タニグチリウイチの出没!
TINAMIX
タニグチリウイチの出没!

「サザエさんだよドラえもんだよ」

おおきな空をながめたら…
東小金井に「ののちゃん通り」「やまだ君通り」は出来るのか?

ヒーローとか映画とか音楽とかより「20世紀」を語る上で個人的にもTINAMIX的にも見過ごせなものがある。それはマンガでありアニメといったサブカルチャー。代表選手にはやはり手塚治虫さんを挙げたいところだけど、東京近郊で「手塚治虫」を感じさせる場所が思いつかなかったこともあって申し訳なく思いつつも「20世紀遺産探訪の旅」からは除外させて頂き、ここでは「鉄腕アトム」より「ジャングル大帝」より広く長く、日本中のあらゆる世代に知れ渡っているマンガでありかつアニメでもある作品を挙げてみたい。その名は。そう「サザエさん」です。

太平洋戦争の終戦から間もない1946年、福岡県で発行されていた「夕刊フクニチ」紙上で連載が始まった長谷川町子さんの「サザエさん」は、49年に「朝日新聞」へと場所を移し、以来74年まで実に25年もの長きにわらって連載されて人気を博した。テレビアニメは69年からフジテレビでスタートして、今も変わらず放映されては25%前後の高い視聴率を誇る長寿にして人気番組になっている。子供たちの憧れの対象という意味では「鉄腕アトム」や「ウルトラマン」の方が上に来ることは仕方がないけれど、日本国民の親しみという意味では「サザエさん」がマンガでありアニメの右筆頭に君臨していると言っても過言ではない。

エースでなくてフラッシュのほう。
あんなことこんなこといいなできたらいいな今すぐに。

対する左筆頭を挙げるとしたら「ドラえもん」が良いだろう。1970年に登場して以来、未来から着たねこ型ロボットがポケットから取り出す不思議なグッズの数々に魅了され、一家に一匹ドラえもんが来る日を夢見て何度勉強机の引き出しの奥をのぞいたことか。夢のような機械が生活を楽しく快適なものにしてくれるなんて「夢の21世紀」への幻想を、日本人の間に受け付けたその責任の一端は確実に「ドラえもん」にある。うん。

現役ぶりは「サザエさん」に負けず劣らずで、連載も続けばアニメも放映されて、いずれも高い人気を誇っている。方や世田谷区の桜新町は「サザエさん通り」に建ち並ぶ「サザエさん」の顔を描いた旗印、こなた開通したばかりの都営地下鉄大江戸線のキャンペーン・キャラクターとして起用された「ドラえもん」のシール。マンガの本やテレビの中を飛び出して、東京のあちらとこちらにその姿を刻んでいる両キャラクターこそ「20世紀遺産」サブカル編の両横綱と言って……。

「やっぱりヤマトが好き」

異議あり、との声が推定1000万の人から上がったのが聞こえたようでひと安心、確かにメジャーではあるものの「サザエさん」「ドラえもん」をコアなサブカル者たちが聖典としてあがめているとは思えない。「宇宙戦艦ヤマト」であり「機動戦士ガンダム」といったアニメこそが「アニメの世紀」を代表する作品に相応しいと言われることに異論はない。「ガンダム」も「エヴァンゲリオン」も含めたおよそSFアニメと言われる作品は、「ヤマト」の大ヒットがあったからこそ生まれたとも言える訳で、こちらを「アニメ20世紀遺産」に挙げたくなる気持は分かる。

みんなその気でいればいい
アニソン20世紀グランプリ決定済、やっぱりカッコ良いなあ

衰えない人気ぶりは、ゲームソフトがベストセラーとなり、流行のタイピングソフトに「ヤマト」の世界を取り入れた製品が登場する状況を見ればよく分かる。ソースネクストから発売された「タイピング波動砲」の発売記念イベントで、ささきいさおさんが「さらば地球よ」と唱い始めた瞬間、ヤマトの進路に一喜一憂した日々、映画館で見た白色彗星帝国と差し違えたヤマトの最後に涙を流した日々を思い出してジンワリ涙が浮かんで来た。観客層の若干のトウの立ち具合が心配だけど、「ヤマト」があって「ガンダム」があって「エヴァンゲリオン」と時代を間に挟みつつもSFアニメでメガヒットが飛びだすたびに、その原点になった「ヤマト」の名前も語り継がれることになるだろう。問題は「エヴァ」以降しばらくメガヒットが出ていないことだけど……。

しかし何より数々の「20世紀遺産」を有する「東京」自体が「20世紀遺産」に相応しい存在なのかもしれない。1923年の関東大震災と1945年の東京大空襲の2回、徹底的に破壊されながらも今なお世界最大規模の都市として威容を誇っている現実を目の当たりにすると、景気がどうとか教育がどうとか政治がどうとかいった細かい話は抜きにして、やっぱり日本人のバイタリティーって凄いとか思ってしまう。>>次頁

page 4/5


==========
ホームに戻る
インデックスに戻る
*
前ページへ
次ページへ