No.121711

真・恋姫無双~子義と仲達~17

gatsuさん

第17話です。
そうとう久々の投稿ですが……
卒論が一段落して短い休みの間に一気に仕上げた+久々で勘を戻すのに手間取った=クオリティが……

本格的に落ち着くまでもう少しかかるので、気長に待ってください。

2010-02-01 00:25:44 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:3380   閲覧ユーザー数:2952

第17話:人の夢

揚州全土を制圧してしばらく経った。

まぁ、戦闘らしい戦闘は特に無かったのだが。

現在は政治、軍備の増強を着々と進めている。

これから来るであろう激戦に勝つために……。

そんなある日、

健「……困ったな」

中庭で健が頭をかいていた。

冥琳「何が困ったのだ?」

健「お、冥琳」

と、そこに冥琳が現れた。

この2人、先日恋人同士になってからというもの、こうしてしょっちゅう2人でいる。

その為、呉の将兵からからかわれる事がとても多い。

当の本人達は気にも留めていないが。

健「これ見てくれや」

そう言って自分の武器を差し出す。

冥琳「これは……、刃こぼれが酷いな」

その剣は刃が欠け、所々傷が入っていた。

切れ味が鋭いとはとても思えない。

健「本来はこんなになるはずないんやけど、やっぱこの細さでは強度に限界があったみたいやわ」

戦のたびに、健は何人もの将兵を斬っていった。

剣の切れ味に任せて武器ごと、または防具ごと斬ることや、鍔迫り合いを全力で行う事も珍しくない。

実際、それを行えるほどの強度は備えていたのだ。

だが、ここは元の世界に比べて敵の数が圧倒的に多い。

反董卓連合の時の健と同様、この剣もその数の多さに対応しきれなかったという事だろう。

冥琳「鍛冶屋には見せたのか?」

健「応。でもこの世界の技術では元通りにはできんって」

冥琳「そうか。……む」

何か閃いた様子の冥琳。

健「どした?」

冥琳「その武器とはだいぶ形が違うが、少し心当たりがある」

健「ホンマか?」

冥琳「ああ。健は武器が変わっても問題は無いか?」

健「一応一通りの武器は扱える。条件として『軽い』ってのが必要ではあるけど」

冥琳「それは問題ない。取り寄せるのに少し日数がかかるが」

健「分かった。じゃあ頼むわ」

冥琳「ふふ、任せてくれ」

健のお願いに、冥琳は微笑んで応える。

雪蓮「あーらら、相変わらず熱いわねぇ。ご両人♪」

そこに、雪蓮と引っ張られている一刀が現れた。

健「そっちも相変わらずやな。今日はどないしたん?」

一刀「あ、ああ。何か雪蓮が城の外に行くって聞かなくて」

冥琳「雪蓮?」

雪蓮「ええ、あれよ」

冥琳「……そうか、分かった」

雪蓮「さぁ、行くわよ一刀♪」

一刀「ちょ!せめて何処へ行くか教えて……」

一刀に有無を言わせず、雪蓮はその場を去っていった。

健「冥琳?」

冥琳「……健は、先代の孫呉の王を知っているか?」

健「ああ、孫堅……孫文台やったっけ?」

冥琳「そうだ、その文台様の墓がこの土地にあるのだよ」

健「なるほどな。雪蓮は母親の墓参りに行ったってわけか。しっかし、簡単に城を開けるって……」

冥琳「そう言ってやるな、数年ぶりの墓参りなのだからな」

健「ま、冥琳がそう言うなら。じゃあ俺らは今おらん王様の穴埋めでもしたるか」

冥琳「ふっ、そうするとしよう」

2人は笑いあい、城内に戻って行った。

~森の中~

一刀「……って事は、俺達はその孫堅さんのお墓に向かってると」

雪蓮「そういう事♪」

一刀「な、なんか緊張するな……」

雪蓮「あんな鬼ババの前で緊張なんてしなくていいって」

一刀「鬼ババって……」

雪蓮「あ、着いた着いた。ここよ」

雪蓮に言われて辺りを見ると、少し開けた場所に墓石に見立てた石が置いてあった。

一刀「ここが?」

雪蓮「そ。孫文台……母様の眠る場所よ」

そう言って、墓石の前にしゃがみこむ。

雪蓮「母様、遅くなってごめんなさい。でもようやく母様の夢の第一歩を踏み出せたわ」

一瞬、寂しそうな表情になる。が。すぐにいつもの雪蓮の表情に戻る。

雪蓮「そうそう。うちにね、2人も天の遣いが来たの。彼がその1人、北郷一刀よ」

一刀「は、初めまして!」

ぎこちない動作で墓石に一礼する一刀。

雪蓮「この子は軍師としてどんどん力を伸ばしてる。いずれ呉を支える人間になると思うわ。あともう1人、太史慈……健って子がいてね、こっちはすごく強いの。あ、でも一刀は私の、健は冥琳のだから母様にはあげないわよ♪」

親に堂々と「自分のモノ」宣言され、一刀は苦笑い。

やがて、雪蓮はスッと立ち上がり、墓石に背を向ける。

雪蓮「母様、見ていて。母様の夢、私と皆で叶えてみせるから」

そう言い残し、2人はその場を後にした。

~同刻、城内~

健「ぶぇ~、冥琳に教えられて読めるようになったとはいえ……書類仕事はやっぱ苦手や~」

冥琳「自分から手伝うと言っておいて……」

頭がパンク寸前の健を見て、ため息を漏らす冥琳。

亞莎「まぁまぁ健様、あと少しですから」

健「いや~!活字嫌い~!」

冥琳「お前は子供か!」

と、その時だった。

兵士「アニキ」

何処からともなく、健配下の兵士が現れた。身のこなしからして、恐らく『鎌鼬』の1人だろう。

健「応。何かあったか?」

兵士が健に耳打ちすると、見る見る表情を変え、いきなり立ち上がった。

健「ホンマか!?」

兵士「俺も確認しやした、間違いありやせん」

冥琳「どうした!?」

健「……曹操軍が国境付近に出現、その数およそ30万」

2人「「なっ!?」」

健の言葉に息を呑む2人。

健「しかも先行して300ほど別方向から進軍中」

冥琳「さすがは曹操といったところか……」

健「んでもう1個、未確認やけど……許貢の残党がおるらしい」

冥琳「許貢……だと?」

その言葉を聞いて表情を曇らせる冥琳。

冥琳「亞莎、すぐに蓮華様にこの事を知らせ、戦の準備を」

亞莎「は、はいっ!」

慌てて飛び出していく亞莎。

冥琳「私達は雪蓮達を連れ戻しに行く」

健「わかった」

言いようのない不安にかられながら、2人は部屋を出た。

~曹操軍~

曹操「ふふっ。孫策との戦、楽しみね」

司馬懿「……ずいぶんとご機嫌だね」

曹操「そういうあなたはずいぶんと不機嫌そうね。やはり許貢の残党を加えたのが気に入らない?」

司馬懿「……私は前の世界で嫌になるほどあの手の人間の相手をしてきたからね。あいつら、絶対華琳ちゃんの邪魔になるよ」

曹操「そうならないように、春蘭をつけているでしょう?」

荀彧「そうですよ。春蘭もその辺りは分かっているでしょうし、お姉様の気持ちも分かりますが、そこまで心配するほどじゃ「なんかね」……はい?」

司馬懿「なんか、私が前の世界でやられた時の傷が疼くんだ。春蘭ちゃんの目がやられた時も妙に疼いてたから、なんか……ね」

曹操「……まぁ、私もあの者達をそこまで信用しているわけではないから、妙な抜け駆けはしないように見張らせておくつもりよ」

司馬懿「なら、いいけど……」

司馬懿(どうしても不安が拭えないよ……)

~再び、森の中~

先ほどから、妙な気配はあった。

馬まで戻りだして、ハッキリ感じた。

……誰か、いる。

一刀「……雪蓮?」

雪蓮「えっ?」

我に戻って一刀の方を見る。

一刀「どうした?さっきから黙り込んで」

雪蓮「うん、ちょっと……」

その時だった。

一刀の背後の茂みから、男が矢を向けているのを見つけた。

……向いているのは一刀の方だ。

雪蓮「一刀!」

声と同時に一刀を押し倒した。

一刀「痛て~。雪蓮、いきなり飛びついてどうし……」

起き上がりながら、言葉が止まった。

周りには、木に刺さった矢が1本。

そして雪蓮の腕にはかすめた跡があった。

一刀「雪蓮!大丈夫か!?」

雪蓮「ええ……、かずめただけだから……」

一刀「くそっ!どこからだ!?」

持っていた剣を抜いて辺りを見回す。が、姿はなかった。

冥琳「北郷!雪蓮は……雪蓮!」

そこに雪蓮達を呼び戻しに来た冥琳が現れ、すぐに駆け寄る。

冥琳「雪蓮!大丈夫か!?」

雪蓮「ええ、大じょ……くっ」

急に顔をしかめる雪蓮。

冥琳「雪蓮!どうした!?」

健「無闇に動かすな!」

遅れて健も駆けつけた。

一刀「健!動かすなって……」

健「多分毒や。傷口見てみぃ、黄色になってるやろ」

健に言われ傷口を見ると、確かに傷口周辺が黄色くなっているのが分かる。

冥琳「毒の種類は分かるか!?」

健「さすがに俺もそこまで詳しない。とりあえずすぐに戻って医者に「ダメよ……」は?」

雪蓮「ダメ。あいつらは恐らく、曹操が差し向けた刺客、一刀を殺すためにね」

一刀「……俺を?」

雪蓮「ええ、一刀を狙ってたから。それに、冥琳達が来たって事は、私達を連れ戻しに来たんでしょ?」

冥琳「……ああ、曹操軍が国境付近に現れたと報告があった」

雪蓮「なら、王として、軍の先頭に立つ、義務があるわ」

一刀「何言ってんだよ!毒を受けてるのにそんな「1つだけ条件や」健?」

健「うちの王様はワガママやから、自分で決めた事は絶対ひっくり返さんやろ?なら、1つだけ条件。……舌戦終わったら、すぐ治療受けろ。戦自体は俺らに任せや」

雪蓮「……仕方、ないわね。冥琳が睨んでたら、「うん」しか言えないし」

冥琳「……当たり前だ。本来ならすぐにでも解毒をさせるべきなんだからな」

健「まぁ、戦は心配すんなや」

健は背を向ける。

健「……曹操は、必ず殺す。必ず殺してやるから」

その時の健は、いつの時よりも冷たい空気を纏っていた。

G「え~、相当更新が滞ってしまい、申し訳ありません」

 

健「なんでも卒論とやらをやっとったそうな」

 

冥琳「それが一段落して、ようやく更新できたということか」

 

健「でもまだ事務に出しただけやから、ホンマに落ち着くにはまだかかるそうやで」

 

冥琳「大変なのだな」

 

G「これは、ご夫婦でどう(グシャアッ)ぶべらっ!」

 

2人「「まだ結婚していない!」」

 

G「……連載しだして思ってたけど、自分殴られオチ多すぎですかね?」

 


 
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