No.993247

愛しいひとへ。物語編-嫉妬-

炎華さん

物語風にしてみました。

2019-05-16 14:08:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:443   閲覧ユーザー数:443

「俺、好きなひとがいたんだ。

いや、今も好きなんだ。」

 

「そのひとも、俺を好きだって言ってくれてた。

嬉しかった。

有頂天だった。

すごく、幸せだった。

毎日、そのひとと話すのが楽しかったんだ。」

 

「でも、なんだかだんだんそっけなくなって、

そのひとからは、話しかけてもくれなくなった。」

 

「俺から話しかけても、返事が遅いんだよ。

ずっと、ずっと待たされて。

やっときたと思ったら、たった一言だけ、『うん』とか『へぇ』とかなんだ。

それはないと思うだろう?」

 

「しびれをきらして、どういうことか訊いたんだ。

そうしたら、

貴方のことが好きじゃなくなったから、もう話しかけないで、と。

そのときだけ、やたら返事が早いんだよ。

笑っちゃうよな。」

 

「なんでだかわからなかった。

あんなに俺のことが好きだって言ってくれてたのに。

なのに、

なんでそこまで俺を拒否するのか。

見当もつかなかった。」

 

「でも、やっとわかったんだ。

あいつが・・

あいつが、割り込んできたんだよ。

最初は2人だけで話してたんだけど、あいつが割り込んできて、

3人で話すようになって、

あのひとは、あいつのことが好きになったんだ。」

 

「俺は、気の利いたことも言えないし、

あいつみたいに、上手く立ち回れない。

だから、あのひとはあいつの方が好きになったんだ。」

 

「今も、あのひとが好きだ。

だから、あいつのIDが点灯していると、

ああ、また2人で話してる。

2人して、俺のことを笑ってる。

いつまでもあのひとのことを忘れられない俺を、

2人して『きもい』と言ってる。

そして、2人で楽しそうに恋人同士のように、

『愛してる』とか『好きだ』とか言ってるんだ。

俺に言ったように。」

 

「そんな風に考えると、嫉妬で体中がいっぱいになる。

怒りが沸いてくる。

殺意さえ感じることもある。

自分を抑えるのがやっとだ。」

 

「でも、だいぶ、それもおさまってきたよ。

今は哀しみと空虚を感じるだけだ。」

 

 

「・・・炎華。」

 

「お前、

それを聞いても更に、俺を『好きな子がいるんだけど。』なんて言えるのか?

拒否されて、あのひとが俺を嫌いだって言ってると聞いて、

心の中の『誰かを好きになる』という部分がすっぽり抜け落ちた俺に?」

 

「誰かを好きになるのが、すごく怖くなったんだ。

怖いんだよ。

好きだって言われて、そのひとを好きになったとしても、

また、嫌いだって言われて去っていかれるかもと思うと。」

 

「またこんな思いをするくらいなら、誰も愛さなくていいし、

誰にも愛されなくていい。」

 

「・・それはそうだろう。

その子とあのひとは違うだろう。

でも、その子が俺を一生好きでいてくれる保証はどこにあるんだ?

またその子が離れていったら、お前どうしてくれる気だ?

責任とってくれるのか?」

 

「ほら、みろ。

困るだろう?

だから、そういうことに関してはもう放っておいてくれ。

そして、二度と口に出さないでくれ。」

 

「それより・・

まだあいつ、起きてるのか。

何をやってるんだろう?

・・・また2人だけであのひとと話してるんだろうか。」

 


 
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