No.175256

真・恋姫†無双~赤龍伝~序章「赤い流星」

さん

真・恋姫†無双の二次創作の小説です。

2010-09-28 20:28:53 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:17184   閲覧ユーザー数:13588

 

真・恋姫†無双~赤龍伝~序章「赤い流星」

 

 

 

作られた外史――。

 

それは新しい物語の始まり。

 

終端を迎えた物語も、望まれれば再び突端が開かれて新生する。

 

物語は己の世界の中では無限大――。

 

そして閉じられた外史の行き先は、ひとえに貴方の心次第――。

 

さぁ。

 

外史の突端を開きましょう――。

 

 

春先の寒さが残る夜空の下で、三人の女性が偵察のため歩いていた。

 

黄蓋「ふむ……もう春じゃと言うのに肌寒いのぅ」

 

銀色の髪の女性が先頭を歩きながら話す。

 

孫策「気候が狂っているのかもね。……世の中の動きに呼応して」

 

続いて歩く桃色の髪の女性が答える。

 

黄蓋「……確かに、最近の世の中の動きは、少々狂ってきておりますからな」

 

孫策「管匪の圧政、盗賊の横行。飢饉の兆候も出始めているようだし。……世も末よ、ホント」

 

黄蓋「うむ、しかも王朝では宦官が好き勝手にやっておる。……盗賊にでもなって好きに生きたいと望む奴が出るのも、分からんでもないな」

 

孫策「真面目に生きるのが嫌になる、か……ま、でも大乱は望むとこよ。乱に乗じれば私たちの野望も達成しやすくなるもの」

 

黄蓋「全くじゃな」

 

孫策「母様もそう思うでしょう?……母様?」

 

返事はない。

 

不審に思い、孫策は後ろをふり向く。そこには腰まで伸びる燃えるような赤い髪の女性がいた。

 

その女性は、いつの間にやら歩くのを止めて空を見上げていた。

 

孫策「どうしたの母様?」

 

孫堅「予感がする……」

 

孫堅が呟く。

 

黄蓋「予感? 堅殿の勘は当たりますからな。して、どのような予感です?」

 

孫堅「昨晩の夢に赤い龍が現れたのだ。……何やら大きなことが起きそうな気がする」

 

孫策「へぇー」

 

黄蓋「夢の中に赤い龍とは、前漢の皇帝劉邦のようですな。そういえば堅殿、策殿。こんな噂があるのをしっておるか?」

 

孫堅「噂?」

 

孫策「どんな噂よ?」

 

黄蓋「黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流星。その流星は天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静す。……管輅という占い師の占いじゃな」

 

孫策「管輅って、あのエセ占い師として名高い?……胡散臭いわね~」

 

黄蓋「そういう胡散臭い占いを信じてしまうぐらい、世の中が乱れているということだろう」

 

孫策「縋りたいって気持ち、分からなくも無いけどね。……でもあまりよろしくないんじゃない?そういうのって?」

 

黄蓋「妖言風説の類じゃからな。じゃが仕方が無かろうて。明日がどうなるか。明後日がどうなるか。とんと見えん時代じゃからな」

 

孫策「ホント、世も末だこと。けど何?その管輅の占いと母さまの予感が関係しているとでも言うの?」

 

黄蓋「何、単にそんな噂があるということじゃよ。……さて堅殿、策殿。偵察も終了した。そろそろ帰ろう」

 

孫策「そうね。さっさと帰らないと冥琳に――」

 

“パシッ”

 

孫策が言い終える前に、得体が知れない音が辺りに響く。

 

孫策「……なにこの音?」

 

黄蓋「堅殿、策殿!儂の後ろに!」

 

黄蓋は素早く弓を構えて二人の主に言う。

 

孫策「大丈夫よ。それより祭、気を付けて……」

 

孫策「盗賊か、妖か……何にせよ、来るなら来なさい。殺してあげるから」

 

孫策も剣を鞘から抜いて構える。

 

孫堅「何か来る」

 

孫堅も“南海覇王”を抜き構えていた。

 

“パシッ”

 

音と共に、辺り一面が赤い光に包まれる。

 

孫策「なにこれ……視界が赤く……!」

 

黄蓋「堅殿、策殿ぉ!」

 

程なくして赤い光は治まっていく。

 

孫策「ん……んん……戻っ……た?」

 

黄蓋「堅殿、策殿、お怪我は無いか!?」

 

孫堅「私は大丈夫だ。雪蓮は?」

 

孫策「こっちも大丈夫よ、ありがと。……でも今の、一体何だったのかしら?」

 

黄蓋「分からん。妖が我らを化かしにきたのか……」

 

孫策「周辺の状況は?」

 

黄蓋「先ほどと変わりは……ん?」

 

孫堅「どうした、祭?」

 

黄蓋「あそこに人が倒れておる」

 

孫策「えっ!?」

 

黄蓋「さっきはおらんかった。……あやつが妖か?」

 

孫堅「どうだろうな?……行ってみるとしよう」

 

孫策「そうね、行ってみましょう」

 

黄蓋「堅殿、策殿、危険じゃ!……ええい、全く。母娘そろって人の言うことを聞かんお人たちじゃ!」

 

先程まで誰もいなかったはずの場所に二人は駆け寄って行く。そのすぐ後ろを黄蓋が駆けていく。

 

 

孫策「……男の子? 蓮華と同じくらいかしら」

 

孫堅「どうやら死にかけているみたいだな」

 

二人が目にしたのは、今まで目にしたことの事もない服を纏った血まみれな赤髪の少年だった。

 

黄蓋「はぁ、はぁ、はぁ……主たちよ。あまり老いぼれをイジメんでくれ」

 

遅れてきた黄蓋が息を切らせて言う。

 

孫策「あ、ごめん。……大丈夫?」

 

黄蓋「久々に走って、心臓が壊れそうじゃ」

 

孫策「運動不足じゃないの?」

 

黄蓋「そうかもしれんのぅ。……それにしても。この儒子……どこから現れたんじゃ?それにこの怪我。盗賊にでも襲われたのかの?」

 

孫策「さっきは居なかった。だけど気がついたら居た……さっきの光に関連づけるのが妥当でしょうね」

 

黄蓋「赤い光と共に現れた儒子、か……管輅の占い通りということか?」

 

孫策「占い通り、ねぇ。……ということは、この子が天の御遣いって奴かな?母様の予感も当たったのかしらね?」

 

黄蓋「占いを信じるならばな。……確かに、血まみれだがこの世のものとは思えん服を着ておる。あながち外れともいえんじゃろ」

 

孫堅「本当なら面白いな」

 

黄蓋「この場では判断も治療も出来んな。このままだと、この儒子は間違いなく死ぬぞ。……どうされる、堅殿?」

 

孫堅「連れて帰るぞ。」

 

黄蓋「ほっ。妖かもしれんが大丈夫か?」

 

孫堅「本当に天の御遣いなら保護する。人に害する妖なら殺せば良い。何にせよ、まずは傷の手当てが先だろう。フッ、まったく良い拾い物をした」

 

黄蓋「名をあげるのにはもってこいか。……うむ。堅殿の策に賛成しよう」

 

孫堅「雪蓮もそれで良いな?」

 

孫策「私も賛成」

 

孫堅「うむ。それじゃ祭、この儒子の連行、よろしくな」

 

黄蓋「承った」

 

黄蓋が少年を担ぎ、孫堅と共に歩きだす。

 

孫策「ん……これは何かしら?」

 

孫策は少年の傍に落ちていた細長い袋に気が付き拾い上げ中身を見た。

 

孫策「……? この子の剣かしら? 明命の魂切に似ているけど、あれよりずっと短いわね」

 

袋に入っていたのは二振りの日本刀だった。

 

孫堅「雪蓮、いくぞ」

 

孫策「はぁーい」

 

孫策(まぁ、いいか。あの子に聞けば分かるでしょう)

 

孫策は二振りの日本刀を袋にしまい、二人の後を追いかけた。

 

そうして三人は少年を連行して城への帰路についたのだった。

 

 

―某所の街―

 

関羽「姉上、今夜は冷えます。宿の中に戻りましょう。……姉上?」

 

夜空を見上げている桃色の髪の義姉に声をかけた。

 

劉備「愛紗ちゃん、今ね、赤い流星が……。もしかしたら、管輅ちゃんの占いに出てきた天の御遣い様を乗せた流星かと思って」

 

関羽「そうですか。けど今夜はもう遅いです。鈴々も持っていますから戻りましょう。」

 

劉備「そうだね。戻ろう♪鈴々ちゃんを待たせたら悪いしね」

 

劉備(さっきの赤い流星……。本当に天の御遣い様を乗せた流星だったら良いのに)

 

そう思いながら義妹と共に、もう一人の義妹のいる宿に戻っていった。

 

 

 

―某所の城―

 

曹操「今の流星……」

 

城壁より夜空を見上げながら呟く。

 

夏候淵「華琳様いかがなさいましたか?」

 

空を見上げたままの主を心配そうに尋ねる。

 

曹操「秋蘭あなた、今の流星を見た?」

 

今まで見てきた流星とは明らかに違っていた。確認するかのように尋ねる。

 

夏候淵「流星ですか?いいえ私は。流星がどうかいたしましたか?」

 

曹操「いえ、何でもないわ。見ていないならいいのよ。それより今夜は気分がいいわ。秋蘭、今夜はあなたが相手をしなさい。」

 

夏候淵「はい」

 

曹操(今の流星は何かの前兆かしら。それならそれで楽しみね)

 

笑みを浮かべながら城内に戻るのであった。

 

 

 

―某所の平原―

 

呂布「………」

 

刺青のある少女が夜空を見上げていた。この少女もまた赤い流星を見送っていた。

 

 

 

今宵、大陸の空を流れていった赤い流星を見た人間は何人いただろうか?

 

中山靖王の末裔“劉備”

 

乱世の奸雄“曹操”

 

三国無双最強“呂布”

 

少なくとも赤い流星はこの三人に見送られ、江東の虎“孫堅”と江東の小覇王“孫策”のもとに少年を届けたのである。

 

このことがどんな意味を持っているのか、これからどんな外史が始まっていくのか、それは誰も今は分からない。

 

 

 

つづく

 

 

~あとがき~

 

真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介

 

オリジナルキャラクター①「?」

 

姓 :不明

名 :不明

字 :なし

真名:なし

武器:不明

 

本編主人公の少年。

この外史では、“北郷一刀”が主人公ではありません。

血まみれだった理由などは後々語る予定。かなり後ろの方で語るかもしれませんが……。

 

能力値:統率?・武力?・知力?・政治?・魅力?

 

 

 

オリジナルキャラクター②『孫堅』

 

姓 :孫

名 :堅

字 :文台

真名:火蓮(かれん)

武器:南海覇王  やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。

 

孫策(雪蓮)たちの母親。

身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。

血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。

この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。

 

能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5

 

 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
46
34

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択