No.110509

If 蜀endアフター 第六話 逢いたい

イアドさん

時間がかかり申し訳ございません。
最近忙しいです。年末ですからね。
ではここで小説を一つ。お時間頂きます。

2009-12-04 23:37:09 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:15976   閲覧ユーザー数:12919

 

 If 蜀endアフター 第六話

 

と、いうわけでまずこの小説を見るに当たって注意事項↓

 ・結構ストーリーも時代設定も捻じ曲げちゃってるかもしれません。

 ・描写が多い可能性があります。

それでもいいという方、お進みクダサイ。

 

六話でコレだけです。

結局全然増えませんね。

ではどうぞ。

 

 

 ある日、不思議ことが起こる。

 

 その日も市は人で溢れていた。あたりでは商人達の声が飛び交い、時折拍手が起こったり、たまに歓声が上がったりする。

 そんな平和な毎日。祭りでもないのに毎日が祭りのように楽しいと感じれる毎日。

 そんな時だった。ある商人が空を指差す。その商人の周りにいた人たちは空を見上げる。

 やがてそんな行動はさらに隣にいた人たちに伝染る。空を見た人はただただ黙る。

 口をあんぐりと開けているものまでいる。みんな同じ方向を見ていた。同じ空を見ていた。

 彼方の天に星が流れる。それはそれはまるであの時のような輝きを発しながら。

 

 

 「・・・ふぅ、ありがとう朱里ちゃん」

 

 「いっ、いえ!いいんですよ!こっ、こちらこそ!!」

 

 「あははっ♪じゃあまたなにか困ったところあったらお願いしてもいいかな?」

 

 「はいっ!! でっでは、私はこれで・・・」

 

 バタン・・・

 

 「ふぅー~・・・。お仕事終わったし・・・、なにしよっかな~」

 

 こんなとき彼がいたら・・・

 

 「・・・ってダメダメ!!なぁに考えてんのよ私ったら!!

 いつかご主人様が帰ってくるって言ってたもん。うん!ご主人様が帰ってくるまでがんばらないと!

 ・・・でも、あれから2年も立ってるし・・・」

 

 こうして一人で、気落ちしたり立ち直ったりを繰り返していると扉が開いた。

 

 「・・・失礼します。いるんですか桃香さっ・・・、って何をしてらっしゃるんですか?」

 

 「ッ・・・!!あっ、愛紗ちゃん?」

 

 「しゃがんだり立ったり・・・本当になにをしていらっしゃったんですか?」

 

 「う~んとねぇ、えーっと・・・、体力づくり?」

 

 「・・・必要ないでしょう?」

 

 「・・・そうだね」

 

 二人してはぁっとため息をついて顔を合わせて笑った。

 

 「・・・それで、何しにきたの?」

 

 「先ほど仕事を終えましので、城内をうろついていたところ朱里より桃香様が仕事を終えられたと聞きまして・・・、」

 

 「そっか」

 

 「桃香様。久しぶりに町へでも行ってきたらどうです?」

 

 「・・・うーん」

 

 「きっと民も喜びますよ」

 

 「・・・そこまで言われちゃ行くしかないよね~」

 

 「では、ゆっくりしてきて下さい。なんせ久々ですからね」

 

 「うん。ありがと。じゃあ行ってくるね」

 

 

 ・・・・・。

 

 「うん? つい・・・たのか?」

 

 重たい瞼を開けてみる。明るい空が目に映る。

 

 「う~ん?ここは?」

 

 辺りを見回すと木、木、木。どうやら森にいるようだ。

 ただ、その辺の木だけではここがあの世界かなんて分からない。

 

 「まさか・・・都内の森、とかそういうオチじゃないだろうな・・・」

 

 やがて・・・立ちあがり、てくてくと歩いているとふと川に当たった。

 

 「おっ!川だ」

 

 ノドも乾いていたし、ちょうどよかった。そう思い両手を椀の形にして水面を掬った。

 一口、二口飲んでから、もう一度汲んでそして顔にパシャっとかける。

 

 「ふぅ・・・。生き返るなぁ。っていうか、ここはどこだ?」

 

 その時、目の前の木々の間のずっと先を横切る人影があった。

 ゆっくりとしかしハッキリと、絶対にここがあの世界だということを理解できた。

 彼はそっと立ち上がると川を後にした。

 

 

 桃香です。今、森に来ています。ゆっくりと吹き抜ける風が心地よくて木の葉の隙間から落ちる木漏れ日が気持ち良いです。

 

 「はぁ~・・・」

 

 町へは・・・行かなかった。前に街であるいていた時の記憶がよみがえったから。

 不意に子供に言われたあの一言。「みつかい様は?」

 あの一言は胸に堪えた。私はあの時「今日は私だけ」としか言えなかった。

 そう。「今日は」・・・どうせいつか成長すれば知ることなのに私は子供に嘘をついてしまった。

 私は汚い女だ。自らの口から『それ』を聞かせることができなかった。

 子供と遊んでる間もずっと冷や汗をかいたままだった。

 子供たちも子供たちなりに私の調子がおかしいことをさとって「じゃあね」と帰っていく。

 私は道の真ん中に立ち尽くした。この間飲んだ酒はなんだったのか。我ながら笑えてしまう。

 太守として彼の帰還を謳えても、個人として彼の帰還を認められない。

 

 「今から・・・どうしようかなぁ」

 

 とりあえず桃香は立ち上がりおしりをパンパンと払い土ぼこりを取った。そして

 なにを考えるでもなくただブラブラと森の中を歩いた。しばらく歩いていると・・・。

 

 「ん・・・?水の・・・音?・・・あっ」

 

 いつかの、せせらぎだった。

 

 「ここ・・・」

 

 あの頃、よく訪れた場所。

 

 「・・・全然変わってない・・・」

 

 辺りは静かだった。とても静か。ただ聞こえるのは水の流れるせせらぎの音。

 時折、動物でもいるのだろうか、木の葉が擦れる音も聞こえた。

 

 「あの時からもうここにはこないって決めたのに・・・」

 

 またきてしまう。来たいとも・・・思ったことはあった。否定はしない。

 『もしかしてあそこに彼がいるんじゃないか?』そんな可能性の無い期待が急に湧いてきたりする。

 でもここへこようとするたびに何かが私を押さえつけた。

 自分の気持ちの中の大切なものが邪魔をする。

 『もし行って何も無かったら?』そんな考えが邪魔をする。

 

 「・・・やっぱり、何も無い」

 

 不思議だった。思ったより気落ちしてない。『何も無かったら』想像するだけで怖かったものだが、

 実際体験すると別にどうとでもない気もする。

 

 「ふふっ・・・。ねぇご主人様ー?私・・・、ご主人様のことちょっとずつ忘れてきちゃったのかなぁ?

 最近・・・ね?ご主人様の夢を見るんだけど・・・、」

 

 川を覗き込んで自分の顔を見てみる。

 

 「・・・夢の中のご主人様はね?いつも泣いてるんだよ。

 私がなんで泣いてるの?って聞いても・・・ずぅっと『桃香、ゴメン』って。

 忘れて・・・きてるのかな?ご主人様の笑顔が・・・思い出せない・・・。

 ねぇ・・・。わらってよ・・・いつもみたいに・・・、わらって?」

 

 桃香は水面に映る自分の姿を見る。

 涙でボロボロだった。前に会った客人の話ではずっと願い続ければ会えると聞いた。

 結果会えたか?いや、会えなかった。

 

 「・・・」

 

 川を覗き込む桃香の後ろには人が立っていた。

 

 

 「・・・もう帰ろう」

 

 川を覗き込んでいた桃香は立ち上がろうとまず体を起こした。

 その瞬間ふと自分の背中にトンッと心地良い重さを感じる。

 あとその後に少しこそばゆいような感覚と、人のぬくもりも感じた。

 

 「あ~、すいませんがここは蜀でよろしかったですか?」

 

 背中同士をくっつけ顔も見えない男はそう聞いてくる。

 

 「ええ」

 

 桃香は答える。

 

 「ほうほう。それはそれは。いつの間に蜀に入っていたのやら」

 

 お調子者のような調子でしゃべりかけてくる男。

 どうでもいいようなしゃべり方なのにもう桃香の耳には川の音など聞こえてなくて。

 

 「どこへ行っていたんですか?」

 

 「ここよりずーっと遠いところへですよ」

 

 「なんで、戻ってきたんですか?」

 

 自分の声が少しずつ震え始めたのが分かる。

 

 「約束があったからですよ」

 

 「・・・誰とのですか?」

 

 「・・・愛したひとと」

 

 ああ、ダメだ・・・。

 

 「ぐすっ・・・いつまでそうしてるつもりですか?」

 

 「・・・さぁ?いつまで・・・でしょうね」

 

 「・・・」

 

 桃香はゆっくり空を見上げた。

 空はいつもより明るく見えた。そして滲んで見えた。

 心の中は暖かさでいっぱいなのに目からは涙が止まらない。

 目からあふれ出した涙は頬を通り首筋へと落ちる。

 ずっといいたかったこと。いろんな言葉が浮かんでくる。

 涙をこらえて嗚咽を抑えてそして桃香は一文字一文字に想いを込めて彼に告げた。

 

 

 「・・・おかえり」

 

 「・・・おう。ただいま」

 

 桃香はもうあふれる涙を抑えることができなかった。

 ついにはその場で大声で泣き出してしまう。

 

 「会いたかった・・・!!会いたかったよご主人様・・・!!」

 

 「うん・・・。俺もだ。会いたかった・・・」

 

 「・・・よかった」

 

 後ろを向こうかとも思ったが、そうする前に桃香が少し落ち着いたあと

 かかる重みが一瞬消えてそのあと増えてそして胸の前で華奢な手が交差された。

 

 「・・・桃香」

 

 胸の前で交差させている腕をやさしく包み込むように握ってやった。

 

 「うぅ・・・」

 

 「ゴメンって。泣かないでくれよ・・・」

 

 「・・・ご主人様だって」

 

 「なっ・・・、泣いてないぞ!!」

 

 くすっと桃香は笑う。ほんのすこしの笑いなのにそれでも今は幸せだった。

 

 「・・・じゃあさ、お顔見せて?」

 

 そしてちょっと困った一刀は迷った挙句、向きを直して桃香をギュッと抱きしめた。ただ、顔は見られないように。

 

 「んむ・・・。これじゃ見えないよー」

 

 「見えなくていいんだよ」

 

 心なしか彼の声は震えていた。少し上を向こうとするとそれに気づいた彼に手でさえぎられてしまった。

 

 「よかった・・・。本っ当によかった・・・。もう会えないかと思ってたのに・・・」

 

 「大丈夫・・・。ここに・・・いるよ」

 

 「うん・・・。そうだな」

 

 彼の手も震えていた。

 

 「ご主人様」

 

 なんでそんなに泣いてるの。ほら、笑おう。天まで届く笑顔で。あの日桃園で笑いあったように。

 私も笑うから。ご主人様も笑って。ご主人様が先に笑ってくれないと私も笑えないよ・・・。

 

 「桃香」

 

 二人は少し離れてやっと顔と顔を見合わせた。二人ともひどい顔。涙でクシャクシャだった。

 その時、止まっていた時が再び流れ出した。二人の中で止まっていた時が動き出した。

 

 「ご主人様、凛々しくなったね」

 

 「そんな顔で言われても説得力のかけらもないよ」

 

 ゆっくりと、ゆっくり。二人は笑った。涙に歯を食いしばりながら。鼻を真っ赤にしながら。

 ああ、あの人は今ここにいる。お互いにそんなことを想いながら。

 ふと上を見上げる。空の色こそ違うものの、あの日と同じ、今日は晴天。

 場所も同じ、人も同じ、体勢も。だけど違う。

 

 「桃香・・・」

 

 「ご主人様、帰ろう?」

 

 桃香に口付けしようと伸ばしかけた腕は空を切った。

 

 「ぬっ・・・、桃香!?」

 

 「ホーントご主人様ってば変わってないね~・・・。種馬っぷりは健在だね!」

 

 「あっ、なんだとコラ!傷ついたぞ!」

 

 「ほら早く~!先に帰っちゃうよ~!!」

 

 元気に駆けてく桃香をみて涙を拭いて急いで後を追う。

 途中何度も視界が滲んだが、そのたびに拭いた。

 ふと桃香が歩みを止める。森の出口。やっと止まったかと思い、隣までかけた。

 

 

 「やっぱり御使い様だ!!!」

 

 「本物だーーー!!」

 

 「帰ってきてくださった!!!!」

 

 「太守様が戻られた!!!」

 

 「種馬!!」

 

 森の出口から顔を出した瞬間、町の人たちに囲まれて歓声を浴びた。

 途中妙なものも混ざってたみたいだけど。あと肉まんとかをぶつけられた。

 なんだよこいつら。桃香にはなんもしねーくせに。

 人垣を分けて進むのが大変だった。

 

 「よかった・・・!!御使い様が・・・!!」

 

 時折、そんな声も聞こえる。涙が出そうだ。そんな時だった。

 

 「これはなんの騒ぎだ!!?通してくれ!!」

 

 聞き覚えのある怒声が聞こえた。

 

 「あちゃー・・・。愛紗ちゃんおこってるねぇ・・・」

 

 「よし、逃げるぞ・・・!!桃香、しっかりつかまれ!」

 

 「えっ、あっ、ちょっと待って!!この状況で愛紗ちゃんから逃げるのは・・・」

 

 「うるさい!行くぞ!ほら」

 

 人ごみに混じれてしまいそうな桃香の腕をしっかりと掴んで走り出す。

 

 「ん?あれは・・・、なっ、ごごごごご主人様!!!!!???」

 

 愛紗は走り出そうとするけど人垣に阻まれて思うように進めないようだ。

 

 「な?大丈夫だろ?」

 

 「そうじゃなくて~・・・、逃げちゃったらあとですっごい怒られちゃうよ?」

 

 「そうだッ・・・!!!ついいつもの癖で・・・」

 

 「・・・いつも、か」

 

 「桃香?」

 

 「ううん。

 じゃあ北郷一刀くん。私をこのまま城まで連れて行ってくれたまえ♪」

 

 「おう!行くぞ!」

 

 二人の腕は繋がったまま。しっかりと握り合う。互いの熱がそこから伝わる。

 ずっとこんな幸せが続くのだろうか。これからずっと。いや、続かせよう。これからずっと。

 突然なにかの拍子に引き離されたって僕は君を探し続けよう。

 君が僕を想い続ける限り。僕は君を想い続けよう。

 誰が邪魔しようと、何が邪魔しようと。僕は君を求め続けよう。

 だから、君は僕を求めてくれるかい?

 

 「ご主人様!遅い遅い!」

 

 「ちょ・・・桃香・・・速い・・・待って・・・」

 

 「桃香様!!ご主人様ーー!!!!」

 

 

 桃香の部屋・・・、

 

 開けっ放しの扉から風が入る・・・。

 

 ふと迷った風に卓上のうすっぺらい紙が飛ばされる。

 

 一言を綴った滲んだ羊皮紙は開け放たれた窓から外へ飛ぶ。

 

 紙は空高く舞い上がる。高く高く。鳥より高く。雲より高く。

 

 三国の空へと舞い上がる。

 

 それはまるで恋姫たちの想いのようであった。

 

 

・・・どうでしたか?

僕は六話が終わり、なんかちょっと空しいです。

このシリーズのお話はこれで終わりだと思います。

でもまたなんか書きたいなぁと書き終わった今、思ってます。

 

 最後に、このシリーズを最終話まで読んでくださった皆様方、

 本当に感謝しております。ありがとうございました。

 またこれからも書かさせていただき、読んでいただければと思います。

                     イアド

 

あとがきのあとがき

 

はい。さきほど『終わり』と言いましたが、

今からまたお時間少々頂きます。

前回疑問が残っていると言いまして・・・、

ではいきなりですがまず一つ目の疑問です。

 

ドラマCDで恋姫の声優さんが収録の合間に取った『演技者より妄想伝想』というものがあるのですが、

その中で「愛紗は何デレ?」というのがありました。

僕も思います。「愛紗は何デレ?」と。

まぁ結局声優さんたちの中では「上からデレ」ということになったんですが。

ですが、やはり「○○デレ」のように四文字で収まる感じであって欲しいとおもいまして。

あと「上から」というのも疑問です。はて?

 

2個目です。

こっちは本当にくだらないのですが、今さらかと思うかもしれませんが、あと恋姫全然関係ないですが・・・、

『SS』ってなんですか?『「シ」ロウトの書いた「ス」ピンオフ』ですか?

『「ス」ピンオフを「小」説で』ですか?ふぅ・・・よく分かりません。

まず『「ス」ピンオフ』は入っているのですか??

・・・あ、芸人がやってそうだなー・・・、こういうゲーム。

 

ではでは、失礼いたしました。

 

 

からの、あとがき?

 

考えてみた今、次はこのシリーズの後日談と言うことで

各キャラ主点の拠点のような物を書きたいと思い至りました。

『やめとけ!お前には無理だ!』ということでしたら

ちょっと悲しいですけど、この話は無かったことに。

まぁ特に誰から書くとかも全く決めてませんので、

もしリクエストなどがあれば遠慮なくお申しつけください。

他国のキャラでもかまいません。

あとコンビまたはトリオのキャラを引き離してのリクエストもかまいません。(いや、でも南蛮はさすがに)

ただ、あまりやりこんでないキャラのリクエストが多かった場合、勉強しなおす必要があるので

時間がかかる可能性があります。長々とすみませんでした。

 

リクエストが無かった場合、無差別にやってこうと思います。アミダとかで。

いや、でも表作るの大変そうだな。いや、アミダじゃなくても・・・、

サイコロの目の和とか・・・、いや、サイコロって家にあったっけ?

サイコロ作るか・・・、いやいやそんなことやってる間にアミダ作れる。

 ・・・っていうかこんなこと書いてる間にアミダ作れるよね。・・・。

 


 
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