タニグチリウイチの出没!
TINAMIX
タニグチリウイチの出没!

「寅さんは生きている」

いわゆる「ヒーロー」とはちょっとニュアンスが異なるけれど、20世紀の日本映画が生んだ「ゴジラ」に並んで負けない存在感を誇っている「ヒーロー」に「フーテンの寅さん」がいる。産湯をつかった葛飾柴又・帝釈天へと向かう仲見世は、寅さんを演じた渥美清さんが亡くなって新作映画が作られなくなった現在も、草だんごの店が並び寅さんグッズが軒先に並べられて、在りし日をしのぶどころか今なお現役のような人気ぶりをみせている。

生まれも育ちも柴又葛飾
「寅さん」の歴史は松竹の歴史、ってことは松竹も……?

柴又の駅前にトランクを下げた「寅さん」の銅像が立っていて、「そっくりだねえ」とながめる老夫婦もいれば一緒に記念撮影をする若い人もいて、幅広い年齢層にその存在が知れ渡っていたことが分かる。もっとも「ゴジラ」「ウルトラマン」と違って渥美さんそのものだった「寅さん」が、この後新しい作品として復活してくる可能性はおそらくゼロ。良くすれば22世紀にも摩天楼建ち並ぶ東京を破壊しても見劣りのしないよう身長200メートルまで拡大された「ゴジラ」の活躍、タロウまでの6兄弟が懐かしくなる位に増大した100人を超えるファミリーをバックにポーズを取る「ウルトラマン○○」の勇姿を拝めても、「寅さん」はまさしく「20世紀遺産」として語られるだけの存在になってしまうんだろう。

「ヒーローの時代」である20世紀は一方で「ロックの時代」でもあった訳で、音楽の分野から生まれた数々のロックンロール・ヒーローたちが、老若男女を問わず全世界の全人類を歓喜の渦へと叩き込み、興奮の坩堝(るつぼ)へと引きずり込んだ。その代表格を挙げるとしたら、やはり「ザ・ビートルズ」の存在を挙げずにはいられない。活動したのはおよそ10年と短いものの、最近発売されたナンバー1ヒット曲だけをあつめたアルバムがチャートのトップに君臨する、その人気ぶりを見れば「20世紀遺産」音楽編の筆頭にビートルズを置くことに多くの異論はないだろう。林原めぐみでも別にいいけど。

「レノンだって生きている」

ジョン・レノン=アムロ・レイなんですよ!(興奮気味に)
1980年、新聞で射殺の報を見て思ったこと。「レノンって誰?」

どういう訳か埼玉県の新都心なる場所に「ジョン・レノン・ミュージアム」がオープンしたのは2000年10月9日、ジョン・レノンの生誕60周年にあたる日のこと。ビートルズのメンバーでポール・マッカートニーと人気を2分する存在だったジョン・レノンがニューヨークのアパートで射殺されたのが1980年の12月8日。それから20年が経過して、極東の首都圏近郊にオープンした「ジョン・レノン・ミュージアム」には、連日大勢の観客が訪れてジョンが愛用したギター、ジョンが着た衣装、ジョンが妻でアーティストのオノ・ヨーコと過ごしたアパートに置いてあったピアノなどを見物している。

時差も含めればちょうど20年目くらいにあたる2000年12月9日に訪れた「ジョン・レノン・ミュージアム」には、ロビーに大きなジョン・レノンの写真が飾られ前には献花された花束が積み上がって、メモリアルっぽい雰囲気を醸し出していたし、外ではビートルズのコピーバンドがジョンの曲を演奏していて、夜には著名ミュージシャンもライブを行ったとか。「歌は世につれ」なんて言われるけれど、古びるどころか現在も新しいリスナーを続々と生みだしCDの売り上げをチャート上位に押し上げるパワーを保ち続けているビートルズの「新しさ」と「すごさ」の一端を、はるか埼玉(ゴメンね埼玉の人)の地で垣間見ることができた。音楽20世紀遺産、決定。>>次頁

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