No.985185

夜摩天料理始末 43

野良さん

式姫の庭、二次創作小説です。
間隔を空けすぎた感はありますが、料理始末、エンディングに向けて再開です。

前話:http://www.tinami.com/view/948680

2019-02-24 21:02:30 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:710   閲覧ユーザー数:699

 剣の打合う、高く澄んだ音が立て続けに響く。

「えらい事になっとるのう」

「貴方の想像以上に……ですけどね」

 一通り呪を唱え終わった陰陽師が、ぼそりと答えた。

「何じゃと?」

「あの石は、とんでもない力が有るんですよ……人間だった私が、妖に変じて、式姫九人を相手に戦えた程にね」

 私が陰陽道に達していた事や、殺生石四つの力を束ねた妖だった事を考えれば、多少は割り引いて考える必要もあろうが、冥王の一人の姿を変容させたとなると、元が強大な存在だけに、その力は想像もつかない。

「幸い、今はまだ、上手にその力を使えて居ないようですがね。あの石は憑りついた相手の体や力に馴染むにしたがって、宿主に絶大な力を与えます」

 まぁ、力と同時に、更なる歪みと狂気と殺戮衝動も付いて来ますがね。

「……式姫九人か」

 領主が、式姫に襲われた時の、悪夢のような光景を思い出す。

 彼の城、人の軍勢ならば、万と押し寄せようが一月は保たせられる程に堅固極まるそれを、数人で一刻要さずに半壊させた連中。

 それを九人相手取って戦える妖とは、人である彼にはもはや想像の外にいる存在である。

 やりきれんという顔で、彼は首を横に振った。

「やれやれ、とんでもない話じゃな」

「そう、とんでもないんですよ」

 たが、と彼は目を、横たわる男に向けた。

 とんでもないというなら、こちらも全く負けてはいない。

 肩を竦めて、陰陽師は周囲を見渡した。

 その姿を見て、領主は陰陽師の肩をつついた。

「おい、逃げるなら、わしも連れて行け」

「逃げる……ねぇ」

 陰陽師は、領主の、ある意味健康的な言い種に微苦笑しながら肩を竦めた。

「逃げ先のアテがあるなら良いんですが、さしもの私も、冥府では土地不案内も極まります」

 こんな所で迷子になったら、転生も叶わず、永劫にここを彷徨う羽目になるやもしれません。

 さて、何処に逃げれば良い事やら。

「ああもう、判ったわい、ここに居ればいいんじゃろ。それじゃ、お主は何をイタチみたいに首を左右に振っとるんじゃ」

 イタチみたいとは、これから最後っ屁をやらかしに行こうという私に対して、言い得て妙な。

 やはりこの御仁は中々に面白い。

「この殺伐とした部屋で、文雅の残り香を探してただけですよ……ああ、有った」

 今は無人となった、冥府の裁判官達の座していた場所に求めるそれを見出して、更に視線を廷内に巡らす。

 閻魔が辛うじて、都市王の猛攻を凌ぐ様をちらりと見て、陰陽師は領主に顔を向けた。

「ここも安全では無さそうです。もし、五体満足に転生したいなら、彼の体と一緒に、安全な場所まで避難してて下さい、良いですか、絶対に彼の体も守ってくださいよ、私たちの命綱みたいな物ですから」

「何か釈然とせんが、まぁ良い、判った……で、お主は?」

「私は、泥棒に」

 冥府の法廷内にて、更に窃盗の罪を重ねます事は、平にお許しを。

 何か言いかけた領主の機先を制するように、陰陽師はふっとその姿を消した。

「な!」

「しーっ!ちょっとした隠形術の一つですよ、大声出さないでください」

 あの剣に真っ二つにされたいなら幾ら騒いでも良いですけど。

 その言葉に、息まで詰める領主の姿を愉快そうに見てから、陰陽師は表情を真面目な物に改めた。

 冥府でも、私の術が使えた。

 この男を依代として、現世の力と理を引き出し、その余力を借りて、私の力が使えた。

 今、この男は、あの世とこの世を繋ぐ、一つの、細い細い道になっている。

 やはり、この男は……そうなのか。

 眠る様に横たわる男に、羨望とも同情とも付かない、何とも言えない視線を落とし、陰陽師は、領主の耳元で囁いた。

「どうやらこの男の魂は、まだ現世との縁が切れていないようです」

「この有様でか?」

「この男はね、人ではありますが、同時に天柱樹そのものなのですよ」

 天を支える柱にして、地に深く根を張る大樹。

 人の願いを集め、大地から力を無限に受け取り、それを世界に注ぐ要の存在。

 その言葉に続き、僅かにため息が混じる。

 自分が施した呪はごく簡単な物。

 本来なら、世界との縁の力を強めるだけの、お守りみたいなものだ。

 だが、細く繋いだだけの縁の力が、今この男の滅びを辛うじて防いでいる。

 そして、その力の余禄を借りて、私は簡単だが自分の術を、この冥府で使う事が出来た。

 そして同時に、私は、彼の力の一端に触れて、初めて、この男の事を。

 式姫の庭の主というのが、いかなる存在なのかを理解できた。

 あれほどの式姫を従えるというのは、人望とは別に、絶大な力が必要となる。

 あの庭の後継ぎとして生まれ、その庭に存在していた天柱樹の力を求めてやって来た式姫に頼られるようになった。

 この男を、ただそれだけの……運だけの男と思っていたが、それは大いなる誤りであった。

 彼はあの力を得るために、何という過酷な道を選んだのか。

 その果てには富も名誉も栄光も何もない……ただ、その命を世界に捧げるだけの道を。

 それを見て、知り……私は正直、この男の覚悟に圧倒された。

 

「天柱樹?何を言うておるんじゃ、お主は」

「貴方に解りやすく端的に言えば、彼はまだ、滅びてはいないという事です」

 そう。

「天柱樹の主とは、簡単に死なせて貰えるような、幸せな人間ではないらしいので……ね」

 その低い呟きの後、領主の傍らに有った微かな気配が、遠ざかる。

「一体、何を言うとるんじゃ……」

 簡単に死ねんというなら、良い事じゃろうがよ。

 何人の偉大な皇帝や王が不老長寿を望みながら、その悉くが失敗したと思っておるんじゃ。

「どやつもこやつも、訳の判らん事を言いよって、全く」

 ぶつくさ言いながらも、領主は廷内の大きな柱の陰に目を付け、その物陰に、男の体を引き摺りながら駆け出した。

「ええい、死んでるか、生きてるか知らんが、少しはわしに恩義を感じろよ、小僧!」

 身を押し包むような力を感じた時には、既に、藻の体は、その力に囚われていた。

 何じゃ、これは。

 発した筈の声が聞こえない事に、藻は当惑した。

 その藻の後ろで、妙な音が響く。

 ナァンジャ、コレハァ?

 それは、自分が発した声。

 その声が、どこか歪んだ戯画的な響きを伴い、自分の後ろの辺りから聞こえる。

 空間が歪んでいる。

 周囲に視線を向けると、眼下にしていた、燃え盛る館の光景が、薄い布を幾重にも重ねたように遠い。

 その光景から、己の身を押し包んだ力の正体を悟った藻の目が、きりきりと吊り上がる。

(おのれ、小賢しや)

 八卦の迷陣。

 界を結び、この世にしてこの世に非ざる空間を作り上げ、世界から区切る結界の一種。

 あの天狗の得意とする、数多の人や魔や妖を翻弄してきた、陣術。

「ぬぅ……」

 藻は目を凝らし、その陣に流れる気の流れと力を探った。

 複雑に入り組む天地の気を読み解いていく。

 こういう陣は、極めて堅固な物だが、同時にその陣を破る、無力化する、抜け出す、そんな法も同時に内包している。

 陰陽に基づく術はそういう物。

 滅びだけ、繁栄だけの力は存在しない。

 滅びには再生が、繁栄には衰退が、その術の中に表裏となって練り込まれる。

 それは、如何なる天狗、大仙、そして藻のような大妖怪でも覆せない、世界の掟のような物。

 無論そういう弱点は、術を仕掛けた本人しか判らない秘奥の話だが、術に達した存在、例えば藻ならば、時間と力を使えば、それを見破る事もできる。

 だが、あの大天狗の編み上げた陣ともなれば、それを妨害する数多の欺瞞が含まれている。

 いわば、術者としての力量勝負、そして、あの大天狗相手では、いかな大妖狐たる彼女にも容易い戦では無い。

 

 とはいえ……だ。

 

 このような堅固な陣に取り込まれたというのに、藻はニタリと笑みを浮かべた。

 これだけの護りの力が在るという事は、やはりここに奴が……この庭の、そして式姫達の主は居るのだ。

 絶大な力で、妖怪の侵入を阻んできた庭の中に、これだけの堅固な陣を築く必要は、本来無い。

 つまり、この陣は、あの大天狗が、今のような万一の事態に備えて、この庭に施した最後の防御。

 いかな、あの大天狗であれ、これだけの力を秘めた陣を幾つも設置できる物では無い。

 彼女らは、切り札を切ったのだ。

 逆に言えば、彼女たちに、もう余力は無い、これが最後の時間稼ぎ。

 その間に、外に展開させた式姫達が戻ってくる事を期待しているのか、それとも他の目論見が在るかは知らぬが。

 ならば、それより早くこの陣さえ破ってしまえば。

「妾の勝ちじゃ、式姫ども」

 遠い。

 

 ほんの目と鼻の先だと言うのに。

 自分たちの足や翼を以てすれば、一瞬の筈の距離が。

 今は、何と遠い。

 そして、何も出来ないままに、一番守りたい場所が、目の前で、おどろに猛る炎に包まれていく。

 木が爆ぜ、館が崩れる音が響き、火の粉が夜空に舞い上がる。

 その様を見て、狗賓が呻いた。

「……燃えてしまう」

 その呻きが耳に届いた何人かの式姫が、同じような悔しげな表情を浮かべる。

 狗賓が口にしなかった、その後に続いた言葉が、彼女たちの胸にも去来していた。

(無くなってしまう……私たちの家が)

 目指す場所は一つだったためか、数人単位で各所に散開していた式姫達だったが、各々が庭に近づくにつれて、自然と集結する形となっていた。

 だが、彼女たちが集結するという事は、藻が彼女たちの足止めに放った、狂える金色の獣の群れもまた、一か所に群がる事となる。

 彼女たちと庭を隔てる、殺意と憎悪だけを植え付けられて、この世に生み出された金色の獣の群れが、壁となって彼女たちの前に、立ちふさがる。

 

「クソッタレが、なんつう数だよ!」

「うがー、こうぎゅーぎゅーだと突撃も出来ないッスー!」

 先頭を走る悪鬼の斧も、狛犬の槍も、どれ程の敵を屠ればそうなるのかわからない程に、柄まで返り血でべっとり濡れている。

 当然、前線で遣り合ってきた彼女達も無傷ではない。

 腕や足に生々しい傷が走り、痛々しい痣があちこちに浮かぶ。

 天女や織姫たちが、こちらも必死で癒しや護りの力で支援はしているが、それが追いつかない。

 術を得意とする天狗達も、立て続けに放った炎や雷、颶風によって、疲弊しきっている。

 あの大妖の分身との戦いは、容易い物では無いのは当然。

 だがそれ以上に。

 誰も口にしないが、主との繋がりが、かってない程に希薄になっている事が、本来はもっと強大である筈の、彼女たち式姫の力を大きく殺いでいた。

 彼の存在が、それと判るほどに世界から薄れていく。

 それが……彼女たちには判ってしまう。

 お終いなのか。

 私たちの戦いも、あの人の望みも。

 それを口にした瞬間に、全て崩れてしまいそうで。

 その思いの狭間で、皆それでも懸命に、彼女たちの帰る場所を目指して、それぞれの得物を振るっていた。

 

 激越な戦いに耐えきれず、金色の獣に叩き付けた悪鬼の斧の刃が砕ける。

 狛犬の槍が、至近距離に迫った獣を殴り飛ばした拍子に、半ばから折れる。

 その隙を突いて、悪鬼と狛犬が阻んでいた獣が後ろにいた天狗に殺到した。

「あぶねぇ、天狗!」

「心配は無用ですわ!」

 すぅっと呼気を鎮め、羽団扇の一閃と共に術を放つ。

「陰爪旋風!」

 敵にそよりと吹き付けた風が、豪と唸りを上げる。

 襲い掛かろうとした獣を暴風が吹き飛ばし、その風の間に、真空の刃が無数に閃く。

 天狗の放った術が、獣を纏めて切り裂き、その絶叫と肉片と血飛沫を風の中に吹き散らす。

 だが、味方の死など……いや、己の死すら、この獣たちは頓着しない。

 その死の風の中に、寧ろ自ら飛び込み、己の命で術を弱めていく。

 何という悍ましい戦いぶりか。

 あの大妖狐の存在の在り様を映したような、命への冒涜に満ちた戦い方。

 黒く渦巻く、天狗の術が生み出した魔の暴風が弱まる。

「……外道が」

 その弱まった風を突き抜け、金色の獣が何頭も天狗に殺到する。

(ここで滅べば……私の魂はかくりよに還るんですわね)

 かつて、旧主である、こうめの祖父を、戦で喪った時の記憶が、あの時の心の痛みがよみがえる。

 今また、同じ思いをする位なら。

 この魂と共に、全てをかくりよの忘却の淵に落とすのも……あながちに悪い話では。

 そんな思いが、ふと脳裏をよぎる。

 その一瞬の想念が、避けるか、それとも更なる術で迎え討つか、その一瞬の判断を遅らせた。

「しまっ!」

 慌てて羽団扇を掲げる。

 呪を口の中で唱え、羽団扇を振りかぶる。

 だが、一瞬遅い。

 生臭く、熱い野獣の息さえ感じられる程に、鋭い牙が迫る。

 天狗は慌てて地に身を投げ出した。

 辛うじて牙は躱した、だが彼女を追うように振るわれた鋭い爪に引き裂かれ、天狗の白い腕や背中に紅い筋が走り、純白の羽根が辺りに舞う。

 背中を走る灼熱感と痛みを、声を上げずに天狗は堪えた。

 何とか致命の一撃は避けた、だが、もう次はない。

 ……駄目か。

 

 倒れた天狗に、着地した獣が再び襲い掛かる。

 その一団が、いきなり彼女の視界から消え失せた。

「……え?」

 姿を消した獣の代わりに、彼女の視界の中に現れたのは、刃が砕け、鉄の板のようになってしまった斧を振り切った悪鬼の顔。

 凄まじいまでの膂力を示し、獣を悲鳴すら上げる暇も与えずに三匹纏めて横なぎの一撃で吹き飛ばした悪鬼が、吼えるような声と共に、返す斧の一撃を更に殺到する獣の群れに叩き付け、その金色の体を拉ぎ、砕き散らした。

「うおーーー、スキマが出来ればこっちの物ッス!突撃ッスーーー!」

 天狗と悪鬼の攻撃で生じた間隙に、折れた槍を二刀流のように構えた狛犬が突っ込み、突進の勢いを乗せ、獣の群れを薙ぎ払い、その間隙を狗賓や邪鬼達が更に押し広げる。

 

 戦場に刹那の静寂が訪れた。

 殺意に満ちた喧噪すら遠い。

 

「……助かりましたわ」

 地面に倒れ、こちらを見上げる天狗を、だが悪鬼は助け起こそうとせず、鼻を鳴らして、強い視線を向けた。

「おい、腑抜けてんじゃねぇぞ、トリ」

「な、何ですって」

 何か言い返そうとした天狗の目を、悪鬼の険しく鋭い目が睨み返した。

「お前、一瞬だけど諦めただろ」

 血の色を浮かし、炎のように見える眼光に、悪鬼の本気の怒りが透けて見えた。

「それは……」

「ししょーは死んでねぇ」

 ……いや、と悪鬼は強く頭を振った。

「あたしが死なせねぇ!」

 ししょーはまだここに、あたしらのここに居る。

 悪鬼が、どんと音高く胸を叩いた。

 今にも絶えてしまいそうな、ちぎれる寸前の細い糸。

 でも、まだ繋がっている。

「お前だって感じてるだろうが、天狗!」

「……悪鬼」

 悪鬼が、険しいままなのに、どこか泣きそうな顔で。

「繋がってるなら……まだこっちに帰って来られるだろ」

 あくまで、可能性だけなら、そういう事もあるだろう。

 だが、天狗のように、術に達した存在程、彼の魂の死を『理解』できる。

 輪廻の輪に従い他の存在へと転生したか、余り無い事だが、魂その物が滅びたかは判らないが……。

 いずれにせよ、彼女たちの主としての人格含め、あの魂は、この世界から消えたのだ。

 では、何故、滅んだはずの彼との縁が、今でも残っているかは謎だが、彼と、封印の大樹の持っていた絶大な力の残り火が見せる、幻のような物だろうと天狗は思っている。

 その人の『個』が消滅した魂が、蘇り、現世に戻って来た事など、この世に例のない事。

(例の無い事……か)

 天狗の口元に、ふっと微かな笑みが浮かんだ。

「そうですわね」

 考えてみれば、自分たちの戦いその物が、この世に例のない、不可能に対する挑戦だったではないか。

 神々が施していた、大地の力その物である龍の封印を、人と式姫の手で作り直すなどという……不遜極まる難事。

 それでも、自分たちは、ここまで来た。

 諦めずに、一歩一歩、地面を己の流した血と汗とで踏み固めるような、遅々たる、だが確かな歩みを進めて。

 だから、もしかしたら。

 この、彼の命の残り火のような力を手繰れば、その先に。

「そういう事も、あるのかもしれませんわね」

 その言葉に頷いて、悪鬼が、天狗に ー主と共に歩んできた戦友にー 手を伸ばした。

「だったらよ、あたしらが生きてなきゃ、ししょーをこっちに引っ張る奴が居なくなるだろうが」

「……引っ張る」

 そう……帰ってくるのを待つのではなく、あの方が、ずっと私たちの戦いを支えてくれたように、今度は私たちが。

 天狗は手を伸ばし、悪鬼の力強い手を取って、立ち上がった。

 こうして、手を伸ばしてくれる人がいるならば、呼ぶ人が居るならば、願う人が居るならば、彼はそれを取って、再び立ち上がって来てくれる……そんな気がする。

 

 あの人には、そんな所がある。

 自分の為には動かないけど、彼の大事な人たちの為には、時に途方も無い無理と無茶を通して、応えてくれる。

 ……そんな所が。

 

「バカ悪鬼にしては、悪くない考えですわ」

「へっ、言ってろ」

 二人が前を向く。

 無数の獣の作る壁をこじ開けようとする、仲間達の姿が見える。

 その先に在る、彼女たちの帰る場所を目指して。

「ぶっ飛ばすのは、こいつらの後にしてやらぁ」

「ふん、その力が残ってれば良いですわね」

「お前こそな、あたしを殴り返せる力は残しとけよ、スカシ天狗」

「それは常に残してありますわよ、バカ悪鬼」

 にやりと、不敵な笑みを交わし、二人はそれぞれの得物を構えた。

 


 
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