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真・恋姫†無双~赤龍伝~第3話「天より来た少年」

さん

真・恋姫†無双の二次創作の小説です。この作品には主人公も含めてオリジナルのキャラクターが存在します。その事をご了承の上、ご覧ください。タイトルを「自己紹介」⇒「赤斗」⇒「天より来た少年」に変更しました。

2010-10-04 19:01:12 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:11480   閲覧ユーザー数:9694

真・恋姫†無双~赤龍伝~第3話「天より来た少年」

 

 

 

少年「―――うーん。んんっ」

 

少年が目を覚ますと、見慣れない天井が目に入る。

 

少年「ここは?」

 

孫堅「やっと目が覚めたか、儒子。よく眠っていたな」

 

声のする方に視線を移す。そこにいたのは、蔵で闘った女の人に似ているが別の女性だった。

 

一言でいえば“美人”。身長は日本人の平均身長しかない少年より少し高いぐらいで、腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主だ。

 

だけど、その美人の瞳は獰猛な肉食獣を連想させた。獲物を狙う凶暴性がにじみ出ていたからである。

 

孫堅「おっと今度は逃げるなよ。動いたらまた傷が開くからな」

 

動こうとした少年を孫堅がすぐさま制止した。

 

少年「……あっ」

 

自分が怪我していることを思い出し、今度は左肩に視線を移した。

 

身体には新しい包帯が巻かれており、傷の痛みはなかった。

 

少年「……あなたが手当てをしてくれたんですか?」

 

おそるおそる尋ねる。

 

孫堅「手当てをしたのは医者だがな。しかし、医者が驚いていたぞ。生きているのが不思議だとな」

 

少年「あの……助けてくれてありがとうございます」

 

そこまでの大怪我を負っていたとは知らなかった。

 

孫堅「礼は良い。それより自己紹介だ。私は孫堅。字は文台だ。さあ、儒子。お前も名乗れ」

 

少年「……風見 赤斗」

 

ベッドより身体を起こしながら孫堅に名前を告げる。

 

孫堅「姓が風、名が見。字が赤斗か。変わった名だな」

 

赤斗「えっと、姓が風見で、名が赤斗。字というものはないかな」

 

孫堅「字はないのか。ほぉ……」

 

孫堅は獲物を見るかのように赤斗を見る。赤斗は生きた心地がしない。

 

赤斗「あの…孫堅さん、ここはどこですか?」

 

孫堅「ここは荊州南陽にある私の館だ」

 

赤斗(けいしゅ……、それに孫堅って……。まさか)

 

孫堅「次はこちらの質問だ。何故逃げた?」

 

孫堅は静かに訪ねた。

 

赤斗「…………多分、怖かったからだと思います。気がついたら身体が動いていました」

 

嘘偽りなく思ったことを孫堅の目を見て答えた。

 

孫堅「なるほどな」

 

回答次第では赤斗の首を飛ばすつもりでいたが、赤斗のまっすぐな目を見て止めた。孫堅の勘がそうさせたのである。

 

孫堅「では次の質問だ。何であんな所にいた? その傷はどうした?」

 

質問を続けた。

 

赤斗「あんな所?」

 

孫堅「この街の外れ。最近、盗賊が出ると噂の場所だ」

 

赤斗「僕……何でそんな所に……」

 

頭が混乱していた。何か忘れてはいけないことを忘れているようだった。

 

赤斗「いつも通りに学校に行って……」

 

記憶を必死に思い出す。

 

赤斗「学校が終わって、それから先生の道場に…………あっ!!」

 

大事なことを思い出した。とても大事なことだ。どうして、こんな大事なこと今まで忘れていたんだろう。

 

赤斗「先生!! 先生は?」

 

赤斗は孫堅に詰め寄った。さすがの江東の虎も赤斗の態度がの急変した事に驚いた。

 

孫堅「落ち着け、落ち着かんか!」

 

なんとか落ち着きをなくした赤斗を落ち着かせる。

 

赤斗「僕以外に男の人はいませんでしたか?」

 

少し落ち着きを取り戻した赤斗は、今度はゆっくりと孫堅に尋ねる。

 

孫堅「いや、あの場所にいたのはお前一人だ」

 

赤斗「そうですか……」

 

孫堅の答えに肩を落とす。

 

孫堅「その先生とやらは何者だ?」

 

赤斗「…………恩人です。両親を事故で亡くした後、僕を引き取ってくれた」

 

 

思い出した。いつもなら朝起きて学校に通い、放課後には道場で古武術の達人である先生に稽古をつけてもらう。

 

そして、他愛のない話をしながら一緒に夕食を食べて寮へと帰る。それが風見 赤斗の日常生活のはずだった。

 

だけど、あの日は違った。

 

赤斗「こんにちは。先生」

 

高校に入学するまで暮らしていた家の玄関に入る。

 

赤斗「おかしいな、出かけたのかな?」

 

挨拶にうるさい先生の返事がない。

 

いつもと違う雰囲気を感じた赤斗が、道場に行ってみることにした。

 

道場の扉を開けると、薄暗い道場の中に人影があった。

 

赤斗「明かりもつけないでどうしたんですか?」

 

扉のすぐ横の明かりのスイッチを入れる。

 

薄暗かった道場が明るくなる。

 

赤斗「………どちらさまですか?」

 

人影の正体が先生でないことに気がつき、そこにいた上から下まで全身黒尽くめの男?に尋ねる。

 

黒尽くめの男?「………………」

 

黒尽くめの男?は背中を向けたまま何も答えない。

 

赤斗「何も答えないなら、泥棒ということでいいですかね?」

 

そう言って、黒尽くめの男?を捕まえようと一歩前に出た時、黒尽くめの男?の前方に倒れている人間に気がついた。

 

赤斗「先生ッ!!」

 

倒れている先生とその先生を見下ろす黒尽くめの男?

 

混乱はしていたが黒尽くめの男?が、先生が倒れている原因であることは理解できた。

 

赤斗が黒尽くめの男?に向かって走りだそうとした瞬間、黒尽くめの男?が初めて赤斗に目を向ける。そして、一瞬にして間合いをつめて赤斗の左肩に斬りつけた。

 

赤斗「えっ………?」

 

赤斗には何が起こったのか分らなかった。気がつけば自分も倒れていたのだから。

 

黒尽くめの男?が止めを刺そうとした。次の瞬間、辺りは赤い光に包まれた。そこで赤斗の意識をなくなった。

 

 

この世界にくる直前に起きた出来事を孫堅に話した。

 

孫堅「赤い光か………」

 

――――――と、その時。

 

孫策「おっ、起きてる起きてる。おはよう少年。気分はどう?」

 

扉が開くと気さくな声が部屋に響く。

 

赤斗はこの声の主を知っていた。蔵で闘った女性だった

 

“びくっ”

 

身体が自動的に反応し、目の前の孫策を警戒する。

 

孫策「何でそんな怖い顔になるかな」

 

拗ねたように孫策は文句を言う。

 

孫堅「赤斗、そんなに警戒しなくても大丈夫だ。こいつは私の娘だ」

 

赤斗「……娘?」

 

孫堅は赤斗と孫策の間に入り、孫策に自己紹介をするように促す。

 

孫策「私は孫策。字は伯符。江東の虎 孫堅の娘よ」

 

赤斗「そんさく……」

 

孫策「そう♪ で、あなたの名前は?」

 

さっきまでの拗ねた顔は消えて、人懐っこい笑顔を赤斗に向けた。

 

赤斗「風見 赤斗。姓が風見で名前が赤斗。字はない。」

 

赤斗は少し警戒心を緩め孫策に名前を告げる。

 

孫策「へぇ? 珍しい名前ね」

 

赤斗「確かに日本でも珍しい名前かな」

 

孫策「にほん……って何?」

 

赤斗「日の本の国と書いて日本。僕の生まれた国だよ。」

 

孫策「何処にある国よ?あなたって何者?」

 

赤斗「何者ねぇ……。風見 赤斗。高校2年生。苦手科目は特になし。日課として、学校の帰りに先生の道場に寄る事かな…………」

 

安否の分らない先生のことを思い出して暗くなる。

 

赤斗「…………………」

 

孫策「どうしちゃったの? 急に黙りこんで暗ーい顔して」

 

赤斗「いや何でもないよ」

 

孫堅「…………」

 

孫策「ねぇ赤斗。あなたが倒れていた時のこと母様から聞いた?」

 

暗く沈んでいた赤斗を見かねて、孫策は話を進めた。

 

赤斗「……詳しくは聞いてないよ」

 

孫策「なら説明してあげる。……五日前の夜、偵察に出ていた私たちの周囲が真っ赤に光ってね。気がついたらあなたが居たって訳。分かった?」

 

赤斗「全然、分からないよ」

 

孫策「うん。私たちも分からない。どうしてあなたがそこに居たのか。どうして赤い光と共に姿を現したのか……分からないから、あなたを尋問してるのよ。そこで問題が一つ。この問題であなたの素性が分かれば良いけど、素性が分からなければ、あなたを妖として処断されるってこと。今の状況、しっかり理解したかな?」

 

赤斗「理解したよ。僕の素性をはっきりさせないと命が危ないってことをね」

 

孫策「よろしい。じゃ、もう一度あなたに質問しましょう。……あなたは何者?」

 

赤斗「さっきも言ったけど、僕の名前は風見 赤斗。それ以下でもそれ以上でもないよ。だけど、僕はこの世界の人間ではないみたいだね。何でこの世界に居るかは僕にも分からないけど」

 

孫堅「この世界の人間ではないだと?」

 

赤斗「正確には、この時代の人間ではありません。僕はおそらく1800年後の未来から来たんだと思います」

 

孫堅「未来……」

 

赤斗「僕の世界にはあなた達が出てくる小説があるんです。ただ…」

 

孫策「ただ…?」

 

赤斗「その小説に出てくる孫堅も孫策も男の武将だから、この世界は過去ではなく並行世界なのかもしれない」

 

孫策「ふ~ん。……ますます意味が分からないわね」

 

赤斗「僕も意味が分からないよ。はぁ~…」

 

赤斗がため息をつく。何で三国志の時代なのか? 何で武将が男じゃなく女なのか?

 

あの時の赤い光が関係しているのか? 色々考えていると部屋の扉が開いた。

 

周瑜「失礼します。文台様、諸葛子瑜と陸伯言を連れて参りました。」

 

黄蓋「公謹、儂もいることを忘れるでない」

 

黒髪のメガネをかけた女性が、金髪ポニーテールの女性と、のほほんとした雰囲気の女性を連れて部屋に入ってきた。

 

その後に続いて妙齢の女性も部屋に入ってきた。

 

孫堅「公謹か。手回しが良いな」

 

周瑜「はい。伯符がそろそろその男が起きるんじゃないかと言っていましたので」

 

孫堅「そうか。ちょうど良いところに来てくれた。お前たちの意見も聞きたかったところだ」

 

孫堅は先生や黒尽くめの男のことは伏せ、それ以外のことを新しく入ってきた四人に話した。

 

 

周瑜「未来からですか……」

 

孫堅「どうもそうらしい」

 

周瑜が妖しげに赤斗を見る。

 

周瑜「風見といったな。私からいくつ質問させてもらう」

 

赤斗「……どうぞ」

 

周瑜「まずは生地から聞かせてもらおう」

 

赤斗「日本の横浜生まれ」

 

周瑜「日本……それはどこにある国だ?」

 

赤斗「ここから東方。海を渡った所にある島国だよ」

 

周瑜「東方……と言えば、遥か昔。徐福が向かったとされる蓬莱のことか」

 

赤斗「徐福って、不老不死の薬の話に出てきた人のことかな。確か日本に辿り着いた説もあったから、間違いないと思うよ」

 

周瑜「ふむ……。では次の質問に移ろうか」

 

赤斗「はい…」

 

周瑜「貴様が未来から来たという話や違う世界云々という話を聞いたが、それを証明することは出来るか?」

 

赤斗「証明ねぇ………」

 

おそらく証明できなければ、自分の首が飛ぶだろうと気づいた赤斗は何か証明する方法はないか考えた。

 

赤斗「そうだ。僕の着ていた制服は何処ですか?」

 

黄蓋「着ていた服ならそこに」

 

部屋の机の上を黄蓋が指差した。

 

赤斗は机の上にあった制服から携帯電話を取り出した。

 

赤斗(良かった壊れてない)

 

制服は左肩に斬られた痕があり血で汚れていたが、ポケットにあった携帯電話は壊れていなかった。

 

赤斗「これは携帯電話と言って、遠くにいる相手と話すための道具だよ。この世界じゃ電波がないから使えないけど、カメラなら使えるよ」

 

赤斗は部屋にいる六人に簡単に携帯電話について説明する。

 

孫策「かめら?」

 

黄蓋「電波とは何じゃ?」

 

赤斗「電波は波動とか気みたいなものかな。カメラは絵よりもそっくりな写真を撮る機械で……説明しづらいな。まあ、実際やってみれば分かるかな。誰かモデルになって」

 

そう言って自分の前を指差して、そこに誰か立つように促した。

 

孫堅「もでる?」

 

赤斗「えっと…誰でもいいからそこに立ってみて、実際にカメラで写真を撮るから」

 

孫策「うん! やってやって!」

 

周瑜「伯符! 迂闊に話に乗るな!お前にもしものことがあったらどうする?」

 

黄蓋「儂も公謹の言葉に賛成じゃ」

 

孫策「むぅ……」

 

周瑜と黄蓋に止められて、孫策は拗ねる。

 

孫堅「次の孫呉の王に何かあったらどうする。慎め伯符」

 

孫策「は~い」

 

孫堅の言葉にしぶしぶ従う孫策であった。

 

赤斗「あの……誰を撮っていいのかな?」

 

そんなやり取りを見終えて、遠慮がちに尋ねた。

 

黄蓋「儂じゃ。儂をしたいようにせい」

 

そう言って黄蓋は赤斗の前に立った。

 

赤斗(そんなに警戒しなくても……)

 

内心、笑いながらシャッターを押した。

 

赤斗「ほんじゃ、撮りますよ」

 

“カシャ”

 

六人「……っ!?」

 

赤斗「はい、お終い」

 

黄蓋「な、何だ今の音はっ?」

 

孫策「変な音…」

 

諸葛瑾「ちょっと驚きました」

 

陸孫「ホント、びっくりしました~」

 

赤斗「ほら、これが写真」

 

シャッター音に驚いている武将たちに携帯電話の画面を見せる。

 

孫策「……わーっ! 祭が居る!」

 

黄蓋「おおお……儂はこんな顔をしとるのか……」

 

孫堅「ほう、確かに祭だな」

 

諸葛瑾「祭様がこんな小さな箱の中に……」

 

陸遜「ほへ~~」

 

周瑜「……すごいわね」

 

六人がそれぞれ反応を示す。

 

赤斗「これで納得してもらえたかな? これで納得してもらえず僕を殺すというなら、出来る限り抵抗するからね」

 

はっきりとした声で六人の武将に対して宣言した。

 

孫堅「まあ待て、赤斗。公謹。お前はどう判断する?」

 

周瑜「……」

 

赤斗「……」

 

周瑜がまっすぐ赤斗の目を見る。

 

周瑜「……本当にこやつが天の御遣いかどうかは分かりませんが、少なくとも我らの知らぬ国からやってきたということは分かります。それに人柄は悪くなく、何よりまっすぐな目をしています。こういう人間は、多少抜けていても悪人にはなりきれないでしょう」

 

黄蓋「お眼鏡に適ったか。……儂もこやつのことが気に入った。」

 

孫策「あー、私も赤斗のこと気に入ってるんだからね」

 

孫堅「ふっ、決まりかな?」

 

周瑜「天の御遣いとして祭り上げる資格はあります。文台様のお好きなようにすればよろしいかと」

 

孫堅「わかった」

 

赤斗「あの……あまり状況が呑み込めてないんだけど……天の御遣いって何のことです?」

 

周瑜は一人だけ状況を理解できていない赤斗に、管輅の占いについて話した。

 

 

孫堅「はじめは信じていなかったんだがな。赤い光と共にお前が現れた。ならば、お前が天の御遣いという存在……いや、そういう存在になれるということだ」

 

赤斗「なるほどね。」

 

周瑜「……分かったようだな」

 

赤斗「ようするに尊敬や畏怖などを集めるための天の御遣いであり、そして僕は天の御遣いじゃなくとも、偽証するだけの資格があるってことでしょう?」

 

周瑜「ほう……」

 

諸葛瑾「思ったより頭が回るみたいですね」

 

陸遜「そのようですね~」

 

孫呉を代表する軍師たちが感心する。

 

赤斗「で……僕に天の御遣いとして何をさせたいんですか?」

 

孫堅「何、簡単なことだ。天の御使いとして孫呉の為に力を貸せ。そして…子作りに励め」

 

赤斗「子っ……」

 

赤斗の時間が止まる。

 

孫策「おーい。赤斗ー」

 

目の前で孫策が手をひらひらと動かす。

 

赤斗「はっ……」

 

孫策「あっ、戻ってきた」

 

赤斗「こっこっ…子作りって」

 

孫堅「呉に天の御遣いの血が入れば、大陸中に喧伝できるからな」

 

赤斗「子作りも尊敬や畏怖を集めるための手段ってことですか?」

 

孫堅「その通りだ。」

 

赤斗「だけど……いきなり……」

 

赤斗にとって孫堅の言うことは突然すぎるものだった。

 

孫堅「……お前はこれからどうするつもりだ」

 

赤斗「どうするって……僕は」

 

周瑜「行く宛はあるのか?」

 

赤斗「ありません」

 

黄蓋「生きる術は持っておるのか?」

 

赤斗「生きていけないと思います」

 

孫策「なら決定じゃない?」

 

赤斗「…………」

 

孫策「何を悩んでいるのよ?」

 

孫堅「先生とやらが気になるのか?」

 

孫策「先生?」

 

赤斗「……もしかしたら先生もこの世界に来ているかもしれない。そう考えると…………」

 

孫堅「ならば、なおさら私たちと一緒にこい。お前一人で何が出来る! 私たちも協力しよう。もし、その者が無事ならば情報も入ってこよう」

 

赤斗「…………わかりました。お世話になります」

 

そう言って赤斗は頭を下げるのだった。

 

孫堅「よし♪ では改めて自己紹介だな。姓は孫、名は堅、字は文台。真名は火蓮だ」

 

黄蓋「ほお。真名までお許しになるのか」

 

赤斗「あの……まなって何ですか?」

 

孫堅「真名を知らないのか?」

 

周瑜「真なる名と書いて真名。私たちの誇り、生き様が詰まっている神聖な名前のことだ」

 

黄蓋「自分が認めた相手、心を許した相手……そういった者だけに呼ぶことを許す、大切な名前じゃよ」

 

孫策「他者の真名を知っていても、その者が許さなければ呼んではいけない。そういう名前」

 

赤斗「なるほど、責任重大だね」

 

孫策「そう思える?」

 

赤斗「相手に信頼された証なんだから、裏切ることなんて出来ないよ」

 

陸孫「へえ~」

 

周瑜「ふむ、なかなか。よくぞそこまで考えが回るものだ」

 

孫堅「そこまで思えるなら十分。よろしくな赤斗」

 

赤斗「はい、よろしくお願いします。火蓮さん」

 

孫策「じゃあ次は私ね♪ 姓は孫、名は策、字は伯符。真名は雪蓮♪ 今後、私のことは雪蓮って呼んでね」

 

赤斗「よろしく雪蓮」

 

黄蓋「我が名は黄蓋。字は公覆。真名は祭じゃ」

 

赤斗「よろしくお願いします。祭さん」

 

黄蓋「応。よろしくしてやろう」

 

周瑜「姓は周、名は瑜。字は公謹。真名は冥琳。貴様には期待させてもらう」

 

赤斗「期待に応えられるようにがんばるよ。よろしく冥琳」

 

諸葛瑾「次は私ですね」

 

そう言って金髪ポニーテールの女性が前にでる。

 

諸葛瑾「私は諸葛瑾。字は子瑜。真名は藍里です。よろしくお願い致します赤斗様」

 

赤斗「赤斗様って……様なんて付けなくても良いですよ」

 

自分より年上であろう諸葛瑾から、様付けで呼ばれて畏まってしまった。

 

諸葛瑾「いいえ。天の御遣い様に礼をつくすのは当然のことです。赤斗様と呼ばせて下さい。私のことは藍里と呼び捨てで構いません」

 

赤斗「ははっ……よろしく藍里」

 

諸葛瑾「はい。よろしくお願いします赤斗様」

 

陸遜「では、私で最後ですねぇ~。姓は陸、名は遜、字は伯言。真名は穏っていいます。穏とおよび下さいね。御遣い様♪」

 

赤斗「よろしく穏。出来れば赤斗って呼んで」

 

赤斗は6人と握手を交わし挨拶済ませた。

 

赤斗(雪蓮と冥琳、藍里が僕より少し年上で、穏は僕と同じくらいかな。火蓮さんと祭さんは……)

 

孫堅「赤斗。何か失礼なことを考えているだろう?」

 

赤斗「べっ…別に」

 

黄蓋「儂もそう感じたぞ」

 

孫堅と黄蓋が目の前まで詰め寄ってきた。

 

赤斗「気のせいでしょ。気のせい」

 

黄蓋「……気のせいか」

 

孫堅「そうか、なら良いが」

 

赤斗(……危なかった。二人とも目が怖かった。あの二人に年の話は禁句だな。注意しよう)

 

一人反省会を開き、そう心に固く決めた。

 

孫堅「さて、藍里。お前に赤斗の世話役を任せる。頼んだぞ」

 

諸葛瑾「分かりました。お任せください」

 

赤斗「世話役?」

 

孫堅「藍里は優秀だからな♪困ったこと、分からないことがあれば遠慮なく藍里に尋ねるといい。」

 

赤斗「何だか悪いですよ」

 

諸葛瑾「私なら大丈夫です。何でも遠慮なくお聞き下さい♪ でも、傷が治るまで無茶はしないで下さいね」

 

そう言って諸葛瑾は笑顔で赤斗に答えるのであった。

 

こうして、風見 赤斗の呉での生活が始まったのである。

 

 

 

つづく

 

 

~あとがき~

 

呂です。主人公の名前が判明しました。

 

真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介

 

オリジナルキャラクター①『風見赤斗』

 

姓 :風見(かざみ)

名 :赤斗(せきと)

字 :なし

真名:なし

武器:不明

 

本編主人公の少年。

この外史では“北郷一刀”が主人公ではありません。

古武術を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。

 

能力値:統率?・武力4・知力?・政治?・魅力?

 

 

 

オリジナルキャラクター②『孫堅』

 

姓 :孫

名 :堅

字 :文台

真名:火蓮(かれん)

武器:南海覇王  やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。

 

孫策(雪蓮)たちの母親。

身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。

血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。

この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。

 

能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5

 

 

オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』

 

姓 :諸葛

名 :瑾

字 :子瑜

真名:藍里(あいり)

武器:不明

 

諸葛亮(朱里)の姉。

諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。

温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。

政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、朱里には僅かに及ばない。

 

能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4


 
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