漫画的男子しばたの生涯一読者
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漫画的男子しばたの生涯一読者

■ラブストーリーのおわりに 〜未収録作品

それでは単行本未収録作品の話へと行ってみよう。10月の動きで目立ったのが、週刊雑誌のラブストーリー漫画の大作が、相次いで最終回を迎えたこと。とくに赤松健「ラブひな」と猪熊しのぶ「SALAD DAYS」が、それぞれ「週刊少年マガジン」(講談社)と週刊少年サンデー」(小学館)の同日発売号(ともに11/14 No.48)で揃って終わったのは印象的な出来事だった。さらに青年誌では高橋しん「最終兵器彼女」が最終回。どの作品も、最近の週刊誌連載のヒット作品としては珍しく、幕引きが非常にきれいだったのは喜ばしかった。

「ラブひな」【最終回】 赤松健  [bk1]
ラブひな
「ラブひな」
赤松健
この作品については美少女わんさか登場のドタバタラブコメという流れを作り出し、オタク方面のみならず強いインパクトを与えた作品として、後世に名を残すんじゃないかと思う。この手のラブコメの場合、これまでは主人公と本命の女の子の関係はつかず離れずを維持してラストでゴールインというパターンが多かったが、この作品の場合、長い連載を通じてゆっくりではあるが着実に二人の関係を進展させ、恋愛の達成感を常に提供し続けていたのが印象的だった。読者を生殺しにしないサービス設計ともいえる。最初のうちは美少女ばかりの旅館という、いかにもオタクチックな設定に驚かされたが、最後まで読んでみたらスピード感があって抜群に楽しいし、充実感もある傑作に仕上がった。イメージだけで敬遠していたような人もこのさいだからまとめて読んでみることをオススメする。
「SALAD DAYS」【最終回】 猪熊しのぶ [bk1]
SALAD DAYS
「SALAD DAYS」
猪熊しのぶ
こちらはさまざまな恋模様を描いていく、「BOYS BE…」あたりから定番となった感のある形式のラブストーリー連作で、ストーリー展開、作画ともに「週刊少年サンデー」連載作品らしく、端整で爽やかな印象を残してくれた。ハッピー・エンドの素晴らしさを存分に味わわせてくれる。
「最終兵器彼女」【最終回】 高橋しん
最終兵器彼女
「最終兵器彼女」
高橋しん
青年誌のラブストーリー漫画としては近年まれに見る話題を読んだ作品だった。「ビッグコミックスピリッツ」11/12 No.48(小学館)にて終了。自分の彼女が殺戮兵器になってしまったという、考えてみれば奇抜な設定ながら、ギリギリの状況の中でも恋をする純粋な気持ちを描き出しており、正直感動させられた。この手の週刊誌連載の話題作としては比較的短く終わったほうといえると思うが、それでありながら印象に残るヤマ場がいくつもいくつも思い起こされる。静かに消えていくようなラストもとても美しかった。最後まで丁寧に作られた傑作。
「ハチミツとクローバー」【連載再開】 羽海野チカ [bk1]
ハチミツとクローバー
「ハチミツとクローバー」
羽海野チカ
宝島社「CUTiE comic」の休刊に伴い連載が中断していた本作が、今度は「YOUNG YOU」11月号(集英社)で再開した。本連載の第12回で単行本1巻を紹介したとおり、美大の学生たちの笑いあり恋ありの日常を、ときに楽しく、ときにしっとりと描き出す申し分のない秀作だっただけに、連載再開は非常に喜ばしい。再開後もすでに好調にお話は推移しておりこれからの展開も楽しみ。「CUTiE comic」休刊は残念な事態だったが、「YOUNG YOU」というよりメジャーな雑誌に移籍したことで、この作品がより多くの読者の目に触れるようになった点は不幸中の幸いというべきか。
「どんまい!」【新連載】 作:矢島正雄+画:若狭たけし
どんまい!
「どんまい!」
作:矢島正雄
画:若狭たけし
「スーパージャンプ」10/24 No.21(集英社)から連載スタート。「人間交差点」なども手がける原作者・矢島正雄と、元気者の書道少女の青春漫画「ラブレター」の若狭たけしという、実力派同士の組み合わせだけに期待を持たせる。お話としては新米女性ホームヘルパー・里見優が、真心と体当たり精神で介護業務に当たっていくというもの。老人問題などテーマ的には重たいものがあるが、若狭たけしの絵柄は十分それを読みやすくしてくれている。
「ガガガガ」【新連載】 山下ゆたか
ガガガガ
「ガガガガ」
山下ゆたか
こちらは気合いの入りまくったヤンキーものの描き手・山下ゆたかの新連載。この人はかつて「ノイローゼ・ダンシング」という、これまたハードでアシッドなヤンキーものの作品を描いていたが(講談社・全1巻)、今度の作品も最初っからノーフューチャーな雰囲気が色濃く漂っていて激しい漫画になりそうだ。
「いやしババア」【短期集中連載】 漫・F・画太郎
いやしババア
「いやしババア」
漫・F・画太郎
「ヤングジャンプ」10/25 No.45(集英社)から、全4話構成で集中連載された。ショボくれたオヤジたちをしわしわのババアがお色気サービスで癒す……という物語。といっただけだとなんだかわけがわからんだろうが、そうとしかいいようがないのが画太郎節。相変わらず大胆すぎるくらいのコマ割り、激しい展開に驚かされた。
「少年エスパーねじめ」【読切】 尾玉なみえ
少年エスパーねじめ
「少年エスパーねじめ」
尾玉なみえ
第15回でレポートした「純情パイン」(→bk1)の最新読切。「週刊少年ジャンプ」10/29 No.46(集英社)に掲載。クセのある絵柄と独特の間で、エスパーであるねじめ少年の活躍を描いており、個性的なギャグが炸裂している。ところで筆者のホームページでも触れたのだが、同タイトルで別ペンネームの作品がかつて「エクストラビージャン」1999年12/30号に掲載されたことがあり、これが尾玉なみえのデビュー作なのではないかということが、一時期ネット上で話題になった。確証はないが、筆者もそうではないかと思う。詳しいことは筆者の2001年10/29の日記あたりを参照していただきたい。
「花」【読切】
「ハッピーなエンド」【読切】 志村貴子
花
ハッピーなエンド
「花」
志村貴子
「ハッピーなエンド」
志村貴子
現在「コミックビーム」(エンターブレイン)で「敷居の住人」(→bk1)を好評連載中の志村貴子の読切2本。「花」は「まんがタイムダッシュ!」(まんがタイムスペシャル11月号増刊/芳文社)に掲載された作品。浮気性で妻に呆れられて逃げられた男と、彼が女房を追いかける途上で出くわした超美人のニューハーフのエピソード。大きくお話が動くわけでもないし、何か明確な結論が出されもしないけれど、オシャレな作画としっとりした雰囲気、テンポの良い物語進行などが非常に気持ち良く、面白く読ませる。「ハッピーなエンド」は「麗人」11月号(竹書房)に掲載された作品。こちらはエロ多めのホモ漫画雑誌掲載だが、この作品については雑誌の中でちょっと浮いちゃうくらいにエロシーンは少なめ。片方がホモである双子の兄弟の人間関係の微妙なアヤを楽しく描いていく。どちらの作品も実に語り方が鮮やか。最近は「敷居の住人」のほうも毎回その見事な作画、構成力に感心させられているが、その好調ぶりがこちらの読切でもいかんなく発揮されている。
「西瓜と柘榴」【読切】 今井一志
西瓜と柘榴
「西瓜と柘榴」
今井一志
「アフタヌーン」12月号(講談社)で掲載された新人賞「四季賞」の大賞受賞作。人生やる気なさげなバイト青年が主人公。「植物の種を飲むと体から木が生えてくる」とか冗談を言っていたら、本当に芽が出てきて木が成長していき、主人公そのものが木となっていってしまう。その中で彼に恋していた少女の切ない想いや、それまでやる気なく生きてきた彼の人生に対する自問自答が描かれる。絵は十分うまくてカッコよく、話もまとまっていて読みごたえがあった。意外性という面では弱いかもしれないが、しっかりと自分の作品を描いていける実力の持ち主。今後の登場にも期待したい。◆
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