No.199656

真・逆行†無双 二章その9

テスタさん

一刀VS琥栗。
いよいよ二人の決着がつきます!
一刀と琥栗は分かりあえるのか!?

2011-02-04 12:33:35 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:5211   閲覧ユーザー数:4246

 

 

 

 

 

 

一刀と琥栗は互いに驚いていた。

戦いが始まって数分。

 

初めは琥栗との戦闘に戸惑っていた一刀だが、

数合打ち合って新たに驚いていた。

 

(琥栗の戦い方……俺と)

 

(一刀さんの戦い方……私と)

 

((似てる…!!))

 

そこで琥栗は思い出す。

先程星との戦闘で言われた言葉を…。

 

『その攻撃は知っている』

 

「なるほど……一刀さんのことだったんだ」

 

「え?」

 

「何でも……ないですよっ!!」

 

「くっ!」

 

鋭い突きを放つも一刀のもう一つの刀『地刀』により受け流される。

すぐさま一刀の反撃。

だが一刀の攻撃は迷いがあり受けるまでもなく、軽く避ける。

 

(あの武器…やっかいだなぁ。

細いしすぐ折れるかなとか思ったけど、あれは受ける用に造った武器じゃない。

受け流す武器……にしては私の攻撃を何回か受けても折れなかった所を見ると、

見た目以上にかなり丈夫な武器ね……だけどあんな剣見たことない。

あれってもしかして天の国の武器なのかな?)

 

それに加え琥栗と同じ先頭スタイル。

攻めきれないのも仕方ないといえた。

 

それよりも……と、琥栗は一刀を睨みつけた。

 

「随分余裕……なんですね?」

 

「え?」

 

「手を抜いて勝てる程、

私は弱くないですよ?」

 

「俺は……琥栗と戦うために来たんじゃない」

 

「そうですか……」

 

一刀の言葉を聞き、

琥栗はどこか失望したような諦めたような顔をした後、

 

「なら一刀さんが死ぬだけです!!」

 

再び一刀へと突撃する!

 

「待ってくれ!話しを聞いてくれっ!!」

 

「断ります!!それに集中しないと――」

 

「づっ!?」

 

槍の刃が一刀の頬を掠める。

その直ぐ後、スパッと頬が切れ血が中に舞う。

 

「すぐに死にますよ?」

 

「…………っ!」

 

血と一緒に冷や汗が流れる。

琥栗から発せられる殺気は本物だ。

本気で一刀を殺そうとしている。

 

その事実が一刀を苦しめる。

 

「……………」

 

「……………」

 

「……はぁ、これだけやってもダメですか」

 

暫く睨みあった後、

琥栗は呆れたように息を吐き、

さらにキッと瞳を鋭くして一刀を睨みつけた。

 

「馬鹿にするのもいい加減にしろ!!

その余裕……本当に腹が立つ!!」

 

一瞬で肉薄し槍を振るう。

 

「違う!俺はただ―」

 

「話しあいをしましょう?

そんな簡単な話じゃもうないんだ!!

もう何人、仲間が殺されてると思ってる!?

引くに引けない所まできてるんだ!

いい加減理解しろ!!」

 

「ぐっ!」

 

「話し合いで仲良く手を取り合おうとでも言うのか!?

そんな理想論……吐き気がする!

どっちかしかないんだ!!

盗賊(わたしたち)が滅ぶか、官軍(一刀さんたち)が滅ぶか!!」

 

一方的な展開。

一刀はただただ琥栗の猛攻を防ぐしかなかった。

 

だが次第に防御も間に合わなくなっていく……。

 

「私は一刀さんを殺す!これは絶対だ!!

もし嫌なら私を殺してみろ!!

それが出来ないなら……黙って殺されろーーーーー!!!」

 

そして、琥栗の槍が一刀の肩を裂いた。

 

 

 

 

 

 

「ヒヒン!?(旦那様!?)」

 

「がぁっ……!!」

 

六花の悲鳴と共に一刀の血が飛び琥栗の服にまで飛び散る。

琥栗は一瞬だけ眉を顰めたが、再び直ぐに一刀を睨みつけた。

 

「どう……ですか?これでもまだ、余裕を見せられますか?」

 

「…………っ」

 

「痛くて言葉も出ないですか?

なら………これで死ねぇぇぇ!!!」

 

止めを刺そうと槍を振り上げようとする琥栗!

だが、槍が動くことはなかった。

 

「……な!?」

 

刀を持っていないほうの手。

その手で一刀は自分の肩を裂いた槍を掴んでいた。

 

膝は震えている。

表情も苦痛を耐えているのが容易に分かる。

が、掴まれた槍は琥栗の力でもビクとも動かせなかった。

 

「……だ」

 

「え?」

 

「俺は……嫌だ!!」

 

「何が……嫌だって言うんですか?」

 

「諦めたくない。……琥栗と殺し合いをするのなんてゴメンだ。

もう戦うことしか出来ないなんて認めたくない。

どっちかが死ぬしかないなんて認めたくない!!

俺は小さい……。

護れる人も少しだけだ。

でも、だからこそだ!

自分の大切な人を……簡単に諦めたりなんて出来ない!!」

 

わがままだ。そう一刀は思う。

これはわがまま。

自分のエゴ。

大切な人だけは助けたいという一刀の勝手なエゴだ。

 

「か、勝手なことを……!

私たちは敵同士なんですよ!!?」

 

「それがどうした?」

 

「っ!?」

 

「ねぇ琥栗……俺、琥栗のこと好きだよ」

 

「はひぃ!?

なっ、ななななな何を!?」

 

「教えてくれないか琥栗?

どうして琥栗は盗賊なんてしてるんだ?

どうして琥栗は……そんなに悲しそうな顔をしてるんだ?」

 

「――――。」

 

絶句。

 

琥栗は目の前の男から視線が外せなくなっていた。

目の前の男の、何もかも包み込んでしまうような深い瞳から。

 

「琥栗……俺の手は人殺しの手だ。

いっぱいいっぱい人を殺してきた人殺しの手だ。

でも、俺の手は人を救う手でもあるって言ってくれた子がいるんだ。

俺はその言葉に凄く助けられた。

人殺しの手でも、誰かを救うことが出来る手なんだって……思えたから。

……俺はね琥栗、助けたいんだ」

 

「たす……ける……?」

 

「さっきも言ったけど、俺は小さい。

俺は皆の力を借りて沢山の人を助けることが出来てる。

でも俺一人じゃ救える人なんてほんの僅か。

だったら俺は琥栗を助けたい。

この小さな手で……救える人が一握りだとするなら。

俺はこの手で……君を助けたいんだ」

 

「…………あ……」

 

どうしてだろう?

琥栗は自問する。

 

怪我をしているのは相手で自分は傷一つない。

 

なのにどうして震えるのだろうか?

どうして身体が震えてしまうのだろうか?

 

どうして……

 

「……っく、どう……して……ひっく」

 

涙が出てきてしまうのだろうか?

 

「どうして……なんですか?」

 

「琥栗……?」

 

「どうして今なんですか!?」

 

最悪だ。

本当に最悪だこの人は。

 

この目の前の男はどうしようもない最悪の男だ。

 

どうしてこうまで心をかき乱すのか?

どうしてこうまで……憎たらしいのか!?

 

「……私の両親は、盗賊たちに殺されました」

 

「!?」

 

琥栗は静かに語りだす。

己が歩んで来た人生を。

あの日、遅すぎた官軍の兵に助けられるまで……

そして、それからのことを――

 

 

 

 

 

 

 

 

――あれから、私は一人の男に引き取って育てられることになりました。

その男は身体は大きく、普段から野蛮で、それでも温かい人間でした。

 

 

――失意の底にいた私を諦めることなく優しく、時には厳しく接してくれ、

今の私があるのは全部あの人のお陰です。

口を閉ざした私にご飯を与え、寝むる時は一人じゃないように一緒に寝てくれ、肩に乗せ街を歩いてくれた。

私がその男を父と呼ぶのにそう時間はかかりませんでした。

 

 

――父だけじゃない。父の周りにいる人たちは皆温かい人でした。

何よりも私が誇らしかったのは、その温かさは父を中心に広がっていることでした。

ああ、この人は本当に凄い人なんだ。この人が私の父なんだと、誇りに思っていました。

暖かで賑やかで優しい毎日。私の傷は自然と癒えていき、以前以上の明るさを私は取り戻しました。

……でも、やっぱりというか何というか……そんな平和は長くは続かないもので……。

 

 

――ある日、知らせが街に入ったんです。盗賊がきていると。

でも街の人はそんなに慌てませんでした。私がいた村ならともかく、この街には官軍がいたんですから。

………本当に腐った腐った官軍が。

 

 

――人数が多かったんですよ。こっちの軍より盗賊の方が。

それを知った街の役人たちはどうしたと思います?逃げたんですよ、軍をつれて。

当然街は大混乱。盗賊はもう目の前、でも助けてくれる官軍はいない。

絶対的絶望。街の人は死を覚悟しました。

 

 

――でもそんな時です。父が立ち上がったのは。

父は言いました。このまま何もしなくても死ぬのは代わりない。

だったら皆で立ち上がって盗賊をやっつけよう!って。

父の言葉は街の人を動かしました。皆生きるために武器を構え盗賊たちを迎えました。

数は圧倒的に振り、それでも父は真っ直ぐ前を向いていました。

だからでしょうか?街の人たちも最後まで諦めきることはしなかったんです。

そうして……奇跡が起こったんです。

劣勢にたたされていた時、戦っていた一人が偶然賊の頭領を倒したんです。

形成は逆転。頭領が死んで混乱した盗賊はあっという間に逃げていきました。

私たちの勝利です。

でも、犠牲も少なくはありませんでした。

死人はたくさんでました。そして――

 

 

 

 

 

「その死人の中には父がいました」

 

「…………」

 

「一刀さん。官軍はまた奪っていったんです。

私の大事な人を……。

そりゃあ実際父を殺したのは盗賊です。

でも奴らが逃げなければ父が死ぬことはなかった!

だから私は決めたんです。絶対あいつらを許さないって。

今まで私の大切な者を奪ってきた奴らから、

今度は私が奪ってやるんだ!って。

そうして今の私たちが出来たんです。

奪われた悲しみを同じように味あわせてやるために……」

 

琥栗はもう泣いていなかった。

ただ淡々と過去を述べる。

その顔には……何も映していない。

 

「そうやって盗賊になってしばらくたった時ですよ。

ある噂が入ってきたのは。天の御使いっていう……」

 

「!」

 

「初めは単なる興味から。

どうせソイツも今までの奴らと変わらないだろうって思ってましたし……

でも、違った。

天の御使いがいる街には笑顔が溢れていた」

 

「…………」

 

「そして街の人々が口々にいうんですよ。

ここまで豊かになったのは御使い様のお陰だって」

 

そこから琥栗の表情が変わる。

能面のような顔から苦味を潰した顔に……。

 

「正直嫉妬しました。

どうしてこの人たちは私たちと違ってこんなに笑顔なんだろう?って。

でもこうも思いました。

ここまで人々を笑顔に出来るなら、それは凄く難しくて、

簡単には出来ない方法をやってのけたんだろうって。でも……」

 

琥栗は一刀を見る。

その瞳に怒りを……切望を……希望を……憎しみを含め。

 

「一刀さん……あの時言いましたよね?

『俺が出来ることは簡単なことでしかない』って」

 

「……!」

 

「ならどうしてあの時の私たちの前に現れてくれなかったんですか!?

簡単なことでしかないなら……どうして私たちの街に来てくれなかったんですか!?

どうして今なんですか!?あの時一刀さんがいたなら……いてくれたなら

きっとあんな事にはならなかった!!

父も死ぬことも私たちが盗賊になることも……なかったのに!!」

 

一刀は理解した。

どうしてあの丘で琥栗が怒ったように去っていったのか、

琥栗が抱えていた怒りとやりきれない思いを……。

 

「今なんていらない!

私は……あの時がよかった!

あの時一刀さんに助けて欲しかった!!

私の叫びを聞きつけて飛んできて欲しかった!!

………なのにどうして今なんですか?」

 

「琥栗……俺は……」

 

「だから……もういらないんです」

 

「ぐあっ!?」

 

一刀の槍を握る力が緩まった隙をついて、

槍を引き抜き距離をとって構える。

 

「助けなんてもういらない……。

私がいま欲しいのは、お前の命だ!北郷一刀!!

はあああああああああああああああ!!!!」

 

そしてそのまま一気に加速し、一刀に突撃――

 

ブオン!!

 

「っ!?」

 

急停止。

顔のほんの数ミリ、そこを刃が通りすぎていた。

 

眼前の一刀を見る。

もちろんその刃を振り下ろしたのは今睨みつけている相手、北郷一刀。

 

一刀は刀を振り下ろした状態で琥栗を睨みつけていた。

 

「やっと……やる気になったんですか?」

 

「ああ」

 

その答えに琥栗は内心安心する。

だが、次の言葉にその安心は吹き飛ぶことになる。

 

「琥栗を絶対助ける覚悟が出来た」

 

「なっ!?」

 

「琥栗、話してくれてありがとう。

お陰で少しだけ琥栗のことが分かったよ。

それにもっと好きになれた」

 

「何を言っているんですか!?

私は助けなんていらないんだ!!」

 

「それでもいいよ」

 

「!!」

 

「俺が勝手に助けるから!」

 

「……………………フフ、ハハハハ!!

ここまでくると呆れてモノも言えないなぁ。でも……

出来るものなら……やってみろおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

――心が落ち着いている。

さっきとは段違いだ。

 

――それにこの感覚もいつもより強い。

琥栗の動きが今までよりずっと遅く見える。

 

――琥栗、ゴメン。俺の言葉で君を苦しめていたんだな。

でも、だからこそ謝ったりなんかしない。

 

――俺は絶対、君を助ける!!

 

 

 

 

 

「くっ!?」

 

おかしい!?

琥栗に焦りの表情が浮かぶ。

 

さっきまで当たっていた自分の攻撃が全てかわされている。

受けとめられるどころか見切られ、全部かわされている!

冷や汗が頬を伝う。

 

「琥栗は本当にそれでいいの?」

 

「何のことだ!?」

 

こっちは必死で動いているのに対し、

一刀は息を乱す事無くかわし続ける。

 

「過去に起こった悲しい出来事に対して俺は何も言えない。

でもそれは、今の琥栗に何も言えないわけじゃない」

 

「何が言いたい!?」

 

「確かに俺は昔の琥栗を助けることは出来なかった。

でも今の琥栗は別だ」

 

「助けなんかいらないって言っている!!」

 

「それは嘘だ」

 

「嘘じゃない!!私は……私はぁあああああああ!!!!」

 

渾身の一振りもあっさりと避けられる。

いつの間にか、琥栗は体中に汗をかいていた。

 

そう、当てようと大振りばかりを繰り出していたせいか、

疲労がいつも以上に早く琥栗の身体を蝕み始めていたのだ。

 

それでも攻撃を止めようとしないのは……

必死に一刀を拒絶しようとする、彼女の小さな心。

 

だがそれは、一刀に本音を見破られたくないという心からくるものであることに琥栗自身気づかない。

 

「嘘じゃない!!」

 

「っ!」

 

気がつけば目の前すぐに一刀の顔。

槍を受け流し懐にもぐりこまれたのだ。

 

「琥栗……俺には見えるよ。

『助けて』って泣きじゃくる琥栗が」

 

「ち、ッ違う!!そんなこと……」

 

「過去に俺はいなかった……。

でも現在には俺がいる!」

 

「私は復讐してやるんだ!

奪っていった奴らに……絶対!!」

 

形成逆転。

今度は琥栗が防戦一方となる。

 

「復讐なんてする前にやらないといけないことがあるだろう!!」

 

「そんなものない!!」

 

「ある!!

君が幸せになることだ!!」

 

「っ!そ、そんなもの昔に全部無くした!!」

 

上段、下段、どんどん勢いをつけて攻撃は増していく。

 

「昔に無くしたから今はいらないのか!?

諦めるのか!?そうじゃないだろ!!」

 

「うるさい……!うるさいうるさい!!」

 

「何度でも言うよ、俺は琥栗を助ける!!

琥栗が背負ってきた罪もこれから全部俺が背負う!

俺は今ここにいる!過去の琥栗は無理でも、

今の琥栗には手が届く!だから……」

 

中段の攻撃を防御した時に体制を崩してしまう。

その隙を見逃さず一刀はすかさず一天を抜きさり――

 

「『助けて』って声を上げてくれないか?

今度は絶対駆けつけるから――」

 

琥栗の槍を切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……一刀さん」

 

「………ん?」

 

今、琥栗は地面に仰向けに倒れている。

そしてすぐ横には自分を見下ろす一人の男。

 

天の御使い・北郷一刀。

 

琥栗は震える声で言葉を紡いだ。

 

「……たすけて…」

 

「…………」

 

一刀は腰を落とし、琥栗の手を取った。

 

「了解。遅くなってゴメンな。

でも琥栗の声、ちゃんと届いたよ」

 

「…………………ほんと、遅すぎますよ」

 

琥栗は泣いた。

そして同時に笑った。

 

それは、もう数年と浮かべていなかった琥栗の心からの微笑みだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「立てる?」

 

「はい、何とか」

 

本当なら少しその場で休憩したいところだが、

戦場でそんなこと出来るわけもなく、

二人はとにかく桂花たちがいる本陣へ戻ることに決めた。

 

「……勝負がつきそうですね」

 

「うん」

 

もう、誰の目からみても勝敗は結していた。

公孫賛軍の勝利という形で。

 

「大丈夫。逃げる者や投降してきた者を殺したりなんてしないから」

 

「……はい」

 

そう答え琥栗は戦場を見渡した。

そして少しの間目を瞑る。

 

彼女が何を考えているかは本人以外にはわからない。

一刀はただ静かに琥栗が目を開けるのを待った。

 

「……いきましょうか」

 

「もう、いいのか?」

 

「はい」

 

二人で六花の傍へ行く。

そんな二人は自然と手を繋いでいた。

 

「六花、本陣まで頼むよ」

 

「ブル(もう、本当は女なんて乗せたくないんだけど旦那様のお願いだから仕方なく乗せてあげる……)」

 

「……フフ」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「いえ、そういえば私、一刀さんに告白されたんだなぁって思って」

 

「ヒン!?(な、なんですってーーーーー!?)」

 

「あ、あれは……」

 

「もしかして嘘なんですか?」

 

顔を赤くする一刀が面白くついからかってしまう琥栗。

そしてそれを鬼の形相で見つめる六花。

 

うん、なんかシュールだ。

 

「あ~……うん、嘘じゃないよ」

 

「~~~~~……えへぇ」

 

「じゃ、じゃあ行こうか」

 

「はいっ!」

 

お互い顔を赤くしながら六花に乗ろうとする。

 

 

 

 

 

その時だ――!!

 

 

 

「ヒヒン!!(旦那様!!!)」

 

六花の叫び声。

振り返る二人。

目に映ったのは――

 

「じねぇ!!ぼんごうがずど――――――――――――――――――――――!!!!!!!」

 

槍を突き出し一刀に向かってくる傷だらけの男だった。

 

(あ、やば………油断してた、避けられない!!)

 

完全に油断していたのと琥栗との戦闘で体力がないのが原因で、

一刀はその場から動けず固まってしまう。

 

そして動けなければ待っているのは………死!!

 

「……あ」

 

避けられない!

そう覚悟した一刀の目に入り込んできたのは、

自分を押しのける琥栗の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………。

 

………………。

 

……………………。

 

静寂。

それを破ったのは槍をもった男だった。

 

「な、なんで……琥栗ちゃ……」

 

「ごめん……ね、叔父さん」

 

男は呆然とする。

自分が殺そうとしたのは天の御使いである北郷一刀のはずだ!

なのに何故、大事な親友の娘に槍が刺さっている!?

 

そうこの男、星に敗れた琥栗の義父の親友である男だ。

星が去った後、かろうじて生きていた男は琥栗を探していたのだ。

そして見つけた。

天の御使いと一緒にいる琥栗を!

 

死に掛けの男の目には一刀が琥栗に害をなそうとしているように見えた。

だから殺してやろうとしたのに……何故、何故!?

 

「あ……あぁ、琥栗ちゃん……俺……おれ!」

 

「叔父さんは悪く……ないよ。

ただ……この人に…………死んでほし……くなかった……か…………」

 

琥栗の身体が崩れ落ちる。

その事実に、あまりの衝撃を受け、男の意識は途絶え死に至った。

 

最後に男の視界に移ったのは、琥栗に駆け寄る一刀の姿だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき。

二章その9をお届けしました。

いかがだったでしょうか?

戦闘部分は何故か物凄く眠たい中書いたので何書いてるか自分でもよく分かりませんでした。

そして生きていた叔父さん…。彼には嫌な役をやってもらいましたね。

 

そして次回、二章最終話です。

最後まで見てくれると嬉しいです。

 

 

 

 

 


 
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