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真・恋姫†無双~江東の白虎~第壱章 第9節~一刀君教官になる~

タンデムさん

ちわっす!
タンデムです!
今回は一刀の部隊訓練です。

訓練といえば、勿論あの有名なあのお方ハートマンです、軍曹さんです。

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2010-09-30 19:57:05 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:16591   閲覧ユーザー数:11904

この小説は、北郷一刀(と蓮華)にいろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

その点を踏まえて、お読みください。

無事、凱を掛かり付けの医師として迎えることが出来た一刀。

 

その日、凱の事を皆に紹介したら、何故かあっさり認めてくれた。

 

理由としては、一刀が認めた相手ならば、依存は無いとのこと。

 

ただ、蓮華の表情が少し硬かったのは人見知りと言う事で、凱が一人で納得した。

 

そして翌日の夕餉、またも美蓮が突拍子も無い事を言い出す。

 

「一刀、この前の賊の討伐で、貴方が即戦力になることが分かったから貴方に、兵の調練をお願いするわ。 勿論貴方のね。」

 

美蓮の発した言葉に、一刀は勿論そこに居た皆は一瞬固まってしまった。

 

そして、一呼吸置いた後、お兄ちゃん至上主義連合は口々に反対の声をあげる中

 

「聞いてはいたけど、早いな。 14で一軍の将だなんて。」

 

「一刀様なら、十分ありえる。 良かったのう凱、おぬしにも仕事がくるかも知れぬ。」

 

予想が出来ていたメンバーは其々の反応を示す。

 

そして話の中心人物の一刀は不適に笑いこう言う。

 

「分かった。 じゃあ、2ヶ月。 そんだけくれ。 行くぜ凱。」

 

「お、おい! ま、待てって……。」

 

それだけ言うと、凱を引きずって出て行った。

翌日、一刀は自分の隊に志願した者達500名が居る訓練所に凱と共に訪れた。

 

着くと同時に、一刀は新兵たちを黙らせるため、

 

「凱、耳塞げ。」

 

「お、おう。」

 

「すぅ……、ガァァァァォォォンッ!!!」

 

咆哮を一つする。

 

始めはくっちゃべっていた兵達も一刀の咆哮に、何とも言えぬ強者の気配を感じ取り黙り込んでしまった。

 

黙り込んだ事を確認すると、一刀は皆の見えるところまで来て挨拶をする。

 

「始めましてだな! 今日から俺、孫王虎とこの華陀がお前等の部隊を担当することになるっ!」

 

孫王虎の名前を聞いて、新兵たちがまた驚愕のために喋り出す。

 

そんな声を切り裂くように、一刀は大きな声で「ただし!」と続け、

 

「俺達の訓練に、耐えられた奴等だけだ。」

 

その言葉に、誰が飲み込んだのかゴクリと喉のなる音がする。

 

そして、凱がもっていた竹簡を前に出し、

 

「此処にある竹簡に其々名を掘り込んでもらう。」

 

「是は、俺達の訓練を受ける者たちだけだ。 名を掘り込んだらきつかろうが、何だろうが絶対に訓練を受けてもらう。

 

だが約束する。 この竹簡に名を掘り込んだ者達は孫呉の兵(つわもの)と呼べるものにしてやる。」

 

一呼吸置いた後、

 

「受ける覚悟がある奴等はまた明日此処に来い。 一日じっくり考えて答えを出せ。」

 

そう言って、二人は訓練所を後にした。

翌日行くと、昨日居た全員が誰一人欠けることなくそろっていた。

 

「へぇ……。 全員居るってことは、全員が俺達の訓練を受けるってことでいいんだな? ……いいなら返事をしろっ!!」

 

「はっ!」

 

良い返事が聞こえると、凱が竹簡をボウリングのフォームでまるで赤絨毯を敷くように、地面に敷く。

 

「じゃあ、1列目から名を彫ってくれ。」

 

そう言って、一列目に短刀を渡し、名を彫らせる。

 

字の書けない者は、一刀達が字を教えながら彫りこませていく。

 

そして、全員の名が掘り終わる。

 

「良し! じゃぁ、行くぞ、着いて来い!」

 

そう言って、一刀と凱は訓練所を出て行く。

 

それに続いて、兵達も出て行った。

そして着いたのは、裏にある山。

 

其処には、あの日一刀が帰ってきた日に一緒に居た白虎―名を周々―が居た。

 

「これからお前等には、走ってこの山を登って、直ぐに走って下山してもらう。 ちなみに崖を上るときは、上半身のみで上れ。」

 

と、とんでもない事を言い出す。

 

「勿論、途中で逃げようとした奴は、彼に食われると思ってくれ。」

 

「ぐるるるる……。」

 

そして、一刀が無茶苦茶なら友も無茶苦茶。

 

凱の発したその声に反応するように、周々が低く唸る

 

その様子が、新兵達に更なる緊張感を生む。

 

それを見て、にやりと一刀は笑ったあと、大きく息を吸い込んで

 

「いいかおまえらっ!! おまえらはまだ糞の役にも立たない塵どもだ! だが、俺の地獄の訓練を乗り越えられたら、お前等は孫呉の兵(つわもの)として胸を張れるだろう!」

 

そして、一呼吸おき、

 

「きついと思ったときは、守りたいと思ったものの顔を思い出せっ! お前が諦める事でそいつの笑顔がなくなると思えっ!!」

 

「はっ!!」

 

その一刀の言葉に少しおびえていた奴等も、わが身を奮い立たせるように返事をする。

 

だが、一刀は少し不満そうな顔をした後、

 

「声が聞こえねぇっ! 早速、諦めんのかっ!!!」

 

「はっ!!!!」

 

「出来るなら最初からやりやがれっ!! 訓練、開始っ!!!」

 

そう言って、一刀は全兵を率いる様に、凱は最後尾に着いていくように、走る。

 

「ちんたら走るなっ!! てめえらそれでも、(ピー!)ついてんのかっ!!」

 

「はっ!!!」

 

一日中山を、登ったり降りたりそれも全速力で。

 

途中で倒れた者達は、凱が「げ・ん・き・に・なれぇ~~!」と針を刺して復活、と言うかなり人道に外れているかもしれない訓練だった。

 

そして、それを繰り返して天に月が昇り、一日の訓練の終了を告げると、何時もの一刀に戻り皆と一緒に飯を食う。

 

この訓練は、凱が居たから出来たものであり、美蓮たちがまねる事のできない物だった。

 

凱が居なければ、次の日疲労でまったく使い物にならないからだ。

 

そして、1月を過ぎた辺りから兵達に変化が起こり始めた。

 

一日の訓練を終えて何時もなら、ドロドロのバテバテなのだが、息の乱れも殆ど無い。

 

そうして、兵達が自分の変化を自覚しだすと、一刀は第二段階に移行した。

 

「大体基礎は固まった。 これから本格的な訓練に入る! まず、お前等には俺の考案した『風林火山雷陰』を覚えてもらい、その後俺と無手で試合だ。」

 

それは一刀の考案した、部隊の暗号命令みたいな物だ。

 

例えば風は、『風の如く、敵陣を翔け抜けろ』などという感じだ。

 

そして、様々な訓練を積み重ねてさらに1月後――――。

一刀は今、美蓮の部隊付き添いのもと、1000の賊軍の前に軍を並べていた。

 

一刀の部隊は全員鎧はしているが、殆どの兵が武器を抜刀していなかった。

 

最初その状態の兵達を見て、美蓮も祭も結羽も心配していたが、戦が始まった途端それは、杞憂だった。

 

「今日がお前等の初陣だ。

 

人の命を奪う事は怖いだろう、恐ろしいだろう。

 

だがあいつ等を野放しにしていたらより多くの命が減っていく事となる!

 

もしかしたら、お前たちに大切な者達の笑顔が脅かされることがあるかもしれん!

 

孫呉の兵として! 大切な者を守る者として、この一戦を勝利を飾るぞ!!」

 

「オオォッ!!!!」

 

一刀の言葉に、2月前までは新兵だったとは思わせない気迫の篭った声で応える。

 

その声に一刀は満足し、ニヤリと笑い、

 

ジャーンっ!!

 

本陣からの開戦の銅鑼が鳴ると、大きく息を吸い込み

 

「ガァァァァォォォォンッ!!!!」

 

「オオオオォォォォッ!!!!」

 

一刀の咆哮に呼応するように、一刀の部隊も雄叫びを上げる。

 

「全軍っ! 突撃っ!!」

 

 

 

 

一刀の部隊は正に圧巻というべきものだった。

 

「……堅殿。 一刀様には、常識と言う物が無いのだろうか?」

 

「あー祭、もう今更よ。 だってあたしの育てた子だもん」

 

「そうね。 彼、昔から、『常識? 何それ美味しいの?』だったものね……」

 

2ヶ月まえまでは、500の新兵だった者達の部隊に損害を与えられず、

 

壊滅させられていく賊達を見て、三人はすっごく可哀想に思ってしまった。

 

この戦を皮切りに、美蓮の部隊とよく一緒に賊狩りに出かけ、大暴れしまわるようになり、

 

一刀の咆哮と戦いぶりを見て、その白い肌からとって『江東の白虎』と呼ばれるようになった。


 
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