タニグチリウイチの出没!
TINAMIX

タニグチリウイチの出没!

「官吏は強し、文化は弱し?」

「ムネオ」「ムネオ」とかまびすしい昨今。新聞を開いてもテレビをつけても、鈴木宗男議員にまつわる数々の疑惑を紹介しては、やれ「疑惑のデパート」だの、やれ「ミニ角栄」だのと非難し罵倒しているけれど、国会議員の権限を濫用して官僚を意のままに操っては、私欲を満たそうとしたと見られているのはそれとして、議員の意を汲み国益とかいったものとは関係なしに動いた官僚がいた、ということもまた疑いのない事実。というか、持ちつ持たれつの間柄でそれぞれの利権を追求して来た、という点では同罪といっても過言ではなかったりする訳で、なのに被害者面していけしゃあしゃあと、「ムネオに殴られましたムネオに怒鳴られましたムネオにたかられました」と話している、とかいった話を聞くにつけ、てめえらたたき斬ってやるなんて時代劇のセリフのひとつも吐きたくなって来る。

とにかく今時の役所・官僚・公務員に対する世間の不信感といったら、過去に類をみないくらいに高まっている。外務省のドタバタぶりもさることながら、「狂牛病」の予防で見せた農林水産省に厚生労働省の体たらくとか、神戸であった暴力団の犯罪に対する警察の及び腰がもたらした民間人の死亡事件とか、他にも山ほどの事件が出てきてはその無責任ぶりをつきつける。ジャーナリズムに死をもたらしかねない「個人情報保護法」とか、多様で豊穣な文化を死にいたらしめかねない「青少年有害社会環境対策基本法」なんてものが、知らず役人たちによって作られては知らず成立・施行されようとしている、なんて話が漏れ伝わって来るなかで、役所・官僚・公務員のいったい何を信じろというのか、教えて欲しくなる。

もちろんすべての役人・官僚・役所が国民・市民の害になることをやっている訳ではないし、むしろ大半がその“公僕”ぶりを発揮して、国民・市民の負託に応えようとして、サービスに努めているはずだろう。だから何がなんでも「これだからお上のやることは」なんて言うことは難しい。ただ問題は、そうした頑張りが時に国民市民の願うことからズレていたり、空回りしていたりすること。去年からこの春にかけて、“官製”といえる幾つかのカルチャー、サブカルチャー関連イベントとか、展示会とか表彰式とかが開催されたけど、果たして本当にカルチャー、サブカルチャーのためになっているのかというと、なかなかにいいきれないとこがあって悩ましい。

「夜郎自大・自画自賛」

例えば、というかその最たる例として挙げてみたいのが「インパク」こと「インターネット博覧会。インターネットの普及・促進と、インターネットで提供されるコンテンツの育成・発掘を目的に、2000年の大晦日から2001年の大晦日まで、実に1年間にわたって開催されたネット上のイベントだけど、首相官邸で開催された、1年を通じて最優秀だったサイトを表彰して讃える、栄えある「インパク」パビリオンの年間表彰式の出来事を見るにつけ、やっぱり最後まで“官製”のお貸し下げイベント的なニュアンスが漂っていた。

怪光線すら出そうな予感…
いまどき3Dメガネに感心しているようじゃあ夜郎自大 も仕方ないか(なくない)

年間賞の表彰式で登壇した堺屋太一・内閣顧問の談話からして振るってる。曰く「インパクを実施したことでネットカフェとか出来ました」「2001年中にはISDN以上に進まないといわれていたのにADSLが登場してブロードバンドが広がりました」「ネットの接続料金が下がらないといわれていたのにあっという間に下がりました」、等々。実際のところ去年あたりに増えたネットカフェは、韓国で流行したオンラインゲームを楽しむ「PC房」が日本に普及したものだし、ADSLの普及と接続料金の低下はソフトバンクによる採算を度外視したかのようなADSL事業への参入が大きな要因。「インパク」の影響は正直いって皆無に等しい。

「インパク」最終日の大晦日に「東京国際フォーラム」で開催された打ち上げ的なパーティーでは、終わりも間際になって「批判されることもあるだろうと予想してました」なんて無責任にもいい出した堺屋顧問。インターネット・コンテンツの普及促進という目的の為には、過剰なまでに自信を露にして、「インパク」の先頭で旗を降らざるを得なかった、だから途中の段階で、批判を甘受するとは堺屋さんの口からいえなかったんだと好意的に解釈するにしても、当の批判が一体どこに、そして誰に向けられているのかをまったく理解しないで、釈明しつつも逆批判として返してしまう、その夜郎自大ぶりには参ったというよりほかにない。 

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