No.167444

真・恋姫無双アナザーストーリー 雪蓮√ 今傍に行きます 第15話

葉月さん

お待たせしました。
15話、学園祭初日【前半】の話しになります。
前半最初のお相手は雪蓮になります。

学園祭で一刀を落とそうとする雪蓮。

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2010-08-22 15:36:49 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:6555   閲覧ユーザー数:4937

真・恋姫無双アナザーストーリー 

雪蓮√ 今傍に行きます 第15話

 

 

 

 

「ふふふ……ついに来たわ、この時が!」

 

カレンダーを見ながら不敵に笑う。

 

そう、今日は……

 

「学園祭当日よ!」

 

天気は快晴。

 

絶好の学園祭日和だ。

 

「さあ、今日こそ一刀を落として見せるわよ!」

 

握り拳を作り腕を高らかに上げて叫ぶ。

 

「なに部屋で叫んでるの?朝食出来てるから早く下りてきなさい」

 

母さんが入り口で私を呆れたように見つめ溜め息をつきながら朝食が出来た事を伝えた。

 

「……コホン。さて、朝ごはん朝ごはん~♪」

 

少し恥ずかしくなり気を紛らわせる為に軽く咳き込み気を取り直して朝食を摂る為に階段を下りていく。

 

「今日の朝ごはんは何かな~♪」

 

「目玉焼きとトースト、あとサラダだよ」

 

「今日はご飯じゃないのね」

 

「母さんも少し寝坊しちゃってね、手軽に出来るものになっちゃったのよ」

 

「珍しい、母さんが寝坊だなんて」

 

「あら、母さんだって人間ですからね、寝坊する事くらいありますよ。ほら、早く食べて学園に行きなさい。今日は学園祭なんでしょ?」

 

「準備は昨日で終わってるから急ぐ事はないのよ」

 

「そう?ならいいけど……所で雪蓮?」

 

「ん~?

 

 

母さんは顔をにやつかせて私を見ていた。

 

「北郷君、だっけ?彼とは何処まで行ったの?告白されたの?」

 

「ぶーっ!」

 

「あらまあ、この子ったら、行儀が悪いわね。それじゃ北郷君に嫌われちゃうわよ」

 

「ゲホッ!ゲホッ!な、何言い出すのよ母さん!」

 

涙目になりながらも何とか母さんに抗議する。

 

「だって母さん心配なんだもの。高校三年にもなって浮いた話が一つもなかったのよ?そこに6月くらいだったかしら?北郷君を家に連れてきたときはもうお赤飯炊くしかないと思ったくらいだったわよ」

 

「実際炊いたじゃないお赤飯。しかも、鯛のお頭まで」

 

「それだけ嬉しかったってことよ。それで告白したの?それともされたの?」

 

目を輝かせてテーブルから乗り出してくる。

 

「だ~か~ら!一刀とはただのお友達よ!」

 

「お友達ね~。母さんにはそうは見えなかったわよ?」

 

「うっ……と、とにかく!一刀とはなんでもないの!まったくもう……行って来ます!」

 

これ以上、聞かれるのが嫌だったからトーストを頬張ってコーヒーで流し込んだ。

 

「はぁ~、孫が出来るのはいつになるのかね~」

 

……親公認なのは良いのだが度が過ぎている感じがするのは私だけかしら?

 

「やれやれ、母さんにも困ったものね」

 

「そんなに私に好きな人が出来たのが嬉しいのかしら?」

 

まあ、面と向かって『彼氏だ』なんて、恥ずかしくて言えないからあの場は違うって言ちゃったけど……

 

「それにしても孫が早く見たいだなんて気が早いにも程があるわよ」

 

まったく、何考えてるのかしら?

 

「……何も考えてなさそうよね……はぁ」

 

溜め息をつく私は後ろから近づく気配に気づかずに居た。

 

「おはよう、雪蓮」

 

ポンッ

 

「きゃぁぁぁあああっ!」

 

「ぶはっ!」

 

「へ?……か、一刀?!ご、ごめんね!考え事してて!」

 

突然、肩に手を置かれて驚いた私は無意識に相手を確認しないまま殴っていた。

 

「いてて……いや、俺の方こそ驚かせたみたいでごめん」

 

「一刀が謝る事じゃないわ。私が無防備にしていたのがいけなかったんだし」

 

「でも、」

 

「いいから!私が悪かったの!いいわね?」

 

「わ、わかったよ」

 

「うん♪なら、改めて……おはよう一刀」

 

「ああ、おはよう雪蓮」

 

「等々来たわね、学園祭が」

 

「ああ、楽しみだよな。雪蓮のクラスはお化け屋敷だったよな?」

 

「ええ、期待しててね。心臓が飛び出すくらいの恐怖をお見舞いするわよ♪」

 

「……」

 

「なによ、まさか本当に来てくれない訳?」

 

「う゛……」

 

少し瞳を潤ませると一刀はたじろいだ。

 

ふふふ、一刀の弱みは把握済み、一刀ったら女の涙に弱いのよね。

 

「はぁ、わかったよ。行けばいいんだろ?」

 

「ふふふ、だから一刀って好きよ!」

 

「うぉ!し、雪蓮?!み、皆が見てるって!」

 

「いいじゃない、皆に見せ付けちゃいましょ」

 

「いい?!」

 

一刀の腕を取り抱きつく。すると後ろから気配、もとい殺気が感じられた。

 

「……何してるのよ。あなた達」

 

「り、琳?!こ、これは違うんだ!し、雪蓮が勝手に!」

 

「あら、一刀はうれしくないの?ちょっと傷ついちゃうな」

 

「そんなわけ無いだろ?うれしいに決まってるじゃないか、で、でもこういった場所で抱き着かれるのは……」

 

「……この種馬」

 

「ぐはっ!」

 

琳の一言は一刀の胸を鋭い鎌で突き刺さったようだった。

 

「あれ?一刀さんに雪蓮さん、琳さんまでこんな道の真ん中で何してるんですか?」

 

「あら。桃香、おはよっ……」

 

「「……」」

 

「?どうかしましたか?」

 

「と、桃香?あ、あなたなんて恰好をしているのかしら?」

 

琳が顔を引き攣らせて桃香に問いかけた。

 

「ふえ?恰好?いつも通りの学園の服ですけど……どこか辺ですか?」

 

変な所が無いか自分の服を見回す桃香。

 

「はぁ、あなたの頭の事よ桃香」

 

「頭?……あれ?何か付いてる?……あー!」

 

「気づかなかったのね……」

 

眉間を押えて首を振る琳。判るわよその気持ち、私だってこんなドジな事しないもの。

 

「うぅ~恥ずかしいよ。か、一刀さん!笑わないでくださいね?」

 

「ああ……むしろその天然さが可愛らしくてGood Jobだ!」

 

親指を立てて桃香を励ましてるけど、釈然としないわね……

 

「……」

 

どうやら琳も同じ事を思っている様でこめかみがピクピクと動いていた。

 

(ぐいっ!)

 

「いいっ?!」

 

琳と私は一刀の足に狙いをつけて同時に踏みつけると叫びはしなかったけど痛みに耐えるように体を硬直させた。

 

「きゃっ!か、一刀さん?どうかしましたか?」

 

「な、なんでもないよ。はは、ははははは……」

 

ふん、自業自得よ。鼻の下伸ばしちゃって。

 

「あれ?愛紗ちゃんは居ないんですね?」

 

「あ、ああ。愛紗なら部活の模擬店の準備とかで朝早く行くって昨日言ってたな」

 

「一刀さんは何やるか聞いてないんですか?」

 

「ああ、愛紗に聞いても不動先輩に聞いても教えてくれないんだよ」

 

「それじゃ楽しみですね♪」

 

「ああ、クラスの模擬店の休憩時間にでも行って見ようと思ってるよ」

 

「一刀さんのクラスって確か執事喫茶なんだよね?」

 

「ああ、男子が少ないのに何とかなるか心配なんだけどね」

 

「一刀さんの執事姿か~、見てみたいな~」

 

「そんな興味の沸くものじゃないと思うけど来れたら来てよ。サービスするからさ」

 

「本当ですか?!絶対に行きますね!」

 

「……」

 

「……」

 

盛り上がる二人に後ろから一言も喋らず付いていく私と琳。

 

「……雪蓮」

 

「……何よ」

 

「なんだか無性に腹立たしいのだけれど、どうしたらいいと思う?」

 

「あら、奇遇ね。私もよ」

 

「なら……」

 

「ええ……」

 

(ツカツカッ)

 

無言で一刀に近づく、それでも一刀は気が付かない桃香との会話に集中していた。

 

もう一刀ったら私というものが居ながら!

 

でもそんな事は口が裂けても言えない。

 

なぜかって?恥ずかしいからに決まってるじゃない。

 

まあそんなことは今はどうでもいいのよ……今は目の前に居る一刀よ。

 

「か・ず・と?」

 

(ビクッ!)

 

「な、なんでしょうか?」

 

一刀の肩が一瞬強張りぎこちなく振り返った。

 

「ふふふ♪」

 

「ふふ……」

 

「っ!」

 

私と琳の笑顔に一歩後ずさりする一刀。

 

「お、俺、クラスの手伝いしないと!」

 

(がしっ!)

 

「なんで逃げるのかしら、一刀?」

 

笑顔で答える琳

 

「ははは、逃げるわけじゃ、ただ、クラスの準備を」

 

「確か殆どはクラスの女子がやるんじゃなかったかしら?」

 

それに私が追撃を掛ける。

 

「……そ、それでも力仕事とか……」

 

「一刀は私と登校するのが嫌なの?」

 

さらに畳み掛ける琳。

 

「そんなわけないだろ?」

 

「なら一緒に行きましょ♪か・ず・と?」

 

止めの一撃に笑顔と共に殺気を籠める私。

 

「……はい」

 

難攻不落の関を突破出来なかった一刀。

 

「あは、あはははは……」

 

横では桃香が苦笑いを浮かべていたけど、半分以上があなたのせいってわかってるのかしら?

 

「うぅ~酷い目に合った……」

 

桃香と琳は下駄箱で別れ今は一刀と二人っきりで居る。

 

「自業自得よ。それより一刀」

 

「ん~?」

 

「もう、なによその気の無い返事は……シャキッとしなさい。男の子でしょ!」

 

「無茶言うなよ。それにこうなったのは誰のせいだと思ってるんだ?」

 

「さあ?どこかの誰かさんが鼻の下伸ばしてたのがいけないんじゃないの?」

 

「う゛……さて、クラスに行くかな!」

 

話を反らしたわね。でも、まだ逃がさないわよ。

 

「まだ話は終わってないわよ」

 

「ぐえ゛っ!」

 

歩き出そうとする一刀の首襟を掴み引き寄せる。

 

「今日の交代は何時?」

 

「げほっ!げほっ!交代の時間?確か……一回目は11時から2時間だったと思うけど?」

 

「そう、なら交代前位にあなたのクラスに行くわね」

 

「え?なんで?お茶を飲むなら別にいつでもいいんじゃ?」

 

「……もう」

 

「いひゃい、いひゃい!」

 

ホント、鈍感なんだから……

 

「一刀と一緒に模擬店を回るからに決まってるじゃない。もちろん良いわよね?」

 

「ああ、わかった。でも、雪蓮のクラスの模擬店は大丈夫なのか?」

 

「私?気にしなくても大丈夫よ。ちゃんとローテーションが組まれてるから……ちょっと交代してもうだけだから」

 

「おいおい、無理しなくてもいいんだぞ?」

 

「いやよ、一刀と一緒に学園祭楽しみたいもの……それとも迷惑だったかしら?」

 

「バカだな、そんなわけ無いだろ?むしろうれしいくらいだよ」

 

「もう、だから一刀って好きよ!」

 

「ちょ?!ろ、廊下で抱きつくなよ!」

 

「ん~、いや~、もう離さな~い♪」

 

「皆が見てるだろ!」

 

「見せ付けちゃえばいいのよ。私と一刀のラブラブっぷりを」

 

「誰と誰のラブラブっぷりですって?」

 

「そりゃ、私とかずと、の……あはは、ハロー……愛紗」

 

背後から声が聞こえたから言葉を返しながら振り向くとそこには背後に般若の仮面が浮かぶ愛紗が立っていた。

 

「……おはようございます。雪蓮殿……一刀様もおはようございます」

 

「……おはよう、愛紗……」

 

「さて、このような場所で『何を』されているのですかな?学園祭の準備で忙しいと言うのに」

 

「「……はい」」

 

「そもそも雪蓮殿はこちらの下駄箱ではないはずでは?」

 

「……はい」

 

うぅ、冥琳と同じ、いや、一刀が絡んでいるせいかしら冥琳より怖いかもしれないわね。

 

「聞いておいでですか雪蓮殿!」

 

「はいぃ!」

 

「まったく……何処に行こうと言うのですか一刀様」

 

(ビクッ!)

 

あ、逃げようとしてたわね。自分だけ助かろうなんてずるいわよ一刀。

 

「ほ、ほら、クラスの手伝いをしないといけないかな……なんて」

 

「いい心がけですね。ですが、でしたらもう少し早く来ることをお勧めします」

 

「……はい」

 

「そもそも一刀様は!」

 

ああ、愛紗の説教って長いのよね学園祭終わっちゃうんじゃないかしら?」

 

……そうだ!閃いたわ、癪だけど何時間も立たされるよりはマシよ。よし、早速実行よ。

 

「判っておいでですか一刀さま!」

 

「……はい」

 

よし、私に気がついてないわね。

 

説教を受けている一刀の後ろに忍び寄り……今だ!

 

(ドンッ!)

 

「え?」

 

「聞いておいでですかかず「ちょまっ!んん?!」ん?!」

 

「よし、成功♪」

 

思いっきり一刀の背中を押して一刀に愛紗の口を塞がせた。

 

「行き成り何するんだよ雪蓮!」

 

「あら、役得じゃない」

 

「それ、柔らかくて……ってそういう事じゃなくて!」

 

「な、なな……」

 

「あら、これで説教は終わったんだからよかったじゃない」

 

「そうだけど……愛紗が今度は固まっちゃってるじゃないか」

 

「本当ね。なんでかしら?」

 

「突然キスされればそうなるだろ?……愛紗大丈夫か?」

 

「そういうものかしらね?」

 

私ならうれしいけど。

 

まあ、愛紗も満更でもないと思うけどね。

 

その証拠に顔が真っ赤でどこか恍惚とした表情だし、でも、驚きのほうが勝ってるって感じかしら?

 

「はっ!」

 

「あ、気がついた」

 

「愛紗、だいじょ「行き成り何をなさるのですか、一刀さまっ!」げふっ?!」

 

「あ、飛んでった……」

 

「はぁ、はぁ……はっ!しまった。一刀さま、ご無事ですかぁぁああっ!」

 

愛紗は我に返って殴り飛ばした一刀を追いかけていった。

 

「とりあえず、危機は脱したわね。さて、私もクラスに行って準備しちゃいましょうか♪」

 

一刀には悪いと思いながらもこの後始まる学園祭に胸を躍らせながらクラスへと向かった。

 

「ふふふ♪やっと休憩時間だわ」

 

とは言ったものの実際は休憩時間を変わってもらっただけなんだけどね。

 

「さて、まずは一刀のクラスに行かないとね~」

 

廊下を歩きながらクラスの模擬店を見る。

 

流石に校外開放が明日だから一般人が居ない分、人は少ないけど賑わいはいつもの学園以上ね。

 

「ん?あの行列はなにかしら?」

 

行列の最後尾に看板を立てて立っている女子生徒に聞いてみようかしら。

 

「ちょっとあなた」

 

「はい、なんで……っ?!あ、天音様?!ど、どのような御用でしょうか?!」

 

あらら、私だと気づくと否か緊張しだしちゃったわね。

 

「あ~、そんなに緊張しなくても良いわよ。この行列は何か聞こうとしただけだから」

 

「は、はひ!こ、これはですね。し、しし執事喫茶の最後尾になっておりましゅ!」

 

「執事喫茶の?だってクラスはもう一つ上でしょ?」

 

「は、はい。そ、そうなんですけど。凄い人気で……」

 

「もしかして、一刀の執事姿見たさに?」

 

「ほ、北郷様の執事姿は最高ですよ!あの笑顔で『お帰りなさいませお嬢様』なんて言われた日には天にも昇る気持ちに……はぁ~~~」

 

あ、この娘、トリップしたわね。まあ、いい気分になってるんだから放っとこうかしら。

 

「そう、ありがとうね」

 

「いえ~、ああ、北郷様~~~」

 

ダメだこの娘……

 

「それにしても困ったわね。これじゃ一刀の執事姿を……そう言えば今朝、一刀から紙切れ貰ったわね。あれなんだったのかしら?」

 

スカートのポケットに手を入れて一刀から貰った紙切れを取り出す。

 

「こ、これは!」

 

『執事喫茶、特別優先入場券』

 

一刀はこれを見越してくれたって事かしら?

 

「そこまで考えてなさそうだけど、使えるものは使わないとね♪」

 

行列を尻目に一刀のクラスがある階へと上がる。

 

「ちょっといいかしら?」

 

「あ、はい。すいません。今、ご覧の様に行列中で最後尾に……あ、天音様?!」

 

うん、いつも思うんだけどそこまで驚く事かしら?

 

「あ~、いいから、いいから。それよりこれ一刀から貰ったんだけど?」

 

「は、はい?……これは!判りました。次にお呼びしますのでお待ちください!」

 

「え、ええ……」

 

『ほ、北郷君!こ、これ、持って来た人が居るんだけど!』

 

『はい?……ああ、了解しました。直ぐにご対応させていただきます』

 

『う、うん。よろしくね』

 

なにやら、クラスの娘が慌しく中に入っていったけど、そんなに凄い事なのかしら?

 

「お待たせしましたお嬢様。こちらへどうぞ」

 

「っ?!え、ええ……」

 

不意をつかれ一刀の笑顔に顔を赤くしてしまった。

 

うぅ……喫茶店の時に耐性はついたと思ってたんだけどやっぱりこれは反則よね。

 

後ろを見ると列からは黄色い悲鳴が所狭しと響いていた。

 

「でも、いいの?並んでいる人が居るのに?」

 

「はい、こちらの券をお持ち頂いた方は特別室へのご対応とさせておりますので」

 

「特別室?」

 

「こちらでございます。どうぞ、雪蓮お嬢様」

 

一刀に案内されるまま別の部屋に通された。

 

「こちらでございます」

 

「うわ~……凝ってるわね」

 

「恐れ入ります」

 

まさにお嬢様が居そうな部屋と言った感じね。

 

「ところで、あのチケット何枚くらいあるの?」

 

「あれでございますか?あれはわたくしどもクラスの男子に5枚ほど配布されております」

 

「ふぅ~ん、それより普通に喋れないわけ?」

 

「申し訳ありません規則でありますので」

 

お辞儀をする一刀はどこに苦笑いを浮かべていた。

 

「それではごゆっくりとお寛ぎ下さいませ。御用の際は備え付けのベルを鳴らしてください」

 

一刀は紅茶やお菓子を並べた後、お辞儀をして一旦部屋から出て行った。

 

「はぁ~~~~、あんな一刀見てると私が緊張しすぎで疲れちゃうわよ」

 

まあ、執事一刀を独り占め出来たのは嬉しいけどね。

 

『きゃ~~~~っ!』

 

隣からはまた女子生徒の黄色い悲鳴が響いてきた。

 

「ホント、今回の学園祭売り上げトップは一刀のクラスよね。これじゃ」

 

他のどのクラスが頑張っても抜けないわよ。

 

「さてと、そろそろ一刀も休憩の時間よね?」

 

(チリチリーン)

 

備え付けの鈴を鳴らすと直ぐに一刀が現れた。

 

「お呼びでしょうか雪蓮お嬢様」

 

「ええ、一刀はもう直ぐ休憩時間よね?」

 

「はい、あと10分程で休憩にはいらさせていただきます」

 

「なら、一緒にクラスを回りましょ♪」

 

「かしこまりました。喜んでお供させていただきます」

 

「ええ♪」

 

一刀の笑顔に頬が熱くなりながらも私も笑顔で一刀に返した。

 

「それじゃ、休憩に入ります」

 

「うん、北郷君楽しんできてね!そのあとまたバリバリ稼いでもらうんだから!」

 

「ははは、がんばるよ」

 

クラスの女子に休憩する事を伝えた一刀が戻ってきた。

 

「それじゃ行こうか」

 

「ふふふ♪もちろん、奢ってくれるわよね?」

 

「高いのは勘弁してくれよ?」

 

「考えとくわ~♪」

 

「やれやれ……」

 

「ふふふ、ほら、早く行くわよ一刀♪」

 

「はいはい」

 

一刀の手を取り早く行こうと急かすと一刀は苦笑いを浮かべながらも歩き出した。

 

「それにしても」

 

「ん?」

 

「バイトの時も思ったんだけど、一刀って執事服似合ってたわよね」

 

「そうかな?」

 

「ええ……あれじゃライバルが増えちゃうじゃない」

 

「ライバル?」

 

「え?ううん!なんでもないわ。こっちの話、あはははは」

 

「ならいいけどさ」

 

「そんな事より!まず何処に行こうか?」

 

「そうだなあ……雪蓮はどこか行きたいところ無いのか?」

 

「そうね~……あっ!あそこに入るわよ。一刀!」

 

「ちょ!そんなに引っ張らなくても!」

 

「何言ってるの!一刀の休憩時間は少ししかないんだからそれまでに全部回るわよ!」

 

「ぜ、全部?!無理無理無理!無理に決まってるだろ?!」

 

「成せば成る!成さねば成らぬ!よ。さ~、ドンドン行くわよ~」

 

「勘弁してくれよぇぇええ!」

 

一刀の抗議の声を無視して学園中を連れまわす私。

 

「ふふふ……あっ!あれ美味しそう!一刀、あれ買ってよ」

 

声を上げて指を指した先にはクレープを作っている店があり、甘い匂いを漂わせていた。

 

「はいはい、すいません。一つください」

 

一刀はやれやれと言った感じにクレープを作ってる店に注文をしに行ってくれた。

 

「さ、300円になります!」

 

「へぇ~見た目の割りに結構安いんだね。はい、300円」

 

「あ、ありがとうございました!」

 

クレープを持って帰ってくる一刀の後ろでクレープを作っていた女子がキャーキャーと喜んでいた。

 

「お待たせ雪蓮」

 

「もてるのね一刀って」

 

「へ?」

 

「なんでもないわよ。ありがと一刀」

 

ちょっと不機嫌になりながらもクレープを受け取り一口食べる。

 

「あむ……ん~!甘くて美味しい!一刀も食べる?」

 

後ろでまだこちらを見ている女子に牽制とばかりに良く見えるようにして一刀に食べる事を進めた。

 

「え?俺はいいよ。雪蓮が食べてるの見てるから」

 

もう、恥ずかしくてドキドキしてるってのに一刀ったら普通に返してくるなんて何も感じないのかしら?

 

「え~、こんなに美味しいのに?一口だけでも食べない?」

 

少しドキドキしながらもう一度聞いてみると、

 

「それじゃ、一口だけな?はむ……うん、美味しいな」

 

「でしょ~?もう一口って言ってもあげないんだからね」

 

「ははは、それは残念だな」

 

「あ~ん!むふふ♪おいしっ」

 

さっきのクレープ屋の女子を見ると顔に手を当てて恥ずかしそうにこちらを見ていた。

 

ふふふ、成功成功♪

 

「随分とご機嫌だな。そんなにクレープが美味しかったのか?」

 

私が笑っているのを一刀はクレープが美味しかったと勘違いしてるみたいだけどやっぱり判ってないのね。

 

「違うわよ。確かにクレープも美味しいけれど」

 

「けれど?」

 

「一刀に一個質問、今一刀が食べたのはなに?」

 

「何ってクレープだろ?」

 

「うん、正解。それじゃ私が食べてるのは?」

 

「え?だからクレープ……あ」

 

ふふふ、やっと気づいたみたいね。顔を真っ赤にさせちゃってかわいい♪

 

「し、雪蓮!知っててわざとやっただろ」

 

「さ~、どうだったかしらね」

 

「はぁ~まったくもう……」

 

「あら、そんなに私との間接キスがいやだったの?」

 

改めて口すると恥ずかしさで頬が熱くなるのがわかった。

 

「嫌なわけないだろ?でも、こんな大勢の前でやることないじゃないか」

 

「ふふふ、一刀が誰のものか判らせる為よ♪」

 

「誰のものって……俺は置物か何かか?」

 

「もういじけないの、それとも直接キスの方が良かったかしら?」

 

わざと頬にキスする振りをするように口を近づけると一刀は慌てて周りを見回しだした

 

「ふふふ、冗談よ。キスする時は誰も居ない時にしてあげる♪」

 

一刀の柔らかいほっぺを人差し指で突っつき、呆然とする一刀を背に歩き出す。

 

「あ、ちょ!雪蓮待ってくれよ」

 

我に返った一刀が慌てて私に追いついてくる。

 

「まったく、少しは大人しくしててくれよ」

 

「自信を持っていえるけど無理!」

 

「そんな無い胸を張って言う事じゃないと思うんだけど?」

 

あ、今のカチンと来たわよ一刀!

 

「人が気にしてることを好きで貧乳になったわけじゃないわよ!」

 

「いひゃい、いひゃい!べ、別に文句言ってないだろ?ただ、胸を張る必要が……」

 

「同じ事よ!まったく、あっちの世界なら巨乳なのに……」

 

「あっちの世界?」

 

「なんでもないわよ!」

 

「見てなさい。絶対、こーんなに大きくして一刀を見返してやるんだから!」

 

あの世界で実際にあった大きさくらいに手で胸の形を作ってみせる。

 

「そんなに気にしなくても、俺は大きかろうが小さかろうがどっちも好きだぞ?」

 

「……このロリコン変体種馬」

 

「ちょ?!なんでそうなるんだ?!」

 

「さあ?自分で考えなさい」

 

「う~ん……」

 

「本当に悩んでるし……ほら、一刀、悩むのは後にして今は私と回ってるんだから私の事に集中して欲しいんだけど?」

 

「え?あ、ああ、そうだな。折角雪蓮とデートしてるんだもんな」

 

「デッ?!デート?!」

 

「え?違うのか?」

 

「いや、違わない、けど……」

 

サラリとそう言う事言われると妙に意識しちゃうじゃない!

 

「ぅ……」

 

実際、さっきから視線は感じてたんだけど、なんだろ、急に周りの目が痛くなったように感じてきたわ……

 

「か、一刀、次行くわよ。次!」

 

「へ?あ、うん。っ?!ちょ、どうしたんだよ急に引っ張って!」

 

「いいから、早く来なさい!」

 

「うわ~!転ぶ!転ぶ!もう少しゆっくり!」

 

そんな事気にしてられないわよ。とにかくここから離れるのよ。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……急にどうしたんだ?」

 

「ちょ、ちょっとね……走りたい気分だったのよ」

 

「まあいいけどさ。次は何処に行く?」

 

「そうね……って、一刀。休憩時間はまだ大丈夫なの?」

 

「え?ああ、そうか。忘れてた」

 

「忘れてたってあなたねえ」

 

「あと20分くらいしかないや」

 

「そ、なら何処かでお茶がてら休憩しましょ」

 

私と一刀は食堂にあるテラスで時間までお茶をする事にした。

 

「はぁ~落ち着くわね」

 

「そうだな……」

 

「って、なに年老いた事言ってるのよ私たちは」

 

「はは、でもたまにはこうやって落ち着いてお茶するのも悪くないだろ?」

 

「そりゃね?一刀も居る事だし」

 

「それは光栄だな」

 

「そうよ?ありがたいと思いなさい」

 

「あはは」

 

「ふふふ」

 

二人で笑い合うと心地の良い風が吹き抜けてきた。

 

「気持ちが良いわね……」

 

「ああ……」

 

「「……」」

 

お互い無言になったけど、まったく気まずい雰囲気じゃなかった。

 

「……ねえ、一刀。一つ質問」

 

「ん?なんだ?」

 

「一刀って三国志知ってるわよね」

 

「三国志?劉備とかの三国志?」

 

「ええ、魏・呉・蜀の中で好きな武将とか居るの?」

 

「そうだな~」

 

暫く考える一刀に淡い期待を抱いた。

 

「まずは関羽かな軍神とか言われるくらいだしな」

 

「そう……他には?」

 

ま、まあ、この世界でも愛紗、関羽は有名だし仕方ないわよね、うん。

 

「次に劉備かな、大徳と言われる懐の深さ!この時代に居たらどんな世界にしてたのか興味があるな」

 

「……ほ、他には?」

 

実際、劉備なら居るじゃない!あの天然娘が劉備よ。正確もまるっきり一緒だし!

 

「やっぱ忘れちゃいけないのが……」

 

「うんうん!」

 

「曹操!」

 

「……」

 

「いや~覇道の為に次々に掌握していく手腕は凄いよな」

 

いや、ね?確かに私が話を振ったことなんだけど、段々と腹が立ってくるわね……

 

「……」

 

「それとやっぱり」

 

頬を抓ろうと手を伸ばした時だった、

 

「孫策かな、一番好きなのは。江東の麒麟児、孫伯符!」

 

(ぴたっ)

 

え?今、なんて?

 

「か、一刀?今、なんて言ったの?」

 

「え?江東の麒麟児、孫伯符?」

 

「それもそうだけどその前よ」

 

「一番好きなのはってやつ?」

 

「そうそれよ!」

 

うれしさの余りテーブルから身を乗り出して一刀に迫っていた。

 

「何で一番好きなの?理由は?どういった所が好きなの?早く言いなさいよ!」

 

「ちょ!お、落ち着けよ雪蓮!今話すから!」

 

「え、ええ。ごめんなさい」

 

一刀に言われ、いつの間にか一刀の制服の襟を掴んでいる事に気がついて慌てて座り直した。

 

「やっぱり、その才能だよな。曹操の場合は綿密な計画のもと次々に国土を広げてて行ったことに対して、孫策は生まれ持った才能、天性の勘みたいなやつなのかな?それであっという間に江東を支配しちゃったんだから凄いよな」

 

「うんうん、それでそれで♪」

 

「あとはそうだな……何の本かは忘れたけど、戦闘に関してもその才能を発揮したって書かれてたから強かったんだろうなって思ったよ」

 

「ふふふ♪」

 

なんだかうれしくなるわね。

 

「なんで雪蓮がそんなに喜んでるんだ?」

 

「別にいいじゃないそんなの♪」

 

「別にいいけど……それにしても、その最後が悲惨だったよな」

 

「?悲惨って?」

 

「ああ、許貢の残党に襲撃されて重症に陥るんだ」

 

「……」

 

そうだ、私も毒矢にやられて……

 

「で、その後、断金の仲って言われた周瑜も孫策を追う様にして遠征の軍備中に急死したんだ」

 

「え?なにそれ!どういうことよ!」

 

「うえ?!」

 

冥琳が急死?!ああ、でも死んだのは周瑜の方か……でも、私も暗殺されたし……ってことは冥琳も持病を抱えてるって事?

 

「ぐ、ぐるじぃ……」

 

「え?ああ!ご、ごめん一刀」

 

また、テーブルを乗り越えて一刀の襟を掴み上げていた。

 

「た、確か赤壁の戦いの後だったかな」

 

「そんな……」

 

「雪蓮?」

 

「ご、ごめん、なんでもないわ、気にしないで……」

 

突然の事実に呆然となった。当たり前よ、あの冥琳が病気?いつから?まさか、私が死んだ後、無理をして?

 

そう思うと、自分の死に対して怒りが沸いてくる。

 

なんであの時、私は死んでしまったの?もしかしてちゃんと治療していれば死なずに死んで冥琳も……

 

いいえ、私の選択は間違っていなかったわ。あれが王としての勤め……でも、

 

「雪蓮」

 

「え、なに?かずっん?!」

 

え?ええ?ちょ!一刀?!

 

名前を呼ばれて一刀に顔を向けた途端、目の前に一刀の顔があり、唇に何かが当たっていた。

 

「ん……んん、ひょ!か、かひゅと!こんひゃ……ひょころで!」

 

抵抗しても一刀は離れてくれず、私も段々と力が抜けていくようだった。

 

「ひ、ひひょうよ、ん、ちゅ……かひゅ、と……」

 

「雪蓮が、ん……何か辛そうな顔してるから、さ……」

 

「りゃ、りゃからって、んん!こんなひひょが居るひょころで!」

 

「いいじゃないか、皆に見せ付けても」

 

「で、でも……んっ、い、いいひょかな?」

 

ああ、段々頭が痺れて来て考えが纏まらなくなって来ちゃったわ。

 

「ぷは、元気出た?」

 

「う、うん……」

 

時間にしてものの数十秒だったが、とても長い時間キスをしていたように感じられた。

 

「うん、元気が出てよかった」

 

「……はっ!な、何するのよ、一刀の一刀の!……」

 

我に返り、一刀との行為に顔が徐々に熱くなって来た。

 

「ちょ!雪蓮!お、落ち着こう!俺はただ元気が出ればと!」

 

「バァァアアカァァァアアアアッ!」

 

(バチコーンッ!)

 

一刀の鳩尾に見事なまでに拳が決まった。

 

「ぐはっ!」

 

そのまま後ろに吹っ飛ばされた一刀に、そこでまた我に返る私。

 

「あ、し、しまった!ちょっと一刀!大丈夫?!」

 

「し、雪蓮……」

 

「い、いいパンチだ、った……がくっ」

 

「一刀!死んだらダメよ!一刀~~~!」

 

「ほ、本当に大丈夫なの一刀?」

 

「ああ、少し痛むけどね。これくらいなら大丈夫だから、そんな気にするなって」

 

あの後、気絶した一刀は5分ほどで復活して今はクラスに戻るため廊下を歩いていた。

 

「それにしても、雪蓮にあんなに綺麗に決められるとは思わなかったよ」

 

「う……」

 

「ああ、でも夏休み前には不動先輩と互角の試合をしてたからな、出来て当たり前か」

 

「もう、それ以上言わないでよ。それでなくてもかなり凹んでるんだから……」

 

「だから、気にしてないって、雪蓮も気にするなよ、な?」

 

「う、うん……」

 

「よしよし」

 

「もう、頭撫でないでよね……」

 

一刀に頭を撫でられて恥ずかしかったけど嫌な気はしなかった。

 

「だって、なんだか雪蓮が可愛かったから」

 

「もう、知らない!ほら、もう直ぐクラスに着くでしょ。早く行っちゃいなさいよ!」

 

「はいはい、それじゃ雪蓮」

 

「うん?」

 

「楽しかったよ。またデートしような」

 

「~~~っ!は、早く行きなさいよバカッ!」

 

一刀の台詞と笑顔に顔が熱くなりそれを悟らせないように怒ったように言った。

 

「ははは、それじゃあな!」

 

知ってかしら知らずか一刀は笑いながら手を振り自分の教室へと戻っていった。

 

「まったく、人の気も知らずに……」

 

一刀が去った方を見ながら自分の唇に手を当てる。

 

「もう、強引なんだから……でも、たまには良いかもね」

 

『まったく雪蓮だけずるいよね~』

 

「っ?!」

 

一瞬、優未の声が聞こえたような気がした。

 

「……羨ましいの?」

 

『当たり前だよ!私だって一刀君にあんなキスされてみたいもん!』

 

「ふふふ、だったら、戻ってくれば良いじゃない」

 

『あー!言ったな!絶対、ぜ~ったい戻ってみせるんだから、その時になって一刀君が私にキスしてもヤキモチ焼かないでよね』

 

「考えておくわ」

 

『いーだ!絶対戻ってやるんだから!』

 

「……早く戻ってきなさい、優未……」

 

目線を下に下げ左腕に身に着けていたブレスレットにそっと手を添えて目を瞑った。

 

今の声が幻聴でも実際に聞こえた声でもどちらでも良かった。

 

戻ってくると言った以上、優未はきっと戻ってくる、私はそう信じてるから……

 

「……さて!私も戻ってお化け屋敷の手伝いしないとね!」

 

前を向いて私も自分のクラスへと戻る。

 

「戻ってきたらまずはお仕置きよね。勝手に居なくなったんだから」

 

廊下を歩きながら自然と笑みがこぼれだす。

 

私の勘が言ってるわ、近い将来、優未に会えるって……

 

「私の勘は外れた事が無いもの、だからこの勘も必ず当たるわ……必ずね」

 

それを私は信じて待つだけ。管輅たちも力を貸してくれているんだから……

 

私は優未に再会できる日を間近に感じながらその日が来るのを楽しみにしていた。

 

つづく……

葉月「ども~、夏コミでへばっていた葉月です!」

 

雪蓮「よくあんな熱いところに延々と居続けられるわよね」

 

葉月「気合ですよ!気合!もう、黄巾党の如くただ突き進むのみ?」

 

雪蓮「なんで疑問系なのよ。それよりも今回の話よ。ちょっと一刀が強引過ぎないかしら?」

 

葉月「え?雪蓮は一刀に押し倒されたい派じゃないんですか?」

 

雪蓮「ちょ!誰がそんな事言ったのよ!まあ、確かに積極的な一刀もいいんだけど……(ごにょごにょ)」

 

葉月「はぁ、押し倒したいし、押し倒されたいってことなんですね」

 

雪蓮「そ、そうよ?それがいけないかしら?」

 

葉月「別に悪いとは思いませんよ?」

 

雪蓮「な、ならいいじゃない。所で最後に出てきた優未の幻聴みたいなのはあれは何だったの?」

 

葉月「さぁ~なんなんでしょうね」(ニヤニヤ)

 

雪蓮「なによそのいやらしい笑いは」

 

葉月「べっつに~気にしないでください」

 

雪蓮「そういうと余計気になるじゃない!言いなさいよ!」

 

葉月「……さて、冥琳では無いですが周喩の病死を知った雪蓮はどうするんでしょうね?そこら辺はどうなんですか?」

 

雪蓮「話を逸らすな!まったく……そうね、まあ、戻ることも出来ないんだからどうしようもないんじゃないの?」

 

葉月「まあ、確かにそうですけど」

 

雪蓮「それにしても今回の一刀は随分と積極的だったわね」

 

葉月「その分痛めつけられてましたけどね」

 

雪蓮「あ~、だってあれは一刀が急にキスするから……」

 

葉月「雪蓮が赤くなった」

 

雪蓮「葉月も死にさらせ~~~~!」

 

葉月「ぎゃああああぁぁぁっ!」

 

雪蓮「……さて、葉月を黙らせたところで次回の話は拠点になるわよ」

 

雪蓮「なんで拠点かは前回の話を読んでくれれば分かるわ。それで次回のお話は……」

 

葉月「琳さんになります!」

 

雪蓮「うわっ!復活早いわね」

 

葉月「鍛えられてますから」

 

雪蓮「誰にかしら?」

 

葉月「言ったら酷い事になりそうだから言いません」

 

雪蓮「それって私って言ってるようなものよ?」

 

葉月「名前出してませんよ……って、なんで南海覇王持ってるんですかね?」

 

雪蓮「え?ちょっと捻くれた子を鍛え直そうと思って♪」

 

葉月「えっと……笑いながらなんで近づいてくるんですか?雪蓮さん」

 

雪蓮「捻くれた子を鍛え直すためよ♪……あ、逃げるな!」

 

葉月「逃げるに決まってるじゃないですか!それでは皆さん!次回をお楽しみに~~~~!」

 

雪蓮「逃げながら予告するな!待ちなさい!あ、皆も次回会いましょ♪待て~~~~~~!」

 

 

 

 

琳「……さて、ゲストとして呼ばれた私はどうすればいいのかしら?」

 

琳「まあ、忘れてるみたいだから葉月には後でキツイお仕置きが必要のようね……ふふふ♪」


 
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