No.136605

真・恋姫†無双 十√ 18+

kazさん

赤壁編その1 …とか書いてますがまぁ色々変な感じです
       過度な期待なしでなにとぞ…

注)今回ちょっと変則的な感じです
 18本編が7pまで 8pがあとがきで 9~12pまでがおまけです

続きを表示

2010-04-16 00:28:18 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:40624   閲覧ユーザー数:27676

荊州

 

許と赤壁の間の平原にて

 

春蘭達が呉軍と対峙する場所が赤壁と知った一刀は急遽伝令を走らせる

知っている三国志の知識からその場所が”魏が大敗する場所”と知っていたからだ

伝令は走る、一刀からの命令を伝える為に

 

 

しかし…

 

 

「行かせる訳にはいきません」

 

 

その伝令が春蘭達に一刀の言葉を伝える事はなかった…

 

 

ザシュッ!!!

 

「ぎゃあっ!」

 

 

まさに刹那の刃、伝令は誰に殺されたとも知れず息を引き取る、その伝令を瞬殺したのは

黒髪の幼さが残る少女、呉の将周泰、真名を明命と言う、冥琳の命によって密かに荊州に入り込み、

北郷軍の動向を探ると共に変事の伝令を確認した場合それを討つよう命じられていた、

明命と数人の兵は死んだ伝令の荷物を探り一刀からの書状を見つける

 

「さすがです、冥琳様の言われたとおりですね」

 

そう言うとその書状を

 

「これを冥琳様に届けていただけますか」

 

「御意!」

 

明命から書状を受け取った兵はそれを持って早馬で駆けて行く

その様子を見届けた明命は

 

 

「始まりますね」

 

 

これから起こるであろう戦いを感じ明命は緊張感を増す、その研ぎ澄まされた感覚はわずかな動きすらも見逃さない

 

 

がさっ!

 

 

「誰ですかっ!」

 

にゃ、にゃ~

 

明命が振り向いたその場所には可愛い猫がいた

 

「は、はああああああ、お、お猫様です~♪」

 

にゃ、にゃああああ (タタタタタッと逃げ出す)

 

「はあああ、ま、待ってくださいお猫さまぁ~、も、モフモフさせてくださぁい♪」 (シュタタタタッと追いかける)

 

にゃにゃーーん

 

「はぁ~ん♪」

 

 

 

 

明命の戦いは続く!

 

 

 

時間は少し遡る

 

 

北郷一刀の死の報が領内に喧伝されると今だ完全に影響下となっていなかった領内で蜂起が相次ぐ

 

さらに呉軍による荊州侵攻が知らされると北郷軍将兵、軍師達はその対応の為に軍を発する

 

稟は河北へ、風、霞、凪、真桜は河南へ

そして春蘭、秋蘭、桂花、季衣、流琉,沙和の六人は救援の要請を受け荊州へと出立する

荊州への軍8万を指揮するのは桂花

 

「にいちゃん、大丈夫だよね」

 

「兄様…」

 

「北郷さま~」

 

「お前たち、北郷を心配なのはわかるが我等は今から孫呉と戦うという事を忘れるな、

もし我等が負けるような事があればそれこそ北郷を苦しませる事になるのだからな」

 

秋蘭の言葉に

 

「ボク負けないよ!絶対!ぜぇったい!」

 

「私も絶対負けません!」

 

「がんばるの~!」

 

と気合を入れ直す季衣、流琉、沙和の三人、そんな三人を見て頼もしいやら可愛いやらと微笑む秋蘭、

ふと姉の春蘭を見ると

 

「北郷北郷北郷北郷北郷北郷ほんごうほんごうほんごうほんごうほんごう…」

 

と皆に聞こえるほどの独り言、そんな春蘭に秋蘭が

 

「…姉者、そんなに北郷の事が心配なのか?」

 

「な!!////、ば、馬鹿を言え秋蘭!北郷?はん!あんな奴のこここ事、

ぜ、全然気になどしておらんわ!!!はっはっは!!!」

 

と、白々しいを通り越して清々しい反応に心ときめく秋蘭さんだった

そんな風に一刀を心配する各々とは違い軍を指揮する桂花は何か強い意志を持っていた

 

 

(私は北郷の軍師、軍師として北郷を守る、ただ、それだけよ…)

 

 

荊州に入った北郷軍は呉軍が迫っている襄陽に入る、荊州軍と合流した北郷軍は呉軍と対峙…するはずだったが

呉軍は襄陽に姿を現す事はなく細作を放ち情報を得ると呉軍は転進したとの報告を受ける

 

北郷軍は一旦進撃を停止し今後について軍議を開く、その軍議の場に荊州軍を統括するという人物が桂花の前に現れる

 

「お初にお目にかかります、某、荊州にて軍を統括しております蔡瑁と申します、

此度は救援の軍の派兵、劉表様も北郷様に対し感謝を申しております」

 

「我が領土となった荊州に侵略してきた者を討つは当然の事礼には及びません、

ところで劉牧(表)に挨拶をしたいのですがお目通りできますでしょうか?」

 

「申し訳ありません、劉表様はご病状が悪化しており起きるのもままならぬ有様、此度はなにとぞ」

 

「そうですか、わかりました劉牧にはまた改めて挨拶に来ると伝えておいて頂けますか」

 

「ははっ」

 

その後蔡瑁は桂花達に呉軍追撃を申し入れる、理由は呉軍は江陵を奪ったままであること、

また、このまま放置しておけば北郷軍が去った後孫呉による再侵攻の恐れがある事が理由であった

 

桂花は少し考えた後孫呉追撃の為江陵への進撃に同意する

呉軍による伏兵の存在に注意しつつ進撃する北郷軍、しかし江陵からの細作からの報告を聞いて驚く、曰く

 

 

「呉軍、江陵を放棄して赤壁まで後退」

 

 

戦えると思っていたのにその敵がいない事を知った春蘭などは

 

「ぬあーーーーーーーー!!ちょこまかと逃げてばかりの孫呉めぇ!正々堂々勝負せんかぁ!!」

 

「お、落ち着いてください春蘭さまぁ~」

 

「ふふっ、怒り心頭な姉者も可愛いなぁ…」

 

とかイライラして激怒する春蘭、あたふたしてる季衣、春蘭に欲情してる秋蘭、

まぁこれがいつもの北郷軍ではあるのだがただ桂花だけは神妙な面持ちで出立する前に詠に言われた

 

 

”呉は何か企んでいる”

 

 

という言葉を思い出していた、孫呉があきらかに何か策を巡らしている事は明白

江陵も確保しさしあたっての脅威が去った今、これ以上の追撃は避け一時退くべきではないかと桂花は考えていた、

しかしその時北郷軍に伝令がやってくる、その内容は

 

 

『北郷一刀 意識を取り戻す』

 

 

その報に北郷軍将兵は歓喜する、我等の王が存命だと

 

「よ、よかったぁ!にいちゃん元気になったんだよね!もう大丈夫なんだよね!」

 

「うん、きっともう大丈夫だよ、兄様はもう大丈夫だよ」

 

「よ、よかったの~、沙和ずっと心配で眠れなくてお肌荒れちゃってたの~」

 

「ま、まったく!あの軟弱者め!だから言ったのだ!もっと体を鍛えろと!まったく!まったく!!!

 ええい!今からでも帰って徹底的に鍛え直してくれる!いくぞ季衣!流琉!沙和!」

 

「姉者、北郷を心配するのはわかるが「ばばばばばば!バカを言え!だだだだだ誰が北郷なんぞ心配しておるか!////」…わかったわかった」

 

喜ぶ春蘭達、しかしそこに再び蔡瑁が現れ赤壁への進軍を要請する

 

「孫呉は赤壁に艦船を集結しており、長江を渡って江陵、襄陽への再度侵攻も考えられます」と

 

確かに細作の報告で赤壁に呉の艦船の集結を確認していた、北郷軍がいなくなった途端再び侵攻も確かに考えられた

孫呉の行動は不気味ではあったが桂花は赤壁への進軍を命令する

 

その言葉に許に戻れると思っていた春蘭達皆は少し不満そうではあったが荊州より孫呉を追い出す事で荊州そして北郷領内の安定を優先する、そうすれば一刀は喜んで皆に優しくしてくれたり贈り物をくれたりするんじゃない、という説明に喜んで同意する、秋蘭曰く

 

「さすが王佐の才」

 

赤壁の両岸にて対峙する北郷・荊州軍と呉軍、しかしその後はどちらから手を出す事もなくこう着状態となる

赤壁に対峙して幾日かたつ頃には荊州軍も少しずつ集結し始め、その数は北郷軍と同じく8万にまで達していた。

双方あわせ16万、対する呉軍は4万、数では呉軍を圧倒していた

 

 

一刀が赤壁の事を知ったのはこの時である

 

 

 

 

赤壁 呉軍陣営

 

北郷・荊州軍の布陣する対岸に陣を構える孫呉の軍はいつでも出陣できる準備をしていた

呉軍が赤壁に陣を構える頃になると細作や明命からの報告で一刀が存命であるという報告がもたらされると雪蓮などは

 

「そう、一刀は無事なのね、そう…」

 

と心の底から安堵した、最大の敵であると同時に大切で心惹かれる人物、雪蓮の中で一刀の存在はそれほどのものにまでなっていた、冥琳などはそんな雪蓮の姿を見て、少し寂しさと嫉妬のようなものを感じると同時に雪蓮に王としての成長を感じ…

 

「よぉし今日は飲むわよぉ!!!!祭、今日は徹底的に付き合いなさいよ!いくら飲んでもいいから!私が許す!」

 

「おお策殿!何と太っ腹!どこかの眼鏡とは違うのう、はっははははは!」

 

「蓮華!思春!穏!あんた達も付き合いなさい!今日は飲み明かすからねぇ、

ぶっ倒れるまで飲むわよーーーーー!!!!」

 

「「「え、ええええええ!!!!!」」」

 

 

「ぜんぜん成長しておらんわーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

なんか一刀が無事だったと知った途端いつもの…いやいつも以上の暴走モードになってしまった雪蓮にあきれるを通り越して激怒する冥琳、説教をはじめようとするがまさに小覇王の名に相応しい(?)速度で祭さん共々すでに姿を消していた

 

「ふっ…ふふふふ…ふぁっはははははは!!!!!」

 

とかなんか壊れる冥琳さん、どこに怒りをぶつけようかとしてた所に取り残された蓮華、思春、穏の三人がロックされる

 

 

くいくいっ

 

 

冥琳の人差し指が”こっちこーーい”と三人を呼び寄せる

 

「ま、待って冥琳!まだ慌てるような時間じゃない!」

 

「れ、蓮華様落ち着いてください!大丈夫です私が必ずお守りいたします!」

 

「め、冥琳様落ち着きましょう、ね、おちつきましょう~♪」

 

 

 

  ザ・ワールド!

 

 

 

というか冥琳の目がなんか怖くて動けなくなる三人、逃げる事ができなくなった蓮華、思春、穏は

 

「さて、そういえばお前達にも色々説教したい事があったな、今日はみっちり聞いてもらうぞ、ふ、ふははははは!」

 

(((助けてー、誰か助けてー!!)))

 

三人の心の叫びとは裏腹にその頃雪蓮と祭さんは酒盛りの真っ最中でした、ちゃんちゃん

 

 

 

時は戻る(真面目パート)

 

本陣では作戦会議が開かれていた、そんな中明命からの伝令がやってくる

その手には一刀が春蘭達に送った伝令が持っていた書、それを受け取った冥琳は読み。

 

「明命は何だって?」

 

「……ああ、許にいる北郷から赤壁に布陣している北郷軍への伝令の書簡らしいのだが…」

 

「どうしたの?」

 

冥琳の信じられない、といった表情が気になったので雪蓮は聞いてみる

 

「北郷から対岸にいる北郷軍へと伝えようとしていた伝令によると”赤壁より即時撤退せよ”だそうだ」

 

「へぇ~、さすが一刀ね、許にいるのにまるでこの赤壁で私たちがやろうとしている事を知っているみたいだわ♪」

 

「ああ、改めて思い知らされるよ、天の御遣いというのが嘘偽りではないという事が、

奴はこの赤壁で我々が戦いを挑む事を知っている、そして自分の軍が危機的状況だという事も察知しているようだ、

まったく、一体あの者はどこまで知り尽くしているのだ」

 

「でも、今回ばかりは遅かったようだけどね」

 

「そうだな、もし北郷が死士によって怪我を負わされてなかったら我等の策も看破されていたかもしれんな、

さて、北郷が感づいたとなると事を起こすしかないだろう、穏、準備のほどはどうなっている?」

 

「はぁ~い♪すべて整っています~、報告では北郷さんの所の兵士さん達に多くの人が風土病にかかって大変な状態のようですし動くのは今をおいて他にないかと~、あとは雪蓮様の命令さえいただければすぐにでも行動を起こせますぅ~♪」

 

「そ、じゃあそろそろ始めましょうか」

 

そう言うと雪蓮は孫呉の主要な面々を呼び寄せる、本陣に集まった面々、雪蓮が妹の蓮華に

 

「蓮華いいわね、今回の敵は今まで戦ってきた野盗や袁術の兵とは訳が違うわよ、精鋭中の精鋭、大陸一の軍が相手よ」

 

「わかっています!姉様の邪魔をするような事は致しません!」

 

「蓮華様は私が必ずお守りいたします、ご安心ください!」

 

蓮華と思春はいつものやりとり、そして祭は

 

「やっと戦か、待っておったぞ!逃げてばかりでうんざりしておった所じゃ!まったくコソコソする策など考えおって!」

 

そう言うとギロッと穏を見つめると、穏はあわわわ~っと言った感じで冥琳の後ろに隠れる

 

「祭、あまり穏をいじめちゃだめよ」

 

「うむ、穏の策がなければ我等は北郷の天下をただ指をくわえて見てるだけだったかもしれんのだからな」

 

「わかっておる!わしとて穏をいじめるつもりはないわ、まぁ甘やかすつもりはないがな、なぁ穏」

 

そう言うと祭は穏をにこやかに見つめる、その姿に嫌な予感のした穏は…

 

「あ…えと、もしかしてまた付け届けをよこせとか…」

 

「酒でよいぞ、この前の高級なやつをな!そうじゃな一ヶ月分くらいでよいかのう、はっはっは!」

 

「そぉんなぁ~~」

 

絶望の涙を流す穏、豪快に笑う祭、そんなやりとりに和気藹々とする孫呉の本陣

 

そこに伝令の兵士が駆けつけてきて何事かを報告する、それを聞いた雪蓮達はキッと表情を引き締める、

冥琳がてきぱきと作戦を説明していき、そして雪蓮が

 

 

 

「さぁ、いきましょうか!」

 

 

 

 

「「御意!!」」

 

 

 

孫呉が動く、そして孫呉にとってはこれが北郷軍に対しての初めての戦いとなる

 

 

 

 

赤壁 北郷軍陣営

 

 

夜になり肌寒くなってくる、夜空を見ながら季衣と流琉は

 

「寒いね…」

 

「うん、でも頑張らないとね、にいちゃんの為にも」

 

「うん…、早く会いたいね、兄様に…」

 

そんな風にしんみりしていると

 

「何だ何だお前ら!天幕にいないと思ったらこんな所でうじうじとしおって!」

 

「春蘭様」

 

「安心しろこの戦いはすぐ終わる、我等が孫呉を叩き潰せばそれでいいのだ!

お前らは北郷から褒美に何をもらえるかでも考えておればいい!はっはっは!」

 

と豪快に笑いバンバンバン!と季衣と流琉の背中を叩く春蘭、そんな春蘭に二人は顔を見合わせ、微笑む

 

 

一方本陣の天幕では今後の方策を練っている桂花と秋蘭がいた

 

孫呉と対峙する為にこの地で陣を張ってどのくらいになるだろうか、北郷軍の兵達の中では慣れない地で風土病にかかる者が数多くなっていた、秋蘭がそれを全軍を指揮する桂花に報告する

 

「病にかかったのは全軍の二割に達している、死者の数は数百人、

これからも増え続ける可能性がある、そうなると士気にも関わってくるだろう」

 

「そう…、私の責任だわ、もっとこの地の事を調べ薬などの準備をしておくべきだった」

 

「そう自分を責めるな、元々この出兵そのものが火急なものであったのだ、それより

、少し休んだらどうだ、ここ最近はあまり寝てないのではないか?孫呉も動く気配は見られないし」

 

「だからこそ動く、私が周瑜だったら動かないと思った時に動かすわ」

 

(ふっ、同じ王佐の才同士の読みあいか)

 

秋蘭は微笑む、桂花はこの遠征軍をよく指揮している、北郷の生死もわからず将兵が不安に包まれている中叱咤激励し、

荊州に侵攻した呉軍を追い払う為の軍を即座に準備し出征させた。

遅れていれば荊州を孫呉に奪われていたかもしれない事を考えるとその行動の速さはさすが荀文若と言わざるをえなかった。

 

「これが、孫呉の策だったのかもしれんな」

 

そう言って病床者のいる陣幕を見つめる秋蘭

 

「そうね、これも多分組み込んでの事だとは思うわ、けどまだ何か、何かあると思うわ」

 

そう言い切る桂花、秋蘭は対岸をみつめ

 

「孫呉はどう動くと見る?」

 

「おそらく私たちを誘っている、近いうちに攻勢に転じると思うわ、ここに陣を構えたのは得意の水上戦に引きずり込もうとしているのかも、もしくは密かに上陸して背後を突く、けど孫呉は騎馬に通じる将はいないと聞いてるわ、霞ほどの将でもいない限りそれほど脅威ではないわ」

 

「成る程、我等は水上戦に関してはずぶの素人だ、

いざ水上戦となれば荊州軍に頼るほかはないであろうがあの孫策、周瑜にどこまでやれるか」

 

「とにかく兵には警戒をするよう命令しておいて、こちらに病兵が増えているとわかれば攻めてくるかもしれないし」

 

「そうだな、風土病に関しては荊州軍の力を貸りるしかあるまい、

荊州の兵はこの地に住んでいるだけあって疫病にかかる者はほとんどおらぬらしいしな」

 

「まったく、防ぐ手だてがあるなら教えておいてくれればいいのよ!」

 

「そう怒るな、あまりふくれっ面をしていると北郷に嫌われるぞ」

 

「な、なななな何言ってるのよ!わ、私はあいつに好かれようなんて思ってないわよ!////」

 

「さて、姉者はどこにいるかな」

 

「話を聞きなさいよ!!!」

 

怒る桂花を無視し、秋蘭は陣へと戻っていく、秋蘭にはああは言ったものの実は不安な桂花

慣れない地での戦い、多くの兵が風土病にかかり倒れていく、水上戦の経験もほとんどなく、さらに孫呉の策も今だ読みきれない

 

 

一人になった桂花はこつんと自分で頭を叩き

 

 

「しっかりしなさい荀文若!」

 

 

と気合を入れなおす

 

 

 

夜はどんどんふけっていく、静かな時間、

 

このままこの日も終わる、北郷軍の誰もがそう思っていた、しかし…

 

 

 

ザ、ザザザザッ!

 

 

しゅぼっぼっぼっ

 

 

きりきりきりきり

 

 

「放てぇっ!!!!」

 

 

 

ヒュンヒュンヒュンヒュン!!

 

 

 

 

 

北郷軍の陣営に無数に放たれる火矢

 

 

 

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

 

次の瞬間響き渡る鬨の声、そして燃え上がる炎

その炎は北郷軍陣内より燃えさかっていた

 

その様子に気付いた桂花達が天幕を出る

 

「敵襲!?誰かある!」

 

そう言うと桂花は兵を呼び状況確認の為に情報を集めさせる

 

「桂花!」

 

秋蘭が桂花のいる天幕にやってくる

 

「秋蘭!敵はどこから!」

 

「わからん、だが鬨の声を聞く限りかなりの数の敵がいるようだ」

 

ごおおっ!と大きな炎が北郷軍の陣を焼く、風が強く火が思ったより広がっているのだ

桂花は即座に指示し命令する

 

「とにかく火を消して!陣内に燃え広がってしまうわ!秋蘭は敵がどこからきたのかを確認して対応して!」

 

「わかった、沙和!流琉!季衣いるか!」

 

「は、はぁいここにいるの~!」

 

「は、はい!ここにいます~」

 

「なぁにぃ、ボクまだ眠たいのに~」

 

「季衣寝ぼけてないで!敵がきたかもしれないんだから!」

 

寝てたであろう三人がぼさぼさの頭でやってくる、ただ一人春蘭は何故か戦闘態勢万全という感じだった

 

「姉者敵が来た!すぐに「おお、やっときたか!待っていたぞ!!!」

 

なんか一人やる気満々で七星餓狼を振り回す春蘭だった

燃えさかる北郷軍の陣、そして響き渡る鬨の声、その声に桂花は

 

 

「どこから攻撃を…上陸しそうな地点、後背には警戒の兵を配備していたはずなのに、何の連絡もなかった…」

 

 

そんな中情報収集を命令していた兵が桂花の元にやってくる、そして、その報告に

 

 

 

「嘘…」

 

 

 

桂花は言葉を失う

 

 

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

 

響き渡る声はさらに大きくなっていき、そして、燃さかる炎の勢いは増していき将兵を容赦なく焼き尽くしていく

 

 

北郷軍がその炎を起こした者達と交戦する姿が浮かび出される

 

 

それを見た桂花は歯を食いしばり、怒りに震える様子で言葉を発する

 

 

 

 

 

 

 

「荊州が裏切った」

 

 

 

 

 

 

 

 

赤壁対岸より炎を確認した呉軍は艦船を出撃させる

事前に今日の夜に荊州軍が北郷軍への攻撃をする事を知らされていた為その行動は素早かった

 

赤壁対岸に布陣する北郷軍に向かう船の中

雪蓮は赤壁前の穏と冥琳とのやりとりを思い出す

 

 

穏が北郷軍との戦いを献策した時に持ち出した一つの諜報、そこに書かれていたのは

 

 

「劉表薨去」

 

 

穏の説明によれば荊州が一刀に降伏して後、劉表は病で倒れたとの事、

その情報自体は問題ではなかった、問題だったのは

 

”この事が一刀達に知らされなかったという事”

 

その頃の北郷陣営は一刀の暗殺未遂で混乱しており、

荊州の事情を調べるどころではなかった為この事を知る事はなかった

 

 

「劉表様亡き後荊州は長男の劉埼様ではなく次男の劉琮様が擁立されたそうです、

その裏には蔡瑁さんを中心としたその一派が関わっているとか、しかしこれもほぼ極秘に行われ北郷軍に知らされる事はなかったようです、憶測ですがおそらく降伏直後に国中に広まった

”北郷さん死去”の報が原因だと思われますね~、どうやら蔡瑁さんは北郷さんが死んだと思いこんで揺らいだのではと~」

 

「揺らいだというのは蔡瑁が北郷に対して二心があるという事か?」

 

「おそらく、ですので~…」

 

「どうすると?」

 

「蔡瑁さんの人となりは野心家だと聞いていますから少し背中を押してあげてはどうかと♪」

 

「蔡瑁をこちら側につかせて北郷に背かせるというわけか」

 

「はい~♪」

 

穏の献策は荊州と組み北郷軍をおびき寄せて討つ、北郷軍の戦力を削ると同時に

さらに荊州と北郷を敵対関係にする事で北郷の勢力拡大を防ぐ

 

「そうなれば北郷さんは対荊州にも兵を裂かなくてはならなくなり、他方面が手薄になると思うんです~、

そしてこの赤壁で勝ってその余勢をかって予州と徐州を制圧するというのはどうでしょうかぁ~♪」

 

「荊州はどうする?」

 

「北郷さんが獲ろうとするなら加勢し、そうでないなら放置でよろしいかと♪」

 

雪蓮と冥琳はそれを良しとし、穏の献策を用いる、そして荊州の蔡瑁を言葉巧みに惑わせる

そして蔡瑁は呉の、穏の策に嵌る、蔡瑁から孫呉に送られてきた書簡を雪蓮達に見せる穏、そこに書かれていたのは

 

 

 

『  それがしがいったん北郷に降るは身の安泰の為にあらず

   時の勢いに逆らえず折を見て国を奪い返す為である

 

   もし貴君が手紙をくだされば拙者はたちどころに荊州兵に命を下し内乱を起こし

   北郷の首を討ち呉軍に献ぜん、これ故国主の願いをかなえる所にして

   また天下の為なり、時来たらば回報疾風の如くあらん事を願うものなり

                                               蔡瑁 』

 

 

 

「事成れり」

 

冥琳は小さくつぶやく

 

 

 

その後孫呉は蔡瑁と密に連絡を取り合う、ただし北郷軍への離反は蔡瑁とそれに近しい者のみが知る所であった

これは北郷軍に気取られないようにとの冥琳の指示である、そして呉から合図が送られると荊州軍は行動を起こす

 

 

 

そんな事が行われていたとは露知らない桂花、荊州軍が裏切るなどとは夢にも思わなかったのだ

それは劉表という人物の人となりを信じていた為、まさかすでに死去し、実権が蔡一族のものになってるとは夢にも思わなかったろう

 

 

 

 

荊州軍の裏切りと急襲によって北郷軍は混乱状態に陥る、しかしそこは百戦錬磨の春蘭、秋蘭

 

「皆落ち着け!手の空いているものは川から水を汲み消火活動をせよ!」

 

「おちつけぇい!無闇に騒ぎ立てる者は斬る!一刻も早く混乱を収め態勢を立て直し敵を討てぇい!」

 

「桂花!消火活動は本隊に任せる!、我等は裏切り者共を討ち果たす!」

 

秋蘭は荊州軍へと向かおうとする、しかし桂花がそれを止め

 

「待って!春蘭と秋蘭は呉への対応をして!荊州軍には季衣と流琉を向かわせて!沙和貴方は消火を指揮して!」

 

「呉だと!?しかし奴らはまだ…」

 

「いいえ来るわ!必ず!」

 

桂花は確信していた、孫呉はこれを狙っていたのだと、そして桂花の予測は当たっていた、

暗闇で見えなかったが、燃えさかる北郷軍の陣の明かりで徐々に近づいてくる船団の姿を確認する

 

 

「呉軍です!!呉軍襲来!!」

 

 

兵士の声に陣内は緊張感が増す、そして次々船を接岸してくる孫呉の艦船、それを確認した秋蘭が弓兵隊に

 

「矢を射かけよ!!」

 

上陸してくる孫呉の軍に矢が浴びせられる、しかし混乱と巻き起こる炎により思うように被害を与えられない、そして

 

「はあああああ!!!」

 

どかあああんん!!!

 

雪蓮を先頭に呉軍が切り込んでくる

 

「ええい!策殿に一番乗りをされてしまったか!、貴様らがもっとがんばらんからじゃ!」

 

そう言って呉兵に当り散らす祭、よっぽど一番乗りがしたかったようだ、船上から冥琳が激怒し何かを言ってるが雪蓮さんは聞こえないフリをする、

そして雪蓮は堂々と覇気を漂わせ前進する

 

「さて、誰が私の相手をしてくれるのかしら♪」

 

ギラリと睨む雪蓮に北郷軍の兵達はたじろぐ、雪蓮の闘気に誰も近づけないといった感じだ、しかしその中を

 

「たじろぐな馬鹿者!それでも北郷の兵か!!我が名は夏候元譲!貴様の相手はこの私だ!!」

 

「夏候元譲…ああ、夏候姉妹の暴れん坊で手が付けれない方だっけ」

 

「だぁれが暴れん坊だぁ!!!だああああああああああああああああああああ!」

 

 

がっぎいいいいいん!!!

 

 

「ひゅうっ、さっすが世に名高い夏候惇の一撃、腕がへし折れるかと思ったわ♪」

 

「まだまだこんなもんではないぞ!」

 

「その前に私からの返礼も貰ってもらわないとね」

 

 

がぁん!ぎいいいいいいいいん!!!

 

 

「あはっ、楽しいわね~♪、本気で戦える相手って祭くらいだったしね」

 

 

がぁん!!!がぎいいいいん!!!

 

 

「ふん!小覇王を制したとあれば北郷も喜ぶだろうな!はーーっはっはっはってあああ!

私は何を考えておるのだ!!////今のはなしだ!いいな!私は何も言っていないぞ本当だぞ!」

 

「あははは、なんだか貴方楽しいわ♪」

 

「姉者!」

 

「おう秋蘭か、孫策はまかせてお前は呉兵を長江へ追い落としてやれ!」

 

「わかった!、だが姉者あまり無理をするなよ!」

 

「応っ!」

 

 

がぁん!がぁん!!どかあああああああん!!!

 

 

雪蓮と春蘭の戦いは続く、もう何合打ち合ったか分からないほどに

 

「ねぇ夏候惇、貴方あとどのくらい戦えそう?」

 

「ふん、貴様の倍は合数を重ねて見せるわ!そんな事気にせずかかってこい!」

 

「ふふっ、いいわねそれ、良すぎるわ! なら、遠慮なくいかせてもらうわよ!!!」

 

「おう、くるならこい!でええええええええええええい!」

 

 

 

再び打ち合いを始めようとした時、

 

「北郷の将だ!放て、放てぇーーーーー!!!!」

 

ヒュンヒュン!!

 

 

「!?」

 

 

ドッ!

 

 

「がっああああああああああああ!!!!」

 

 

「夏候惇!!!」

 

 

 

              -続く-

 

 

あとがきのようなもの

 

 また恋姫に出てこないキャラで話を動かしてしまいました、なのでその説明

 

・蔡瑁

 荊州の有力豪族にして劉表の側近中の側近、劉表死後は劉表の長男劉琦を押しのけ劉琮を擁立し曹操に降伏する

 演義とかでは周瑜の反間の計で曹操に殺されちゃったりする人

 

 蔡瑁の手紙は周瑜の反間の計で使われた手紙をほぼまんま使ったりしとります

 

 

 

恋姫ポストカード…、ポイントたらねぇ…orz

頑張って投稿しなきゃ…

 

真のアニメ…、呉のフンドシにはそんな尊い意味が隠されていたのか!感動した!

 

 

 

 

 

おまけ

 

実はこの18の前に小ネタ集のようなものを投稿しようと思ったんですが何か微妙でこれだけで投稿するのがちょっとどうかなと思ったもので、けどまぁこのままお蔵入りさせるのも可哀相なんで18と一緒に投稿、暇つぶしなどで読んでいただければと

 

○はじめての華琳様①②

 十√では華琳様でないので、なんか書いてみたくなったんです

 でも上手くかけませんでした、なんか難しい…

 またちょっと華琳様ネタに挑戦してみたいです

 

 

 

○真聖奴隷恋姫†無双 ~戦で敗れし恋姫達の末路~(プロローグ)

 皆さんご存知の真恋姫無双ブログで更新の去年のエイプリルフールネタ

 もうすでにやられてる方沢山いると思うのですがチート一刀さん考えてたらなんとなく合いそうだったのでなんか書いてみたり、 真面目にやると危なそうな気がするなと、やっぱ鬼畜王になってしまう

 

 

○KOIHIME DAYS

 今頃ネタだけど、ニコで久々に見てつい…

 

 

 

 

☆はじめての華琳様①

 

 

魏国 許昌

 

 

玉座の間にはこの国の王曹操孟徳こと華琳が悩ましげに溜息をついていた

 

そんな姿を見た青年、名を北郷一刀(別の世界からやってきた)、またの名を天の御遣いが見つける

一刀が華琳に尋ねる

 

「どうしたんだ華琳?何か悩み事か?」

 

一刀を確認した華琳は一刀をじーーーーっとみつめて再び

 

「何でもないわ」

 

と素っ気無く答える、そんな姿が気になったのか一刀が

 

「何だよ水臭いな、もし悩みがあるなら言ってくれよ、俺は華琳の為なら何だってやってやるからさ」

 

恥ずかしげもなく言い切る一刀に華琳は少し赤くなる、しかしすぐに

 

「べ、別に何でもないわよ、いいからほっといて!」

 

「ん、そうか…、わかったよ、けど何かあったら言ってくれな」

 

そう言ってその場を立ち去る一刀、そんな一刀に華琳が

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

「ん?何?」

 

呼ばれた一刀が振り向くと何やらモジモジした華琳、しかしすぐに

 

「な、何でもないわ」

 

と、一刀はさすがに心配になってきて華琳の所まで歩み寄ると

 

「なぁ、ほんとに何かあったのか?何でもいいから言ってくれよ、このままじゃ俺華琳の事が心配で仕事できないよ」

 

と、心配する一刀に華琳は

 

「…が」

 

と小さな声、聞き取れなかった一刀は

 

「え?ごめん、もう少し大きな声で言ってくれないかな」

 

「だ、だから!…ね、が大きくなる…なって…」

 

「何が大きく?」

 

そう聞きなおす一刀に華琳はなんか怒った風に

 

「だから!胸が大きくなる方法とかないのかって言ったのよ!」

 

その言葉にその場がしーーーんとなる、そして何か恥ずかしくなった華琳が

 

「も、もういいわよ!出て行って!」

 

「あ、ああ…」

 

と一刀を追い払う、一刀も何かこれ以上いても色々やばいかなと思い外に出ようとした時

 

「あ、そういやアレってこっちにないのかな…」

 

と聞き取れないような声でぼそっとつぶやく、しかし華琳はそれを聞き逃さなかった

 

 

じゃきいい!!!!

 

 

一刀の首に冷たく尖った感触、華琳の武器、絶が一刀の首に突きつけられる

 

「ひいい!!」

 

怯える一刀に

 

「今、何か気にかかる事を言ったようだけど…、少し…話してみようか」

 

その声は今まで聞いたことのないような、なんていうかCV:田村ゆかり 冥王降臨といった感じで

 

「は、はひいいいい」

 

一刀は一瞬で屈服する

 

そして語られる一刀の天の知識、それを聞いた華琳は一刀に

 

「今すぐそれを作りなさい!!!金と人はいくら使ってもいいわ!ただし他言無用!

もし秘密をバラすようなものがいたら一族郎党斬首!そう言い聞かせなさい!」と

 

「さ、サー!イエッサー!!!」

 

といった感じですぐさま仕事にかかる、一刀は真桜の手を借り色々を手を尽くしそれを作り上げる。

 

そして数日後、完成したソレを華琳の部屋に持っていき

 

「え、えと、できた…けど」

 

「そ、そう…、み、見せてもらえるかしら」

 

何かぎこちない華琳に嫌な汗が流れる一刀がソレを渡す

 

小さな小箱と使用説明書的なものを置くと部屋からたたき出される一刀

 

華琳は説明書を十三回程読み、それを取り出し…装着!そしてブラをつける

 

 

鏡に映ったその姿を見た華琳が一言つぶやく

 

 

 

 

「今… 歴史が動いた…」

 

 

 

 

そこには胸がぽよんぽよんになった華琳がいた

 

 

一刀は扉の隙間からその姿を見

 

 

「PAD覇王…か」

 

 

と、つぶやいたそうな。

 

 

 

 

☆はじめての華琳様②

 

 

にゃ~

 

中庭に向かう華琳がその声に気付く、そして辺りを見回すと

 

どこからか迷い込んだのか子猫がいた、しかも怪我らしきものをしていた、華琳はその子猫に触ろうとしたが

 

ふーーーっ!

 

その猫は華琳に威嚇するとたたたたっ!と逃げていく、なんか釈然としない華琳様

とりあえず今日は桂花を閨に呼んでいじめようと思うのだった。

 

 

夕方辺り

 

華琳は何やら楽しげな声が聞こえたのでそちらに向かうとそこには一刀、季衣、流琉がなにやらやっていた

 

「何をしているの?」

 

「あ、華琳、いや実はそこで怪我してる子猫がいてさ、手当てしてあげたんだよ」

 

そう言うと一刀は子猫を見せる、その子猫はさっき見た子猫

 

「に、兄様、私にも抱かせてください~」

 

「ああ、そっとな、気をつけてな」

 

そういうと優しく子猫を流琉に渡す、子猫はひくひくと動きながら流琉に優しく抱かれる、

そんな子猫を見た流琉は

 

「はぁ~ かぁわいいですねぇ~/////」

 

なんかもう子猫が可愛すぎて泣いちゃってたり

 

「つ、次ボク!ボクにも~」

 

「もうっ、季衣気をつけてよ!」

 

そう言って季衣もはにゃーんって感じに陥落、そんな様子を見てた華琳に一刀が

 

「どうだ、華琳も抱いてみないか、すっげぇ可愛いぜ」

 

「わ、私は別に…」

 

「はい、華琳様」

 

そう言って季衣は華琳の返事を待たず子猫を渡そうとする、華琳は戸惑うものの仕方ないわねぇって感じに

(でも凄く嬉しそうに)子猫を受け取ろうとすると、子猫が

 

ふーーーーーーっ!!

 

バリッ!

 

「いたっ!」

 

「華琳!」「華琳様!」

 

子猫は華琳の手を引掻き、季衣からばっ!と逃げ出し駆けて行く、凄く気まずい雰囲気の中

 

「あ、え、えーーっと、まぁあれだ、猫は気まぐれっていうし、その、だな」

 

「別に気にしてないわ」

 

明らかに不機嫌になった華琳、引掻かれた手を流琉が手当てした後何事も無かったかのようにその場所を離れていく、そして去り際に一刀に

 

「一刀、頼んでおいた報告書は明日までに提出しなさい」

 

「えっ!いやまて!あれ一週間分くらいあって提出も一週間後って!!!」

 

 

「い・い・わ・ね」(ゴゴゴゴゴゴ)

 

 

「……はい…」

 

凄まじい闘気に逆らえず涙を流し承諾する一刀、そんな一刀を優しく慰める季衣と流琉

そんな三人をほっておいて部屋に戻る華琳は手をさすりながら

 

「私って、そんなに猫に嫌われているのかしら…」

 

と、気にしてたり

 

 

翌日、徹夜で報告書を書き上げた一刀に「やり直し」と冷たく言い放つ華琳様、一刀の恨めしそうな顔を楽しげに見ながらも手の傷が気になって一刀に

 

「一刀、昨日の猫はあの後どうしたの?」

 

「ああ?あーーっと、あれから見てないな、それが?」

 

「そう、ならいいわ」

 

きっともうどこかに行ったのだ、そう思い政務をこなす

 

昼時、食事を終わらせた華琳が中庭を歩いていると、弱弱しい猫の鳴き声、気になった華琳は声の方へ向かうと

そこには昨日の子猫が苦しそうに横たわっていた、華琳はその子猫を急いで抱き上げると

 

「誰かある!」

 

その言葉に春蘭が真っ先にかけつける。そして春蘭に医師を呼びに行かせる

華琳の手の中で弱弱しく鳴く子猫を優しく抱く華琳、その後医師に治療された子猫は一命を取り留める

 

その後は華琳がその子猫の面倒を見る事に、桂花や春蘭などが「華琳様がそんな事をしなくても!」と言って

止めようとするも華琳はそれを制す

そんな華琳の看病もあってか子猫は動けるようになり、さらに

 

ぺろぺろ

 

と、華琳に懐き、手を舐めるようになったり、それがなんか妙に嬉しい華琳だった

 

にゃにゃ

 

「もうっ、しょうがないわね」

 

そう言って子猫に餌をあげる華琳、美味しそうに食べる子猫を見ながらとても嬉しそうな笑顔を見せる

そんな華琳を見てハァハァする桂花と春蘭、そんな春蘭を見てハァハァする秋蘭、そんな秋蘭を見てハァハァする…

 

 

そんな許昌での一コマ

 

 

 

 

 

真聖奴隷恋姫†無双 ~戦で敗れし恋姫達の末路~(プロローグ)

 

 

わーわー

 

 

どこかの戦場

 

 

びりびりびりーーーーーーーー

 

 

「きゃあああああ!!」

 

そこには両手を縛られた少女、男はその少女の服をびりびりに破る、その少女は敵の武将であった

 

ざっ、ざっ、っとその少女に近づく男

 

「あ、あんた一体何者よ!」

 

そう涙ながらに聞く少女に対し、その男は少女を舐め回すように見、下卑た声で

 

 

「俺は北郷一刀!天の御遣いだ!」

 

 

「あ、あんたが戦乱を収める為にこの世に降り立ったっていう天の御遣い!?」

 

「ああ、だから…」

 

「だ、だから?」

 

 

「ヤラせろーーーーーーーー!!!」

 

「いやああああああああ!!!!」

 

 

 

 

後漢末期、この国は荒れに荒れていた

そんな時に広まったある噂、天の御遣いなるものが天より現れ戦乱の世を収める

人々はその噂を信じた、そして、流星に乗ってその青年は現れた

 

 

 

「ふぅーーー、さぁて行くかぁ」

 

「うっううっ…ケダモノめ…」

 

「誉め言葉と受け取っておこう!」

 

 

 

その青年は白く輝く服を着て降り立った

見たことも無いような道具を使い、そして見たことも無い戦い方で瞬く間にその一帯を取り仕切った

 

 

 

「ご主人様、あ、あまり、このような事は…」

 

「ダメだよ愛紗ちゃん、ご主人様に逆らっちゃ」

 

そう言うと桃色の髪の少女は黒髪の少女の胸を強く揉む

 

「痛っ!…、と、桃香様、お、おやめください…」

 

「桃香…でしょ、愛紗ちゃん」

 

 

ちりーーん

 

桃香の首につけられた首輪の鈴が綺麗に鳴る

 

 

「さぁて、次はどこを攻め滅ぼすかなぁ」

 

 

青年は戦いに戦いを重ねていた

彼に立ち向かう者もいた、だが、誰もかなわなかった、何故なら彼の武は圧倒的!

最初に出会った黒髪の少女関羽、この世界ではかなりの武の持ち主であったが、その少女を

完膚なきまでに叩きのめしそして陵辱する、さらにこの北郷一刀という青年は

 

 

「でええええええい!」

 

どがぁあああ!!!

 

青年の胸に突き刺さる槍、それは心臓を突き抜けていた

 

「へ、へへ、やったぜ、天の御遣いを、俺が殺してやったぜ!!!」

 

滅ぼされた国の兵が笑う、しかし

 

「ったく、俺の噂聞いてないのか?」

 

「ひっ!」

 

青年は何事もなくその兵に向き、胸に突き刺さった槍をぐぐぐっと抜く

 

「ひいいいいいいい!!!!」

 

そしてその槍をその兵に突き刺す

 

「ぐぎゃあああああ!!!!」

 

もんどりうって倒れる兵

 

「な、何故だ、何故…死な…な…い…」

 

「なぜ死なないかって、それはな、俺が天の御遣いだからだよ!!!」

 

ぐしゃあああああ!!!

 

 

 

 

青年は…

 

 

 

不死身だった。

 

 

 

 

 

☆KOIHIME DAYS

 

 

 

一刀「ん?アレ?電池ないのに携帯にメールが…」

 

 

____________________________________________________________________________________________________________________________________________________________

 

ごめん」

 

 

さよならなのだ

 

____________________________________________________________________________________________________________________________________________________________

 

 

か~な~し~み~の~

 


 
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