No.124271

『舞い踊る季節の中で』 第9話

うたまるさん

『真・恋姫無双』の二次創作のSSです。

明命√の作品となります。
ついに雪蓮が動き出しました。さぁ一刀達を待ち受ける運命は・・・
拙い文ですが温かく見守ってください

2010-02-14 01:24:17 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:29862   閲覧ユーザー数:21132

真・恋姫無双 二次創作小説 明命√

『 舞い踊る季節の中で 』

  第9話 ~ 堕ちるがままに舞う魂(前編) ~

 

 

(はじめに)

 

 キャラ崩壊やセリフ間違いや設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助かります。

 この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。

 

北郷一刀:

     姓 :北郷    名 :一刀   字 :なし    真名:なし(敢えて言うなら"一刀")

     武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇

        :●●●●

     得意:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(ただし本人は無自覚)

         気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)

 最近の悩み:どんどん魅力的になる二人の恩人に対する精神修養、いい加減堤防が決壊しそうです(涙

         頼みますから、もう少しガードを堅くしてください、と嘆く毎日

  (今後順序公開)

 

★オリキャラ紹介:

諸葛瑾:

  姓 :諸葛    名 :瑾    字 :子瑜    真名:翡翠

  武器:"双天" 対の双剣

  武力:52(平均的な将を60とした場合)

  智力:81

  政治:89

  家事:92

  魅力:想像にお任せします(w

  焦った時の口癖:『 あうあう 』又は 『 ぁぅぁぅ 』等の類語です

  性格:基本的に温厚で、外見に反して大人の女性

     だが、焦ると地が出てしまう。(朱里と違って、自分を律しています)

     警戒心が強い性格だが、一度心を許されると、親身になってくれる。

     妹がいるため、基本的には面倒見が良く、放っておくと、食事を取るのを忘れる明命を心配してよく食事

     を差し入れていた。

     やはり、妹がいるためなのか、時折人をからかって、その反応を楽しんだり、とんでもない悪戯を仕掛け

     る悪癖もある、だが性質の悪い事に普段が完璧なだけに、周りは怒るに怒れないでいる。

     家事全般は人並み以上に出来、そこらのお店以上と自負していたが、丹陽で知り合った男性の腕を見て

     自信を喪失。 以降こっそり腕を磨いているが、全然敵わないと嘆く毎日を送っている。

     武術は好きではないが、妹達を変態共から守るため、必要最低限身に付けたもの。

     姉妹揃っての発育の悪さをコンプレックスに思いつつも、それを武器にする強かさを持っている。

     自分を子供扱いしない男性が好みだが、言い寄ってくるのは変な趣味の持ち主ばかりで、17の時、現実

     の男(変態の多さ)に愛想が付いた時に『八百一』と出会う。 以降のめり込み、妹達を洗脳するも、

     基本的には周りには秘密にしている。 そのうち執筆も行うようになり、掲載されるようになる。

     数年たった現在では、定期的な愛読者もつき『八百一』の主要作家の一人となっている。

     黄巾の乱後、作品が益々洗練され、世に愛読者を急増させる要因となった。

一刀視点:

 

「いってらっしゃいませ、お嬢様」

 

客を送り出した俺は、仲間の店員に、閉店の合図を送る。

俺の合図に、仲間はやや驚いた顔をしたが、すぐに指示どおり動き出す。

まぁ驚くのも仕方がないか、いつもよりかなり時間が早いし、店内には二組の客が残ったままだからだ。

そのうち一組は、常連と言うか、この店を出すに当って尽力してくださった人間だ。

一人は出資者の明命、もう一人は店舗の手配を含む手続きを全て行なった翡翠なので、客とはもう呼べない。

問題はもう一組の二人の女性だ。

二人は、明命達と知り合いらしく、真名を呼び合っているのが聞こえた。

まぁ、まだそれは良い。

問題なのは、二人が俺を観察する視線を、翡翠が気づき、目の色が変わったことだ。

明命は、二人の視線の事は最初から気がついていたようだが、どうやらその意味が判らない様だ。

正直、俺も此処まで観察される心覚えはない。

そう、あれは観察だ。

他の客の興味本位の視線ではない。

とりあえず、翡翠の様子からして、あまりろくな事ではなさそうだ。

そう言うわけで、早めの店じまいをする事にしたのだが、此方の閉店の準備の様子に気がついていても、一向に

帰る気配は見せない。・・・・やはり目的は俺かな?

まぁ、なんにしても、二人の知り合いって事は、最悪な事だけはないだろうと判断し、

仲間に、今日は上がってよい旨を伝える。

 

「お嬢様、今日はもう晩うございます。

 体に差し障りますので、おはやめにお休みくださいませ」

 

俺の(『閉店だから、とっとと帰れ』という)言葉に、二人は、楽しげな目で俺を眺める。

隣のテーブルの翡翠も、目で警告している。

あーー、やっぱりそうなのね・・・・

でもこの手の人からって、下手に逃げると、ろくな目にあわない気がするんだよね。

 

「なに、昼間の舞の礼に、我々が貴公を招待しようと思ってな」

 

と、黒髪の眼鏡をかけた女性がそう告げる。

 

「ちなみに拒否権は?」

「あら、この街で私達の招待を断れる人間がいると思うの?」

 

と、今度は桃色の髪の女性が、にこにこ笑いながら逃げ道を塞ぐ。

最初から逃げ道はないって事か・・・

 

「お嬢様方のお誘いを受けるには、仕事着では無粋と言うもの、せめて正装に着替えるだけの、お時間を頂けませ

 んでしょうか?」

「ふふっ、確かに貴公の言う事も最もだ。 家に使いの者を迎えにやる。

 それと、ついでだ、翡翠達もこのまま一緒に来るが良い」

 

黒髪の女性の言葉に、翡翠が何か言おうとするのを、俺が目で止める。

おそらく、翡翠が逆らってよい相手ではないからだ。

 

「大丈夫よ。

 別にとって喰おうって訳じゃないから、それに、あなたが来るまで、この二人からは何も聞かないでおくわ」

「雪蓮!」

「良いじゃない、その方が面白そうなんだもん」

「分かりました。 では後ほどお会いできるのを、楽しみにしております」

 

俺の言葉に、二人は、明命たちを引き連れて店を出て行く。

その後姿に、俺は

 

「行ってらっしゃいませ、お嬢様方」

 

と、皮肉を籠めて、いつもの言葉で二人を見送る。

 

 

 

 

 

俺は身支度を終え、翡翠の家を出ると、

門のところに、藍色の髪をお団子に纏めた女性が立っていた。

女性は、俺の姿を確認すると、無言のまま歩き出す。

まるで

 

『 黙ってついて来い 』

 

と言われたようなので、俺も黙ってついていく。

この妙な二人組みに、途中色々視線を浴びたが、とりあえず無視して黙って前を進む。

そして着いた先は

 

(やはりか・・・)

 

「は~~い、逃げずに来るなんて、えらいえらい」

 

広間の真ん中で、桃色の髪の女性が、能天気な声で話しかけてくる。

部屋には、道案内をした女性を含めて6人がいるだけのように見える。

なるほど・・・

 

ちなみに明命と翡翠は、少し離れた所にいる。

俺の姿に二人とも驚いている。

まぁ明命は知っているが、翡翠は初めて見る姿だろう。

まぁ一応正装ではあるしね。

でも今はそんな事より

 

「人質を取っておいてよく言うよ」

「酷いわね、別に人質のつもりなんてないわよ。

 この二人は私の可愛い臣下よ、そんな真似するわけないでしょ」

「こういうのは、相手がどう取るかだろ、確信犯の癖に、そう言うこと言うのはやめて欲しい」

「ずいぶんな言葉じゃない、さっきはあんなに丁寧だったのに」

「あれは営業用、今は個人だ。

 それに俺は、無礼な人間には無礼をと思っているんでね」

「まぁ、いいわ

 強引だったのは確かだから、許してあげる。

 一応紹介するわね」

「孫伯符さんと、周公謹さんだろ」

「あら、会った事在ったっけ?」

「いや、さっき店で始めて会った」

「ほう、では理由を聞かせて貰いたいものだな」

 

周公謹さんが、面白げに聞いてくる。

あれはどう答えるかを、楽しみにしている目だ。

楽しませてやる義理はないが、そう言うわけにも行かないだろうと判断し

 

「孫伯符さんの持つ剣、この街で、そんな華美な剣を腰にぶら下げていたら、正体を宣伝しているような物だよ」

「ほう、では私が周公謹と思った理由は?」

「孫伯符さんと一緒にいる知的な女性と言えば、周公謹さんと普通は導き出すんじゃないの」

「成る程、正論だ」

「で、俺を呼んだ理由は? まさか本当に舞の礼とは言わないだろう」

「確かにあれだけの舞なら、それだけの価値はあるが、今回は違う」

「そうそう、一応理由はあるんだけど、その前に色々確かめたい事があってね。

 あなたの・・・・え~と、とりあえず名を教えてくれないかな」

 

そんな言葉に、俺は二人を見直した。

本当に、言葉通り、明命達に何も聞かなかった様だ。

少なくても嘘は言っていない

 

「北郷一刀だ。

 とりあえず、孫伯符さんと周公謹さんが、約束を守る人間と言うのは分かりました」

 

俺は、少しだけ言葉遣いを直す事にした。

少なくても、ある程度、礼を尽くしても良い相手だと思ったからだ。

俺の態度の変化に、周公謹さんは気づいたのか、楽しげに俺を睨む。

まぁ、睨むと言っても、そうきつい物ではないから問題はない。

どちらかと言うと、二人の後ろで立つ女性の目の方が怖いくらいだ。

あれ絶対、俺に対して怒っている目だよな・・・・

あっ、翡翠も俺を睨みつけている。

 

(後でお説教です)

 

と、その目が言っていた。

勘弁してください・・・

 

「では一刀、貴方の出身はどこ?」

「雪蓮様っ」

「・・・・なーに明命、今は私が話している時なんだけど」

「す・すみません、でもあの一刀さんは、その、真名に当るのが一刀になるので」

「!」

「かまわないよ。

 真名に当るのがと言うだけで、俺には字も真名もない」

「そう、明命、今のはお礼を言うわ。

 それと勝手に真名を呼んで、ごめんなさい」

 

そう言って、孫伯符さんは俺に頭を下げる。

王に頭を下げさせるとは、やはり、真名と言うのはそれだけ重いものなのだと、改めて認識させられた。

 

「頭を上げてください。

 先程も言いましたが、あくまで、あえて言うなら真名にあたると言うだけです。

 俺は全然気にしていませんから、そのまま一刀でもかまいませんよ」

「そう、じゃあ一刀、彼方の出身をまず教えてくれるかな」

 

俺の言葉に、あっさりと頭を上げてそう聞いてくる孫伯符さんに、俺は苦笑するしかなかった。

あっ、周公謹さんが頭を片手で抑えている。

成る程、そう言う関係か、基本的に悪い人達ではない様だ。

まぁ、最もそんな事は、明命達の主君だと言う事で、分かっていた事だが、やはり最初の印象が悪すぎたようだ。

まぁ、此処は腹を決めるしかないか

 

「俺は、日本の東京、フランチェスカの学生だ」

「にほん? とうきょう? なんなの? そんなの聞いたことないわよ。冥琳知ってる?」

「いいや、聞いた事がない。 北郷とやら、それは印度や露馬の方にあるのか」

「違うよ。 海を北東に渡って行くとある島国だけど、其処には俺の国はない」

「なんなのよそれ」

「しょうがないよ、本当の事なんだから、とにかく気がついたら、丹陽で明命に拾われていたと言うだけ」

 

二人は、俺の言葉に不満げだ。

まぁそうだろう、訳が分からないのは、俺も同じだ。

 

「じゃあ明命、彼を拾った時の状況話してくれる」

 

孫伯符さんの言葉に、明命が俺を拾った時の状況を事を、細やかに話す。

中には俺の聞いていない話もあった。

その内容に、皆が驚いているようだ。

 

「信じられない話よね。翡翠、貴女この事知っていたの?」

「いいえ、私も、今初めて知りました」

「明命、どういう事だ。 そのような報告聞いていないぞっ!」

「思春様、そ・それはその」

「思春やめなさい。 明命の判断は正解よ。

 貴女や蓮華に話せば、妖として処分していたでしょ。

 彼は違うわ。

 少なくとも妖ではない、妖にあんな人を感動させる舞を舞えるわけがないもの。

 これは、思った以上の拾い物かもね。

 ねぇ冥琳、今の明命の言っていた状況、どこかで聞いたことない」

「ふむ、確か少し前に管輅の占いで、そのような事言っていたな『天より飛来する一筋の流星。その流星は天の

 御遣いを乗せ、乱世を鎮静す』だったか」

「雪蓮様、まさか、こんな奴が天の御遣いと、お言いになられるつもりでは」

「そっ、そのまさかよ。

 彼の現われた状況は、それを示しているわ 少なくても彼にはその資格がある」

「こんな奴にですか」

「そうよ、彼は二ヶ月足らずで、この大陸の文字を覚え、黄巾党の決戦が冀州と言い当てたわ、そうよね明命」

「はい、そのとおりです」

 

孫伯符さんの確認に、明命は誇らしげに返事をするが、何故か翡翠に睨まれ、体を小さくさせる。

思春と呼ばれた女性は、まだ信じられないと言う顔だ。

成る程、そう言うことか

 

「俺が実際、天の御遣いだろうと、そうでなかろうと関係ないのでしょ」

 

俺の言葉に、孫伯符さんは楽しげに微笑む

 

「話が分かるわね。でも、私の勘は貴方が本物と言っているのよね、何か隠していない」

「少なくても、馬や船を行くら使っても、たどり着けない場所って事では、意味は同じかもね」

「ふーーん、素直に話す気はないんだ」

「いや、考えても分からない事を、考えても仕方ないってだけさ。

 孫伯符さんは、目が醒めたら本の中の住人になっていたら、その理由が分かるかい?」

「そんな事、判るわけないじゃない」

「つまりそう言うことなんだよ、俺の置かれた状況は」

「よく判らないわね。でもまぁ良いわ、嘘はついていないみたいだし、

 でも、何か証がないかしら、貴方が嘘をついていないと言う

 一応言っておくけど、貴方の着ている変わった服と言うのでは、弱いからね」

 

孫伯符さんの言葉に、俺は肩をすくめ、上着のポケットから携帯電話を取り出し、彼女に放り投げる。

携帯電話を受け取った彼女は、目で説明を求めた。

 

「俺の世界で、携帯電話と言って、遠くの人間と話をする絡繰さ、最も、絡繰を動かす燃料みたいのが切れてて、

 何の役にも立たないけどね」

「では意味が無いわ」

「壊して中を見てみると良いよ。

 この世界では作り出せないもの、と言う事は判るはずだから」

 

俺の言葉に、孫伯符さんは、剣を抜き一閃する。

綺麗に真っ二つになった携帯電話を覗き込み、判断できないと思ったのか、周公謹さんにそれを渡す。

周公謹さんは、覗き込んでいたそれを翡翠に渡し、

 

「どう?」

「少なくても、我々の技術ではこのような精密な加工は出来ないだろうし、聞いた事も無い。

 分かるのは、理解できない程、高度な技術で作られたものと言う事だけだ」

「はい、私も冥琳様と同じ意見です。

 正直、自分の目で見ても、信じられません」

「そう、それだけ分かれば十分よ」

 

どうやら、納得してもらえたようだ。

翡翠は、二つになった携帯電話を布に包み、周公謹さんに渡す。

まぁ、もう使い物にならないから良いけど。

 

「で? 俺を天の御遣いに仕立てて、人を集めると言うつもりかい」

「そうよ。話が早くて助かるわ」

「俺が、それを引き受ける理由が無いわけだけど、言っとくが俺は家臣じゃないから、命令と言うのは聞けないよ」

「言うわね。

 でも、私は、せっかく手に入れた天の御遣いを、人集めだけで済ますつもりは無いわ。

 孫呉に、天の御遣いの血を入れる。 そうする事で、民に孫呉の血を畏怖させる事が出来るわ。

 貴方にとっても悪い話ではないはずよ。

 可愛い女の娘達を一杯抱けるのだから、

 もう翡翠と明命は抱いたのかしら?

 まだなら、二人が拒まないなら抱いても構わないわよ。

 あと、うちの娘達も無理強いしないなら、どんどん抱いちゃってちょうだい」

「「「雪蓮様っ!?」」」

 

 

 

 

孫策の言葉に、心が冷えるのが分かる。

目の前が真っ黒になる。

 

・・・・・今、こいつはなんて言った。

二人が拒まなければ抱けと言ったのか・・・

人の体をまるで、物のように勝手に決め付ける。

相手が拒まなければ、なんて、言ってはいるが、

王の意思に、臣下が逆らえるわけが無い。

なら、やっている事は、あいつ等と変わらない。

翡翠を汚そうと、下種な笑いを浮かべたあいつ等と、

 

そう思った瞬間、

俺の視界は明るさを取り戻す。

だが、心は冷えたままだ。

構わない。

俺は、明命と翡翠を汚す下種に、向かって歩む。

俺の行動に気がついた思春と呼ばれた女が、剣を抜き俺の前に立ちふさがる。

 

視界の端で明命達が何か言っているのを捉える。

だが、怒りで沸騰した俺に、その声は届かない。

 

女が、警告を述べるが、そんな物は関係が無い。

それを無視して、俺はそのまま歩む。

その様子に、女は冷たい目で斬りかかって来る。

明命は、俺を止めようと、飛び掛ってくる。

 

ドタッ

 

次の瞬間には、女は背中から床に叩きつけられ、

明命は俺を捕まえるどころか、俺がいた所をすり抜けていく。

その事実に、明命は不思議そうに手を見つめる

 

ヒュッ

 

俺は、女を転がし、明命の軌道を変えた鉄扇を横にふり、

放たれた矢を叩き落す。

その間、一度も脚を止めずに歩み続ける。

まるで、何事も無かったかのように、

地に叩きつけられた女は、体を起こそうとするが、

 

「無駄だよ、点穴したから、解穴しない限り、指一本動かせやしない」

 

俺の言葉通り動けない女は、それでも体を動かそうと、力を振り絞ろうとしている。

 

ヒュッ

ヒュッ

 

また矢が放たれる。

五月蝿いな、そう思い、今度は叩き落さずに、

高速で迫る矢を、広げた鉄扇で優しく軌道を変えてやる。

軌道を逸らされた矢は、孫策の足元に刺さる。

 

「う゛っ」

 

柱の影から、そんなうめき声が聞こえる。

気がついたのだろう、今度下手に矢を放てば、今度こそ自分の主に矢が向かうかもしれないと、

 

そこへ鞭が襲うが、それを広げた鉄扇の端で、斬り飛ばしてやる。

あと数歩という所に、また明命が突っ込んでくる。

明命なぜ?

と思いつつ、さっきと同じように、鉄扇と足運びで、すり抜けるように、優しく彼女の軌道を逸らす。

軌道を逸らさせるために、一瞬視線が逸れた所に、孫策の剣が振り下ろされる。

だめだよ、そんな間合いじゃ、間は魔、もっと上手く相手の呼吸を読まないと、

そう思いながら、相手に合わせて、体を孫策の内側へと滑り込ませる。

 

キンッ

 

俺に拳を強く打たれ、手放させられた剣が、床に転がる。

同時に、足運びだけで孫策の体勢を崩させ、

あとは軽く体を当ててやり、孫策は床に尻餅をつく。

終わりだ。

俺はそう思いながら、鉄扇を孫策に突き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

あとがき みたいなもの

 

こんにちは、うたまるです。

  第9話 ~堕ちるがままに舞う魂(前編)~ を此処におおくりしました。

 

流石に、これは・・・・・書いていて、この暴走ッぷりには、苦笑がでてしまいました。

我ながらこの展開は予想外、決めていたのは、雪蓮の言葉に一刀が怒ると言う事だけだったのですけど。

もう、此処まで暴れられるとは思いませんでした(w

まぁ、行程を無視すれば、進んでいる先は間違いではないので、放って置く事にします(マテ

 

では、頑張りますので、どうか最後までお付き合いの程お願いいたします。


 
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