ルークの記憶が消えてしまったので、家には帰らずにアーク邸にある昔の自分の部屋でルークは泊まる事になりました。赤ん坊のゲイザーの事も忘れてしまってるようです。
「せっかく一千万ジェニーもする新居を買ったのに無意味ね…」
「僕の部屋のクローゼットになぜか女物の服がたくさんあるんだけど」
「それはあなたが買ったものよ?性転換魔法で女の子になった事があって」
「全然覚えてない…。なんで僕がそんな事を?あの赤ん坊もなんでおじさんと同じ名前なの。て言うか僕に弟なんかいたっけ」
「あれは弟じゃなくてあなたの息子よ?おじさんが死んだ日にお腹に宿ったみたいで、おじさんの魂を受け継いでるの…」
「僕に息子がいたなんて…。結婚もしてないのに」
「結婚はしてたのよ?確かおじさんの描いたウエディングドレスを着たローラの絵が、あなたの家にあったはずだわ」
「おじさんの事は覚えてるんだけど、ローラって子の事は覚えてないなぁ」
「十五年間、おじさんの家で一緒に暮らしてた事は覚えてるのよね?」
「うん、おじさんの家にいた事は覚えてるけどスッポリ記憶が抜け落ちてて、思い出そうとすると頭痛が激しくなる」
「ゲイザーの事はどうするつもりだったのよ?ローラの記憶は戻らないし、ルークまで記憶が消えたら、ゲイザーは孤児になっちゃうじゃない!本当にアークと同じで頭良い癖にバカね」
「魅了の術の仕組みは知ってるから、僕の記憶から不自然に抜け落ちてるローラって子は、記憶を失う前の僕が最も愛していた存在なのだろうね?」
「まあリリーはゲイザーが帰っちゃうと御機嫌斜めになるから、しばらくは預かるけど。記憶が戻ったらちゃんと引き取ってね?」
リリーはご機嫌でゲイザーと手を繋いで、仲良く寄り添っています。
「この二人を見てるとなぜかデジャヴを感じるよ」
「リリーがゲイザーにしてるみたいに、ルークもローラの手を離さなかったのよね」
「リリーとゲイザーは血の繋がりがあるから、結婚は出来ないよね?」
「そうね、ルークもローラとは親戚同士だから結婚は出来なかったんだけど、私とおじさんが離縁する書類にサインしたから、他人同士になったのよ。血の繋がりもなかったし」
「もしその事を知ったらリリーは大きくなった時に苦しむだろうね…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第339話。