覚悟は決めた

ここから、一歩踏み出すと決めた

なのに・・・なんなの、この体の震えは？

「は・・・はは」

『日記』を持つ手が震える

今すぐこれを、閉じてしまいたい・・・そんな衝動に駆られる

～まだ・・・頑張れる～

頭の中、震える文字で書かれたあの言葉がよぎる

私はなんて愚かだったのだろう

何故気づけなかったのだろう

「『失うの・・・で・・・は、な・・・』」

言葉が・・・段々と、出てこなくなる

ああ、本当に情けない

情けなくて、悲しくて、悔しくて

私には、もう・・・

「華琳様・・・失礼します」

ふっと・・・私の手から、それが取り上げられた

見えたのは、水色の髪の女性

秋蘭・・・？

「華琳様・・・お一人で背負う必要はないのですよ」

そう言って、秋蘭は微笑む

その目は、かすかに揺らいでいた

ああ、そうか

私は・・・一人じゃない

彼を愛してるのは、悔しいのは、悲しいのは・・・私一人じゃないんだ

「ここは、私にお任せください

いえ、ここだけは・・・華琳様にも譲れませぬ

そうだろ・・・姉者」

「うむ・・・」

秋蘭の言葉に、春蘭は大きく頷く

それから、秋蘭の手をとった

「『ここ』は・・・私達に読ませてください」

ここ・・・これから、私が読もうとしていたところだ

あの日、皆で写真を撮った・・・その次の日

「わかったわ

二人に・・・任せましょう」

「はい」

「お任せください」

春蘭と秋蘭が・・・一刀の部屋を訪れた時の話だった

《雲の向こう、君に会いに-魏伝-》

十六章　春想い、秋焦がれ-KAZUTO-

～『失う』のではなく・・・『拒絶』される

　この表現のほうが、しっくりくると【アイツ】は言っていた

確かに、そうだと納得する

口にした酒

味はしなかった

だけど同時に何か、得体の知れない何かが・・・口の中一杯に広がったんだ

それはやがて・・・『吐き気』へと変わった

失うだけじゃない

俺は、少しずつ拒絶されていく

震える体を一人抱きしめ思った

『皆』から、そして・・・この『世界』から俺は、切り離されていく

はは、なんだよ

すげえ恐い・・・体が震える

今すぐにでも、大声をあげて泣き出したい

けど・・・

『笑わなくちゃ』

笑おう

皆に心配をかけたくない

なにより・・・皆の笑顔を、もっと見ていたいから

だから、笑っていよう

大丈夫

俺は・・・まだ笑えるよ～

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「はは、こんなもんか・・・？」

机の上、一枚の紙を見つめ・・・俺は苦笑する

その紙には、このようなことが書かれていた

『味×　嗅△　触△　視○　聴○』

これを見て、俺は溜め息をつく

「まいったな・・・こんなに早いなんて」

そうだ、予想よりも『早い』

もう、舌だけではなく・・・他のところまで『拒絶』が進んでいる

「まいったな・・・ほんと」

そのまま、窓の外・・・夜空に浮かぶ月を眺めた

綺麗な月だ

あぁ、これも・・・いずれ見えなくなってしまうのだろうか？

そう遠くない未来、この月も俺を『拒絶』するのか？

そして、最期には・・・

「っ・・・やめろ、考えるな！」

首を横にふり、俺は今考えたことを頭の片隅へと追いやる

駄目だ、このままでは

そうは思うが、中々・・・体の震えは止まってくれない

「くそっ・・・」

しっかりしろよ・・・ちくしょう

笑うんだろ？

俺は最期まで、笑顔でいるんだろ？

皆のために・・・俺は

「ぐっ・・・！」

ガツンと・・・部屋に、大きな音が響いた

机に向かって叩きつけたのだ

何を？

そんなの簡単だ

俺は、俺自身の頭を・・・思い切り、机に叩きつけたのだ

「が・・・はっ・・・はぁ」

フラリと、体が揺れた

ぶつけた箇所を触ってみるが、血は出ていないようだった

痛みも、あまりない

あんなに思い切り叩きつけたのにな・・・まったく

だけど、少しだけスッキリした気がした

「よし、大丈夫・・・かな」

口にした言葉

精一杯の強がり

これが、限界だった

「あ・・・あれ？」

もつれる足

倒れていく体

薄れていく意識

俺はただ、その感覚に身を任せることしかできなかった・・・

～その後に思い出したんだよな

そういえば、最近よく眠れていなかったなって

ほんと、馬鹿だったよ

でもさ・・・恐かったんだ

暗闇の中、唯一人漂い続けるのが・・・たまらなく恐かった

もしかしたら、もう起きることができない可能性だって零じゃないんだから

だけど、結局眠気には勝てなくて

また俺は唯一人、漂い続ける

『『一刀！』』

そんな俺を、暗闇から引き摺り出してくれたのは・・・二人の女性

不快だった浮遊感はなくなり、感じたのは確かな『温もり』

目を開いた先には、確かな光が広がっていた

『一刀、しっかりしろ！』

『あ・・・れ？　春蘭？』

『私もいるぞ』

『秋蘭まで・・・？』

『どうしてここに？』

春蘭と秋蘭の顔を見たとき・・・俺さ、泣きそうになったんだ

結局俺は、いつも・・・皆に助けられてるんだって、守られてるんだって

そう実感したから

それが嬉しくて

それが情けなくて

それが悔しくて

だからこそ俺は、少しだけ・・・強くなれたんだ

せめて最期くらい、皆のことを守ってみせる

そう・・・思えたから～

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「う～ん・・・むにゃぁ」

「ん・・・」

俺の膝の上、幸せそうに眠る・・・春蘭と秋蘭

あれから結局、俺の部屋で始まった酒盛りは・・・この通り、二人が眠るまで続いた

しかし、春蘭はわかるんだけど

まさか、秋蘭までこんなにハメを外すなんて思わなかったよ

「おかげで、身動きがとれないし・・・」

言いつつも、俺は・・・浮かぶ笑顔を抑えきれなかった

そのままで、二人の頭を優しく撫でる

「一刀・・・」

「一刀・・・」

ふと聞こえた二人の寝言に、俺はその手を止める

二人して同じ夢でも見てるのかな？

ははは、流石は双子だな

「ずっと・・・一緒だぞぉ」

「ずっと・・・一緒にいよう」

～ズキンと・・・胸が痛んだよ

二人のその言葉に、その笑顔に

こたえられない自分が・・・本当に情けなくて

だから、せめて・・・

「大丈夫だよ・・・ずっと、一緒にいるから」

嘘を・・・ついたんだ

夢の中、そこではせめて・・・幸せでいてほしくて

夢の中、彼女達が泣いてしまわないよう・・・

「むぅ・・・約束・・・・・・だ、ぞ」

「信じてるから・・・な」

優しい嘘を・・・

「ずっと・・・皆と一緒にいるから」

★あとがき★

さて、忙しい中・・・時間を何とか見つけて、こっそりと投稿しましたww

眠いwwだが、これでかつるwwww

今回は二章の『一刀編』となります

懐かしいwwとか思いながら書いてましたww

ですから(？)、少し短いですね

話は変わりますが、先日のことなんですが

友達に【華伝】の試作版を見てもらったんですが

貰った感想が・・・

『おまwwこれ序盤、蜀の奴等酷すぎるだろwwwwなんだよ、「チ■コもげろ」ってwwww

　ていうか、華雄がかっこよすぎるからwwwwwww』

という、ありがたい(？)感想をいただきました

うん、これはまだまだ改良の余地があるなwwww

これは、当分載せられんww

ちょww気になるんだけどwwというチャレンジャーがいらっしゃったら、そのうちお気に入り限定で試作版を公開しますねww

それでは、またお会いしましょうww