ブティポンは外交部の事務員だ。

ブティポンは、ふだんさほど重要な意志決定に携わることはないのだが、室長と同様にピアノを弾くことを趣味とし結果的に室長の友人であった。

室長は仕事で迷ったときにしばしばブティポンとピアノの話をする。

それはごくありきたりなゴシップや噂話程度だったが、室長などにとっては精神衛生上重要だった。

ブティポンは惑星オールドルナの首都西区に住んでいた。生粋のオールドルナ人ではなく、惑星ソルムノヴィエから室長が選抜した人物だった。

室長そのものもまた銀河中央ユニオンからの出身だ。

中央政府の外交部は銀河中央ユニオンやアルコルなどとの交渉に銀河中央ユニオンの人材を選んだのである。