No.176905

私のことを見てほしくて-恋姫†魏・華琳伝-

月千一夜さん

こんにちわ
短編では本当にお久し振りな、月千一夜です
なんていうか、カオスになってしまいましたw
萌将伝設定です

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2010-10-07 14:54:36 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:15010   閲覧ユーザー数:11276

それは、ある日のことだった・・・

 

 

「・・・?」

 

 

廊下を歩いていた私の耳に、ふと・・・誰かの声が聞こえた気がしたのだ

私は一度足を止め、軽く辺りを見回した

 

すると視界の先・・・中庭の方

そこに見えたのは、見慣れた姿

 

あれは・・・一刀と霞?

 

 

「何をやってるのかしら・・・」

 

 

呟き、そっと近づいていく

それに伴い、二人の会話が聞こえてきた

 

 

 

 

 

 

「やっぱり・・・霞って、髪をおろしたら雰囲気変わるよね」

 

「そ、そうなん?」

 

「うん・・・なんかいつもと違う感じで、すごいドキドキするよ」

 

「なんやその言い方やと、普段はドキドキせえへんみたいに聞こえるんやけど~?」

 

「ははは、そんなわけないだろ

いつもと違うドキドキって意味さ・・・もちろん」

 

「ふふ、なら・・・ええわ」

 

「霞・・・」

 

「一刀・・・」

 

 

 

 

 

 

へ~・・・真っ昼間から、良い度胸じゃない一刀

まさかこの屋敷の中で白昼堂々、その種馬っぷりを発揮するなんてねぇ

 

けど・・・

 

 

「今回は、見逃してあげましょう・・・」

 

 

ふう、と・・・溜め息をこぼし、私はその場を後にする

 

というのも、霞の邪魔をしたくなかったからだ

 

北郷一刀

 

彼の存在はもはや、三国の者にとって掛け替えのないものとなっている

そしてその為、彼と共に過ごす時間は限られてしまう

 

何せ、三国の者が皆・・・彼のことを愛しているのだから

 

だからこそ、私は霞の邪魔をしたくなかった

 

彼女もきっと・・・その日を待ちわびていたのだから

 

ようやく彼と一緒に過ごす今日という日を、きっと待ちわびていたのだ

 

 

「けど・・・髪、ねぇ」

 

 

自分の髪を触り、私は小さく呟く

一刀は言っていた

髪をおろした霞を見て、ドキドキすると

 

じゃぁ・・・

 

 

「私も・・・なんて、ね」

 

 

言って、苦笑する

馬鹿馬鹿しい

 

いくらなんでも、それだけのことで・・・

 

それだけのことで・・・

 

 

「それだけで・・・なんだっていうのよ」

 

 

わけがわからない

私は今、何を思っていたのだろう?

 

 

「疲れてるのかしら・・・」

 

 

きっと、そうだ

そう自分の中で解決し、私は足早に歩いていく

 

自分の中・・・ぐるぐると渦巻く感情を、胸の奥にしまい込んで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《私のことを見てほしくて-恋姫†魏・華琳伝-》

 

~華琳の、華琳による、華琳の為の、華琳・・・あれ?~

 

 

 

翌日

仕事も落ち着き、どこかに昼食でも食べに行こうと城内の廊下を歩いていた時だった

 

 

「あら?」

 

 

視界の先に、一刀の姿があった

その隣には、雛里がトコトコとついて歩いている

 

今から、お昼なのかしら?

 

なんとなく気になり、私は二人に話しかけようと近づいていく

すると、聞こえてきたのは・・・一刀の声

 

 

「なぁ雛里・・・ちょっと、髪おろしてみないか?」

 

 

ピタリと、足が止まる

そんな私のことに気づかないのか、二人は話し始めた

 

 

「あわわ!?

いきなり、どうしたんですか?」

 

「いや、ちょっと気になってさ・・・駄目、かな?」

 

「あわわ、別に・・・構いませんが」

 

 

微かに頬を赤く染めながら、雛里は頷く

それから、彼女はゆっくりと髪をおろしていく

 

 

「ど、どうでしょうか?」

 

 

やがて、真っ直ぐにおろした髪を恥かしそうにいじりながら・・・雛里は一刀の言葉を待つ

 

 

「可愛い・・・」

 

「・・・え?」

 

「すっごい可愛いよ雛里!!

似合う、超似合うよひなり~~~~ん!!」

 

「あ、あわわわ!?

そ、そんな急に抱きつかないで下さいよ!!?」

 

 

頬を思いっきりユルまし、雛里に抱きつく一刀・・・もとい、種馬

あの時と場所を選ばない行動に、私は改めて殺意を抱いた

 

それと同時に、胸の奥広がっていくのは・・・よくわからない、モヤモヤとした感じ

この感じ、昨日と同じ感じ

よくわからない、不快感にも似た感じ

 

 

 

 

これは・・・何なの?

 

 

 

 

「あっ、華琳っ!」

 

「っ!?」

 

考え込む私にかかる、彼からの声

急ぎ見た先に、彼の笑顔があった

 

瞬間、私の中で意味不明な苛立ちがわいてくる

 

なによ・・・なんなのよ!

人がこんなに悩んでいるのに、なにヘラヘラ笑ってるのよ!?

 

 

「見ろよ華琳!

髪をおろした雛里も、可愛いよね?」

 

 

・・・しかも、他の女の話?

 

 

「この・・・!」

 

「あれ?

か、華琳?

いったいどうし・・・」

 

 

 

 

 

「この腐れロリぺド野郎があああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

「ごっふうううううううううぅぅぅぅぅぅんん!!!!!???」

 

「御主人様あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!??」

 

 

目の前に立つ、彼の『性竜艶月刀』を蹴り穿ち

 

私は逃げるように、その場を後にしたのだった

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

その翌日

 

 

「・・・はぁ」

 

 

一人歩きながら、こぼれでる溜め息

原因は、昨日の出来事

 

昨日のアレは、いくらなんでもやりすぎた

イライラしたからって、いきなりアレは不味いわよね普通

 

でも・・・

 

 

「何だったのかしら、あの感じは・・・」

 

 

わからない

胸の奥に広がった、あの妙な感じの正体が

なんなのよ、もう

 

 

「あ・・・」

 

 

そんなことを思いながら歩いていた私の前に見えたのは、件の彼の姿

 

 

一刀はどこかへ向かう途中なのか、手に幾つかの書簡を持ったまま歩いていた

 

声をかけよう

 

そう思い、彼を呼ぼうとした時だった

 

 

「あぁ~、隊長なの~♪」

 

 

彼の後ろから勢い良く彼に抱きつく少女の声に、私は出そうになった言葉を引っ込める

そんなこと露知らず、少女・・・沙和は嬉しそうにニコニコと笑いながら、彼の手を握っていた

 

 

「見て見て~、沙和髪おろしてみたの~♪」

 

「へ~、うん・・・可愛いよ、沙和」

 

「えへへ♪」

 

 

 

 

 

・・・まただ

また、この感じだ

 

彼を見ていると・・・広がっていく、このわけのわからない感じ

 

駄目だ、わからない

私には・・・

 

 

「あ、華琳じゃないか」

 

「っ・・・」

 

 

ハッと、我にかえる

そして見つめる先、ニッコリと笑う彼がいた

 

とにかくまず、昨日のことを謝りましょう

そうよ、魏王たるもの・・・己がしでかした事に対して、しっかりと謝罪をしなくてはいけないのよ

 

何度か自分にそう言い聞かせ、私は再び彼を見つめる

 

 

 

 

 

「あの、かず・・・」

 

「あ、そうだ見てよ華琳

沙和が髪おろしてみたらしいんだけど、似合うよな?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

ピシリと・・・私の中で、何かにヒビがはいる

そして広がっていく、あの不快感にも似た感覚

 

 

 

「この・・・」

 

「あ、あれ華琳さん?

なにこれ、すっごいデジャブ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「この超絶鈍感ドM一刀ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 

「サーーーーーーイエッサーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!??」

 

「隊長ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!????」

 

 

 

 

 

彼の『七性我漏』を抉るように蹴り上げ、私は駆け出した

 

この胸を締め付けるような『感情』に、戸惑いながら・・・

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

そのまた翌日・・・

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

政務も一段落し、私は一人・・・窓の外を眺めていた

一昨日に続き、昨日のことを思い出しながら

 

まさか私が、あんなことを続けてしでかしてしまうなんて

 

参ったわね

 

 

「本当に・・・どうしたのかしら」

 

 

胸に手をあて、そっと呟く

 

わけのわからない、理解できない・・・あの、モヤモヤとした感じ

 

私は・・・いったい、どうしたというのだろう

 

 

「はっ・・・魏王ともあろう者が、馬鹿馬鹿しい」

 

「あ、兄ちゃんだ! 兄ちゃ~~~ん!」

 

「・・・・・・」

 

 

言葉を止め、窓の外を覗き見る

するとその先には、駆け寄る季衣のことを笑顔で受け止める一刀の姿があった

 

 

「兄ちゃ~ん!」

 

「おっと、こんにちわ季衣

あれ、その髪どうしたの?」

 

「うんとね、たまにはおろしてみたら兄ちゃんからの印象が変わるからって流琉が言ってたんだ♪」

 

 

 

・・・落ち着け、落ち着くのよ私

ほら、深呼吸をしてもう一度冷静になるの

そうよ、素数を数えれば・・・

 

 

 

 

「そういえば、こうしてじっくり見るのも久し振りだな」

 

「どう?」

 

「うん、とっても可愛いよ」

 

「えへへ、やったぁ♪」

 

 

 

 

・・・おかしい

私は、冷静になろうと必死だったはず

なのに、なんで・・・絶を構えているのかしら?

 

 

「兄ちゃんに可愛いって言ってもらったぁ♪」

 

「こ、こら季衣! そんなくっついたら・・・」

 

 

また・・・また、あの感じ

どうしようもなくイラついてしまう、あのモヤモヤした感じ

 

 

「ちょ、季衣そこは・・・って、殺気!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、いくらなんでも気のせっアッーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!??」

 

「兄ちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!???」

 

 

 

思い切り投げた絶は、見事に彼の『我漏早』スレスレの位置に突き刺さった

その後すぐ、私は逃げるように部屋を飛び出していった

 

 

胸の中・・・段々と強くなっていくモヤモヤに、頭を悩ませながら

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

そのさらに、翌日・・・

 

 

「・・・・・・はぁ~」

 

「か、華琳様?

どうかしたのですか?」

 

「秋蘭・・・別に何もないわよ」

 

「はぁ、そうですか」

 

「はぁ・・・」

 

 

執務室の中、秋蘭と二人で仕事をしている最中

その間にも、やっぱり考えてしまうのは・・・彼のことだった

 

三日連続

私らしくない不様な振る舞いに、もう頭が痛くなる

 

それに、昨日からさらに強くなった・・・この、胸のモヤモヤ

もう、どうしたらいのかわからない

 

 

「はぁ~」

 

「あ、あの華琳様?」

 

「何かしら、秋蘭」

 

「お言葉ですが、華琳様は大変疲れていらっしゃるように見受けられます

ここは、少しの間でもお休みされたほうが宜しいのではと」

 

 

そう言って、微笑む秋蘭

知らずのうち、彼女にまで心配をかけたようだ

 

そうね・・・

 

 

「貴女の言うとおりだわ

少しだけ休ませてもらおうかしら・・・」

 

 

呟き、私は歩き出す

いつもよりも重い体を、引き摺るように・・・

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

唄が、聴こえる

 

 

優しくて、温かな唄が

 

 

胸の奥、静かに響いていくその唄・・・私は、その声を聞いたことがあった

 

 

この声の主を、知っている

 

 

 

 

誰よりも愛され、誰よりも私達を愛してくれる彼

 

 

 

 

胸が・・・また、モヤモヤとする

 

なんなのよ・・・なんなのよ、いったい!

 

 

《わからない?》

 

 

え・・・?

 

振り向いた先、そこに・・・『私』はいた

私にソックリな、もう一人の私

 

彼女は一言呟き、そして笑った

 

 

《不様だと思う? 自分のことを・・・情けないと、そう思ってるの?》

 

 

頷く・・・それしか、私にはできなかった

 

 

《それじゃ駄目ね・・・貴方じゃ、彼のことを愛せない》

 

 

なっ・・・!?

 

何よ・・・ならアンタは、そんな自分を許せるっていうの!?

 

 

《許せるわ

許せるし、私はソレを認めましょう》

 

 

自分から出た言葉とは思えないその一言に、私はしばし言葉を失ってしまう

そんな私の様子を見つめ、優しく微笑んだのだ

 

 

《どんなに子供じみたことでも、自分らしくない行動をしてしまったとしてもね

私は、それを認めるわ

だって、それは全て・・・》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

「ん・・・夢?」

 

「あ・・・起こしちゃったかな?」

 

「なっ・・・!?」

 

 

目が覚めた瞬間、私は目の前の光景に絶句する

私が眠る寝台に座り、私の額に優しく触れるのは・・・紛れも無く彼だったからだ

 

 

「ん・・・熱はないみたいだね」

 

「なんで、一刀が・・・?」

 

「秋蘭から、華琳の具合が悪そうだって聞いてさ・・・心配になって」

 

「そう・・・秋蘭が」

 

 

呟いて、私は改めて彼を見る

彼はその視線に気づき、フッと微笑んだ

 

 

その直後、胸の奥・・・暖かな、優しい感覚が広がっていく

これは・・・

 

 

「だけど、安心したよ

華琳にもしものことがあったら、ってすっごい心配だったんだ」

 

 

『本当によかった』

そう言って、再び彼は笑う

するとまた、私の中は温かい『なにか』によって満たされていく

 

 

 

 

 

 

 

ああ、そうか

 

やっと・・・わかった

 

あの、モヤモヤの正体が

 

 

「ねぇ、一刀・・・少しだけ、後ろを向いてもらえるかしら?」

 

「え、別にいいけど」

 

 

そう言って、後ろを見る一刀

その背中を見つめたまま、私はスッと体を起こした

そして・・・

 

 

「一刀・・・もういいわよ」

 

「ああ、わかっ・・・た」

 

 

振り向いた彼が、言葉を失っている

そんな彼の様子に、私は思わず笑みをこぼしていた

 

 

「華琳、それ・・・」

 

「どう、かしら?」

 

 

彼の問い

私は自身の髪をいじりながら、彼の言葉を待つ

 

彼の前で、おろした自身の髪をいじりながら・・・

 

 

「綺麗だ・・・すごく、綺麗だよ」

 

「本当に?」

 

「ああ、本当だ

そういえば・・・こうやってじっくり見るのは、初めてだよね

いいのかい?

確か、前に見たときは物凄い勢いで追い返されたのに・・・」

 

「いいのよ、貴方になら見られても

ううん、違うわ

見てほしいの・・・私のことを、貴方に見てほしいの」

 

 

やっと・・・気づいた

 

あのモヤモヤとした感じの正体

なんてことはない

 

 

あれは・・・『嫉妬』

 

 

私は・・・見てほしかったのだ

 

彼に、私のことを・・・ただ、見つめてほしかった

 

 

 

「一刀、お願い

今は・・・今だけは、私だけを見ていてほしいの」

 

「華琳・・・うん、わかったよ」

 

 

お互いに呟き、吸い寄せられるように近づいていく距離

幸せな、この空気

 

 

 

「愛してるわ、一刀」

 

「愛してるよ、華琳」

 

 

 

この日、私は改めて気づいた

 

 

私が・・・どれだけ、嫉妬深いのか

 

 

そして・・・どれだけ、彼のことを愛しているのか

 

 

 

「一刀・・・覚悟しなさいよ♪」

 

「な、なんだよ急に」

 

 

 

そう考えると、不思議と恥かしくなくなってきた

 

あんな、子供じみたことも

あんな、私らしくない行動も

 

全部、仕方のないことなんだって・・・そう思える

 

だってあれは全部、貴方のせいなのよ?

 

 

そう・・・全ては

 

 

 

 

 

 

 

 

~ただ貴方に、私のことを見てほしくて・・・~

 

 

fin♪

 

 

★あとがき★

ど~も、こんにちわw

月千一夜ですw

 

今回は皆様御存知の【mikochinさん】のイラストをもとにしたSSです♪

 

髪おろした華琳もありだよね、うん

 

 

いやでもあれですね、ボクが書く短編ってどうしてこう『カオス』になるんだろう(ぁ

 

いや、気づいたらこうなってました

前日に投稿したキミオトのノリが残っていたとしか思えないほどだw

もう確実に、溜まっていたカオス分が出てしまってるね

ていうか、【シリアス】と【カオス】の中間がどうして書けないんだろう?

 

 

シリアス>>越えられない壁>>一番良い装備>>イーノック>>カオス

・・・ってなってるとしか思えない

 

せめて最後に、少しでもほっこりしていただければ幸いです

 

 

 

 

 

「そんなSSで、大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 

 

 

「やっぱり駄目だっ(ry」

 

 

 

うん、なんていうか・・・本当に、すいませんっしたぁぁあああああああああ!!!!(血涙

 

 

 

 

 


 
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