No.209687

剣と魔法のファンタジー

篇待さん

友達とメッセで即興でやったゲームブック的なアレ。

2011-04-03 05:28:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:985   閲覧ユーザー数:966

 マックスハート・エンジニア・アウトは拷問を受けていた。

 魔法使いとして優れた戦士のマックスハートはついつい調子にのって王様を城ごと爆破して気に食わない大臣や鼻くそのつまった顔の大臣を暗殺したために警察に捕まったのだ。

 警察での取り調べはそれはもう拷問と呼べるような拷問が行われた。マックスハートは3日もすると憔悴して血の小便を流すようになった。それでも毎日毎日拷問が行われるのだ。いかに卓越した技術を持つ魔法戦士(アインハンダーツヴァイ・イーゲルシュテルン)のマックスハートとはいえ、心が折れそうになっていた。

 四日目にしてマックスハートは死んだ。

 テクノブレイクだった。

 

場面転換――真っ白な空間(異次元)

 

「ここは異空間か。天才の俺にはわかるな、なにも不思議は無い」

 マックスハートは異空間にいた。そこは真っ白な空間で、まるで精神と時の部屋のようだった。しかし、上下の感覚すらないのでマックスハートはまるで宇宙に漂っているような気分になって吐いた。

 宇宙酔いだった。

「汚い奴だな。ゲロ野朗。私は神だ。自由の神だ。おまえの様なクズは世界のゴミだからこの世界から捨てることにした。さて、希望を聞いてやろう。どんな世界がいいかね?」

 

1 剣と魔法のファンタジーワールド

2 剣と魔法のファンタジーワールド

3 剣と魔法のファンタジーワールド

「さぁあ存分に選べ」

 

⇒1

「ふむ、剣と魔法のファンタジー世界を望むか。さすが若者、欲望に忠実だのう。では貴様に特別にプレゼントをやろう」

 

1 触れたものを消滅させる能力 

2 加速装置

3 回復魔法(ケアル)

「さあ、選ぶがよい」

 

⇒1

「なかなか強力なのを選んだな。まぁよかろう。それでは死んだらまた会おうではないか!」

 そう言って神様は光になった。マックスハートも光になった。

 気づいたとき、マックスハートは森にいた。

 目の前には熊。それも10メートルはある巨大な熊である。色は黒い。

 

1 石を投げる

2 会話を試みる

3 消滅させる

 

⇒1

「くそ! 武器がない! 石だ、こんなときは冷静になって石をなげるんだ。そうすれば敵はただの熊だ。なあに恐れることはねえぜ」

 冷静に石を拾ったマックスハートは石を握って投げた。肉体が地球人だったころの五億倍は強化されているであろうマックスハートである。その石は一瞬にして燃えてなくなった。

 当然熊に当たるどころか届きもしなかった。

 しかし、その行動がマックスハートに冷静な心を取り戻させたのだった。

 

1 もっと石だ!

2 会話を試みる

3 人間を超越するぞJOJOOOOO

 

⇒1

 マックスハートは冷静に次の石を拾った。それをただ投げても結果は代わりはしない。

 しかし、マックスハートは極めて冷静だった。冷静なまま熊に向かって駆け出していく。その速度は、第三者がみたら瞬間移動に見えたことだろう。

 その速度をもって、熊に肉薄するマックスハート。その右手には、固く握りこまれた、石。

 もはや熊は反応さえできはしなかった。マックスハートが眼前一メートルで放った投石は、光の矢となり熊の頭を吹き飛ばした。

 異世界でのバトル、マックスハートはこうして生き残ったのだった。

「さて、ここは森のようだな。どうしたものか・・・」

 

1 奥に行く

2 森を出ようとがんばる

3 地面に触れたらこの星を消滅させられるのかな?

 

⇒1

「まぁいきなり森をでて戦争とかやってたら嫌だな。ちょっと森の奥を探検するか」

 そうしてどんどん森を進むマックスハート。

 そうして一日が四回過ぎた頃、マックスハートの人智を超越した耳に女の悲鳴が聞こえた。

「こんな森の奥地で悲鳴!? それも明らかに女の悲鳴だ。これはもしかしてモンスターの罠なのか?」

 

1 助けに行く

2 木をもいで武器をつくる

3 怖いから逃げる

 

⇒3

「やっべションベンもれるほど怖くなっちゃった。ここは逃げよう。もし本当に女の人が襲われてたとしても、その人が食べられるまで俺は安全だろうからな」

 マックスハートはゲスな思考の持ち主だった。

 やがて悲鳴は聞こえなくなり、ガクガクと震える足で逃げるマックスハートに複数の足音が迫ってきた。

 それは群れだった。体長三メートルはあろうかという狼の群れ。その毛は黄金に輝いていた。そのあまりにも美しい姿に、マックスハートは魔人狼と名づけた。

 狼は五百匹はいるのだろうか。ションベンを漏らしながら逃げるマックスハートはすぐに囲まれてしまったのだった。これは、壮絶なピンチだ。

 

1 戦う

2 抵抗する意思はないことを示すため全裸になる

3 俺の名前はマックスハーーーートだぜええええええええ!!

 

⇒2

 マックスハートは脱いだ。もう彼に戦う意思は残されてはいなかったのだ。

 枯れ果てたじじいのような眼差しで、マックスハートは全裸になった。

そして、懇願する。

「どうか、どうか何卒、い、命、命だけは!」

 命乞いだった。

 しかし、相手は獣、そんな言葉など聞こえはしない。

 よく見ると口元を血で汚しているものが数匹。きっとさっきの悲鳴の主の血なのだろう。

 唐突にマックスハートに怒りが湧いてきた。

 まだ見ぬ少女を思い、カナシミに襲われる。

「食ったのか・・・・?」

 わなわなと震ええる拳。それはもはや、恐怖で震えているのではなかった。

「おまえら、食ったのか?」

 その瞳は、闘志が宿っていた。

「食ったのかって聞いてんだクソ犬がああああああああああああああ!!!!!!」

 咆哮は、森を揺らした。

 

1 大地を狼たちごと消滅させる

2 今ならできる! 魔人拳!!

3 今までのは全部はったりで逃げる

 

⇒3

 咆哮に狼たちが怯む。その一瞬の隙を天才のマックスハートは見逃さなかった。

 冷静な判断力を持って、駆け出す。

 もちろん、狼たちとは逆方向へ。

 囲まれていたような気がしたが、そんなことはなかった。

 あと少女を最初に見捨てたような気もしたが、そんな事実もなかった。

 光を上回る脚力を発揮したマックスハートは、その逃走の勢い余って森を出てしまった。

 そこは、戦場だった。

 魔法使いが破滅魔法を唱え大地を抉り、戦士が竹槍を持って果敢に突撃する。

 まさにファンタジーの光景が広がっていた。

「あばばばばばばば! これだよこれ! 俺が見たかったのはこんな血みどろのファンタジーなんだよおおおおおおお」

 ちょっと興奮して冷静じゃなくなったマックスハートは無防備で戦場のど真ん中に立ってしまっていた。もちろんいい的である。

 

1 魔法使いの殲滅魔法を喰らって吹き飛ぶ

2 戦士の群れに引かれてボロ雑巾になる

3 俺がスーパーマックスハートだ。とっくにご存知なんだろう?

 

⇒3

 迫り来る殲滅魔法。両陣営から怒涛の羊のように迫る重戦士。

もはや、マックスハートに逃げ場はなかった。

 しかし、逃げない。

「くきゃかやかやかや。とっくにご存知なんだろう?俺が、スーパーマックスハートだ!!!!!!!」

 中指を立て、笑うマックスハート。彼は狂ったのか? いいや違う。

 彼は回る。両の手を広げ、ぐるぐると回る。それはまるでコマのように。

 その回転は二秒で竜巻を発生させ、重戦士たちをまるでタンポポの綿のように吹き飛ばした。

 そして迫り来る殲滅魔法をはじき返したのだ。

 戦場は、混乱していた。

 指揮官は叫ぶ。「なんだあの竜巻は!!!」混乱は軍全体に広がる。

 指揮官は叫ぶ。「なぜ殲滅魔法がはじかれるのだ!!」被害は軍全体に広がる。

 もはや、そこは戦場ではなかった。

 災害。

 そう、そこにあるのはただ偉大な大自然を体現した1人の男のであった。 やがて軍は沈黙する。

 それは、たった一人の男の前に、国が頭を垂れた瞬間であった。

 

1 皆殺し

2 キル ゼム オール

3 寛大に許す

 

⇒2

「余はな、寛大である。故に許そう」

 マックスハートは血にまみれ、泥にまみれた両軍に告げる。

 もはやその声をさえぎる音は存在してはいなかった。彼こそが王。何者も彼を遮れない。

「自害せよ。唯それを、許す」

 もはや、両軍に希望などなかった。

 剣を首にあて、引く者。魔法で自らの首を吹き飛ばす者。逆らうものなど皆無であった。

 それほどに彼は王であり、絶対であった。

 しかし、忘れていた頃にそれはやってくる。

 森からの、五百匹の血に飢えた狼の群れ。その襲来であった。

 

1 戦う

2 逃げる

3 戦争してるってことはきっと近くに街があるな。そこで匿ってもらおう。

 

⇒3

 マックスハートは千の死体の山の中で考えた。

 狼の群れは恐ろしい。逃げなければならない。しかし、どこに。

(コイツら、戦争してたってことはきっと近くに補給基地とか町とかがあるに違いない。そこならきっと食料とかも手に入るし、防壁とかもあるだろう)

 どこまでも彼は冷静だった。怖いほどである。

 

1 魔法使いのいた陣地方面へ行く

2 戦士たちのいた陣地方面へ行く

3 森へ万歳アタック

 

⇒3

 マックスハートは戦士が持っていた竹槍を拾った。

 なぜそうしたのか、彼にはわからなかった。だた、そうしなければならないと、体が勝手に動いたのだ。

 森を、狼を、睨みつける。

「そういえば忘れてたけど、お前たちには恨みがあった」

 竹槍を両手に一本ずつ、構える。それは、突撃の構え。

「きっと少女は痛かった。悲しかった。まだ、生きていたかったに違いない」

 駆ける。駆ける。駆ける。

「それをおまえたちは奪った!罪も無い少女を!ただそこに居たという理由だけで!」

 我武者羅に、マックスハートは竹槍を振るった。

 振るうたびに消し飛んでいく狼たち。

「もっと笑っていたかったはずだ!もっといろいろなことがしたかったはずだ!それを!お前たちが奪った!ただ空腹だというだけで!」

 血の雨が降っていた。

 五百匹いた狼は、その数を半分以下に減らしていた。

 しかし、マックスハートも無傷ではいられなかった。

 もはや両腕は千切れ、竹槍を口で咥えて振るっていた。狂気の成せる業だった。

「俺は!お前たちが許せない!弱者をいたぶるお前たちが!!!!!!!!」

 

 森は、静かに。

 その日、少しだけ、森のテリトリーが崩れた。森の一角を支配していた狼の群れが突然姿を消したためだ。

 それでも森は、何も変わらないかのようにそこにあり続ける。

 今日も、森は、静かだ。

END。


 
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