No.109092

If 蜀endアフター 第五話

イアドさん

こないだは妙な事言ってすみませんでした。
また書かさせて頂きたいと思います。
それではこれから、
貴重なお時間を頂戴いたします・・・。

2009-11-26 23:24:28 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:14490   閲覧ユーザー数:11881

 If 蜀endアフター 第五話

 

と、いうわけでまずこの小説を見るに当たって注意事項↓

 ・結構ストーリーも時代設定も捻じ曲げちゃってるかもしれません。

 ・描写が多い可能性があります。

 ・展開が速いかも。

それでもいいという方、お進みクダサイ。

 

第五話もこれだけ。きっと最終話になってもこれだけだと思います。

もう必要ないんじゃないのかな・・・?

では本編どうぞ。

 

 

 こっちの世界に帰ってきてからはや1年・・・

 最初は文明の変化に戸惑っていたけど近頃はこっちの生活にも慣れてきた。あの子達を思い出すたび、涙を流していた夜もいまや胸を締め付けるだけですむようになった。これはよいことなのだろうか?身を引き裂かれる悲しみと引き換えにそのうち楽しかった思い出も次第に薄れていくだろう。彼女たちの声も顔も全て思い出せる。・・・だから余計に無くなっていくのが怖かった。学校についてからも頭の中はそんなことでいっぱいだった。ただいたずらに時間だけが過ぎていく。

 

 そして今は放課後・・・

 

 「おーい、かずぴー!!」

 

 ふと遠くから及川の声が聞こえたので、

 ・・・俺はそっちを向くこと無く、すたすたと歩いていこうとした。

 

 「っておいぃ!!無視せんといてや!!」

 

 「・・・、やぁ及川」

 

 思ったより足の速かった及川はすぐ俺に追いつき、隣に並びながら俺に話しかけてきた。別に振り払うわけでもなく二人で適当なことをしゃべっていると突然及川が話を変えた。

 

 「なぁなぁかずぴー。」

 

 「ん?」

 

 「あの子ら、かずぴーのことめっちゃ見てない?」

 

 「ん~?そうかぁ?」

 

 「!!」

 

 その子たちは俺に見られるとダッシュで逃げていった。

 

 「・・・俺、なんかしたかな?」

 

 「えぇ~・・・、かずぴーニブすぎやろ・・・」

 

 「??」

 

 「あの目はかずぴーに惚れてる目ぇやろッ!!」

 

 「お前・・・。そんなこと言って違ってたら俺がめっちゃ恥ずかしいじゃねーか」

 

 「ちょっとくらい、恥ずかしい思いせぇやぁ~!!ほんで・・・ほんで俺にも可能性分けろやぁ~!!」

 

 及川は四つんばいになって地面をガンガン叩いてた。

 

 「わかったから。ほら、帰るぞ」

 

 「あ、待ってかずぴー!!」

 

 及川は何事も無かったかのように立ち上がり、俺たちはまた何気ない会話を交わしながら寮まで帰る。

 

 「ほんじゃあまた明日な~。バイバーイ」

 

 「ああ、じゃあな」

 

 及川と別れて俺は部屋の扉に手を掛ける。

 

 ガチャリ・・・。

 

 ・・・ん?

 

 「うおおぉぉぉぉ!!!!??」

 

 扉を開けた瞬間、一刀は白い光に包まれた。

 

 

 「ん・・・んむぅぅぅ~・・・」

 

 ・・・ねぇ・・・おきてん・・・。

 

 「・・・はっ・・・、ここは?」

 

 一刀は悪寒がしたのか、目を覚ましてあたりを見回した。

 しかしそこはどちらが上か下かも分からないような、ただただ黒いだけの世界だった。

 

 「?? なんだ?ここは・・・」

 

 「・・・ようこそん♪ご主人様」

 

 「うわぁぁぁ!!!!」

 

 背後から耳にふぅっと息を吹きかけられ、後ろをすばやく振り返ってみると、

 後ろには貂蝉がいた。

 

 「あらん。いい反応♪」

 

 「いい反応♪じゃなくて!!何してるんすかアンタ!!?」

 

 「なにって・・・ご主人様を連れてきたのよん」

 

 「連れてきたって・・・そっちがくればよかったんじゃないのか?」

 

 「それがねぇん・・・」

 

 こいつは相変わらずくねくねしていたが、突然動きを止めて俺と向き直った。

 こう見るといまさらだけど、たいした巨漢だ。

 

 「この国は・・・怖いのよん」

 

 「はい?」

 

 「このあいだご主人様の部屋から飛び出た時、外にいた人たちに『不審者だー!!』って言われたのよん」

 

 「えーと・・・、いまさら?」

 

 「まぁそれはいいんだけどねん・・・。その後に来た警邏隊のしつこいことしつこいこと」

 

 「あ~・・・警察のこと?」

 

 「そうよん。あの青い奴ら私を見るなり追いかけてくんのよん。それにどんどん増えるし」

 

 「まぁこの国とあの世界の情報伝達速度じゃ比べ物にならないからな。っていうか貂蝉なら他の世界でやってきたように追い払えばよかったんじゃないのか?」

 

 「それはダメなのよん。一応、ある世界に降り立てばそこの律に従って行動しなければいけないのよん。この世界じゃ暴力はご法度でしょう?」

 

 「うん。暴力はご法度だよ。でもな、ほとんど全裸もご法度だ。まず服着ろ」

 

 俺は目の前の男(?)に向かって自分でも引くくらい真顔で言った。

 

 「いやん。ご主人様ったらぁん♪この服装は漢女の心意気の証よん♪それに照れちゃって~。かわいいんだからん♪」

 

 「いや、照れてないです」

 

 そうして一悶着あった後、貂蝉は(不気味な感じではないのだが)うっすら微笑んでいた。

 

 「ご主人様は変わらないわねん・・・」

 

 「??」

 

 「あら、ごめんねぇん」

 

 「なぁ貂蝉。お前はなんで俺を知ってたんだ?見たところ最近会ってる気がするんだけど・・・」

 

 「うふふ。するどいわねんご主人様」

 

 貂蝉のニヤニヤはますます広がる。

 

 「だけどちょっと違うわよん。今のご主人様は私に会ってないわん」

 

 「?? 余計に分からないんだけど・・・」

 

 「前にとある外史でね、ご主人様を狙う私の同業者を倒すため、一緒に戦ってたのよん」

 

 「へぇ。つまり違う外史に飛んだ俺と一緒にいたのか」

 

 「そうよん。ご主人様は理解が早くて助かるわねん。ちなみにあの頃の私はもっともっと活発だったわよん♪」

 

 「・・・そうか」

 

 俺は会話が途切れたほんの数秒の間、貂蝉と共にいた片割れの冥福を祈った。

 

 

 「で、こんなところに俺を呼び出したのは何のようなんだ?」

 

 「そのことなんだけど・・・。ご主人様・・・もう一度聞くわねん? ご主人様はあの世界に帰りたい・・・?」

 

 「・・・何をいまさら?」

 

 貂蝉の質問の意味が分からなかった。何を質問してるんだ?そんなのYESに決まってる。

 

 「いまさらってわけじゃないのよん・・・。これはとても大事な質問なのよん」

 

 「・・・俺が帰りたくないとでもいうと思ってるのか?」

 

 「そういうわけじゃないのよん」

 

 「ただ・・・」

 

 貂蝉は『ただ』と言って黙ってしまった。だがここは続きを催促するより黙って待っていた方がいいと本能が告げる。

 

 「ただ、『ご主人様は何も知らないまま大丈夫か』って思ってるのよん」

 

 「どういうことだ?」

 

 「私が前に出した3つの条件、覚えてる?」

 

 貂蝉の問いに無言でうなずく。

 

 「あれ、ちょっとっていうか大分うそが入っててねん。」

 

 「でも・・・別に、帰れるんだろ?」

 

 「ええ。まぁ、そうなんだけど」

 

 ここでまた貂蝉が言葉を濁す。今度は思い切って聞いてやろうと思った。

 

 「本当の3つの条件ってのは何なんだ?」

 

 「・・・まず一つ目は前と同じ、『両方の意思の疎通』。そして二つ目が『邪魔者の排除』だったのよん」

 

 「邪魔者?」

 

 一刀はだれだ?と思う。

 

 「さっき私が『ご主人様を狙う同業者』っていってたでしょう?そいつらが

 ご主人様の帰還をずっと邪魔しててねん。さっきまでそいつらをぶちのめしに行ってたところよん♪」

 

 「そうなのか・・・」

 

 貂蝉が最後に言った「亀甲縛りにして吊るして放置してきてやったわ!!」という発言は無視した。

 

 「ええ、そうなんだけど前に『3つの条件がそろわないと会えない』って言ったわよねん?」

 

 「うん」

 

 「今は『行けない』わけじゃないのよん」

 

 「・・・どういうことだ?」

 

 「あの世界へは行けるわん。奴らを始末したからねぇん」

 

 「さっぱり分からないんだけど・・・」

 

 そういうと貂蝉は明らかに悲しい目をした。

 

 

 「ご主人様がこの世界に帰ってきたとき、時間が全然たってなかったでしょう?」

 

 「え・・・うん、12時間ほどしか・・・」

 

 「・・・向こうはその時間の間に1年と半年分だけ時間が進むの」

 

 そこで一刀はやっと貂蝉の言いたいことが分かった。

 

 「つまりご主人様がこの世界で1年過ごしたとき、向こうは千年近くたってることになるのよん・・・」

 

 「ッ・・・!」

 

 内臓をギュッと掴まれた気分になった。

 

 「残念だけど、あの世界にいけても皆はもう・・・」

 

 「・・・言うなッ!!」

 

 気がつくと一刀は大声で叫んでいた。自分でもこんなに声が出るのかと驚いたくらいだ。

 そして何もない空間に一刀の声は霧散される。

 

 「ご主人様・・・」

 

 「皆に・・・会う方法は無いのか?」

 

 「・・・ごめんなさい。1つ目の条件の想いの強さを何倍にもすればもしかしたら、って思ったんだけど・・・」

 

 この言葉で一刀の心の中には空間の黒い空気が入り込んできた。

 肺が重くなる。心臓の鼓動は早くなり、頭の中では強い否定の意志が駆け巡る。

 

 「そんなはずはない」

 

 「・・・ご主人様?」

 

 「だって・・・だって、約束、したんだ。『必ず戻る』って。・・・『どんな手使っても会いにいく』って」

 

 ――『どんな・・・手を使っても・・・あいに来てあげる・・・よ』――

 

 「・・・ご主人様」

 

 「みんなが・・・桃香が待ってるんだ。早く、戻らなくちゃいけないんだ」

 

 ――『約束・・・だよ?』――

 

 「ご主人様」

 

 「あいつら・・・俺がいないと、ケンカばっかしてるし・・・どうせ今頃も・・・」

 

 ――『うん・・・約束』――

 

 「ご主人様ッッ!!」

 

 貂蝉の言葉に急に我に返された。ただ我に返ったことによって、

 悲しさも寂しさも彼女たちの傍にいてやれなかった自身への憤りも、全ての感情が一気に押し寄せた。

 

 「・・・」

 

 なぜ・・・みんな、おいてってしまったのか。いや、違う。俺がおいていったんだ。

 彼女たちを。どんなに辛かっただろう。やっと分かった。おいてかれるものの気持ちが。

 彼女たちはこんな気持ちだったのだろうか。あの日からずっと。

 『遅いね』と言いながらずっと俺を待っていてくれたのだろうか。

 笑顔を皆に振りまきながら自分は一人で泣いてたのだろうか。

 

 「・・・逢いたい・・・」

 

 その言葉は今までの言葉とは違った。いままではいつか会えると信じて言っていた。

 だが今は・・・。

 

 「・・・もう・・・逢え・・・ないのか・・・?」

 

 「ご主人様・・・」

 

 「桃香・・・みんな・・・もう一度・・・」

 

 そう言った一刀のポケットから、白い何かが黒い地面に舞い落ちた。

 その輝きははっきりと貂蝉の眼にうつった。

 

 

 「!! ・・・ご主人様、それは?」

 

 そういって貂蝉は地面の輝くような髪飾りを指差す。

 

 「?? ・・・桃香の・・・髪飾り」

 

 すると貂蝉は突然笑い出した。

 

 「うふふ・・・。すごいわねん運命って。運命の神様はそうまでして二人を逢わせてあげたいのかしら」 

 

 「・・・??」

 

 一刀はわけが分からないという風に髪飾りと貂蝉を交互に見ていた。

 

 「さぁ、行くわよん・・・!!」

 

 貂蝉は髪飾りを拾い上げ、むぅぅん!!と唸った。すると即座に髪飾りを中心にした白い球体が出来上がる。

 

 「?? どういうことなんだ・・・?説明してくれ!」

 

 一刀の質問に貂蝉は笑みを見せながら答えた。

 

 「さっき言ったでしょう?私の出す3つの条件をこなせば好きな時の外史にいけるって」

 

 「え?あ、うん。そんなこと言ってたっけ・・・」

 

 「それでさっき言い忘れてたんだけど3つ目の条件があるのよん」

 

 「まさか・・・」

 

 一刀は全てを理解した。これから貂蝉が言わんとしていることも、さっきまで言っていた意味深な言葉も、

 そして・・・

 

 「そう。3つ目の条件。それが『外史と正史を跨ぐ想いの道具』」

 

 

 それは一刀が予想した答えと一緒だった。

 瞬間、貂蝉の作っていた球体が大人1人は入れるぐらいの大きさへと成長する。

 

 「さぁ、ご主人様?先着一名様よん?」

 

 「本当にみんなに・・・会えるのか?」

 

 「うふふ・・・愚問ねぇん♪」

 

 貂蝉は今度こそ不気味な笑顔で笑う。

 

 「今、3つの条件がそろったのよん。ご主人様が望む世界へ行けるわよん♪」

 

 「俺が望む・・・世界・・・」

 

 俺が望む世界。みんながいる世界。戦争なんてない。俺たちがつくったあの世界。

 辛いことも楽しかったこともいろんな思い出が詰まったあの世界。

 みんなと過ごした毎日があるあの世界。

 みんなと・・・桃香がいる・・・あの世界。

 

 「帰れる」

 

 言葉に出すことによって一刀の気持ちはまた軽くなった。

 本当に帰れる。夢じゃない。みんなが待つ世界へ。俺を待つ世界へ。

 

 「ありがとう・・・貂蝉」

 

 本当に感謝の念をこめて言った。これ以上ないほど感謝した。

 始めはただの不審人物だと思ってたけど(今もちょっと思ってる)、

 このときになってやっと本当にすごい人なんだってことが分かった。

 

 「どういたしましてん♪・・・さぁご主人様、早くこの球体に入って頂戴」

 

 「あ、うん、ごめん」

 

 結構しんどかったみたいだ。

 一刀はゆっくり光の球に触れるとその瞬間中へと吸い込まれた。

 

 「入ったみたいだけど・・・これでいいのか?」

 

 中はとにかくまぶしかった。目を開けていられなかった。手を前にかざしていると、ふと何かが手に当たる。

 

 「髪飾り・・・」

 

 「ご主人様!!その髪飾り、離しちゃダメよん!!」

 

 「・・・ああ!持った!!」

 

 「それじゃ行くわよん。・・・はあああぁぁぁぁ!!!!」

 

 貂蝉の掛け声と共に光の奔流はどんどん増えていく。

 目をつぶっていてもまぶしかった。だが気を失いそうなまぶしさにも手だけは絶対に離しはしない。

 

 「・・・我が盟友、北郷一刀を再びかの外史へと向かわせん!!」

 

 最後の方の声は聞き取りにくかった。

 そして光の奔流がピークになった時、一刀は自分の意識が薄れていくのが分かった・・・。

 

 

 一刀を乗せた光の球が消えた後、貂蝉はポツリとつぶやいた。

 

 「ご主人様・・・みんなを幸せにねん・・・」

 

 「よかったのか?」

 

 貂蝉の後ろには卑弥呼が立っていた。

 

 「あら卑弥呼、もしかして見てたのん?」

 

 「最初から全部な」

 

 「あらそう」

 

 「で?よかったのか?」

 

 「いいに決まってるじゃない。ご主人様が幸せになったんだから」

 

 「ふむ。漢女というのも難儀なものよの!!」

 

 「卑弥呼、一杯付き合ってくれないかしら・・・。」

 

 「よかろう!今日はわしのおごりじゃ!!たんと飲めぃ!!」

 

 こうして漢女達も自分のいるべき場所へと帰っていく。

 

 一刀はずっとずっと髪飾りを握り締めていた。

 自分のあるべき居場所へ戻るために・・・。

 

 みんなに・・・会うために。

 

 

・・・五話終了。

このところ『この小説漢女しか出てこないなー』とか思います。

まぁそれはおいといて。

皆さんどうでしたでしょうか。

次もまた書かせていただきますんで、その時にはまたお願いします。

           次へ続け。

 

あとがきのあとがき

 

先日の質問の回答を目測で平均して

答案を出した結果このような答えが出ました。

 

 『漢女とは』

 

 あーいう生き物。無理に考える必要はない。

 ただ、そこに存在している。それでよい。UMA。

 

 『貂蝉の踊りの需要』

 

 ない。あってほしくない。あるはずがない。でもがんばれ貂蝉。

 

 まだ質問はあるんですが連続するのはどうかと思うので

 次回によろしくお願いします。

 ではまた次回で。


 
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