No.152388

飛天の御使い~第弐拾弐幕~

eni_meelさん

恋姫†無双の二次創作です。
曹操暗殺の報が流れる中、孫呉は荊州南部への侵攻を開始した。
果たして曹操は本当に暗殺されてしまったのか?
それに乗じて動き出す不穏の影とは?
拙い作品ではありますが、少しでも

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2010-06-22 02:53:02 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3344   閲覧ユーザー数:2875

はじめに

 

この作品の主人公はチート性能です。

 

キャラ崩壊、セリフ崩壊、世界観崩壊な部分があることも

 

あるとは思いますが、ご了承ください。

 

 

許昌

 

曹操暗殺の報を受けた春蘭と季衣が物凄い勢いで城に戻ってきた。そこには暗い顔の秋蘭と流琉、益州国境まで出向いていた曹仁こと柊(しゅう)、曹洪こと杏(きょう)、王粲こと紬(つむぎ)、冀州・鄴への侵攻に失敗して戻ってきていた葵と茜の姿があった。皆一様に下を向き俯いている。

 

「秋蘭、華琳様に何があったのだ?暗殺とか言ってたが、華琳様は無事なのか?無事なんだろう?どうして黙っている!黙っていてはわからんではないか・・・。どうなんだ秋蘭。」

「姉者、落ち着いてくれ。私たちにも詳しいことは何も。ただ何者かに矢で狙撃されたとしか・・・。」

 

秋蘭の言葉に春蘭の苛立ちは益々大きくなっていく。

 

「一体誰がこんな真似をしたというんだ?北郷か?孫呉か?それとも劉璋か?誰でも構わん、華琳様を狙撃したヤツを見つけ出して八つ裂きにしてくれる。」

 

七星餓狼を持って出て行こうとする春蘭を葵と茜が必死になって止める。

 

「春蘭様、落ち着いてください。誰がやったのかわからないのに何処へ行こうと言うんですかぁ?」

「そうです、春蘭様。取りあえず落ち着いて下さい。」

「これが、落ち着いていられるか!」

 

そういうと春蘭は七星餓狼を地面に叩きつける。そうしていると桂花と雛里が奥の部屋から出てきた。それを見た春蘭は桂花たちに詰め寄る。

 

「桂花、華琳様は?華琳様はどうなんだ?」

 

春蘭の問いに桂花は表情を暗くして

 

「死んではいないわ・・・・・。」

 

その言葉に一同からは安堵の息が漏れた。しかし、すぐに

 

「ただ、意識が戻らないの・・・・。このままずっと目を覚まさないことも考えられるわ。」

 

真っ赤になった目を擦りながらそういう桂花。曹操が狙撃で倒れて以降、彼女はずっと寝ずに看病をしていた。その体力はもはや限界に近かったかもしれない。

 

「桂花、雛里、一体誰がこんなことをしたのだ?」

 

春蘭が二人に問いただす。その問いに雛里が答える。

 

「何者かは分かりませんが、考えられるのは周辺には気配が無かったことからかなりの遠距離からの狙撃だということです。そんな事が出来るという事は、相手は秋蘭様と同等、もしくはそれ以上の弓の才を持つものと考えられます。現段階では、それほどの弓の使い手が存在しているという情報はありません。北郷、孫呉にはそれほどの使い手がいないと思われますので、そうなると蜀の劉璋あたりが怪しいと思います。ただ、これはあくまで仮説ですので、情報を集めてみないことには何ともいえません。」

 

さらに雛里は続ける。

 

「それよりも、華琳様暗殺の報があまりにも広範囲に広がっていることが気になります。恐らく敵はそれも計算に入れていることだと思います。今、周辺の諸侯にこの情報が渡っているとすれば、これを機に我が国へ侵軍してくる勢力があってもおかしくはありません。ただでさえ混乱している中で侵軍されたら我が方は対処できないでしょう。それについてどう対処するかを考えないといけません。」

 

そう説明している最中に伝令兵が駆け込んできた。

 

「申し上げます。江夏に布陣しておりました孫呉の軍が南征を開始しました。恐らく荊州南部を制圧するためと思われます。」

「ちっ、やはり奴らにももう情報が渡っていたか・・・・。」

 

伝令の報告に秋蘭が舌打ちをする。

 

「とりあえず孫呉の侵軍を何とかせねばなるまい。奴らには江夏の時に借りがあるからな。私と流琉、それに葵と茜で向かうことにしよう。姉者と季衣は華琳様の傍にいてあげてくれ。柊、杏、紬たちは北方の北郷たちの方を頼む。やつらもこれを機に侵軍してくる可能性があるからな。こんな感じでよいか雛里?」

「はひっ、大丈夫だと思いましゅ。」

 

秋蘭の提案に雛里は噛み噛みで答えた。そうしてそれぞれ行動に移っていった。

 

 

????

 

「黄忠、ご苦労だったな。」

 

無機質な声の労いが黄忠に向けられたが、黄忠はそれに取り合おうとしない。そんな様子を見て卑下た笑い浮かべながら近付いてくると、黄忠の首根っこを掴んで締め上げる。

 

「まだ分かってない様だな・・・・。お前の大事な娘は我が手の内にある。娘の生殺与奪は俺の思うがままなんだよ。そんな態度をとっていると、娘がどうなっても知らんぞ。なんなら蛮族どもの慰み者にでもしてみるか?まだ幼いが、蛮族にとってはいい玩具になるだろうさ・・・。あいつらは獣だからな、壊してしまいかねないがな。フハハハハハハハハハ・・・・・・・・・」

「やめて!あの娘には手を出さないで。私を差し出せばいいでしょ?」

 

男の冷たい言葉に黄忠は思わず声を荒げる。そんな姿を見下すように見ながら

 

「お前にはまだまだやってもらわなければならんことがある。それをしてもらう間は娘には手は出さんさ。しかし、少しでも我等に楯突こうとするならばその時は娘には悲惨な目にあってもらうぞ。」

 

冷たくそう言った。黄忠は拳を握り締めながらこの言葉に従わざるをえないのだった。

 

 

????

 

「おら、ここに入れ!」

 

暗い部屋に放り投げられた少女は不安から泣き出してしまう。

 

(お母さん・・・・・・お母さん・・・・・・・)

 

不意に部屋の隅のほうですすり泣く声が聞こえてきたため、泣くのをやめてその方向へ視線を移すと、そこには少女が伏せて泣いていた。

 

「どうして泣いてるの?あなたもここに連れてこられたの?」

 

そんな問いかけに少女は泣きながら顔をこちらに向けた。その顔を見て驚いた、いや、顔だけじゃない。向けられたその身体を見て絶句する。あちこち赤く腫れ上がった背中、太ももに腕、顔にまでアザがあったからだ。表現するなら暴力を振るわれた後のような様相だ。そんな少女が口を開く。

 

「お前もここに連れてこられたですか?」

「うん。知らないおじちゃんたちに・・・。お母さんがお仕事終わるまではここにいろって・・・。」

「お前、名前は?」

「わたし?わたしは璃々。あなたは?」

「ねねは陳宮。」

 

お互いの自己紹介が終わった頃、部屋の扉が開くとさっきとは違う男がやってきた。

 

「陳宮、こっちへ来い。」

 

そういわれた陳宮の表情は今にも泣き出しそうなくらい悲しそうな顔をしていた。

 

「陳宮ちゃん、どうしたの?」

「璃々は知らないほうがいいのです。これはねねの問題ですから・・・・。」

 

そういうと男のもとへ向かっていく。男は陳宮を連れて出て行った。

 

璃々は、陳宮の身に何が起こるのか分からなかったが、しばらくして叫び声や鳴き声が聞こえてきた。それと陳宮の姿を思い出し、そこにはとても恐ろしいことが行われていると直感で察知した。それを考えると怖くなった。自分も陳宮みたいな目に遭うんじゃないかと・・・・。璃々は耳を塞いだ。泣き叫ぶ声を聞かないように、恐怖を少しでもやわらげるように・・・・・。そして心の中で叫ぶのだった。

 

(お母さん、助けて・・・・・・・・)

 

 

許昌

 

曹操が襲撃されてから数週間が経った。しかし、未だ曹操の意識は戻らないままだった。南征した孫呉の軍勢は次々と荊州南部の都市を制圧していった。秋蘭たちが奮戦はしているが、兵たちの士気が上がらないのが原因なのかもしれない。城で臥せっている春蘭のもとに永倉と沖田が尋ねてきた。

 

「夏侯惇将軍、曹操様が戻られない今、夏侯惇将軍に仕切っていただかないといけません。孫呉の軍勢はまもなく荊州南部を制圧するでしょう。そうなれば南に我等以上の大国が出来ることになります。しかも、孫呉は北郷と同盟を結んでいます。そうなれば北と南から攻められることになりかねません。そうなってしまったら魏の兵力では対抗できません。そこで私に提案があるのですが・・・・。」

 

永倉のその言葉に春蘭は問う。

 

「どうすれば良いと言うのだ、永倉?」

「はい。向こうが同盟を組んでいるのであれば、こちらも益州の劉璋陣営と一時的にでも同盟を組んで対応したらいいと思います。国力差では北郷・孫呉同盟軍よりもこちらの方が大きいですから、そう簡単に侵攻してくることは無いと思います。」

 

永倉の提言に春蘭の反応は鈍い。

 

「しかし、劉璋が裏切ったらどうするのだ?それこそ我が国ではどうにもならんことになるぞ。」

「そこは、魏の大剣といわれる夏侯惇将軍が睨みを効かせれば劉璋とてそう易々と裏切ることはしますまい。そうすることが現状を打開するためにはもっとも良いと思われますが、いかがでしょうか?」

 

永倉の言葉に春蘭は頭を捻る。

 

(華琳様がいない今、私が導かねばこの国は滅んでしまう。しかし・・・・)

 

「魏の大剣といっても先の戦いでは北郷に全く手も足も出なかったからなぁ。私なんかでは、北郷あたりは堂々と攻めてくるやもしれん。」

「そこで夏侯惇将軍によいものがあるのですが・・・・。」

 

そういうと永倉は一枚の術符を取り出した。

 

「なんだそれは?」

「はい、この札は己の潜在的にある能力を大きく引き出してくれる術符にございます。某が、夏侯惇将軍と打ち合えたのもこの札のおかげ。それならば、私のような弱兵が使うよりも夏侯惇将軍がお使いになればさらに強くなることは間違いないでしょう。」

 

そういうと永倉は春蘭に術符を手渡した。

 

「その札に念を込めると、身体の中から力が溢れてくるようになります。」

 

永倉の説明に春蘭は札に念を込めてみる。すると不思議なことに身体のうちからどんどん力が湧いてくるのがわかった。いつも持っている七星餓狼がとてつもなく軽くなったような気がした。

 

「これは凄いな、これならどんなヤツにも負ける気がしないぞ。」

「そうでしょう・・・。これなら誰も夏侯惇将軍に逆らおうとするものなんていませんぞ。ですから先程の案を採用くださいませ。さすれば、この国も安泰ですぞ。」

「うむ、そうだな。それでは蜀に同盟の遣いを向かわせろ。共に呉、北郷を討とうと。」

「御意。」

 

そういうと永倉たちはその場を後にした。

 

 

「ふふふ、こうもあっさり上手く行くとは思いませんでしたね。」

 

笑顔でそういう沖田に、永倉も

 

「まぁ、猪武者といわれたあの夏侯惇だからな。こちらの思い通りに動かすのはわけないさ。すでに許昌に配置している曹操軍の兵の把握は済んでいる。総司、近藤さんに連絡を入れておけ。『魏』は我が手に堕ちたと。」

 

永倉は沖田にそう指示を出すと、早速行動を開始した。

 

突然の味方の兵と蜀の兵の襲撃により、許昌はあっという間に蜀の手に堕ちた。その蜀の兵を手引きしたのは他ならぬ春蘭と、それを陰で操る永倉・沖田両名だった。そんな春蘭の異変にいち早く気がついた季衣が、曹操、桂花、雛里と一部の手勢を連れて許昌を離れ陳留へおちのびる。その後、季衣たちは南部にいる秋蘭たちに伝令を飛ばし、北方に出向いていた柊、杏、紬と合流し追撃をかけてくる蜀の軍勢を振り切って北方へと逃げ延びたのだった。

 

 

 

 

これにより蜀は、荊州の北部と許昌制圧。、その報は瞬く間に大陸中に知れ渡ったのだった。

 

 

 

 

あとがき

 

飛天の御使い~第弐拾弐幕~を読んでいただきありがとうございます。

 

今回は曹操軍パートがメインでした。

 

一部ではかなりグロい表現も使いました。

 

これに関しては賛否両論ありそうで怖いのですが・・・・。

 

いよいよクライマックスに近付いてきました。

 

しかし、これからどうしようか悩んでいるところです。

 

なんとか綺麗に纏められるように頑張りたいと思います。

 

拙い未熟な作品ですが、少しでも楽しんでいただけるなら幸いです。

 

感想やコメントもいただけるとうれしいです。

 

ヨロシクお願いします。

 

 


 
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