No.162479

真・恋姫無双アナザーストーリー 雪蓮√ 今傍に行きます 第14.3話

葉月さん

拠点第三弾、雪蓮になります。

萌将伝でモチベーション下がり気味ですが、なんとか仕上げました。
楽しんで呼んでいただければ幸いです。

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2010-08-01 20:33:47 投稿 / 全15ページ    総閲覧数:5961   閲覧ユーザー数:4685

真・恋姫無双アナザーストーリー 

雪蓮√ 今傍に行きます 第14.3話

 

 

 

 

【雪蓮の憂鬱】

 

「はぁ……面白くないわね」

 

木の枝に腰を下ろし空を見上げながら溜め息をつく。

 

「あんなに楽しかったのにな~」

 

楽しくなくなった原因もわかってる。

 

でもそれを解決するには不可能に近かった。

 

(キーンコーンカーンコーン)

 

「あ、授業が終わったみたいね。もうお昼か」

 

それでも動こうとはせず、ボーっと雲の流れを見ていた。

 

「……」

 

(がさっ!)

 

暫くすると草むらから誰かが歩いてくる音が聞こえてきた。

 

ここを知ってるのは私の他に一人しかいないわね。

 

「やっぱりここに居たんだね雪蓮」

 

「はぁ~い。一刀」

 

草むらから出てきたのは私が愛している一刀だった。

 

「良くここだってわかったわね」

 

「教室に行ったら居なくてさ、クラスの人に聞いてみたら朝見かけてから見てないって言ってたからここなかと思ってさ」

 

「ふ~ん……」

 

来てくれた事にうれしくもなるけど、今はそんな気持ちにはなれなかった。

 

「何かあったのか雪蓮?」

 

「なんでそう思うわけ?」

 

「いつもの雪蓮らしくないからさ」

 

「私はいつも通りよ」

 

「ならいいんだけど、さ……ちょっと心配になってね」

 

「心配性ね一刀は」

 

「そうかな?」

 

「そうよ。私なら平気よ」

 

まったく、こういう所は鋭いのにね。

 

「そう言えばそのブレスレットいつもつけてるよね」

 

「ええ。大事なものだからね」

 

「も、もしかしてプレゼントされた、とか?」

 

「え?」

 

そんな一刀の言葉に驚き目線をしたに向けると不安そうな一刀の顔が見えた。

 

「違うわよ。もう、そんな捨てられた子猫みたいな顔しないでくれる?食べちゃうわよ♪」

 

「なっ!そ、そんな顔してないよ」

 

ふふふ、顔を赤くして照れちゃってかわいい♪

 

「これは……そうね、形見、みたいなものかしらね」

 

「形見?」

 

「ええ」

 

あなたは覚えてないでしょうけどね。これはあなたが優未に贈った物よ。

 

「そっか……きっと雪蓮に大事にされてその人も喜んでるだろうね」

 

「どうかしらね。そんな素直な娘じゃなかったから」

 

「ははは、雪蓮に言われるって事は相当なんだな」

 

「ちょっと~それどういう意味よ」

 

「そのままの意味だよ」

 

「もう、一刀なんて知らない」

 

頬を膨らませてそっぽを向くと一刀は慌ててご機嫌取りをしだした。

 

「べ、別に悪い意味じゃないよ!」

 

「ぷっあはは♪」

 

その慌てっぷりがおかしくて思わず笑っちゃった。

 

「わ、笑う事ないだろ」

 

「だって、一刀が必死過ぎるんだもの」

 

「なんだよ。心配して損した」

 

「ごめんごめん……よっと!」

 

枝から飛び降り一刀の前に降り立つ。

 

「ほ~ら、機嫌直して一刀」

 

「はぁ、雪蓮にはかなわないな」

 

苦笑いを浮かべ両手を挙げて降参一刀。

 

「ふふ~ん。まいったか♪」

 

「ああ、まいったよ」

 

すると一刀は急に私の手をとり……

 

「いつでも力になるから、辛くなったら言ってくれよ?」

 

「……うん、ありがとうね。一刀……それじゃ、ちょっとだけ背中貸してね」

 

「ああ」

 

ああ、やっぱり一刀には敵わないわね。

 

暫く一刀の背中に抱きつき私に一刀は私が満足するまで待っていてくれた。

 

「一刀~お腹空いた」

 

心行くまで一刀の背中に抱きついていたのは良かったんだけどお昼を食べ損ねた。

 

「そんな事言ったってもう授業が始まるし……」

 

「そうだ!今から学園の外に行きましょ!」

 

「はぁ?!な、何言ってるんだよ。そんなのダメに……」

 

「いいから行くわよ♪」

 

「ちょっ?!」

 

一刀の手をとりそのまま学園とは反対の道を走り出した。

 

ふふふ、なんだかあの頃を思い出すわね……

 

冥琳の目を盗んで執務室から抜け出してよく一刀と街に行ったっけ。

 

帰ってくるたびに一刀と二人で冥琳に怒られてね。

 

「ほ、本当に今日はどうしたんだ雪蓮?!」

 

「ふふふ、走りながら喋ると舌噛むわよ?」

 

「な、ならもう少しゆっくり走ってくれ!」

 

「や~よ♪だって、お腹空いてるんだもん♪」

 

住宅地をノンストップで駆ける抜ける。

 

後ろを振り向くと一刀は懸命についてきていた。と言っても手を繋いでるから走るしかないんだけどね♪

 

「はぁ、はぁ」

 

「ひ~い、ひ~い……し、雪蓮す、少し休ませてくれ」

 

住宅地から繁華街へと走り抜けると流石にきついわね。

 

「しょうがないわね。まあ、もう少しで着くから歩きましょうか」

 

「何処に行くんだ?」

 

「着いてからのひ・み・つ♪」

 

「気になるじゃないか」

 

「だ~め♪あっ、もちろん、一刀の奢りよ?」

 

「な、なんでそうなるんだ?!はぁ……ホント雪蓮にはかなわないな」

 

一刀は嫌な顔はせず苦笑いを浮かべて頭をかいていた。

 

「ふふふ、そうでなくっちゃ」

 

一刀の腕を抱きしめ頬ずりをする。

 

「でも、安いのにしてくれよ?今月ピンチなんだから」

 

「それはどうかしらね~?」

 

「本当に勘弁してください」

 

「やぁね、冗談よ」

 

「冗談に聞こえないぞ」

 

「あ~、私の事、信用できないわけ?」

 

「そんなことないよ。信用してるよ?」

 

「本当かしら?信じらんな~い」

 

「俺の事、信じられない?」

 

「そ、それは信じてるわよ?」

 

微笑みながら言うなんて卑怯よ。

 

「って、私が行った事そのまま言い返さないでくれる?」

 

「ははは、ごめんごめん。でも、俺はいつだって雪蓮を信じてるよ」

 

「……なら、証拠を見せて、そうしたら信じてあげる」

 

「し、証拠?」

 

「ええ、私を信じさせられるほどのね」

 

「う~ん……」

 

一刀は暫く悩んだ後、真剣な顔つきになり、ちょっとドキッっとしちゃったわ。

 

「雪蓮……」

 

「なに?」

 

「……目、つぶってくれるかな」

 

「……」

 

言われるままに目をつぶると一刀の手が私の両肩に置かれた。

 

(ビクッ!)

 

思わずビックリして肩を震わせちゃったけど一刀は肩から手を離す事はしなかった。

 

「……んっ」

 

「これで信じてくれるかな?」

 

唇に触れるだけの軽いキス……それでも一刀の優しさや思いが私の体の中を駆け巡るようだった。

 

「うん、信じてあげるわ」

 

「よかった」

 

一刀は私に向けて微笑みを見せてまた頬が熱くなってきた。

 

もう、そんな笑顔見せるなんて卑怯じゃない……よ~し、仕返ししちゃえ♪

 

「それより一刀?こんな道のど真ん中でよくもキスしてくれたわね」

 

「ええ?!だ、だって雪蓮が信じさせろって……」

 

「別に、『キスしろ』なんて言ってないわよ。そうでしょ?」

 

「た、確かにそうだけど……あの状況ならそういう展開だろ?」

 

「どういう展開よ。これはもう高いのを奢ってもらわないと割に合わないわね」

 

「そ、そんな~!」

 

一刀はガクッっと肩を落として財布と睨めっこをしていた。

 

ふふふ、一刀と居ると飽きないわね。

 

「か~ずと♪ほらほら、行くわよ」

 

「ちょ!し、雪蓮!こ、こけるから!」

 

一刀の腕を抱きしめ歩き出すと一刀は前のめりになりながら何とか踏みとどまっていた。

 

「もうお腹ペコペコだから待てないわよ♪」

 

暫くあるくといい匂いが漂ってきた。

 

「あれ?この先って確か……」

 

一刀は心当たりがあるのかしきりに首を傾げてた。

 

当たり前よね。だって一刀が優未に教えたお店なんだから知ってて当然。

 

そう、ここは優未が消える日に教えてもらったラーメン屋。

 

「雪蓮ってここのラーメン屋知ってたの?」

 

「ええ、教えてもらったのよ『親友』にね」

 

「へ~、ここのラーメン美味いからな。でも、その教えてくれた人もよくこんな所知ってたな?余り知られてないのに」

 

やっぱり覚えてない、か……そうよね。

 

「ん?どうかしたか?」

 

「なんでもないわよ。ほら、入るわよ一刀。ふふふ、今日はチャーシュー麺にしちゃおうかな♪」

 

「ほ、本当に高いの頼むつもり?!」

 

「そんな目で見てもダ~メ♪もう、チャーシュー麺って決めちゃったんだから♪」

 

「それとも、路上で唇奪っておいて責任とってくれないの?」

 

「うばっ!……はぁ、わかったよ。ホント雪蓮にはかなわないな」

 

「もちろん、一刀もチャーシュー麺よね?」

 

「お財布に優しくないのでラーメンにさせてください」

 

「もう、不景気な顔しないの。折角の顔が台無しじゃない」

 

「その原因を作っているのは誰かな?」

 

「誰かしらね?そんな奴がいたら私がとっちめてあげるわ」

 

「……」

 

「な、なによ……」

 

「うん、まあ、仕方ないか」

 

「ちょっと、何一人で解決してるのよ。私にも教えなさいよ!」

 

「秘密だよ。ああ、俺もお腹減ったな。先に入ってるぞ雪蓮」

 

「あ、ちょっと!待ちなさいよ一刀!」

 

一刀が店の中に入って行っちゃったから慌てて私も中に入った。

 

「へい、らっしゃっ!なんでい、おめーかそれに嬢ちゃんまで、まだ授業中だろ?サボりか?」

 

「あはは、そんなところかな?」

 

「やっほ~、ラーメン食べに来たわよ♪」

 

「嬢ちゃんは元気がいいな……ん?おめーさんら付き合ってたのか?二人で来るのは初めてだろ?」

 

「やだ~そう見える?」

 

「そんなわけ無いよ。俺は無理やり連れてこられただけで恋びっ(ぐぃ!)?!いって~~~!な、何するんだよ雪蓮」

 

「ふん!」

 

もう、そこは恋人だって言うところでしょ?何で言って……って、そう言えば一刀から告白された事がない……

 

この七ヶ月間、海にも行ったりしたけど『好き』と言われた事は会ったけど一度も『付き合おう』とは言われた事がない。

 

「おいおい、彼女を怒らせるなんて後が怖いぜ?」

 

「もう止めてくれよおっちゃん」

 

「はっはっは!それで、注文は?」

 

「ああ、俺はラ「ちゃーしゅ麺二つ!」っ?!し、雪蓮?!」

 

「なによ。ああ、一刀は『普通』のラーメンだったわね?おじさん、『普通』のラーメン一つとシャーシュー麺二つね!」

 

「おっ!今日は豪勢だな、嬢ちゃん」

 

「ええ、一刀の『奢り』だからね。それにここのチャーシュー美味しいからね」

 

「そうかいそうかい!うれしい事言ってくれるねぇ!」

 

「トホホ……今月の食費が……」

 

ふんだ、やけ食いよやけ食い。一刀のバカ!

 

その後、運ばれてきたチャーシュー麺二人前をぺろりと食べた。

 

「毎度、二千七百円だ」

 

「……あ、あの明日お金持ってきてもいいですか?」

 

「しゃあないな。今回だけ特別だぞ。次は交番に突き出すからな?はっはっは!」

 

おじさんは豪快に笑って一刀の背中をバシバシ叩いていた。

 

ちょっと悪い事しちゃったかしら?

 

それでもほんのちょっとだけよ。

 

私は店を出て一刀を待った。

 

「はぁ、まいったな……銀行に行ってお金おろしてこないとな」

 

一刀は頭をかきながら店から出てきた。

 

「なにしけた顔してるのよ。次行くわよ次」

 

「次?!が、学園に帰るんじゃないのか!?」

 

「何言ってるのよ。折角抜け出したんだから遊ぶに決まってるじゃない」

 

「お、俺帰りたいんだけど……」

 

「却下」

 

「ほ、ほら雪蓮も勉強しないと」

 

「勉強嫌いだから却下」

 

「な、なら……」

 

なによそこまで嫌がる事ないじゃない……

 

「……一刀は私と一緒に居るの嫌なの?」

 

「うっ、そんな事ないけど……ほら、愛紗とかに怒られるし……」

 

「愛紗と私どっちが大切なの?」

 

「そ、それは……」

 

一刀……なんで押し黙っちゃうのよ。

 

「な、なーんてね!ふふふ、驚いた?」

 

「へ?」

 

私はいつものように振舞う。

 

「もう、一刀ったら判ってるわよ。私も愛紗も両方大事なのよね。だから決められないのよね」

 

「え、あ……」

 

「ほらほら、一刀は学園に戻りなさい。今から戻れば四時限目には間に合うわよ」

 

「え、でも、雪蓮は?」

 

「私?私はそこら辺をブラブラしてるわ。それじゃね~」

 

「あ、雪蓮!」

 

私は手を振って一刀の別れた。あの場には居たくなかったから早歩きで離れた。

 

「はぁ~、なにやってるのかしら私は……」

 

街を歩きながら溜め息をつく。

 

「一刀に嫌な気持ちさせちゃったかしら」

 

で、でもあれは一刀がいけないのよ……そうよ。一刀がいけないんだから!

 

「はぁ~」

 

それでも溜め息が止まらない。

 

「随分とお悩みのようですね?」

 

「え?」

 

思わず声を掛けられた方を見ると……

 

「恋のお悩みですか?それとも素直になれない自分にお悩みですか?」

 

「あなたは管輅!なんでこんな所に居るのよ」

 

「あらあら、私は占い師ですよ?商売しているに決まっているではありませんか」

 

管輅は微笑みながら立ち上がり私に近づいてきた。

 

「な、なによ……」

 

「……なるほど。愛しの一刀さんが告白してくれなくてやきもきしている、と」

 

「なっ!」

 

「ふふふ。江東の小覇王でも恋する乙女なのですね」

 

「ふ、ふん!別にいいじゃない。それとも『恋するな』なんて言うつもり?」

 

「まさか、そんな野暮な事は言いませんよ。女は恋して強くなるのですから……その逆もありますがね」

 

「……今の私は弱くなっているとでも?」

 

「そうですね。ですが、一刀さんだけが原因ではないのでしょ?」

 

管輅はずばりと言い当ててくる。流石は占い師だけの事はある。けど……

 

「何の事かしら?話はそれだけ?だったら私は失礼するわよ」

 

踵を返して管輅から離れようとしたが、

 

「……優未さん」

 

(ピタッ)

 

今、管輅は何と言った?優未?優未がどうしたのよ!

 

振り向くと管輅はニッコリと微笑んでいた。

 

「お会いしたいですか?」

 

「会えるの!」

 

「ええ、ですが会えると言っても実際には会う事は出来ません」

 

「どう言う事よ」

 

「ここではなんですから場所を移しましょう」

 

そう言うと管輅は手早く片付けを始め占い道具をしまっていった。

 

「……その袋便利ね。よくあんな大きなものが入るわね」

 

「これは宝具です。仙力が無いと使えませんよ」

 

「な~んだ。面白くないわね」

 

管輅は道具を全てしまい込み懐にしまった。

 

「では、参りましょうか」

 

私は管輅の後ろを着いて歩いた。

 

「ここら辺でいいでしょうかね」

 

暫く管輅の後ろを付いて歩いて行くと人気の無い路地に行き着いた。

 

「少々お待ちくださいね……」

 

管輅は壁に向かって手をかざして念じていた。多分、あの変な空間の入り口を出すんでしょうね。

 

案の定、人が入れるくらいの大きさの穴が出てきた。

 

「どうぞ。お入りください」

 

管輅は中に入るように促してきたので大人しく中に入った。

 

「ふんぬ!これではダーリンは落とせないであろうな。もっと漢女を極めなくては」

 

何も無い空間に入ると全裸に近い筋骨隆々の変体がポーズをとっていた。

 

「……目の毒よ!星になりなさい!……っ?!」

 

顔面目掛けてストレートパンチを喰らわすが相手がびくともしなかった。

 

「なにやつ!中々いいパンチだがワシには効かぬわ!っと、これは孫伯符殿ではないか」

 

「はぁ、卑弥呼?私の部屋でボディービルは止めて下さいと何度言ったらわかるのですか?」

 

「むっ!何を言うか、漢女たるものいついかなる時でも体を磨き上げるのだ。それに、止めろと言うのならここに姿見を置くのをやめるのだな」

 

「はぁ、なんて言い草なのでしょうね。人の部屋に勝手に入っておいて」

 

「……とりあえず私はどうすればいいのかしら?」

 

「これはすいませんでした。筋肉馬鹿は放って置いてこちらへどうぞ」

 

「管輅貴様!わしを呼んでおいてなんと言う言い草だ」

 

「あら?そうでしたか?いやですわー。最近物覚えが悪いもので」

 

「ふん、年老いたのではないか管輅よ」

 

「ほほほほほ……」

 

「むふふふふ……」

 

……怖い、今この空間が怖すぎる。

 

管輅と卑弥呼はお互い笑い合っているけど、どう見ても殺気が見て取れる。

 

龍虎合いなす。まさに、そんな感じね。だけど、そんなのに構っている暇は無い、今は……

 

「……ちょっと、私を無視しないでくれるかしら?無視するなら帰るわよ」

 

「あら、度々申し訳ありません。では、本題に移りましょう……卑弥呼」

 

「うむ、いいだろう」

 

管輅は卑弥呼に目配せをすると一枚の写真の様な物を机の上に置いた。

 

「優未?!」

 

そこに映し出されていたのは確かに優未だった。

 

「はい、あの日あなたが理事長室に来て直ぐ、わたくしはある可能性を考えていました」

 

「可能性?」

 

「はい。優未は言わば作り出された存在。彼女が消える時、彼女に関わったもの全てが消されるはずでした。が……」

 

管輅は一度喋るのを止めて私の腕を見つめた。

 

「このブレスレットが残った?」

 

「はい、ですが本来それはありえない事態なのです。一つでも物や記憶が残ってしまうと綻びが生じてしまいやがてその世界は矛盾が生じる綻びで崩壊してしまいます」

 

「なっ!それじゃこの世界は!」

 

「落ち着いてください。それが不思議な事に起こっていないのです。そこでわたくしが行き着いた結論が『音無優未はまだこの世界の何処かで存在している』と言う事です」

 

優未はまだ消えてないのね。よかった……あれ?じゃあ、なんで……

 

「でも、それっておかしいじゃない。ならなんで一刀たちは優未のことを忘れているの?」

 

「そこまではわたくし達にもまだ判っていません。管理者として不甲斐無い所ですが」

 

「そう、まあいいわ。優未が消えてないって事がわかっただけでも。それで何処に居るの?」

 

「それはワシが説明しよう。結論から言おう。今の状態ではあやつを連れてくる事は不可能だ」

 

「どういうことよ、それ……」

 

「この写真は神通力で探し複写したもの実際にその場に行って写して来たものではないのだ」

 

「何でそんな面倒な事してるのよ」

 

「うむ、こうするしか方法が無かったのでな」

 

「この空間は無数にあるのです。それも人の数、それ以上あるかもしれません」

 

なんだか途方も無い数ね。

 

「その中から優未さんを探し出すにはその空間に行くより卑弥呼が言った様に神通力で探し出した方が早いのですよ」

 

「うむ、それでも一月掛かってしまったがな。管輅、お主がやればもっと早く見つけられただろう。お主の方が探索は得意なはず」

 

「あらあら。そこは役割分担を決めたはずですよ?だから今回の件はあなたがやるべき事ですよ卑弥呼」

 

「まったく、融通のきかないなお主は」

 

「ふふふ。キッチリしていると言ってくれますか?」

 

そんな事はどうでもいいのよ。

 

「ああ、そうですね。話を戻しましょう」

 

「っ!」

 

「ああ、言い忘れていましたがわたくしは読心術も得意ですので」

 

「なっ!今までの聞こえてたわけ!」

 

「はい。ですが普段は聞こえないようにしていますが」

 

「まあいいわ。それで、どうやれば優未を戻せるの?私にも出来るの?」

 

「今はまだ無理だ。時期では無いのだ」

 

「時期?どういうことよ」

 

助ける事に時期は関係ないだろうと思ったが卑弥呼はそれについて説明してくれた。

 

「うむ、時期と言ったが実際にはある道具が必要なのだ。今それは我が弟子が探している」

 

「その道具って?」

 

「銅鏡です」

 

「どうきょう?それってあの銅鏡のこと?」

 

「はい。古来より鏡には別の世界を映し出す道具として用いられてきました。実際はそのような事は無く統治者を崇める為の道具として作り出されたのですが」

 

「ありがちな話ね。特別な存在として居続ける為に神とかを気取ってるってことでしょ?」

 

「そうですね。ですが、この世に一つだけ別の世界に行ける鏡があるのです」

 

「なんですって?」

 

「それがわたくしたちが探している銅鏡なのです。この銅鏡は法具で一度使うと光と共に消えてなくなります」

 

「それともう一つ、消えた後、どこの外史に現れるかもわかっておらんのだ」

 

「なにそれ、お手上げじゃない」

 

「そうでもありませんよ。なぜか、銅鏡が存在する所にはある共通点があるのです」

 

「共通点?」

 

「はい。それは『史実に近い外史』と言う事です」

 

「史実に近い外史?どういうこと?」

 

「以前にお会いした時この世界は作り出された世界だとご説明したと思います」

 

「ええ、確か、私の想いから作りだしたとか何とか」

 

「はい、外史とは人の想い。『もし、こんな世界があったら』と言う想いから作り出されます。それは人が想う数だけ」

 

「その中でも『史実に近い外史』は簡単に言ってしまえば『この世界が魔王に支配されてしまった世界』の様に現実とかけ離れていない外史の事です」

 

「この世界は『外史から作り出された外史』ですが、どうやら史実に近い外史だった見たいです」

 

「それじゃ、この世界の何処かにその銅鏡があるってこと?」

 

「はい。それを貂蝉に探させているのです」

 

「……あの筋肉に?」

 

「はい、あの筋肉ダルマにです」

 

管輅は笑顔に似つかわしくない言葉を言った。

 

丁度その頃……

 

「どぅわれが、筋骨隆々の筋肉ダルマですとぅええええ!」

 

一人、山脈の頂上で叫ぶ貂蝉が居た。

 

「あら、気のせいかしら?……はっ!もしかして、ご主人様が私に愛の告白を!どぅふふ♪ご主人様ったら恥ずかしいからって私の居ない時に言うなんてどんだけシャイなのかしら!待っててねぇ。今すぐ銅鏡を見つけてくるわよご主人様!そして、私に熱い抱擁をしてちょうだぁい♪ぶるぅぁぁああ~~~っ!」

 

そのまま走り出す貂蝉。

 

「むっ!私の恋路の邪魔をするやつらは例え、岩でも許さないわよん」

 

貂蝉は両手に氣を籠めだす。

 

「骨まで砕けろぉ!ジェノサイドブレイッバァァァアアア!」

 

岩は一瞬のうちに粉々に砕け散った。

(ゾクゾクゾクッ!)

 

一刀は肩を震わせて辺りを見回した。

 

「な、なんだ今の寒気?何か恐ろしい者に魅入られたような感じが……」

 

「誰も居ない、よな……風邪かな?今日は早く寝るか」

 

「……なんだか今、寒気がしたんだけど気のせいかしら?」

 

「気のせいです。貂蝉は放って置きましょう。そのうち帰ってくるでしょうから」

 

「そ、そう……もしかして管輅って……」

 

貂蝉と卑弥呼の事嫌い?

 

「はい、嫌いですね♪もう、見たくも無いくらいに♪」

 

「え、笑顔で言われても……」

 

「ふふふ」

 

「む?」

 

絶えず笑う管輅に卑弥呼は首を傾げていた。

 

「ま、まあ優未が戻ってこれるならなんでもいいわ。それより、この写真だと意識が無い様に見えるけど」

 

写真を見ると優未は膝を抱えて目を瞑っていた。

 

「うむ、実際、気を失っているのかもしれんな」

 

「そうですね。実際に行って見れば判るかもしれませんが」

 

「その言い方だといけなかったってこと?」

 

「うむ。何か結界が張られておる様に感じた」

 

「結界?優未があなたたちを拒んでいるって事?」

 

「それは判らぬ。誰かを待っているのやも知れるが。または、全てを拒んでいるか」

 

「どちらにしても貂蝉が銅鏡を手に入れて来なければ話が進みませんね」

 

話終えるとお茶を一啜りする管輅。

 

「ふぅ……あら?あらあら♪」

 

急に管輅は笑い出して私を見た。

 

「な、何よ。私の顔に何かついてるわけ?」

 

「いいえ、ちょっと外の様子を見ていたら面白い事があっただけですよ」

 

「面白い事?」

 

「ふふふ。さて、そろそろお開きにしましょうか」

 

「うむ、そうだな。ワシも一旦ダーリンの下へと戻るとしよう」

 

「ちょ!面白い事ってなによ。教えなさいよ」

 

「それは秘密ですよ。ささ、雪蓮さんも早くこの空間から出て行ってください」

 

「もぉ~!何なのよ~~!」

 

「それではまたお会いしましょう雪蓮さん」

 

無理やり外に追い出されてしまった。

 

「まったく、人を連れ込んでおいてあの対応はないんじゃないの?」

 

怒りながら歩いていたせいか周りの注意を怠り曲がり角から出てくる人影にぶつかってしまった。

 

(ドンッ)

 

「きゃっ!」

 

「うわっ!」

 

「いった~い。ちょっと何処見て歩いてるのよ」

 

そのせいで、私の不注意でもあるのに相手に八つ当たり気味に文句を言った。

 

「ご、ごめん。人を探してて……って、雪蓮」

 

「え?あ、一刀」

 

名前を呼ばれて顔を上げるとなぜか一刀が立っていた。

 

「こんな所でなにしてるのよ」

 

「え、なにって、雪蓮を探しに」

 

「私を?なんで?」

 

「戻ろうと思ったんだけど。やっぱり雪蓮の事が、心配になってさ」

 

「一刀……」

 

恥ずかしそうに応える一刀を見て私もなんだか恥ずかしくなってきた。

 

「な、何言ってるのよ……それより起こしてくれるかしら?」

 

「あ、ああ!そうだね」

 

「うん、ありがとう」

 

一刀の手を取り立ち上がり埃を払い落とす。

 

「さてと、なんで私を探しに来たのよ。学園に戻ったとばかり思ってたけど」

 

「うん、そのつもりだったんだけどさ。なんだか雪蓮がいつもの雰囲気と違う気がしてさ、気になって探しに戻って来たんだ」

 

「愛紗に怒られるんじゃなかったの?」

 

「うっ……そうなんだよな~。どうしよう?」

 

「私は知らないわよ。ちゃんと戻りなさいって言ったんだもの」

 

「そんな~」

 

「ふふふ、自業自得よ♪」

 

「はぁ、まあいいか……雪蓮も元気になったみたいだし」

 

「何か言った?」

 

「いいや、何も言ってないよ」

 

ちゃんと聞こえてたわよ。ありがとうね、一刀。

 

一刀の腕をそっと取り抱き絞める。

 

「雪蓮?」

 

「ふふふ。このまま、街を散歩するわよ一刀」

 

「はぁ、戻るって選択肢は無いんだな」

 

「当たり前よ。それに今戻っても授業は終わってるし、愛紗にこっぴどくしかられるんじゃない?」

 

「……よ~し、街にくり出すぞ~!」

 

愛紗に説教されている光景を想像したのか身震いをして気分を切り替えたようだった。

 

「ふふふ、そうこなくっちゃ!」

 

「それじゃ何処に行く?」

 

「そうね~。とりあえずどこかのカフェに入ってお茶しましょ?」

 

「了解……その前に銀行に行っていいかな?」

 

「いいわよ。もちろん、奢ってくれるのよね♪」

 

「もちろんでございますよ。お嬢様」

 

「なにそれ♪あ、カフェに行く前にラーメンの代金払いに行きましょ。無銭飲食は犯罪よ」

 

「なら、チャーシュー麺を二杯も頼まないでくれよ」

 

「あれは、一刀がいけなかったんだから自業自得でしょ?」

 

「そ、そうなのか?」

 

「そうなのよ。ほら、銀行に行ってお金引き出しに行くわよ」

 

その後、お金を引き出し、ラーメンの代金を払い、近場のカフェに行く事にした。

 

「そう言えば、来月は学園祭だけど雪蓮のクラスはなにやるんだ?」

 

「お化け屋敷よ。結構本格的にやるみたいよ。面白そうだわ♪」

 

「へ~、それじゃ俺も見に行ってみようかな」

 

「歓迎するわよ。一刀を怖がらせる為に頑張るんだから♪」

 

「ほ、ほどほどにしてくれよ?」

 

「ん~、どうしようかな~……うん、一刀の怖がった顔見てみたいから却下♪」

 

「それじゃ、行くの止め様かな」

 

「え~、来てくれないと一刀のクラスで暴れるわよ?」

 

「それだけは勘弁してくれ」

 

「なら、来てね♪……そう言えば一刀のクラスはなにをやるの?」

 

「ああ、執事喫茶だよ」

 

「え?あ、あの執事喫茶?前にバイトしていた」

 

前に一刀が臨時でバイトしていた事を思い出した。

 

「ああ、そうみたいだね」

 

「でも、一刀のクラスって男子の人数少なかったわよね?」

 

「ああ、俺を含めて五人だ。それでも他のクラスよりは多い方だよ」

 

「それじゃ他の女子はどうするの?」

 

「呼び込みと裏方だってさ、本当は喫茶店にしようかって話だったんだけど、出すお茶とかお菓子も本格的にするみたいだから男の俺たちだと無理だって事になってさ。その結果、執事喫茶になったんだ」

 

それってどう見ても口実じゃないの?本当は一刀の執事姿を見たいだけじゃ……

 

「そ、そう。

 

一つ効きたいんだけど、それって指名制?」

 

「え?どうだったかな詳しい事はまだ決まってないんだよね。それがどうかしたか?」

 

「いいえ、なんでもないわ」

 

一刀には悪いけど、これは指名制になりそうね。

 

「それで琳のクラスは飲茶屋『覇王』で桃香のクラスは猫耳メイドカフェ『にゃんにゃん』だってさ」

 

「なにそのピンポイント狙い撃ちなネーミングは特に桃香のクラス」

 

「ははは、かわいらしい名前だよな」

 

「いや、そこは呆れるところだと思うわよ私は。それよりもう店の名前付けてる方が驚きだわ」

 

それに飲茶店で『覇王』ってきっと琳が付けた名前ね。

 

「気合入ってるよな二人とも。琳と桃香にも『必ず来て』って念押しされるくらいだからな」

 

これは不味いわね……桃香も琳も一刀を落としに掛かってる感じね、私も負けてられないわ。

 

「所で愛紗は?」

 

「え?同じクラスだから執事喫茶で裏方じゃないかな。あ、でも女子剣道部の方で何かやるとかいってたかな」

 

「一刀は参加しないの?」

 

「部長にそう言ったんだけどさ、クラスでやる模擬店を話したら手伝わなくて言いって言われて、なんでだろ?」

 

うん、不動は一刀の執事姿を想像して来なくていいって言ったんでしょうね。きっと……

 

それにしても……これって一刀のクラスの一人、もといクラス勝ちじゃないの?女子は全員行きそうな予感がするわ。

 

あのバイトですらあれだけ居たんだものね。

 

「一刀、がんばんなさい」

 

「え?うん、がんばるけど」

 

きっと学園祭の次の日は一刀動けないわね、この様子だと。

 

「ん?ねえ、一刀。交代時間てあるの?」

 

「流石にあると思うけどなんでだ?」

 

「そんなの、一刀と模擬店周りをするからに決まってるじゃない♪」

 

「決まってるんだな」

 

「あら、私とじゃ嫌なの?」

 

「そんなわけ無いだろ。こっちからお願いするくらいだよ」

 

「よろしい!だから一刀って好きよ♪」

 

抱きつくと一刀は顔を赤くして慌てた。

 

「ふふふ、うまく雪蓮さんは一刀さんと出会えたようですね」

 

管輅は水晶玉を見つめながら微笑んでいた。

 

「しかし、相変わらず人が悪いぞ管輅よ」

 

「あら、卑弥呼の体ほどではありませんよ?」

 

「どういう意味だ?」

 

「そのままの意味です。所で、優未さんの件ですが」

 

「うむ。貂蝉が戻ってくるまでもう少し接触して見よう。ワシが連れてきたのだ最後まで責任と取らなくてはな」

 

「わかりました。それではわたくしはこの外史を楽しんでいますね」

 

「相変わらずだなお主は」

 

「ふふふ、それがわたくしのもっとうですから」

 

そう言うと管輅は水晶玉をしまい込み立ち上がる。

 

「では、わたくしはこれで失礼しますね」

 

手をかざすと空間が裂け外の世界が姿を現した。

 

「管輅よ。一つ聞きたいのだが」

 

「なんですか?」

 

「太史慈にあのブレスレットを渡した理由はなんだ?」

 

管輅は立ち止まり振り替えると口元に手を当てて微笑み卑弥呼に伝えた。

 

「ふふふ。そんなの恋する乙女だけが知っていればいいだけですよ」

 

そのまま裂けた空間から出て行き閉じられた。

 

「ワシも恋する漢女(ヲトメ)なんじゃが」

 

首を傾げていた卑弥呼も新たに作り出した空間に入りその場から誰も居なくなった。

 

翌日、学園に向かう途中で一刀と愛紗に出会った。

 

「歩きながら怒られてるわね一刀……そうだ!ふふふ」

 

そこである事を思いつきニヤリと笑った。

 

「か~ずと♪だ~れだ?」

 

「うぇ?!し、雪蓮?」

 

「あたり~」

 

「雪蓮殿!今一刀さまに大事なお話の最中です。おからかいにならないで頂きたい」

 

「えー、後ろから見たら愛紗が一方的に怒ってるようにしか見えなかったわよ?」

 

「そ、それは一刀さまが昨日午後から授業をサボられたからであってですね」

 

「な~んだ、そんなこと?」

 

「そ、そんなことではありません!我々学生は学業が本分であって……」

 

「だって、一刀は私と昨日居たんですもの♪」

 

「ちょっ!雪蓮?!」

 

「……なんですと?」

 

わ~、愛紗の顔がみるみる鬼の形相に変わってきたわ。

 

「あら、聞こえなかったの?だから、一刀と昨日は二人でイチャイチャしてたのよ♪」

 

そのまま一刀に抱きついて頬ずりをすると愛紗のこめかみに血管が浮かび上がった。

 

(ピキッ)

 

「ちょっ!ち、違うんだ愛紗!雪蓮に元気が無くて!心配になって探してたらそのまま学園抜け出して!」

 

「それで、学園祭一緒に周ろうねって約束したのよね?」

 

「っ?!」

 

「そうそう……って、違う!だ、だからね?……あ、あの愛紗さん?」

 

愛紗は俯きながら肩を震わせていた。そろそろ来るかしら?

 

そんなこととは知らずに近づく一刀を見て私は二人から距離をとり始めた。

 

「あ、あのあい「一刀さま!」は、はい!?」

 

愛紗は顔を上げて一刀に睨みつけていた。

 

「あなた様という人は皆が勉学に励んでいるときに雪蓮殿と……」

 

「ちょっと!は、話聞いてた?!」

 

「ええ、聞いていましたとも雪蓮殿とイチャイチャしていたのでしょ?」

 

「ちっが~~~う!雪蓮も説明し……雪蓮?」

 

振り返ったところに私は居なく遥か前方に走っていた。

 

「ふふふ。一刀、頑張って誤解を解きなさいね~」

 

「なっ!雪蓮!話をこじらしておいてそれはないだろ~~~~!」

 

「一刀さま!聞いておられるのですか!今日という今日は許しませんよ!」

 

「勘弁してくれ~~~~!」

 

「ふふふ♪」

 

後方で一刀と愛紗の嘆きの声と怒りの声を聞いて笑う。

 

「さて!今日も一日頑張るわよ♪」

 

昨日の管輅と卑弥呼の話を聞いてまだ望みがあるとわかった以上、くよくよなんてしてられないわ。

 

「優未、戻ってきた時にあなたが居なくなってた事を後悔させてあがるんだから!」

 

秋空の下、学園祭に向けて、一刀を私のものだけにする為の計画を考えながら学園へと駆けて行った。

 

葉月「ども~、葉月です。はぁ~」

 

雪蓮「はぁ~い、雪蓮よ。元気ないわね葉月。前回は凄く元気良かったじゃない」

 

葉月「それですね。言わずもながら萌将伝のことなんですよ」

 

雪蓮「あ~、あれね。愛紗のイベントCGすら無いらしいって話ね」

 

葉月「ぐさっ!うぅ~、私の愛紗が~~~」

 

雪蓮「あらら、傷口広げちゃったかしら?」

 

葉月「グスングスン……さてさて、今回のお話は如何だったでしょうか?」

 

雪蓮「なんだか後半は優未が復活出来そうな話になってたわね」

 

葉月「はい。まあ、元々復活させるつもりでいたので問題無しですよ」

 

雪蓮「どう復活させるの?」

 

葉月「それはまだ言えませんね。お楽しみと言う事で」

 

雪蓮「ふ~ん、まあいいわ。それよりも、なんで私の話にあの濃い面子が出てくるわけ?二人も!」

 

葉月「だって、出さないと私の身が危険に晒されそうだったんで。ほら、優未が復活できるフラグと考えればいいじゃないですか」

 

雪蓮「納得いかない~~!」

 

葉月「納得しなくていいから理解してください」

 

雪蓮「ぶーぶー!横暴よ葉月は」

 

葉月「……あんまり雪蓮には言われたくない言葉ですね」

 

雪蓮「ちょっと、それどういう意味よ」

 

葉月「はい!てなわけで、次回ですが、なんでも恋姫夏祭りなるイベントがあるみたいなんでそれに参加してみようと思ってるんですが」

 

雪蓮「ちょっと!こっちの話はどうなるわけよ!」

 

葉月「書きますよ?参加作品を書いた後に」

 

雪蓮「え~!また伸びるの?私待てないわよ!」

 

葉月「そんなこと言われても……」

 

雪蓮「同時に書きなさい!」

 

葉月「無理です!」

 

雪蓮「気合いよ気合い。参加作品なんて2・3ページで終わらせちゃえばいいのよ」

 

葉月「なんちゅう無茶振り……とにかく、次回は参加作品を書きます。主役は勿論……」

 

雪蓮「私♪」

 

葉月「じゃないですよ。愛紗ですよ」

 

雪蓮「え~~~~~~っ!」

 

葉月「え~、じゃないですよ」

 

雪蓮「ぶーぶー!」

 

葉月「ぶーぶーでもありません!ホント我儘ですね。あ、言い忘れましたが参加作品の後書きは雪蓮じゃなくて愛紗の予定でお送りします」

 

雪蓮「そこまで私を出さないつもり!」

 

葉月「まあ、子役程度ならあるかも?」

 

雪蓮「む~」

 

葉月「あ、もう一つ追記です」

 

雪蓮「まだあるの?!」

 

葉月「次回の雪蓮√は学園祭になります。今回は全登場キャラクターの話を書くつもりなので本編前半に雪蓮、拠点で桃香・愛紗・琳でお送りしようと思います」

 

雪蓮「あれ?本編の後半部分は?」

 

葉月「はい。今回は特別に『本編前半、拠点1・2・3、本編後半』にしようと思ってます。まあ、拠点を後日談として書いてもいいんですけど、次回はこの流れで進行します。ちなみに学園祭は二日間です」

 

雪蓮「でも、参加作品の後なのよね?」

 

葉月「はい!そういう訳で今回はこの辺でお別れです。では、皆さん次回にお会いしましょ~」

 

雪蓮「納得できないけど。また次回ね~」


 
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