No.129282

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第10話

第10話です

禁煙2日目

2010-03-10 20:26:57 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:10326   閲覧ユーザー数:9425

はじめに

 

この作品は恋姫無双っぽい内容ですが

 

すでに原作からは掛け離れているものです

 

原作重視、歴史改変反対の方

 

ご注意ください

 

…二部構成はやっぱり無理でした

 

 

もはや

 

 

どこまでが地平線で

 

 

どこからが空なのか

 

 

理解できる者はいなかった

 

 

だが確実に

 

 

遠く砂塵を巻き上げてくるそれは

 

 

空と地の狭間を

 

 

大きな

 

 

一つの生き物のように

 

 

彼らに迫っていた

 

 

 

「…悠、そもそも俺は三十万という人を一度に見たことがない、三十万というのは…これほどのものなのか?」

「解ってて聞いてません?」

 

幾分落ち着きを取り戻した二人はいつもの調子で会話を始める

 

「…って落ち着いてる場合じゃないですよ~!」

「どうすんだこれ?どうすんだこれ~!?」

 

彼らの後ろの二人は迫り来る光景にいつもの調子どころではない

そんな将軍二人のツッコミにも悠は笑って振り向き

 

「どうするって…姫が言ってたじゃないですか?」

「「???」」

 

彼女等を見据えて満面の笑みの悠

 

「全速前進ですよ」

「「…」」

 

空気が凍った気がした

そんな空気を他所に腕組みをしながら何やら思案していた比呂は指を二度叩き振り返る

 

「ふむ、全軍に通達!麗羽様を中心に密集陣形、我が軍はこの地より離脱する…先頭は猪々子!お前に任せる、斗詩!お前は悠と共に麗羽様の傍に着け!」

 

はっ!と走り出す副官とは対象に将軍二人の顔はみるみる青ざめていき

 

「そんな!正気ですかっ!?」

「てゆうかそれあたいが一番ヤバイじゃん!死ねってか!?あたいが一番に死ねってか!?」

 

斗詩は普段にないような大声を出し

猪々子に至っては若干涙目になっていた

 

「二人とも落ち着いてください」

 

斗詩と猪々子の狼狽振りにまあまあと宥める悠

 

 

「このままこの場に留まっていればあの大軍に飲み込まれてしまいます、そうなれば確実に四方を取り囲まれてお終いです、ならば正面突破しかないでしょう、連中が一方に固まっているなら話は別ですが、彼らの包囲網がまだ広い今なら突破も可能です」

 

確かに彼らの姿はまだ小さい

 

「それにしたって数が違いすぎるんじゃ…」

 

その斗詩の疑問も尤もだ…だが

 

「それなら心配に及びません」

 

人差し指で後ろを示す悠に二人が振り返ればそこには

 

「まあ、此処は一時共同戦線ということで」

「雪蓮…元から連合だぞ我々は」

「そうは言っても手柄の取り合いではなかったのか?冥琳よ」

袁術の客将としての参加ながら既に彼の陣営の主力となりつつある孫策軍

 

「桃香様には指一本触れさせぬゆえ…ご安心を」

「鈴々もついてるのだ!」

「愛紗ちゃん、鈴々ちゃん…皆で頑張れば大丈夫だよ!」

「はわわ、此処を抜けるのひ専念すれびゃ…あう」

「あわわ、おそらく被害は一番すくなふぃかちょ…はう」

「ならばこの趙子龍が突破口を開いてみせましょう」

「ああ…私も負けていられないな」

「「「「「ああっ!白蓮ちゃん(殿)いつの間に!?」」」」

「…前話から居ました」

義勇軍を引き連れ一騎当千の実力者が集う劉備軍

 

「ふふ…この曹孟徳が覇道、この窮地を脱する事から始めましょう」

「その自信を1ミリでいいから分けて欲しいもんだよ…」

「北郷!?貴様ぁ!華琳様に負けて欲しいだと!?」

「違うぞ…姉者」

「…」

新たに軍師を迎え入れ今当に覇道を突き進まんとする曹操軍

 

この状況に同じ打開策に至った陣営が集まる

 

 

「どうやら皆考えていた事は一緒のようですね」

 

この短時間にそこまで読んでいたのだろう、悠にはいつもの余裕がある

そして比呂もまたこの状況で何をすべきかが解っていた

 

「悠、後のことは任せた、麗羽様を頼む」

「ええ、そちらも抜かりなく」

 

馬に跨り踵を返す比呂に悠は答える

 

「あれ?比呂さんは何処にいくんですか?」

 

これから突撃しようというのに逆方向を向く比呂に斗詩の疑問の声

比呂は城の方を指し

 

「この状況で一番の戦果は何進将軍の救出だ、それには証人がいる」

「それが本人なら、尚更のことでしょう」

「ええ~!?あそこに行くのかよ!?」

 

猪々子指差すのは迫り来る黄巾党とは逆、自分達の後方…この危機に気づかず今も尚、城にとりつく連合軍

ドーンと重い音が此処まで響く、どうやら城門を突破したらしい

 

「もはや合流は不可能か…時間がない、行ってくる」

「…比呂さん」

 

比呂に声を掛けたのはいつの間にか近くにやってきた麗羽、心なしか先程の元気がない

 

「麗羽様…心配に及びません、この者達が貴女を命に代えてもお守りいたします、御武運を」

「ええ、解ってますわ」

 

比呂の柔らかい声に彼女も笑顔で応える

そんな二人のやり取りを遠くに見つめる視線に比呂は気づく

 

 

 

 

 

 

 

「…桂花」

 

 

 

 

 

 

 

曹操の陣営に仕官したことは彼女が出て行ってから暫くの後に間者の情報から聞いていた

 

 

 

そうか

 

お前も戦場に出ていたのか

 

 

 

そのまま彼女に近づく比呂

彼女は、桂花は視線を逸らすことなく馬上の比呂を見つめていた

 

二人の距離はお互いの声が届く所まで近づき

 

「此処に居るということは自分の意思で来た訳だな?」

「そうよ」

 

彼女の真直ぐな視線はそれが嘘偽りでないことを物語り

 

「ならばこの窮地、自分の力で切り抜けるのだな」

「言われるまでもないわ」

 

そうして二人の距離はまた離れていった

 

 

一人馬を走らせ遠ざかる比呂を見ていた桂花に

 

「昔の知り合い?」

 

天の遣い北郷一刀は荀彧が元は袁紹に仕えていた事を思い出していた

 

「あんたには…関係ないわ」

 

てっきり怒鳴りかかってくるのだろうと思っていた彼は彼女の反応に拍子抜けし

そんな様子を見ていた華琳は

 

 

あれが麗羽の有能過ぎる懐刀…確かに彼女には勿体ない男ね…そして

 

 

「さて皆さん、ようやく我らの出番です…といっても唯走り抜けるだけですが、まあ普段から走り慣れている皆さんには造作もない事でしょうけど」

 

悠の言葉に兵達から笑いが起きる

 

 

…そしてあれが彼女の陣営の実質的な頭脳…確かに今の桂花では太刀打ち出来そうに無いわね…彼女の戦力を見直す必要が有るわ

 

 

既にこの先の戦乱を見据えていた

 

 

あとがき

 

ねこじゃらしです

 

一旦此処で切ります

 

おい、いつになったら戦うんだ?と疑問の皆様

 

…次回からです

 

 

それでは次の講釈で

 


 
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