No.152217

飛天の御使い~第弐拾壱幕~

eni_meelさん

恋姫†無双の二次創作です。
曹操軍を打ち破った北郷軍、孫権軍。
両陣営へ伝えられた衝撃の報告とは・・・・
今回は少し短めです。
拙い文章ではありますが、

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2010-06-21 17:07:26 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3095   閲覧ユーザー数:2726

はじめに

 

この作品の主人公はチート性能です。

 

キャラ崩壊、セリフ崩壊、世界観崩壊な部分があることも

 

あるとは思いますが、ご了承ください。

 

 

冀州・鄴

 

曹操軍との戦いに勝利した愛紗たちのもとへ一刃たちが近付いてきた。その姿を見るや愛紗と鈴々は走って向かっていき飛びつこうとしたが、それに気付いた舞華が慌てて2人を止める。

 

「愛紗さん、鈴々ちゃん、ダメです。まだこの間の傷が完治してませんから飛び掛ったりとかしたらまた倒れちゃいますよ。本当はまだ寝てないと悪いくらいなんですから。」

 

それを聞いた愛紗たちは思いとどまった。その姿に一刃は苦笑いを浮かべながらも2人を抱きしめる。

 

「愛紗、鈴々、心配かけてゴメンな。」

「義兄上」「お兄ちゃん」

 

そんな事をしている別の場所では、白蓮と関靖が趙雲に抱きついて泣いていた。

 

「星、星だよな?幽霊なんかじゃないよな?本物だよな?・・・・・うわぁーーーん。」

「趙雲様ぁ、よかった、本当に無事でよかった。・・・・・うわぁーーーーーん。」

 

趙雲は苦笑しながらも、こんなにも心配してくれる友がいることを嬉しく思った。

 

翠は、妹たちのもとに近付き

 

「碧、楓、よく頑張ったな。」

「はい、姉さん」「うん、姉ちゃん」

 

労いの声をかける。そんなそれぞれの光景を遠くのほうから見ていたのは左慈だった。その視線はずっと一刃を見つめている。一刃が優しい眼差しを送る愛紗や鈴々の笑顔を見て

 

(私があの人を殺していたら、あの2人は私と同じような気持ちになったのかな・・・・・)

 

殺したいほど憎いはずなのに、左慈には大切な人をなくすことの悲しみも知っているため複雑な心境だった。

 

(私の兄さまを殺したのはあいつ。私の幸せを奪ったのもあいつ。でも・・・・・・)

 

そんな左慈の傍に来たのは舞華だった。

 

「どうしたの、左慈ちゃん?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

舞華の問いかけに左慈は何も答えなかった。そんな左慈の様子を気にしていた舞華だったが、取り合えずは城に戻って一刀が帰ってくるまで外敵への注意を気にしつつ、疲弊している兵たちを休めるために朱里と共に動くのだった。

 

 

数日後、徐州攻略を完了した一刀率いる北郷軍主力部隊が鄴に帰ってきた。一刀は、全員の無事を確認すると笑顔で皆を労った。

 

「皆無事でなりよりだ。朱里、俺の留守中何か変わったことはなかったか?」

 

一刀の言葉に朱里は先日戻ってきた細作の報告をした。

 

「孫呉が、江夏を制圧したそうです。やはり我々への2面攻撃で兵力を使っていたためか、孫呉の侵攻は防げなかったようですね。あと余談ですが、南蛮のほうで劉璋軍が戦を行ったみたいですね。多分南蛮制圧して後顧の憂いを無くそうとしたのでしょうが、南蛮の孟獲大王自ら出陣して追い払ったみたいですね。」

「そうか、それぞれが動き始めたようだな。俺たちはどうすればいいと思う?」

 

朱里の報告を聞いた一刀は今後のことについて尋ねてみた。

 

「余勢をかって曹操陣営に戦を仕掛けても良いとは思いますが、こちらも先の戦闘で多くの損害が出ていますので、今はまだ力を蓄えたほうが懸命だとは思います。それに北方で異民族の不穏な動きも報告されてますので、そちらへの対策も立てないといけませんね。」

「ふむ。それでは当面は異民族への対応と、各国の動向を把握することに専念する。以上。」

 

こうして軍議は終わった。一刀は、真っ直ぐ星のもとへ向かった。

 

「趙雲、今回もまた君に助けられたみたいだね。何かお礼をしなければいけないな。」

 

一刀の言葉に星は

 

「それならば北郷殿、この私をあなたの配下にしていただきたい。どうか我が槍をあなたのお傍に置いていただけませんか?」

「それは、こちらからお願いしたいよ。趙雲、いや星、これから俺の傍で一緒に戦ってくれるかい?」

「御意。」

 

そう真剣な表情で申し出てきたのを、一刀は快諾した。これにより北郷軍にまた一人頼りになる仲間が増えた。一刀は気になったことがあり、星に一つ質問をした。

 

「ところで、どうして一刃と一緒にいたんだい?」

「風の噂で、一刃殿が襲撃され意識不明の重傷だということを聞きつけましてな。青州の北海にいると聞いたので見舞いにと思い立ち寄ったのですが、ちょうどその時意識を取り戻した一刃殿があのご婦人・・・・、任紅昌殿だったか、その方の制止も振り切って鄴へ単身行こうとしておりましたので、そんな状態の一刃殿を戦場へ出すのは、と思い同行をかって出たのです。それで鄴に着いてみたら白珪殿達が窮地に立たされていたので、気がついたら単身で突撃をかけていた次第で・・・・・。いやはやお恥ずかしい限りで。」

 

そう笑いながら頭を掻く星。そんな星に再び礼を言うと一刀は一刃の休んでいる部屋へ向かった。

 

 

一刃の部屋に入ると、妙に殺気立っている愛紗、鈴々と反対側には黙って俯いたままの左慈と舞華の姿があった。その張り詰めた空気に一刀は愛紗に問う。

 

「愛紗、何殺気立ってんだ?」

「義叔父上、この者は義兄上を殺そうとしたのですよ。そんな輩が拘束もされずこんなところにいるのは納得できません。再び、義兄上を殺そうとするやもしれません。いっそ私が・・・・。」

 

そういって得物を構えて斬りかかろうとする愛紗を一刀は平手で思いっきり引っ叩いた。一刀のその行動に誰もが驚き、目を丸くする。愛紗は頬を押さえたまま一刀を見上げる。

 

「落ち着け!お前はいつも目の前のことだけで物事を判断しているが、それが必ずしも正しいとは限らん。その少女には一刃を討たんとする強い想いがあったということだ。だが、それは一刃だけに向けられているものではない。愛紗や鈴々にも言える事なのだ。この少女は連合軍との戦いで董卓軍にいた実の兄を一刃に殺されている。愛紗、お前が同じ立場に立ったときこの少女と同じことをしないと言えるのか?」

 

一刀のその言葉に愛紗は言葉を失った。自分が同じ立場なら、間違いなく敵討ちしていただろう。

 

(この少女も私と同じで肉親を、兄を戦いで失っているのか。しかもその相手は私たち連合に加担していた北郷軍。目の前に憎むべき仇がいるのだ。ああいう行動に出るのも無理は無いのか・・・。)

 

黙り込んでしまった愛紗をよそに、一刀は左慈のもとへ向かった。

 

「左慈ちゃん、さっきはうちの愛紗があんなことしてしまってすまない。あの娘も昔、賊に実の兄を殺されてしまったことがあって、また義兄を失うことを恐れたんだと思う。だからあんなことをしてしまったんだろう。だけど、それは君にも言えることだよね。お兄さんを殺されてしまって・・・・。だから、その恨みを捨てろとは言わない。ただ、その恨みの矛先は俺だけにしてくれ。あいつらの責任は、師である俺の責任だ。だから殺すなら俺を殺してくれ。ただ、今はこの世の中を平和にするために戦っている。だから、俺を殺すのは戦いが全て終わってからにしてくれると嬉しいかな。」

 

一刀の言葉に左慈はもちろん、他の者も驚いた。そんな一刀の言葉を聞いて左慈は俯いたまま、しかし、小さな声ではっきりと

 

「ごめんなさい。」

 

そう謝ったのだった。一刀はそんな左慈を優しく抱きしめて頭を撫でる。その心地よさに左慈は在りし日の兄の姿を思い出し、その瞳からは静かに涙が流れ落ちたのだった。そんな雰囲気を壊すかのように、開け放たれた扉から朱里が駆け込んできた。

 

「た、た、大変です。一大事です。はわわわわわわ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

何とも言葉になっていないほど慌てている朱里を落ち着かせると朱里は報告を始めた。

 

「そ、曹操さんが・・・・・。」

「曹操がどうかしたのか?まさか攻めてきたのか?」

「いえ、そ、曹操さんが・・・・・・・暗殺されたそうです!」

 

「なっ!」

 

朱里の報告に、一刀をはじめその場にいた者は絶句した。その一報の衝撃はあまりのものだった。

 

 

荊州・江夏

 

江夏の制圧を終えた孫権軍の本陣に間諜として放っていた周泰が血相を変えて戻ってきた。

 

「孫権様、周瑜様、報告いたします。許昌にて曹操が暗殺されたそうです。」

 

その報告に孫権も周瑜も驚愕する。

 

「暗殺だと?一体誰にだ?」

「それが詳しい状況は何も・・・・。ただ、魏国内にはこの報は広く知れ渡り大混乱らしいです。」

 

周泰のその報告に周瑜は何か考えると、孫権に申し出る。

 

「蓮華様、これは好機です。曹操軍が混乱している今の内に荊州南部を制圧してしまいましょう。曹操暗殺が本当であれ、嘘であれ、魏国内が混乱にある今打って出なければ、そうそうこんな好機はないでしょう。蓮華様、ご決断を・・・。」

 

周瑜の進言に、孫権は少し考えたがすぐに顔を上げ

 

「よし、それでは荊州南部へ侵攻する。冥琳、指揮を任せてもよいか?」

「御意。」

 

そういうと周瑜は軍を纏めて出陣するための準備に入る。それを見送った孫権は周泰に

 

「明命、あなたは今一度許昌で情報の収集をお願い。詳しいことが分かったら報告して頂戴。」

「はっ。」

 

そういうと周泰は音も無くその場を後にした。

 

(いよいよ、これからが正念場ね。・・・・・姉さま、見ていてください。貴方が思い描いた天下統一の夢、私が必ず成し遂げますから・・・・・。)

 

孫権の視線は、遠い空の向こうを見つめていた。

 

 

あとがき

 

飛天の御使い~第弐拾壱幕~を読んでくださってありがとうございます。

 

今回は、戦いの後の北郷軍の幕間的なお話でした。

 

もっと掘り下げて描けたのかもしれませんが、私の文章力ではこれが限度でして・・・。

 

申し訳ないです。

 

次回は曹操暗殺のその後といった感じになると思います。

 

そろそろクライマックス近付いてきた気がします。

 

あと何話くらいで終われるか分かりませんが、最後までお付き合いいただけたら

 

幸いです。

 

 

 

 

 

 


 
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