人が・・・友哉さんとは声もしゃべり方も態度もまるで違います。本当に友哉さんなんでしょうか?

 

莉空「貴様ぁ!」

 

莉空はそう叫ぶと手に持っていた戦斧の刃を少女の首に当てる

 

少女「おいおいやめてくれよ。そんな物騒なもんはしまえよ。それにいいのか?俺を殺せば友哉の命だって保障できねぇぜ?」

 

莉空「!?」

 

莉空は渋々その斧を下ろす

 

少女「俺はただ話をしに来ただけなんだからよ。俺の名前は友奈だ姓・字・真名はない。一応、友哉の師匠で・・・神様だ!」

 

月「!?」

 

神様?この人は何を言ってるんでしょう?友哉さんの師匠というのは分かりますが・・・

 

友奈「お?董卓さんは俺が師匠ってのを理解してくれたみたいだな」

 

心の中を読まれた!?何で分かったんでしょう?もしかしてこの人は・・・

 

詠「あんた何言ってんの?じゃあ証明してみなさいよ!」

 

友奈「証明って言われてもなぁ・・・力を使うのはだめだしなぁ」

 

詠「ほら!やっぱり嘘なんじゃない!」

 

そういって友奈は腕を組み何やら考え出す

 

友奈「そうだ!お前たち戦場で俺の旗を見たよな?」

 

ねね「!!」

 

詠「旗って何のことよ!」

 

月と詠は天水に残っていたので友奈の旗は見ていなかった。

 

恋「・・・もえてた」

 

詠「どういうこと?」

 

霞は月と詠に説明した

 

月「分かりました。本当に神様なんですね。それでお話というのはなんでしょう?」

 

友奈「まず、俺は今友哉の体を借りて出てきているわけだが、この体の中には三人が住んでいる。一人目は友哉、そして俺、最後に・・・純粋な『闇』だ」

 

霞「『闇』ってどういうことや?」

 

友奈「それは後だ。とりあえず最後まで聞け。俺が出てきた理由は簡単だ。友哉が初めて人を殺したせいで感情が暴走しかけた。それを抑えるために俺が出てきた」

 

莉空「初めて人を殺すのは確かにすごいことだが、それほどではないだろう」

 

友奈「聞いてないのか。友哉はこの世界に来る一ヶ月前まで剣を握ったことすらなかった」

 

一同「!?」

 

友奈「それに友哉には人が殺される光景に深刻なトラウマを抱えている。友哉には母親と妹がいたんだが、強盗に殺されたんだ。それで剣を握るようになった」

 

ねね「強盗?」

 

友奈「いってみればこっちの賊みたいなもんだな。でもそいつらは普通じゃなかった。友哉の目の前で、二人の家族を拷問したんだ!気絶することも、目を背けることすら許されなかった。目の前で家族がいたぶられ、殺されていく姿を延々と見せ続けられたんだ!」

 

詠「なんてことを・・・」

 

霞「最悪の下種やな!」

 

月「それで友哉さんはあんな悲しそうな表情をするんですね」

 

友奈「呂布だけは最初から気づいていたみたいだがな」

 

莉空「そうか!恋の家族も賊に・・・」

 

恋「・・・なんとなく、恋とおんなじ気持ちしてた」

 

霞「せやから、最初っからあんなになついとったんやな」

 

友奈「この記憶こそが友哉の中にすむ『闇』だ。今は道空が黒天でその記憶を封印してあるんだが、心理的な衝撃でそのことを思い出して感情が暴走しそうになるみたいだ。だから俺がこいつの中から、押さえ込んでいるんだ」

 

 

--友哉が外史へ行く前夜--

 

友哉が意識を失った後友奈と道空は祠で話をしていた

 

道空「友哉は明日外史へと旅立つ。できればわしがついて行きたいんじゃが、いかんせん年をとり過ぎた」

 

友奈「おいおい、俺に行けってんじゃねぇだろうな!」

 

道空「こやつの封印は解けてはならんのじゃ。本当の天災にしてはならん!」

 

友奈「ふざけるなクソジジイッ!俺が断れねぇのを知ってて!」

 

道空「すまんな。しかしこうするしかないのじゃよ・・・」

 

友奈は泣きだしてしまう。ここで外史に行くということはすなわち永遠の別れを意味しているのだ

 

友奈「卑怯だ!俺はまだ何にも・・・」

 

道空はそっと友奈を抱きしめる

 

道空「すまんな。我が愛する娘よ・・・」

 

道空はそっと手を友奈の頭に乗せる。すると光りだしやがて友奈の体を光が包み込む。光はだんだん姿を変え、五センチほどの球体になる。すると道空はその光の玉をそっと眠っている友哉の胸に落とす。光の玉は友哉の中へと沈み込んでいく

 

----

 

 

月「それで、感情が暴走してしまうとどうなるんですか?」

 

友奈は深刻な表情で少し考え込む

 

友奈「具体的なことは分からない。だがそうなってしまったら、もう誰にも止められない。ここで重要になってくるのがお前たちだ。お前たちは今友哉の心の支えになっている。特に呂布、お前だ!」

 

霞「なぁんや、うちやないんか。ちょっぴり残念やなぁ」

 

恋「・・・恋が、支え?」

 

友奈「そうだ。だからお前はずっと友哉の側にいろ。絶対にだ!お前に何かあったらもう俺じゃ抑えきれないだろうからな」

 

恋「・・・わかった」

 

友奈「よし。話はこれで終りだ。俺はもう眠りにつく。俺が眠れば友哉が出てくるだろうが、今回は大変だったからなしばらくは目を覚まさないだろう。願わくば俺の出番がもう来ないことを」

 

そういい残して友奈は玉座の間を出て行った

 

みな何か思うところがあるようだ。全員が黙って考え込んでいる。そのうちに一人、また一人と玉座の間を後にし、自分の部屋へと戻っていった

 


 
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