No.123312

cv.くまさんさん
第三章《死なせないよ》
「あんた何者だ?いったい何がしたい、なぜ俺たちの事を知っている。」
「アタシの名前は貂蝉。あなたに会いたいという人を連れてきたのよぉ。」
「兄さんに会いたい人ね・・・、誰?」
優理が怪訝な顔をすると同時に、疑問を口にした時。
「それは私です。」
突然の背後からの声に振り向いたさきには、どこか儚げな印象をかもし出す、女性の姿。
「・・・・・・あんたは?」
目の前の人物に話しかける。
「失礼しました、私の名は管轄。
あなた方の住む正史と異なる世界、外史とを繋ぐ者。
とでも申しましょうか。少しお話でもいかがでしょう?」
名乗りを聞いて、途端に優理が胡散臭そうな顔をする。
「外史だ正史だって・・・・。ねぇ、あんた何が言いたいわけ?」
この疑問も当然のものだろう。
突然、「今いる世界とは別の世界がある。」と言われて、
あなたは信じることが出来るだろうか?
もちろん信じる人もいるだろうが、
即答できるか。否。
「でもまぁ、そこの貂蝉だっけ?そいつと仲間なら捕まえるだけ。話なんか聞いてる暇は・・・」
「下がれ、優理。」
一刀が、冷たい声で優理の言葉を遮った。
「兄さん?」
「あらぁん。ご主人様は聞いてくださるのぉん?」
「誰がご主人様だっ!・・・・・で?魏のみんなに何かあったのか?」
管?同様、訳のわからない事を言い出す一刀に、優理は戸惑う。
(兄さんまで何言い出すんだ?)
「なぜ魏に何か起きたとお思いですか?」
「俺が関った外史は・・・、俺が本来の歴史から完全に外しきった外史は一つ。俺に話があるって言ったら、それ以外にないよ。まぁ”別の俺”はどうだったかは知らないけどね。」
一刀の気配が、肌を刺す針のような質のものに変わる。
久しぶりに感じた、戦に挑む前の一刀の気配と理解できない言葉に、
優理は動揺を隠せないでいた。
「ね、ねぇ兄さん。さっきから何言ってんだよ?外史とか魏とか・・・・・兄さんが歴史から外した、とか。なんなんだよ、訳わかんないよ!」
優理の怒鳴るような声を聞き、一刀がポツリと語り始めた。
「・・・・・・。四年前に俺は、三国志演義の世界を、いや、それに似た世界の歴史を変えた。」
「三国志演義に似たって・・・、三国志じゃないのか?」
「ああ。なんたってあの、曹操や関羽、呂布なんかの武将全員か女の子になってる世界だ。
そこで俺は、天の御使いとして魏に下り、曹操と共に戦っていた。」
先ほどから、一刀の口からこぼれる言葉に混乱する。
外史
三国志に似た世界
変わった歴史
女になった英雄
ごちゃごちゃになった考えを整理しようとしていた頭が、ある答えを導き出す。
「まって・・・。魏で戦っていた?そして兄さんが歴史を変えた。ってことは・・・・・。」
それはつまり・・・・・・
「そうだ。本来は赤壁で負けるはずの魏が勝った。俺が勝たせたなんて言えないが、これから起きるであろう出来事や敵の策なんかは伝えた。定軍山で夏候淵も死んでない。」
だがそれは、いくら外史とはいえやって良いことなのか。歴史を曲げてしまった一刀はどうなったのか。
「そんなことダメに決まってる。だけど、彼女たちに、華・・・いや、曹操に勝って欲しかった。
だから、歴史を曲げるようなことをしたんだ。ま、代償はでかかったけどな。」
「代償?」
優理の言葉で、とたんに一刀の顔に影が差し、自嘲的な笑みを浮かべた。
「曹操と、約束してたんだ。ずっと側にいるって。でも無理だったよ。」
「え・・・、なんで」
「消えたんだよ、彼女の前から俺は。満月が綺麗な夜にさ、彼女を泣かせながら俺は消えたんだ。」
(兄さん・・・、涙は出てないけど、泣いてるみたいだ。)
「そっか、兄さんは曹操さんのこと・・・。」
「ああ。愛していたよ、この世の誰よりも。」
「そろそろよろしいかしらぁん?」
二人の会話に貂蝉が割り込む。
「すまない。それで、管?よ。話とは?」
「それでは、単刀直入に言いましょう。北郷一刀様、曹孟徳の代わりに消えていただけませんか?」
優理は理解できないでいた。消えろと、確かに言ったのだ。自らの兄貴分に向かって。
「っつ!あんた!何を!!」
だが、
「わかった。」
兄は言った。自らの存在を消せと言われて、消えると、何の迷いもなく。
「兄さん!?何言ってるのかわかってるのか?死ねって言われてんだぞ!
兄さんが消える理由がどこに・・・」
「理由はあるさ。華琳の”代わり”に消えろってことは、華琳が死ぬ運命にあるんだろ?」
どうなんだ、と管轄に問う。
「ええ。彼女は、不治の病を抱えています。
今すぐにとは言いませんが、いずれその身に巣食う病魔が暴れだすでしょう。」
「今、再び動き出した五胡の軍勢と三国同盟は戦っているわ。その中心である曹操ちゃんが倒れたら?」
「三国同盟は決定的な打撃を被る。だったら俺が身代わりになれば・・・・・・。」
「円く収まるわねぇ。」
「収まんねぇよ!」
自らがおいて行かれたまま勝手に進んでゆく話。ついに堪えかねて、優理が爆発する。
「決定的な打撃?兄さんが身代わり?ふざけんな、なんで兄さんがそんなことする必要があんだよ!兄さんが消える理由なんてどこにも・・・・・。」
「俺にはあるんだよ、優理。」
突き放すような冷たい言葉を突きつける。
「なんだよそれは!」
「「「歴史を捻じ曲げた。」」」
まったく同時。三人の声が重なる。
「え・・・?」
それは禁忌。未来を、人をすべて変えてしまう。生まれいずる子は生まれてこず、これから起こるであろう出来事が起こることが無くなってしまう。
「魏は負けるはずだった。たとえば蜀の劉備ちゃんに孔明ちゃん、
呉の孫策ちゃんに周喩ちゃんなんかも死ぬはずだったのよぉ。」
「そのしわ寄せが、一刀様の一番近くにいた曹孟徳様に来てしまっている。」
「だったら、俺が全てを背負うのがあたりまえだろ?」
無論、彼女がそれを望むはずが無い。だがそれが、泣かせてしまった彼女に、今、俺に出来る唯一の償いだと彼の目は言っていた。
「兄さん・・・・・・。」
「そんな顔するなよ。」
泣き顔の優理と口元に笑みをたたえた一刀。
「ただ、いつ彼女の病魔が暴れだすかはわからないのです。」
「そこでなんだけど、ご主人様。あなたの魂を別の物体として構築しなおすわぁん。」
そういうと、一刀の胸に手をあてる。刹那、眩い光を発した。
「ぐっ!」
光が止むと貂蝉の手には、ビー玉くらいの大きさの、
「・・・水晶の、首飾り?」
「ええ。ですが、こう見えてこれは貴方の魂。万が一割れたり、壊れたりすれば・・・。わかっていますね?」
一刀に首飾りを手渡す。
「死ぬか・・・。それで、俺はどうすればいい?」
「基本的には、向こうでなにをしてもかまいません。
ただ、曹操様に異変が起きたら、その水晶を渡してください。」
「すぐに渡してはいけないのか?」
「犬死したいのならば、お好きに。」
フフッと、管轄が妖艶に微笑む。
「気をつけるよ。」
「じゃあご主人様。門は開いておいたわぁん。」
指差す先には、光。
「バイクは持っていってもいいわよぅ。」
「ありがたい。じゃあ・・・」
「僕も行く。」
優理が一刀の言葉を遮る。
「なに?」
「僕も行く。んで、曹操さんも助けて、兄さんも死なせない!」
先ほどまでとは打って変わり、優理は子供のように澄んだ目で言った。
「僕には、兄さんたちが何言ってるのかわかんない。
どうやっていいのかすらわかんない。バカだから。ただ、難しいって事ははわかる。」
そこで一端言葉を切り、大きく息を吸う。
「それでも、諦めたくない!だからつれてけ!!」
そして。思いっきり叫んだ。
「・・・・・・ったく。」
「ふふふ。」
「むふぅん。か・わ・い・い。」
ひぃ!
「失礼ねっ!あんたの穴、掘るわよ!」
「やめてぇぇぇぇっ!」
あらら、泣いちゃったよ。これから北郷君死ににいくかもなのに・・・グダグダだよ(笑)
「ほれ、優理。後ろ乗れ。」
「おー!」
「北郷様、ご武運を。」
「おっしゃ、・・・・・・逝くぞ!」
そして、霧の向こうに消えていった。
「っつ!」
一刀の顔が引きつる。
「ぎゃあぁぁぁぁああああ!」
今日何度目かわからない優理の叫び声。
なぜ?
それはね・・・・・・
霧を抜けた瞬間、かなり高い崖から飛び降りてたんだ、空を飛んでたんだ(泣)
バイバイ。みんな!
To be continue...
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この作品は、真 恋姫無双の二次創作作品です。
もちろん、たくさんの人に楽しんでもらえるように頑張っていますが、まだまだダメなところがたくさんあると思います。
ぜひ、アドバイスなど貰えるとうれしいです。
ちなみに今回は、後書きは載せられません。すみません(泣)
それでは、どうぞ。
p.s.
この作品では、キャラ設定は書きません。
物語内で少しずつ明かしていこうと思います。
少し、文章を変更しました。
2010-02-09 17:08:55 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:2380 閲覧ユーザー数:1883