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SAO~黒を冠する戦士たち~ 英雄外伝 第28話 ゼウスとクラディール

グルメ96さん

どうも、グルメです。
最近どうも小説の筆が進まない日々を送っています。ゲームやアニメで何か新しい発表があれば、興奮して何故かやる気が起きるのですけどね………と言っても最近KH3の最新映像を見て興奮気味ですけどね。映像が綺麗になってゼウスのモデルのシグバールやルクソードがお前誰やねん状態です。(褒め言葉)
さて、今回のお話しはゼウスが生前のクラディールに接触を行います。いったい何を話したのでしょうか……。

それではどうぞ。

2018-06-14 22:33:34 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:737   閲覧ユーザー数:733

 

 

 

第28話 ゼウスとクラディール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここ第19層主街区‘’ラーベルク‘’は活気がない街だ。街並みこそ綺麗だが街はどこも扉を閉め、プレイヤーどころかNPCすら歩いていないゴーストタウンのような所だ。おまけに今は天気が悪く、靄がまだ晴れずにいてさらに不気味さを引き出せるのだった。

そんな街を一人歩いている人物がいた、KoBの制服を着ている男性クラディールだ。クラディールはこの街の宿を下宿しており、今そこから出たばかりだった。

 

「…………。」

 

クラディールは誰もいない大通りを黙々と歩いていた。この後第55層の迷宮前に向かいそこにいるであろう‘黒の魔剣士‘にこれまでの自分の行いを謝罪してから黒の魔剣士と一緒にKoBの訓練に参加する予定だが…。

彼にはもう一つの別の目的があった。

 

「…………(ニタァ)」

 

ふと笑みを浮かべるクラディール、目的のことを思うと自然に笑いが込みあがってくるのだ。もうすぐだ、もうすぐ、忌々しい‘’アイツ‘’を消すことが出来る。そして、あの女も俺の手に…………そんなことを考えていると笑いなど止めることなど出来なかった。それにこの街ラーベルクはプレイヤーどころかNPCもいない、いわばゴーストタウンのような街、今見る限り自分の周りに誰もいない…止める必要もないだろうと思っていた矢先だった。

 

「何ニヤニヤしてるんだ? いいことでもあったのか?」

 

「!! なっ………お前は、ゼウス!?」

 

「よぅ。」

 

ふと声がしたので右側を見ると建物の壁にもたれている男、ゼウスがいた。

 

「何故、お前がここに……。」

 

「俺は神出鬼没の自由奔放でね、ここにいてもおかしくないだろ?」

 

予想外の人物に驚きつつ内心、顔に出ていた不敵な笑みを見られたことに焦るクラディール。それを知ってか知らずかゼウスは話しを続けた。

 

「ところでさ、これからKoBの訓練に行くのだろ? よかったら俺も連れていってくれないか?」

 

「はぁ?」

 

何を言い出すのかと思えばこの男ゼウスは、KoBの訓練に自分も参加したいと言い始めた。いったい何処からその情報を仕入れてきたのかも気になるが、もし、この男を今連れて行けば計画通り事を運ぶどころか進行すら難しくなることはクラディールの目にも見えていた。よって、クラディールの答えは……

 

「お前のようなヘラヘラした男など連れて行けるか!」

 

「ええぇ~そこを何とか、ねっ!」

 

そう言ってゼウスはクラディールの前に立ち両手を合わせて、するすりしながらお願いをするのだった。

 

「無理なものは無理だ。それよりもお前、何故訓練に参加したいと急に言い出すのだ?」

 

訓練に連れて行けないことをはっきり言いつつ、ふと急に訓練に参加したいというゼウスに疑問を感じるのだった。

 

「う~ん、何となく? 面白そうかな…と思って。」

 

「なっ!? 訓練は遊びじゃあないんだぞ! 子供か、お前の発想は!」

 

ゼウスが参加したい理由が自分の気まぐれであり、ただ面白そうだから、という理由に思わず声を張り上げて激昂した。それに対してゼウスは自分の言葉に悪びれる様子もなくこう言った。

 

「生憎、俺はどんなことでも楽しく面白くやるのがモットーでね。」

 

「それに…」と前置きするゼウスだが……

 

「子供でもいいじゃあねぇか……常に人を殺めることしか知らなかった‘昔の自分’よりずっといいさ…。」

 

「……ッ!?」

 

一瞬身体に寒気が流れるような感じがした。初めて会ったその別れ際に感じたものより、はるかに上回る寒気に二、三歩身を引くクラディール。ヘラヘラしていたゼウスの様子が一変して急に冷めたものに変わったのだ。その姿は無表情であり何の感情も感じられなかった、例えるなら表情を変えない冷酷な殺人鬼に対峙しているような感覚であり、グラディールは恐怖を感じるのだった。

 

「…………。」

 

「…………ッ(ブルッ)。」

 

ゼウスは一言も発することなくクラディールを見続け、クラディールもまた恐怖で動くことが出来ずゼウスの顔を見続けることしか出来なかった。

お互いが顔を見続けて数分後、ゼウスは「はぁ~」とため息をついた。その表情はいつもの表情に変わっており、恐怖も感じられなかった。

 

「わかったよ。訓練に参加するのは諦める。」

 

「フン…元から連れて行く気など、毛頭ない。」

 

クラディールは吐き捨てるようにそう言うとゼウスを追い越して行った。ゼウスもクラディールに振り向くことなくただ正面を見ているのだった。そして、クラディールがゼウスを追い越して5、6歩離れた時、

 

「グラディール。」

 

ゼウスがそう言うと自然にクラディールの足が止まった。そして、振り向くことなくゼウスの話しを聞いた。

 

「お前が何しようが勝手だが…ちゃんと覚悟は出来ているんだろうな? 何かをするにあたって覚悟は必要不可欠、それを持ってないとお前………………後悔するぞ自分自身に。」

 

「………………馬鹿馬鹿しい。」

 

数秒間黙っていた後、最後に小さく愚痴をこぼすと再び歩き出してゼウスの元から去っていった。顔を見ていないので最後にどのような表情で聞き、どんな思いでいたかはゼウスにも分からなかった。

 

 

 

「エド…また盗み聞きか? この場所を伝えた覚えはないんだけどな~。」

 

「…………お前のことだ、どうせこんなことだろうと思っていたさ。」

 

ゼウスの後ろにある路地の入口から現れたエド、どうやらさっきのやり取りを見ており、そして、このような行動を起こすのも予測済みだったようだ。

 

「良いのか? このまま行かせて……グラディール(アイツ)、本当にやりかねないぞ。」

 

「………。」

 

「昨日も言ったが今アイツを失えば格段に攻略組の士気が下がるぞ。」

 

「…………。」

 

エドはクラディールの危険性を訴えるも、ゼウスは聞いていないのか何も反応を示さなかった。

 

「おい、ゼウス。聞いている「なぁ、エド」…………。」

 

いきなり言葉を発したゼウスに言おうとしていた言葉を止めたエド、そこからゼウスはゆっくりと話し出した。

 

「俺は…………俺は昔、意思を持つことがなかった………いや、意思という言葉すら知らなかった。」

 

「…………。」

 

「だが、‘彼女’に出会って…色々なことを知り、‘心’も‘感情’も得ることが出来た。そして、最後に約束もしたんだ…………『他者の意思を尊重し、自分の意思を持って…強く生きて』って…。」

 

そう言ってそこで区切り一息入れて、また話し始めた。

 

「だからかなぁ………もしここでクラディール(アイツ)を止めるようなことをしたらアイツの意思を尊重していないことになるんじゃあないかなと思って………だから、ここは考えてついて行こうと思ったんだよ。」

 

「なるほど、少なくとも好きな行動は出来ない…牽制にはなるな。」

 

「ああ。最もそれも含めてアイツとはもっと仲良くなりたかったけどな……結局は失敗だ。」

 

どこか自嘲気味に笑うゼウス。今のゼウスを見ると普段の姿から想像も出来ない程、どこか弱々しく、自分の無力さを痛感するような姿に見えた。

そして、一言ゼウスはエドに問いかけた。

 

「エド……俺は………俺はどうしたらよかったのだろうな。」

 

どこか、弱々しい声で話すゼウス。エドはそれを聞いて少し黙りこんだ後、すぐに口をひらいた。

 

「知るか…………自分考えろ。答えはいつも‘自分で導き出すもの’だ。」

 

吐き捨てるようにそう言うとゼウスの元から去って行った。取り残されたゼウスはその場で佇んでいた。

 

「‘自分で導き出すもの’………か。」

 

そう呟いて空を見上げた。空は晴れることなく曇り空が広がっており、まるで今の自分の心のようだと思うのだった。

 

 

 

 

Tobecontnued…

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

第28話いかがだったでしょうか? これがゼウスにとってクラディールの最後の目撃となります。クラディールがどうなったかは……もう分かると思います。

今まで小説を上げていきましたが、この回が一番苦労して何回も読み返したりしました。ゼウスの思いや考えが上手く伝わったら良いのですけど………前にも話したと思いますが要するにゼウスはどんな意思でも否定はしない人間なのです。危ない考えがあっても受け入れはしないと思いますが……「そんな考えもあるのか」

と言って納得はすると思います。

それとゼウスが言っていた覚悟とは、’一般人が道外れた行動を取った時、その後に起こる出来事を受け入れるか?’ということです。人の命を取る以上、残りの者達の怒りや悲しみ、はたまたま報復などが一気にきますからね、並みの一般人だと耐えられるものではないと思います。挙句の果てに自分の過ちに後悔することも考えられますね。

さて、ゼウスが言っていた彼女についてですが……ゼウスにとってかけがえのない’全て’っと言っても過言ではない人物です。これについては残念ながらSAO編ではあまり語らないつもりです。もし、彼女について話すとなるとマザーズロザリオ編及び、ゼウスの過去’ゼロ’誕生秘話編で話す予定…………。

 

ゼウス「おいおい、ちょっと待て、おい。これSAO編で終わるじゃあないのか?」

 

主「本郷さんの小説は長く続いているだろ。書けるかどうか分からないけど一応、ALO、GGO、あとエクストラ編の代わりになる話の内容の構想は出来ていたりする。」

 

ゼウス「マジかよ、というか俺の過去を語るのに何でマザーズロザリオ編まで待たないといけないんだよ?」

 

主「それはお前の彼女が…………………ここまで言ったら分かるだろ?」

 

ゼウス「あーそーゆーことね完全に理解した←(分かってない)」

 

 

さて、長々となりましたが次回予告。

 

 

次回はある人物の視点から入ります……彼女はどんな思いで見送り、異変に気づいたのでしょうか…。

 

 

それではこの辺で、ではまた。

 

 

 


 
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