出没!
TINAMIX
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所かわって時間もちょっとさかのぼる3月11日に開かれたのが、この「DASACON」に触発されたネット上のステリー・ファンたちが企画した「MYSCON」というイベント。「DASACON」と同様に一晩中旅館にカンヅメになってダベりあうという形式ととっている。勢いで参加するとは言ってはみたものの、居場所の無さに枕を濡らす人に配慮をしてか、「MYSCON」では冒頭に参加者をグループに分けて1時間くらいの間クイズ大会を実施。自己紹介をかねてクイズの答えを考えたり、持ち寄った本を交換し合う企画を行った。

その配慮はとても嬉しい。けれども合同イベントが終わって、分科会も終わってフリートークのセッションに入ると、引っ込み思案は誰彼となく話しかけることができず、見知った人の背中に張り付いて活発な議論を聞くフリをしたり、オークションを背後から眺めて興味がありそうなフリとして時間を過ごすことになる。

ミスコンこちらもプロの人たちが何人か参加はしていたものの、「DASACON」でもそうだったけどお互いに仕事上のつきあいもあるのだろうプロの人たちは固まる傾向があって、そこに一般人はなかなか入り込みづらい。いつかが自分もプロとなって“あちら側”へと入ってやるんだという発憤に繋がれば結構なことだけど、現実そう簡単にプロになれる分けでもなく、羨ましいなあと思いながらも、朝が来るまでを一人悶々としているのであった。

と、ここまで書いて来て、イベントのじゃあ具体的にどんなことがあったのかが分からないという疑問もきっとあるだろうけれど、それは「DASACON」「MYSCON」各ページにある参加者の感想リポートをリンクを辿って読んで下さい、便利なりインターネット。書き添えれば、背後霊でも壁の花でも、イベントがつまらなかったという訳では決して無く、その場にいるという事実は結構、コミュニケーション能力の確保につながっている、ような気がする。

「みんな僕を見てよ」と壁向かって叫んだって返って来るのは自分の声だけ。気にして欲しいのなら気にしてあげなきゃいけない、という当たり前のことを体験するのもキツいが悪いことじゃない。臆さずに声をかけること。じゃあお前できるのかって?それはまあそのうちに。

ニフコン!(notニフ婚)オマケは4月22日に老舗のネットコワーク・ミュニティ「@nifty」(旧ニフティ・サーブ)が熱海の温泉を借り切って開いた「アット・ニフティ・コンベンソン2000」。多々あるフォーラムの人たちが一堂に会して、夜通しどんちゃんと騒ごうという壮大な構想の下に計画されたイベントで、普段から「オフ会」と称して会っているような人たちばかりということもあって、アットホームな雰囲気が全館に漂うイベントになっていた。

こちらは最初から取材者としての参加だったから「仲良くならなきゃ」「話しかけなきゃ」といったプレッシャーとは無縁。何故か参加していた声優の神谷明さんの顔を見つつ、だから声優なのかと思ったけれど口には出さない。

オワタタタタタタタタタタタオワタァ!!!集まった面々を見ると、お互い気心も知れた間柄らしく、和気あいあいとして確かに雰囲気は良いんだけれど、その分全体に年齢層が高いように見えた。これはどういう状況なんだろうか。インターネットが登場して、自分でホームページ作った人が同好の士でコミュニティを形成するようになったり、掲示板に集まる人たちがオフ会を開くようになって来て、わざわざニフティのフォーラムに参加して、仲間になろうという人が少なくなっているのだろうか。

個人的な印象で言えば、フォーラムはあれで書き込みをはじめるまでになかなか精神的な敷居が気になる場所で、作法にのっとって書き込んで仲間と認められていくまでに、結構な時間と気持ちの高揚が必要になるんじゃないかと考えてしまう。方や自発的に好き勝手を書いても誰からもたしなめられないホームページの世界。そこに集まって来てくれるのは、少なくとも自分に関心を持っている人だから、仲間に入れて下さいと頑張る必要はない。

誰もが簡単にメールアドレスを持てる時代に、ネットをやるならまず「ニフティ」(あるいは「PC-VAN」)といった意識が薄れるのも当然で、そこにある「フォーラム」に入らなくてはならないという動機も存在しない。かくして平均年齢は上がって行くという寸法。もっともその分結束は固いようで、600人が集まったコンベンションのパーティー会場でも、集団ごとに和やかに、事あれば踊り出すくらいに内輪な雰囲気にあふれていて、あちら側にいければ気分も楽だろうにと思いつつも、そうはなれない過剰な自意識に身を苛まれ、それでも懲りずにイベントへと、出没道家元は潜り込むのであった。強くなろう。

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