No.182964

Khaos/apart/daily

生存報告的キャストごった煮SSです。
某所の業者に怒り心頭しながら、頼まれ原稿がオワラねぇのと、デペ話が 無駄な番外編ばっかり頭に沸いて出るのが敗因(ちょ)の自棄話。
カオスアパートシリーズ。なんかまた「ねぇよ」っていう住人出たけど正義って共通単語があったから、つい。

2010-11-06 20:32:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2999   閲覧ユーザー数:2788

 

 

 

平和な日常を誰よりも「嫌う」人間。

皮肉なことに、彼女がそれを望めば望むほど、世界は「可能性」を産み出していく。

彼女がそれを、知る術はないのだけれど。

 

 

「ここがユキの新しくすんでるとこね!」

 

仁王立ちになった少女が叫ぶように言った。

後ろで控えている3人が三者三様、それぞれの顔になる。

ウチの一人、もっすごい疲れた顔の少年が一言。

 

「・・・さいぞ、ハルヒ。ここは見ての通りの集合住宅だ。

他の住人だっているんだからな」

「何いってんの!キョン!!ユキのすんでるところならユキの家族も当然!つまり私たちSOS団の知人なのよ!」

「三段論法にもほどがあるぞ?!」

 

ボケと、この場合も言うのだろうか。

当然といえばそれまでのツッコミに、隣にいたほわ系の少女が思わず耳を手に当てた。

 

「っていうかキョンくんの声もおっきいですぅ」

「はぅっ?!まさかの朝比奈さんからのツッコミktkr?!」

「ってどっちもうるせー!こちとらバイトの夜勤あけなんだから頼むから静かにしてくれーっ」

「れーっ」

 

 

・・・・・

いきなり窓の一つが開いて、負けていない絶叫が飛び込んできた。

金髪の、やはり高校生くらいの少年だったが、その脇には・・・・・

 

「UMAはっけーん!」

 

といわれてもなんらおかしくない、謎の角突き毛皮生物がいた。

思わず後ずさり、ツッコミ担当、もといすg、違う。キョン、と呼ばれる少年がアルカイックスマイルの少年・古泉にこそり、と耳打ちする。

 

「っ、おい、古泉ッ」

「いえ。実は組織でもここの調査は殆ど進まない内でして…」

 

表情こそ穏やかだが、彼にしては珍しく、困った様子を隠しきれていない。

心底申し訳なさそうに胡散臭そうなことを言った彼に、聞いたほうは納得したような思案するような顔になった。

 

「あん?あれか、長門がいるからか」

「いえ。それだけではなく・・・」

 

どの道結論は出ないらしい。

キョンははぁと息をついて、改めて「それ」をみた。

 

「にしても、なんだありゃ」

「かわいーですねー」

 

もふもふしたいー。にこにこと朝比奈と呼ばれた少女が、むしろお前もふらせろー!といわれそうな顔でほわっ、と呟いた。

 

「ちょっと少年!それみせなさい!」

「なんで命令形?!てかガブモン?駄目だ、絶対。

絶対こいつのこといじめそうだぞ、アンタ」

「いじめるわけないじゃなーい。人聞きの悪い。

ちょっともふって生態調べるだけよ」

 

どう間違っても偉そうに言う科白ではないだろう。

実際彼は大きく顔をしかめた。

 

「だめだ!!」

 

ばたんっ

言葉と共に窓を閉めてしまう。

あからさまな拒絶行為だ。

果たしてソレに対し、彼女は意外にあっさり引き下がった。

 

「っち、引きこもっちゃ不法侵入になっちゃうじゃない」

「・・・こういうのもあれだが、しないのか?その不法侵入」

「あれだけ警戒されちゃえばね。

まぁ部屋も覚えたし、次の機会を狙うわ」

 

・・・・・・・・

 

「諦めはされないんですね」

「あたりまえよ…あれ?ユキって505号室って書いてあるけど、ここ4階までしかないわね?」

「そうですねぇー」

 

見上げる。アパートとはいうが、マンションにも近いようだ。

さりげなく辺りを見回していた古泉が、気づいたように彼女に声をかける。

 

「あちらではありませんか?涼宮さん」

「え?あ、ほんと。500棟、中庭抜けた奥って書いてある

さっすが古泉くん。さ、みんないくわよー」

 

とっつげきー、とでもいいそうな少女の声は、実に弾んでいた。

 

「にしても広いな・・・

中庭って校庭くらいはあるぞ、これ」

「調査でわかっているのは、ここがとある私立大、そして私立高の所有であるということだけです」

 

そういって古泉から上げられた高校名を、キョンは眉を潜めて反芻した。

それは初めて聞いた名で、しかもなぜ全く関係ないはずの「団員」が住んでいるのか理解できなかったからに他ならない。

少なくとも組織とは関係ないようだし、彼女の「上司」がそんな風に「本当に存在するもの」との連携を持っているとはとてもじゃないが考えられない。

そもそも今の彼女はある意味で後ろ盾が曖昧であるはずで・・・・・・

 

「それにしても県下の学校なら、一応入試の際に一通り調べたはずなんだが」

「キョンくんが知らないのも無理はないですー

なにせあの学校は"完全スカウト制"入試ですから」

 

朝比奈からのそんな発言に、耳を疑う。

 

「・・・・・はぁ?!なっ、それ入試か?!」

 

なにそのちゅーにな学校、と声を上げたのを気にしてか、彼らが「団長様」が足の遅い団員たちに口を尖らせる。

 

「なにしてんの、みんなー。おいてくわよ」

 

彼女らしい態度ではあるが、ついてく方は不安で叶わない。

花の咲き乱れるこの中庭すら、なにか罠が無いかと勘繰りたくなるような。

 

「・・・・・・・大丈夫なんだろうな、ここ」

「おそらく。まぁ長門さんがいらっしゃいますからね」

「恐ろしい説得力だな、おい。

てかその学校にはいっとらんのに、なんであいつここにすんでるんだぁ?」

「さぁ・・・そこまでは」

 

さっきも浮かんだ疑問を改めて口にすると、不安が募る。

だが、いくら広かろうが進めば近づき、目的地には到着する。

 

「きたわよー、ゆきー」

「……上がって」

「おじゃまします」

「おじゃましまーす」

「お邪魔します」

「へぇ、結構広いのね、中も」

「・・・お茶・・・」

「あ、おかまいな」

「ゆきー、わたしこうちゃー

あ、みくるちゃんの煎れたのが良いわー」

「ふぇぇ?」

 

傍若無人。彼女の為につかっていい言葉だろう。

 

「お前な、朝比奈さんは今日は客だぞ?むしろ失礼だと・・・」

 

眉を潜め、キョンが彼女につっかかるが。

 

「あ、あの、キョンくん、長門さんさえOKなら私…」

「台所、こっち」

「あ、はいっ」

 

本人も家主もなんだかなれていた。

そして彼らがその場から立ち去った途端、彼女は窓を開け放つ。

 

「ってこらお前人ん家勝手に・・・ッ」

「あら、この奥、裏庭まであるのね。すごいわ。

てかこっちは中庭に比べて随分さっぷうけ・・・」

 

確かにソレこそ運動場のような光景があった。

 

「って」

 

果たして。それを補って余りある、謎の光景。

彼らと同じくらいの少年と少女が、全力で向かい合っていた。

色事一切無しに。

 

 

「いくぞ!アメリア!!」

「来なさいこーすけ!貴方の正義!みせてもらいますっ!!」

「それはこっちのせりふだー!!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「すっごーい。オトコノコとオンナノコがガチンコやってるわ」

 

さすがの彼女もあきれたように呟いた。

それに思わず釣られて取り残されていた男性陣もそれを覗く。

って、いやいやいやいや。

 

「マジか。なんだこの光景」

「たのしそうですねー」

「どこが?!」

「あ、クロスカウンター」

「って、おい!?」

 

傍観者たる彼らにしれみれば暢気としか言いようのない光景だったが、本人たちは真剣だった証明のようにすっかり目を回している。

その場所からは陰になっていたところから人が歩いてきて、それはやはり年の頃近い少女で、ぱん、とお開きの合図のように手を合わせ、声を上げる。

 

「はいっ、両者KOと。

双方直球過ぎて結果が速攻出るの珍しいけど…

ッかし植木、あんたオンナノコ相手に顔はないでしょ、顔は」

「そうなのか?」

「今度はゼルさんが切りかかってくるわよ」

 

物騒な話題に、冗談を感じないのは何故なのか。

そしてそんなことにすら、笑って妙なことを切り返す少女。

 

「大丈夫です!あい。私鍛えてますからw」

「知ってる…、植木ふっとばすオンナノコなんて久しぶりに見たわよ・・・」

「あぁマリリンなー」

「ねー」

 

見物者がいるのをわかっているのかいないのか。

そんなほのぼのとしているんだか物騒なんだかの会話に、やわらかい少女の声はホントに癒しだ。多分。

 

「お茶はいりましたよー」

「ユキ!ここ面白いわ!!」

 

嬉しそうな彼女の声に、だが部屋主はあくまでも無表情にその言葉を否定した。

 

「・・・・・・普通」

「どこがだよ」

 

当然のツッコミ。だが。

 

「"ここでは"普通・・・」

「・・・・・」

 

・・・・・・・・・・

 

「どうやら長門さんの基準が少々ずれてしまっているようですねぇ」

「しゃれにならんぞ、それはそれで」

 

 

 

========

いや、うん。設定に至ってはアパートに住んでる連中だけで25タイトルですから。

世代無視の知名っぷりがポイント。


 
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